1989年は世界史の分水嶺である
2023 APR 7 23:23:58 pm by 東 賢太郎
1987
オイゲン・ヨッフム、 モニク・アース、 ジャクリーヌ・デュ・プレ、 ヤッシャ・ハイフェッツ
1988
エフゲニー・ムラヴィンスキー、 ヘンリク・シェリング
1989 (平成元年、「ベルリンの壁」崩壊、日経平均が史上最高値)
ヘルベルト・フォン・カラヤン、ヴラディーミル・ホロヴィッツ
1990 (東西ドイツ統一、湾岸危機)
レナード・バーンスタイン、 アーロン・コープランド、
1991 (ソビエト連邦崩壊)
ルドルフ・ゼルキン、 ヴィルヘルム・ケンプ、 ジノ・フランチェスカッティ
1992
オリヴィエ・メシアン、 ジョン・ケージ、 ナタン・ミルシテイン、 ニキタ・マガロフ
以上が著名クラシック音楽関係者の没年である。名演奏家が消え、1989年を極点として時代は転換していったように思える。
同年には昭和天皇、手塚治虫、松下幸之助、 美空ひばり、チビも逝去している(注・チビは高校時代からお世話になった猫)。世界史もこの年に「ベルリンの壁」崩壊という分水嶺を迎え、東西ドイツ統一、湾岸危機、ソビエト連邦崩壊へと雪崩をうつように急展開を遂げた。
そこから三分の一世紀。株式時価総額が米国のそれを一瞬上回ったがそれっきりだった日本国も、売り上げトップのカラヤン、バーンスタイン、ホロヴィッツを一気に失って救世主が出なかったクラシック産業界も暗黒時代を迎えている。
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桜井 哲夫
4/8/2023 | 8:25 AM Permalink
おはようございます。
DG(ドイチェ・グラモフォン)の幹部が「1980年代のLPからCDの”買い替え需要”を”クラシック音楽への需要”と勘違いしていた」とインタビューで言っていました。
記事の巨匠たちの逝去と”買い替え需要”の終了とがリンクしてしまい、新譜CDが売れなくなったようですね。
少なくとも、指揮者ではカラヤン・バーンスタインの穴を埋められる人材はいませんでした。
東 賢太郎
4/8/2023 | 11:15 AM Permalink
カラヤン・バーンスタインご両人は独仏伊露、オケ物・オペラ両方できてイケメンで客を呼べるという大谷翔平級の人でした(オーマンディ、ショルティはそれには及ばず)。大谷が二人いたというか、大相撲の若貴時代の終焉を見るようです。
「巨匠の最晩年をVPOで作戦」がベームの日本で大当たりしたので味をしめたDGはご両人にVPOでマーラー、ベートーベン、ブラームス、チャイコフスキーなど売れ筋を振らせてこれも当てましたね。それが1980年代に需要を見誤ったもう一つの原因と思います。そのノリでブーレーズにブルックナーまで振らせて、当然ダメだったんですね。最大市場は日本だったわけで、そこは独自の美学が支配する異界だった。これはドイツ人には到底解りません(僕はドイツにいたんで間違いないです)。レコ芸読んでないのが失敗でしたね。
桜井 哲夫
4/9/2023 | 4:23 PM Permalink
1989(平成元年)と言えば、消費税が導入された年でもありますね。まだ3%!この年はバブル経済最盛期(かつ終末期)でしたので導入(そのもの)による経済悪化は避けられました。
しかし1997(平成9)年の橋本内閣による5%への増税は、少し持ち直しかけた日本経済に冷や水を浴びせました。
日本経済の低迷はこうした「判断の誤り」が繰り返されてきたのですね。