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カープ野村監督辞任に思う

2014 OCT 9 18:18:40 pm by 東 賢太郎

広島カープの野村謙二郎氏が監督を辞任すると報じられた。彼は95年に打率.315、32本塁打、30盗塁を達成した球史に残る名選手である。

打率3割、本塁打30本、盗塁30をもって「トリプルスリー」と称する。日本球界でこれをやった人は8人である。球史に残る偉業ということで比べれば、完全試合をした投手は15人、本塁打を50本以上打った選手はのべ13人である。8人しか達成していない記録の方が希少である。打率と盗塁、あるいは打率と本塁打というのは比較的両立するが、本塁打と盗塁という組み合わせはなかなか両立しないのが難しさだろう。

学科におきかえてみれば英・数・国が全部5という感じだ。5といっても全国公開模試で1位のレベルだ。野村のポジションはショートである。トリプル3達成者でショートは野村と松井稼頭央だけだ。これがいかに凄いことかは拙ブログ「野球人類学」をお読みいただきたい。高校までは投手でプロでは外野、紅白戦では捕手もしたらしいので全ポジション守ったのではないか。つまり、英・数・国・理・社がオール5というイメージであり、僕に言わせていただくと野球の神のレベルである。メジャーから誘いもあり、イチローが自分より先に行くと思っていたといったそうだ。一芸だけの名手は指導者として穴がある可能性があるが、これだけオールラウンドの人の眼は節穴とは思えない。

野球では打順や先発投手を決めたり、選手交代、バントや盗塁の決定をする人は誰か必要だ。だが試合に出ている9人の誰かがやったっていい。現に今年は中日の谷繁がやっている。ベンチでそれだけをやる人がいた方が何かメリットがあるから11人いる。メリットがないなら、いなくても試合はできるのだからまっさきにリストラの対象になるはずだ。ではメリットというのは何か。野球の試合は勝つためにやっている。だから、勝つことである。つまり、監督の価値は勝つことである。会社なら社長が業績、株価で評価される、それとまったく同じことだ。

彼は万年Bクラス化していたカープを5年の間に2年連続Aクラスに引きあげた。これは理由はどうあれ実績である。以前よりは勝てるようになった。勝つことだけが監督の価値なのだから、価値のある仕事をしたということ以外に解釈のすべがない。どうしてそれが1位、2位じゃないのか、それはまた別の話だ。

人間だれも長所短所、得手不得手がある。彼ほどのプレーヤーだからできたことがあって勝てるようになった、そう思う。未熟だった堂林を試合に出し続けた是非はあるだろうが、野村ほどの名手が是としたものをわれわれ凡人が非としても仕方ないのである。その決断が好結果を生むことを信じる方がいい。

今年の9月の失速とここ一番の勝負弱さ。勝てなかったのだから監督の責任以外の何物でもない。それが彼の短所、不得手の結末ということになる。それが大事なところで出てしまったのがカープファンの不運であった。しかし彼の長所、得手がなければそれを不幸と思う水準にさえ来ていなかったかもしれないことは誰も否定できない。

メジャーは監督の要件に名選手であったことを入れていない。別な能力が必要とみている。それに倣えば野村が良い監督だったと結論はできない。しかしコーチとしてはどうだ。彼のいうことをそのまま実行できるならプロ9人目の名選手の誕生だ。 それが効いたから2年連続Aクラスになったと僕は考える。一人の図抜けた投手がいたから日本一になったがいなくなったら最下位でしたというようなことはカープではないと信じたい。

だから、次の監督は野村の弱かったところを埋め、強化してくれる人が望ましい。そうすると1位、2位が見えてくる。緒方という声がある。野村の作ったものを壊さなければの話だが、代打で出てきて初球本塁打というのを何度も見た。出てくると何かしてくれそうな感じがする。あの勝負強さ、まさにこれだ。そうなることを望む。

 

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Categories:______広島カープ, 野球

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