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メダリストの威厳

2018 FEB 27 23:23:21 pm by 東 賢太郎

僕は雑音が耳に入ると目の前の人の言葉がわからなくなる。特に高い音と紙などのゴソゴソ、シャラシャラ系に弱い。横で女性が小声で話したり新聞をめくられるとテレビがききとれなくなる。コンサートが始まって隣がプログラムを手に持っていると、もうその日は観念だ。

女性の声が高いのは赤ちゃんに聞こえやすいためだそうだが、だからだろうか大人にもインパクトが強い。電車の中で女性軍団のぺちゃくちゃがはじまると逃げることになる。めったに見ないTVをつけたら、声が素っとん狂に高い政治評論家かなんかが、きゃーきゃーひゃーひゃー(としか聞こえない)立て板に水でしゃべりまくってる。カラスよりうるさい。すぐ消す。

言えば勝ちみたいな軽薄さがお茶の間でも幅を利かす時代かと観念していたら、平昌オリンピックのメダリストの女性たちが溜飲を下げてくれた。競技ではない、インタビューでだ。女性は凛々(りり)しい、威厳があると言われても嬉しくないのかもしれないが、そうとしか書きようがない。スケート、ジャンプはもちろん、明るい、かわいいで人気のカーリングだってすごくそうだった。

自分でやった人の言葉は重い。インタビューでの一言一句を真剣に聞かせていただき、感動を新たにした。高木姉妹はお姉ちゃんがマススタート。佐藤さんが転倒して不利の予想だっただけにあの金メダルは劇的だったがインタビューも凛々しかった。戦略勝ち?運も味方した?どうでもいいさ、勝った者にはどんなに楽勝に見えても運があった、運の定義とはそういうものだ。

カーリングも土壇場で英国に勝った。負けた方はミスだったから仕方ないとは言ってもらえない。それが実力よとなる。ということは勝った方もそれが実力よでいいのである。歴史的メダルおめでとう。どんなスポーツだって運だけで勝てることはない。だからこそ、何はともあれメダルを取った、この事実に勝るものは宇宙に何一つない。

スポーツ界はユートピアだ。選手は皆それを知っている。だから負けても勝者を讃えるし、負けた韓国選手を小平奈緒さんがいたわれる。それに拍手を送る世界の観衆だってみんなそう美しく生きていきたいが、実社会は嘘つきや姦計や裏取引みたいなワルやズルに満ち満ちている。だからスポーツぐらいは正々堂々、ピュアでいたいねとなってドーピングや八百長が断罪されるのである。

平昌オリンピックは嘘つきや姦計や裏取引の政治色満載で開始したが、そんなことは関係のない選手の皆さんのおかげですがすがしい大会となり、一服の清涼剤だった。メダルを勝ち取った皆さんの威厳ある言葉と姿だけを記憶に残したい。後講釈のきゃーきゃーひゃーひゃーだけは是非やめてほしい。

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Categories:______世相に思う

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