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黒田さまさま(広島vsオリックス)

2015 MAY 29 23:23:51 pm by 東 賢太郎

今日はオリックスと「世が世なら優勝候補対決」。似たものどうしとはいえこの2年間で0勝7敗1分けと完敗の相手です。しかし新人と20億円投手の投げあいで助かった、6-3でなんとか勝たせていただきました。しかし黒田がさすがというだけであって、強いなという勝ち方ではないですね。リードしてるのに覇気がなく、TVに映るベンチの中は両チームとも甲乙つけがたい暗さでした。

黒田を一死でかえたり、ザガースキーを二死でかえた永川が死球を出したりとあんまり意味を感じない投手交代にはいつになくベンチも積極的でした。どうでもよかったですが。そして満を持してクローザーで出した中崎がしっかりと絶不調の糸井にバックスクリーンにたたきこまれる。いやあ締まりがないです。

僕は今日のことより昨日の野村 祐輔投手のめった打ちのほうが気になります。百戦錬磨の黒田は大丈夫ですが、あれが若い投手陣に後遺症にならないことを祈ります。もちろん打たれた野村の責任なのですが、悪いなりにそこまで3点でなんとかしのいでいました。投球自体にあの回で急に何か変調があったようには見えませんでした。

むしろロッテの打線がサブロー、福浦という往年の優勝メンバーのヒットでにわかに活気づいたのです。ああいう「勢い」というのは打率などのデータには出ない勝負のあやです。人間のやることにはスポーツでもビジネスでも万事それがつきものだし、だから面白くもあるんですね。

僕は高校で打順は6番でしたが、前の3人(クリーンアップ)が打つと気が楽でした。逆に三振でもされるとプレッシャーでした。相手投手は初対面ですからそこでイメージを作ってしまいます。「あいつが空振りか、けっこう速いんだな」と相手が大きく見えてしまい、そう思うとやられてしまうことが多いのです。

ロッテはサブロー、福浦が打って気が楽になった中堅、若手も打った。10年前のロッテ打線の勢いは破格でしたから同じ気楽になるといっても高いレベルに一気に登るようです。余勢をかって今日もDeNAを逆転でうっちゃって勝ちましたね。巨人も阿部が戻ってきてそういうムードになってこのところ勝ってます。プロの紙一重のレベルでは優勝経験あるなしでつく勢いのボルテージの差で順位が決まるんでしょうか。

経験のないカープは真逆であって、エルドレッドが打って一瞬盛り上がっても何かの拍子でマイナスに振れると最下位レベルに一気に下ってしまいます。昨日の6回がそれでした。8番田村を敬遠したのはベンチの指示です。あれが確率を考えた攻めの決断ではなく負け犬采配に見えてしまう。見ているほうだけでなく、たぶん選手にも。

そうしたら想定外の代打に福浦が出てきた。負け犬ムードを見抜いた伊東監督の勝負師の嗅覚でしょう。これぞベンチの仕事です。勝ち方を知ってる監督、コーチがムードを一新することがです。カープはその真逆で、ベンチも石原もえっという感じでマウンドに集合です。試合後に緒方監督が「向こうのベンチ駆け引きもあったと思う」と言ったのはそれでしょう。駆け引きなんて立派なものは何ら行なわれておりません。勢いをつける監督とあわてて選手を不安にする監督の差が勝負を決めました。

一番えっと思ったのは野村でしょう。だって指示通り歩かせてるのにコーチが焦ってマウンドに来るんですよ、普通は自分が打たれたり四球だしたときでしょそれ。明らかに大本営作戦ミス、それをわざわざ公表して士気を下げるわけです。だから8番と勝負すべきだったじゃないか、アホかこいつ、たぶん野村は思ってますね。あそこで戸田に替えるべきでした、彼のために。自分から降りることありませんからそれが愛情です。

一度切れかかったピッチャー心理って、ガラスのように繊細だと思います。その福浦から5人連続ヒットですが、ぜんぶ3割打者としても5連続ヒットの確率は0.24%ですよ。1000回に2回しかない。野村が年間25登板を20年やって1回あるだけだから、プロ人生オンリーワンの悪夢が起きてしまったわけです。あそこで勝負をかけた伊東のカン、フリーズしてしまう緒方、畝。なんとかならんもんでしょうか。佐々岡を上げるとか。監督を研修してる余裕なんかもうないですよ。

お願いしたいのは先発投手のプライドにかけた完投です。ベンチの迷采配の被害を受けないように。たとえば阪神の藤浪晋太郎、先日の楽天戦はすごいピッチングでした。延長10回を131球、4安打、13奪三振。気迫が乗りうつったボールですよ。久しぶりに見ました、ほんもののピッチャーのタマ。ストレートで三振!9回の三者連続三振、10回に福田に投げた2球目がこの日最速の155キロ!言葉もありません。

カープはどういうわけか先発7回にこだわってる。前田、黒田、大瀬良、ジョンソン、野村、福井と完投できる6人がいるのにどうしてもっとさせないんだろう?もちろん7回制で勝ちながら回せば理想ですが、中継ぎも抑えも頼れるのはひとりもいないんだからそんなことあり得ないでしょう。これも本来が抑え向きじゃないヒースに頼った大本営作戦ミスですが、それの責任を認めずに間違ったまま走ってる。本当に勝つ気があるのか不思議になるばかりです。

他球団はどうか?藤波だけじゃないですよ。最近覚えてるだけでも阪神の岩田(完封)、ソフトバンクの中田(1点)、巨人の菅野(完封)、オリックスの西(完封)、DeNAの井納(1点)、中日の大野(完封)、こんなに完投、完封してるじゃないですか。しかも阪神はオスンハン、DeNAは山崎、巨人はマシソン・澤村がいるから「勝利の方程式」になるのに、それにこだわらず調子のいい投手は最後まで投げさせて勝ちに行ってる。戦力的に方程式になり得ないチームが型にこだわってる。意味不明です。

前田、黒田、大瀬良、ジョンソン、野村、福井、全員集めて「チームの危機じゃ。これから全部ひとりで終わりまで行ってくれ」といえばいいんですよ。彼らはやりますよ。ピッチャーってそういうもんだから。藤浪晋太郎を見て奮起してほしいです。ベンチの指示はどうでもいいから原点にかえって。

 

 

Categories:______プロ野球, ______広島カープ, 野球

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