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借金は するなら大きく することだ(伝ヘロドトス)

2015 JUL 3 23:23:30 pm by 東 賢太郎

表題は古代ギリシャの石盤に刻まれたとされるヘロドトスのアポローグ(教訓)であるが、実際に見た者はいない。後世の大ぼら吹きによる真っ赤な嘘であるとする説が有力だが、その真偽はどちらでもよいだろう。なぜなら、あまりにそのとおりであるからだ。

それを例示する神話も記されているので以下に翻訳しておこう。石盤の放射性炭素年代測定によるとペルシャ戦争のころBC450年前後と推定されている。神様の名前、地名、風俗等は現代日本風に変えて理解の一助としたことをお断りしておく。

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奥州(おうしゅう)市が威信をかけて創立した学問の府である「養老学院」(YouRo Institute)は当初から難題をかかえていた。設立資金を多めに拠出したのは実力市議の土井常子(どいつねこ)女史である。しかし経済力にものをいわせる頑固者で新興派閥の土井ツネ派には反感をいだく市議が多く、養老学院の運営は求心力を欠いていたのだ。

そこで土井が目をつけたのが暮田(くれた)家である。隣国との領海に位置する孤島である暮田島にその名を残すなど往時は権勢を誇り、奥州市の祖とも慕われる名家だ。現在は没落の危機にこそ瀕しているものの、その威光が学院の精神的支柱としてワークすることが期待されたのである。

暮田家には一人娘があった。親譲りの浪費癖があり、ゲーセンに入り浸ってグレてしまったこの娘は街の人々によってひそかに「グレ子」とあだ名されていた。それにもかかわらず、市議と有力者の子弟を集め奥州の威信をかけた養老学院は、その名誉と信用の確立のために暮田グレ子の入学をどうしても必要としていたのである。

正規の入試はAO入試で代用され、英数国理社は免除される代わりにゲーセンの「UFOキャッチャー」の一芸が評価されたようだ。グレ子入学のニュースは学院理事一同がかつて一度だけ手を取り合って歓喜した希少なものとして長く記憶されることとなった。裏口入学ではないことを示さんとばかりに、法外ともいえる額の奨学金支給が学院理事会によりザルのように承認された。

名家の血筋でなんでも許されると自認するグレ子が「学院生」の肩書きを持ったことは学院周辺の飲食店から六本木のホストクラブに至るまで、すべての消費と遊興をツケで済ませることを意味していた。彼女の触れた物は金にかわるのだ。奥州市の誰もが返済を疑わずにツケに応じ、つまりは彼女の借金証文を受け入れた。

グレ子の卒業論文「コピー&ペーストの効用と哲学的有意性について」は大半が盗用とコピペであると指摘されながらも学院理事会をパスすることとなった。晴れて卒業となったのだ。

そして、ついにこの問題が発覚した。

「卒業払いの奨学金は貸与であり返済すべし」なる理事会の請求に対し、暮田家は「もらったもの」として返済を拒否する内容証明を送りつけたのだ。

強気には出たものの困ったのは土井ツネ派だ。「アンタに頼まれて大事な娘を貸してやったんや」「そなアホいうなら暮田島の2000年分の賃借料22兆円、耳そろえてはらわんかい!」と暮田にすごまれてビビってしまった。

「なんやて、娘の小遣い削れ?ええか、奨学金30兆円あんねんで。ウチかてドロボーちゃうんや、そんなことせーへんでも3000年猶予してくれたら返したるがな。ウチつぶしてもうたらアンタらも腹くくらなあかへんやろ?」

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怒った理事がしたことだろうか、石盤はここで真っ二つに割れており、残念ながら物語がこの先にどう展開したかは闇の中である。

このギリシャ神話が 「クレタの王 イドメネオ」 と関連があるのではとはしばしば指摘されることだが、いまだ解明されていない。

 
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