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子供、孫にはホンモノを与えること

2019 JUN 29 15:15:14 pm by 東 賢太郎

これはSMC最初期の2013年3月に書いたブログで、この時点では見つけられなかった「ジャン・フルネ指揮コンセール・ラムルー管弦楽団」のボロディン「中央アジアの草原にて」がyoutubeに出ていた。ずっと探していたが手に入らなかったのでうれしい。

再録「クラシックとベンチャーズ」

それがこれ。ポール・モリヤこと森谷先生はこれを聞かせてくださったのだ(深謝)。このビデオの2分58秒で鳴るホルンの和音があの日の自分の脳内で劇的にスパークし、その後の人生を変えたのだから重い。

中学時代の動画が残っていない僕らの世代にとって耳にしたレコードそのものを再現できるのは貴重だ。その時分の自分の脳内を探検できるからだ。ポップスも他人の曲のカヴァーがあるが、クラシックは自作自演は近現代ものしかなくてほぼ全部がカヴァーだから最初に覚えた演奏がオリジナルになる。

衝撃を受けたという意味では「中央アジア」のオリジナルはフルネなのだが、なにせそれは1度きりの音楽室のレコードだ。家で耳に刷り込まれた本当のオリジナルということになるとアーサー・フィードラー指揮ボストン・ポップスとなるのはこういう経緯だ。

親父に「中央アジア」を買ってくれとせがんだ。それまでEPという片面6,7分のレコードしかなくそれのつもりだったが、なかったんだろう、買ってきてくれたのは10曲入っているフィードラーのLPだった。他の曲はどうでもよかったのだが、ところが聞き始めるとそうはいかなかった。

まずA面トップの「つるぎの舞い」に度肝を抜かれる。いま聴いてもこいつはアビイ・ロードのCome Togetherのかましに匹敵だ。つづくラデツキー行進曲、ファウストのワルツ、ピッチカート・ポルカ、トルコ行進曲、「天国と地獄」序曲、B面に行って「ローエングリン」第3幕前奏曲、スラヴ行進曲、狂詩曲「スペイン」、そしていよいよ「中央アジア」とくる。一発で目がくらくら。ここで僕はロックにさよならしてクラシックの森に分け入っていくことになる。

これを買ってきてくれた父に頭がさがる。

演奏は、文句なく素晴らしい。あたりまえだ、このオケはボストン交響楽団だから。選曲も音も一級品である。だから米国に留学してこの楽団をこの録音のザ・シンフォニーホールで聴いた時の感慨は言葉にならなかった。皆さま、子供さんお孫さんにはホンモノ、一級品を与えてください。僕はこれが「オリジナル」になったということだけ書いておきます。

 

 

 

 

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Categories:______音楽と自分

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