長く残ったほうが勝ち
2016 SEP 6 2:02:17 am by 東 賢太郎
「元気ですね」とは会う人ごとに言われる。たしかに元気だ。炎天下でジョギングすると娘が熱射病だ何だと心配してくれるが、お父さんはもと高校球児だよ、知ってる?でおわり。倒れてポックリでも同情されそうにない。あのころ毎日皇居一周7キロ走破してたからお尻のでっかさは人並みでなく、脚力はアスリートなみに鍛えてある。まあ空元気でもそう思ってないとただのジイさんになりそうだからいいさ。
「ブログをよくあんなに書けますね」とも言われる。そう大変でもなくてこれも脚力みたいなもんだ。文を書くのは昔から速い。加えてビジネススクールで毎日英文を何百ページも読まされ、それをネタ元になんでもいいからクラスで意見をバシッとかまさないと落第だ。だからネタ探しの皇居一周で2年間鍛えられた。あれやったら誰でもできる。
僕の本旨はこれを千年後の子孫に読ませることだ。僕だってもしも平安時代の先祖のブログ集があったら全部真剣に読み漁るだろう。こんなとこ俺そっくりじゃんみたいな感じで。ちなみに孔子の子孫は世界中に4百万人いるそうで、まあ著名人ファミリーということは忘れるとして2500年後には僕の子孫もそのぐらいておかしくないだろう(まだ孫もいないが)。
それが全部僕を起点にしてつながってくれたら凄いことだ。きっと各国の子孫がこれを世界中の言語に翻訳してくれているだろう。配偶者を入れて8百万人か、こりゃSNSなんてもんじゃない、血族だし、これが僕のイズムを継承なんてしてくれたら面白い。政党になる?いいえ、スイスぐらいの国でしょ。いやいや、もう地球は危ないぞ、まとめて火星に移住でもして生き延びてほしいもんだ。
なんていう壮大、無謀な計画だが、たぶんこんなバカなことを真剣に目指して日々やってる人間は世界にもまれだろう。ネットさまさまだ、なんたってもし30年も前にこれをやろうと思ったら何億円もかかったのがほぼタダでできるんだから、やらなきゃ損というだけでモチベーションにすらなる。
いわゆるひとつの「ブログ」なるものを書いてる意識は僕にはない。恐竜のようにでかくて強いと勝ちではない。哺乳類じゃないが、何であれ、「長く生き残ったらそれ自体が価値だ」という単純なイズムの実践であって、紙の本より電子的メモリーのほうがメンテさえすれば千年は消えないだろうというにすぎない。論語だって、孔子の弟子たちは今だったらずっと便利で保存性のあるブログ集にしたかもしれないと思う。
では僕はタイムカプセル作りをしていて顔の見えない未来人に向けて書いているかというと、そうではない。誰に向けていることもないが、いま読んでくださる方々を確実に想像している。老若男女おられるだろうし年齢性別のイメージもない。過去のタイトルから子細に読んでくださる方々もおられ、本人が忘れている文章までご指摘があったりするのは頭が下がる。そういうすべての方々だ。
おすすめのCD買いましたというメールもいただき、これはますますいい加減なことは書けんぞという気持ちになる。コメントをくださったら、その方の文章もごいっしょに千年残る。だからちゃんとお返事する。こういう日々の積み重ねが21世紀初頭のひとこまであり、やがて「長く残ったら価値だ」ということの礎になり、生存競争の勝ちにつながっていくと信じている。
先日のことだが写真家のS先生と淡島の焼き肉店「韓てら」に行った。前の自宅が近かったので家族でよく来ていたのが懐かしい(余談だがここのお味は東京でベストクラス。おすすめである)。彼は会社勤めを5年だけした。僕は31年だが、やめてどう思ったか?やっぱり寂しかったねで一致した。世間と切れてしまうわけではない、「そうだよな、誰も頼ってくれないもんな」ということにだ。
この頼られるというのは替え難い。こちらの価値を認めない人に頼られることはない。だからそれに応えられて、良かったですねとなる、人生これほど報われるよろこびなんてないだろう。そこに報酬がいっさいからまない、ビジネスではない、これがまたいい。僕は本業で、アドバイザーとしてお金をいただいてそれをしている。だからカネと無縁な世界でそれがしたい。SMCはそのためにある。
ビジネスでも僕は無報酬で引き受けることがある。よろこびがあればそれでいい。お金は一緒に頑張った人たちがたくさんもらえばいい。頼ってくれる人は宝物だ。そういう仲で、苦境にあれば心配し、心配される。こういう仲間がいる人でありたいと思う。そのためにも元気であり、長く残ることが絶対に大事なのだと信じている。
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Categories:______日々のこと, SMCについて
Rook
9/8/2016 | 12:58 PM Permalink
東さま、東さんの精力的なブログの文章、誰にも真似ができません。
高校球児で培われた脚力と地頭の良さが融合するとこうなるという見本のようです。
東さんが担当されているクライアントも幸運です。現役バリバリの仕事姿が想像できます。
私も昔は何故仕事をするかなどと考えもせずマーケティングに邁進しておりました。
今年定年退職後、独メーカーの日本進出のコンサルタントをしていましたが、CEOが信用できなく、サポート能力が日本顧客の要求に応えられないと判断して自らターミネートしました。自分の雇用も失う苦肉の決断でした。ですけど、製品価値が顧客に利益をもたらすだろうと思いつつ、トラブルは常に起こりますから、それに対処しないのでは顧客を裏切ることになります。報酬の源泉である顧客を裏切ることはできません。仮に報酬がなくても私の正義、生き方が許しませんでした。
無報酬でも引き受ける理由、よくわかります。ビジネスに邁進してきた後、自己実現をどのようにするかは難題ですね。おっしゃる通り信頼を得ることは自分を確認する最良の方法だと思います。誰しも究極的には自分の為ですが、深い絆で結ばれた信頼関係が、金銭を離れた財産になるよう願っています。
東さんのブログを知ったのが最近なので、時々バックナンバーを拝見しています。
私も1988年に同じようなMacを買っています。MIDI演奏は挫折してしまいましたが・・。東さんの21年の楽曲入力、血と汗の結晶、真似ができません。でも、グールド以外にニコラーエワとティーポを挙げられていること、私と全く同じで、とても親しく嬉しく感じました。野球は観戦がお好きだと思っていましたが、高校球児だったとは、ブログの論旨展開からは想像すらできませんでした。かなり特殊なご経歴です。
今後共よろしくお願いします。
東 賢太郎
9/9/2016 | 2:26 PM Permalink
Rookさま、お言葉ありがたく存じます。同世代と拝察いたしましたが、メーカーの方々の製品や顧客への考え方と正義感は製品が見えない我々がいつも敬服させられるもので、そのことで自らターミネートというご判断の重みを考えると我々など恥じ入るばかりです。
経歴が特殊とは、自分もそう思います。どうしてかというと両親がどちらも超のつく理系一族と文系一族の結婚でそのハーフなんだと思ってあきらめております。デメリットはこうもりであることで、どちらの方々からも変なやつであることです。
ビジネスに邁進してきた後、自己実現をどのようにするか。おっしゃる通り我々の世代の難題ですね。これにヒントをいただきましたので次のブログにいたします。