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百済旅行記(2)-倭国に来たもの-

2013 SEP 26 0:00:39 am by 東 賢太郎

今回泊まったロッテ・扶余リゾートホテルの10階の部屋からは、このように8番ホールが目の前に見えます。こういう風に部屋から見ているギャラリーがそこそこいて、池の右横から画面左方向へのティーショットは緊張しました。

写真 (31)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こういう古都で遺跡を見ながらゴルフに興じるというのは乙なもので、2番ホールからははるかあの落花岩を望むこともできる。下の写真の奥の山がそれです。キャディーさんが観光案内役でもあって、それを教えてくれました。写真 (32)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このあたりはおそらく古戦場であり、ここであの合戦が繰り広げられていたと思うと感無量なのですが、こちらもグリーン上の合戦の真っ最中であり感傷はご無用でした。

終了後、宮南池(クンナムジ)に案内されました。武王の庭園で王宮の南に位置するのでこう呼ばれます。この大きな池の周囲は小さな池が点在します。入り口にはこれが。写真 (33)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名前はなんだか知りませんがいわゆるここの「ゆるキャラ」ですね。後方にはたくさんの蓮(はす)の葉っぱが見えます。池ごとに50種類もの蓮(はす)が集められているそうです。こういう美へのこだわりは百済の特徴と感じます。こんなのもありました。25kgまで載せても沈まないそうです。写真 (34)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮南池には東屋まで橋が架かっています。ガイドの黄さんによるとわが国の飛鳥時代の庭園造形の技術に影響があるそうです。写真 (35)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこか中国風でもありますが、たしかに日本庭園に通じる風情があり、ここを経由して日本に伝わったもののひとつかもしれません。仲たがいした男女がこの池を一周すると仲直りできるという言い伝えがあるそうで、そのせいかカップルが目につきました。

このあと訪問した国立扶余博物館では館長さん(女性)御自ら蓮の葉のお茶と茶菓子をふるまって下さり、棒振り合戦でこちらも棒のようになった足を休めさせて下さいました。松の花粉で作った菓子は韓国でも貴重だそうで、美味でありました。

そこで拝見したのがこれです。百済博に備えて別室で公開していない実物を特別に見せていただきました。今や扶余のトレードマークとも言ってよい有名な「百済金銅大香炉」であります。

大香炉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この見事に均整のとれた曲線美に僕は音楽を感じます。自然界に直線はありません。この香炉にもありません。曲線が造形する調和というものは宇宙の調和です。何も置かれていない広々した棚にこれがポツンとあって、館長さんがスイッチを入れて光を当てました。すると、この香炉ではなくて、周囲の空間の方がこれに吸いよせられているような、そうして光っているような、不思議な光景が現れました。

この香炉にはわが国の飛鳥文化に深く投影されている何ものかを感じます。

しかし僕にとってさらに興味深かったのは、この6-7世紀に造られた香炉が制作時は金箔が施されて金色に輝いていたことです。「金箔を貼ったのですか?」と伺うと館長は「いいえ。金と水銀を混ぜていったん塗り、後で熱して水銀を蒸発させました」 とのこと。それは水銀アマルガム法といいます。「奈良の大仏がそれで塗られましたね」と指摘すると目を丸くされて、ひときわ大きな声で、「その通りです。当時の最先端技術なんです。」 なにか日韓の小さな絆が一つできた気がしました。

黄さんはそれを聞いて何も言いませんでしたが、

「百済はここで終わりました。でもそのすばらしい文明と文化はここから日本へ行ったんです。そして、日本で花開いたんです。」

と顔に書いてありました。

 

(こちらへどうぞ)

嬉野温泉スパイ事件の謎

 

 

 

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