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巨人が東投手に5戦全敗

2018 SEP 21 1:01:38 am by 東 賢太郎

本稿のタイトルだけでも気持ちがいい。ありがとう。身長170cmで同じぐらい、あんまり多くはない同姓のピッチャーがこんなに活躍してくれるなんて、東くんに感謝状とバナナ1年分をお贈りしたいものです。

一昨日の巨人・DeNA戦でした。ネット裏のスタンドで、まだ早い、縁起が悪いぞ、まだ口にすまいと我慢しつつも「こりゃ、やっちまうな」とついに独り言をいってしまったのが6回裏、巨人の攻撃中でした。「やっちまう」というのはDeNA東くんの完全試合のことです。

あまり野球に詳しくない方もおられるでしょうが、皆さん、完全試合とノーヒット・ノーラン(no-no)の難易度の違いをご存知でしょうか?四死球、エラー、振り逃げがあるかないかなんですが、どっちも無安打で立派な記録じゃないか、似たものだろうという感じではないでしょうか。

全然違います。出していい走者の数でいうとno-noは27人もオッケー、完全試合はゼロです。例えば巨人ならマギー、岡本、ゲレーロは全打席敬遠してもno-noは可能です。完全試合は27人、順番に一人ずつ一人残らずアウトにしなくてはいけない。似て非なる難易度です。今日現在でメジャーでは完全23回に対しno-noは276回、NPBでは同じく15回,75回です。夏の甲子園では未達成、23回です。完全試合がいかに難しいかおわかりでしょうか。

もし東が完全試合を達成すれば、巨人は球団史上初の、しかも新人にやられる(それも史上初)というダブルの歴史的屈辱でした。6回あたりから東京ドームに異様なムードが漂いだしたのをご想像いただけるでしょうか?

では試合に戻ります(僕のリアルタイムのコメント付きです)。

ちょっと遅れてドームに到着しました。「そうかDeNAは東だったか。よかった、初めて見るぞ」。しかし3回あたりで「意外にストレートたいしたことないな」とつぶやいています。ややセーブ気味で制球で抑えてる感じでした。ただ変化球は「135kmのあれ縦スラ?カーブ?あれはいいな」とも。右ばかりの巨人打線に「おいなんだあれは。緒方に習ったのか?」「なんか巨人は元気ないな」「ベンチも暗いぞ」とも。

前回のヤクルト戦とは別人のように球威のない吉川光投手は筒香に逃げまくってロペスに3ランを食らう。安打の伊藤を牽制で誘い出しておきながら2塁に暴投。大和に2塁打でまた1点。野上というつまんないピッチャー(ごめんね)が出てくる。「敗戦のロング、みじめだ」「タマ軽いなこいつ」。案の定ロペスに二発目を食らって150号。「えっ、意外に打ってないね」。

さて東です。5回裏、岡本(遊ゴロ)、ゲレーロ(見三振)、陽(見三振)。スピードガンは144、5kmだが見た目で球威が出てきています。打たれる気配なし。「一人も出てないよな」1回は見てないので確認。「まだ60(球)ちょっとだね」。球場もザワつき始めます。6回表は記憶なし。野上のボールに興味なく、ビールも回って居眠りしてました。

さて東です。6回裏の巨人は山本(一ゴロ)。ここで小林に代打・重信。「小林やばいな、左に代えられてるぜ(笑)」。いい当たりだが正面の二ゴロ。「運もあるぜ、これ大事なんだ」。野上に代打・大城、「これも左だ。右並べちゃってもういないんだな(笑)」。「大城は肝いとこで打ってる、どうかな?」だが完全に差し込まれて二飛。手も足も出ずになってきた。ここで「こりゃ、やっちまうな」・・・これが冒頭の独り言なのです。

7回表、巨人は中川がマウンドで宮崎が三遊間をぬく。「おい、もう6-0だ。打たんでいいよ。調子狂うから早く東を投げさせろ」ソト(三振)、筒香(二ゴロ)、ロペス(遊ゴロ)。「よしよし」。三塁側で早坂がキャッチボール開始。「あ、筒香代えるな」。東がサードベース横で捕手相手に凄い速球を投げミットの乾いた音が響く。「これはいけるぞ~」。

7回裏。巨人ファンの「闘魂こめて」のオレンジタオル回しがまばらで元気なし。早坂に代えたのはソトでした(右翼)。「う~ん、筒香を代えたいとこだなあ」。打席に1番・坂本。「ここだ、ここが正念場だ」。ファウルは完全に遅れている。「速いんだよ、手元で来てる」。素晴らしい速球で見逃し三振。「やった」。この辺で球場全体が緊張感に包まれる。打席に長野。「こいつ妙なとこでポコンと打つからな、要注意だ」。押し込んだ左飛。ここで、なんと、7回2死まで完全試合である。あと7人。巨人側のスタンドがもうおとなしい。

「おい、すごいな、まだ87球だ、ぜんぜんいけるぞ」。マギーが右打席で構えてこう言ったのがまずかったんでしょうか、88球目の高めを叩くと打球は高々とライトへ。入るな入るな!と念じたがスタンドへ着弾。球場がため息に包まれたのです。「くそ~、惜しかった!」別に僕はDeNAファンでもアンチ巨人でもないのです。完全試合が見たかった。メジャーリーグが1876年の創設以来で23回しかない、NPBは平成は1回だけ(槙原、1994年)でそれ以来なし、平均しても5、6年に1回しかないレアなイベントですからね。

東くん、もちろん意識してたでしょうが、偉かったのは8回も3人で難なく抑えたことです。マギーを歩かせてれば、もう間違いなくno-noはいけた球威でした。そのまま9回1本塁打無出塁で、それはそれでかつてない記録で面白いと思いきや、ラミレスが9回に代えてしまう。「おい、なんだそりゃあ、ちょっと待てよ」、これは心底がっくりだ。こいつ投手出身でない監督だなあ、星野仙一や中日の森繁和だったら絶対代えんぞ、日本シリーズで完全試合の山井を9回に代えた許し難い落合を思い出すなあ・・・。

しかし、完全試合に隠れてしまいましたが、新人が巨人に5戦全勝というのも球団史上初らしい。過去に巨人キラーといわれた金田、平松、村山、江夏、星野、安仁屋、川口などがいましたが、その誰もやっていない快挙です。去年まで立命館大学の学生だったピッチャーにあまりの屈辱だったか、高橋由伸監督は初めてインタビューを断って消えたそうです。東は新人王はもう確実で、ひょっとすると巨人・菅野、広島・大瀬良をぬいてセリーグ防御率1位もあるかもしれない。それは名実ともにNo1のピッチャーということです。170cmがでっかく見えました。

 

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Categories:______プロ野球

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