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N響定期 エド・デ・ワールトを聴く

2015 MAY 16 2:02:07 am by 東 賢太郎

指揮:エド・デ・ワールト、メゾ・ソプラノ:マレーナ・エルンマン

女性は化ける。わけがわからない。こうはいかない男は呆気にとられ、そして舞台は支配されるのだ。

マ・メール・ロワは普通の出来。これはジュリーニやチェリビダッケの実演も聴いたが、そっちも大したことがなかった。細かいところまで自分の好みが確立しているのでなかなか難しい。せめてバレエ版でやってほしかった。

メインのドビッシーは微視的なアプローチではない割に音楽に内から湧き上がる生気がない。白眉の第2楽章は細分化されたリズム分子が時間の関数として変化するような音楽であり、ややこしい言い方になるが他に術がないのでお許しいただくと、時間で微分すると傾きが「立つ」ような表現が必須と僕は感じている。それはうまくいってなかった。

その視点を理解しているのはブーレーズの旧盤だけだが、フランクフルトで聴いたウルフ・シルマーという指揮者(バンベルグSO)は完璧だった。彼はどうしてもっと表舞台に出てこないのか不思議でならない。

そうでないアプローチならもっと熱量が必要だ。微分しないでも、誰もが聞いてわかる音楽の摂理に添って増減するものが(シャルル・ミュンシュみたいに)。それも今一つだからどっちつかずの印象だった。

デ・ワールトは比較的好きな部類の指揮者でありだいぶ前に読響でやった「さまよえるオランダ人」など楽しんだのだが。彼のデリケートな美質はシェラザードに最も出ていたように思う。

伊藤亮太郎氏のコンマスは良いのではないだろうか。

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Categories:______演奏会の感想, クラシック音楽

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