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なぜカープは打てないの?(当たり前の質問に当たり前の回答)

2015 SEP 24 1:01:45 am by 東 賢太郎

打線というのはつながり=得点力です。ホームランというのは、全試合全打席立っても600程度ですから、30本打ってる4番打者でも100打席でたった5本です。ドカンと一発の威力が絶大なのはもちろんですが、その4番を投手が恐れて歩かせてしまい次の5番に打たれる、あるいは前の3番を歩かせたくなくてストライクを取りに行って打たれる等々、4番が打たなくても「つながり」で点が入るという増幅効果の方がチームとしての得点力には効きます。

つまり強力な4番の仕事は打つだけでなく相手を威圧してつながり(点ではない「面のパワー」)という眼に見えない得点力を生むことにあると言えましょう。

ところがこれには条件があって、3番の出塁率が低いと4番が回の先頭打者ということが増えて威力が削がれますし、5番が弱いと4番は安心して歩かされます。歩かせてもいいとなればコーナーを攻められ、4番も調子を落とすことだってあります。同じことは3番と2番、6番と5番の関係にも当てはまります。

ですから「2,3,4,5,6番の5人」の人選、並べ方はチームの打線の得点力を決定づける、ラグビーならスクラムにあたる重要な要素です。

1番打者ですが、もちろん重要です。ただ1番は出塁率、走力がポイントであり、本稿の論旨として広島を見るに、1番打者が多かった丸は打率や勝負強さはともかく四球が多く、出塁率は12球団で遜色ありません。また16本塁打は1番としてトップでもあり、丸の1番のせいで広島の得点力が劣化したとする批判はあたりません。

6番打者ですが、もちろん重要です。これについては後述します。そこでまず、スクラムから6番をぬいた、「2,3,4,5番の4人」の数字から検証してみましょう。

以上をよく頭に入れて、ソフトバンク、ヤクルト、広島の2~5番打者の打率(カッコ内は本塁打数)をごらんください(9月23日現在)。

中村.295(1)・柳田.363(32)・内川.285(11)・李.288(29)

川端.335(7)・山田.328(34)・畠山.270(26)・雄平.271(8)

菊池.266(8)・新井.270(7)・エルドレッド.235(17)・梵.237(6)

4人の平均を見てみましょう(本塁打は少数点以下切り捨て)。

ソフトバンク .307(18)

ヤクルト    .301(18)

広島       .252 (9)

ソフトバンクとヤクルトは互角であり、広島はスクラムで100kgの巨漢たちに押しつぶされる80kgの弱小ラグビーチームのイメージです。相手投手はそういうイメージをもって投げてくるので広島戦はサービスゲームで気楽でしょう。だからきのう畠山に「館山さん、1点あれは充分でしょ?」なんて満座でおちょくられてしまうんです。逆にヤクルト戦に投げる広島の投手は試合開始から2,3点ビハインドぐらいのハンディ戦のプレッシャーを感じて投げているにちがいありません。

広島は明らかに3番新井が弱いのです。打率も本塁打も。彼が男気でチームを鼓舞したことは事実だし、僕も男気で彼をほめてやりたいのはやまやまなのですが、数字は数字で統計値なので他に解釈のしようがありません。同じ3番打者の柳田も山田も、打つだけでなく30盗塁しています。ヒットはもちろん四球ですら走られて2塁打になってしまうのだから絶大な得点力です。昨日のカープ黒田ほどの投手が2度もそれをやられ、4番畠山に2度とも打たれて得点されてしまったのを見ればわかります。

もしカープの3番に柳田か山田がいたら?菊池もエルドレッドももっと打てた可能性があるのは上記の「面のパワー」に書いた通りです。そしてエルドレッドの打率の低さも、これはこれで新井にプレッシャーを与えて新井を打てなくし、5番が梵だろうが小窪だろうがこの程度ですからエルドレッドが今度は打てなくなる。「面のパワー」は逆回転すると負の連鎖になるのです。正の連鎖のヤクルト、負の連鎖の広島、これで勝つ方が不思議であります。

以上は2~5番打者の数字でした。ではここで、6番打者を書き加えてみましょう。

 

中村.295(1)・柳田.363(32)・内川.285(11)・李.288(29)・松田.291(34)

川端.335(7)・山田.328(34)・畠山.270(26)・雄平.271(8)・バレンティン?(?)

菊池.266(8)・新井.270(7)・エルドレッド.235(17)・梵.237(6)???

 

カープファンの皆さん、カープは誰がよろしいですか?

 

シアーホルツ.250(10)、ロサリオ.260(2)、グスマン.230(3)、田中.266(6)、鈴木.286(5)、堂林.212(0)、松山.286(6)、會澤.250(6)・・・もう面倒くさいので割愛しますが、どんぐりをどう並べかえても大勢には何の影響もないことがお分かりいただけるでしょうか。そんなつまらないこと悩むぐらいなら、クリーンアップ全員さしだして松田に来てもらって4番にしたほうが・・・あり得ませんですわね。まあ緒方の采配も大いに問題なのですが、そんなこと以前に、広島は誰を出してもどう並べても、全選手のスクラムで負けているのです。

これでまがりなりにも4位にいるのは、いかに先発投手陣(といっても黒田、マエケン、ジョンソン、福井だけ)がこの「貧弱な体格」を補って奮闘してくれたかということ、それに尽きます。マエケンは来年いない、黒田の引退は遠くない、それで残るのはこの打線ですか?これで優勝だの日本一だのと願うのは自由ですが、100m12秒も切れない子にオリンピック出てねと応援する親ばかの母親みたいなもんですね。

これは球団の経営ポリシーの帰結です。つまり和製4番打者候補は投資効率が良くないので採らない、育ったらメジャーかFAで高く売って差益を得る、野手はダメだが投手はメジャーにも販路があるから良い素材に投資する、その利益で大砲とエースは外人を安く買って使い捨てる、幹部候補(というか単に愛い奴)は監督、コーチのポストを保証して残す、「親ばかの母親」を大量に作って果たせぬ夢を売り続ける、というビジネスモデルで、それで黒字にできるのですから経営という側面だけ見ればしたたかさを高く評価できます。

広島市民の方にとっては、果たせぬ夢であろうとも地元で巨人戦が見られて地元の子が全国区で活躍する姿を見るだけでいいということなんでしょうか?ズムスタはサーカスかテーマパークみたいなもんなんでしょうか?勝ってほしいと50年もまじめに応援してしまった東京人の自分がなさけなくなります。

前回書きましたとおり、ヤクルトがほぼ間違いなく優勝すると思います。去年の最下位チームが優勝、これが偶然ではありえません。マウンド、そして今回書いた打線のつながり。その要が山田であることは明らかです。神宮にはDeNA戦も見に行きますし29日の広島戦も買っております。山田を見るためなんです。彼は凄まじい練習をしてここまできた。僕は2年前から1,2番を打っていた彼をずっと見ていましたが、まだトリプル3をやるなど想像もできなかった。そのころの広島とヤクルトの関係は去年の

広島vsヤクルト(神宮)観戦記(菊池のタッチアップに驚く)

菊池、田中が出てきてやりたい放題に躍動し、ヤクルトは「お客さん」でこの年は最下位だったんです。でもよく読むとこの試合で山田は大瀬良を打って4の4だった。ここからの1年で彼が大化けし、当時から中心選手ではあった川端と畠山の間の3番に座ってみたらチームも大化けしました。これぞ面のパワーです。そして野村監督のもと、こんなに元気で強かったカープが緒方になってお通夜みたいになった。黒田、ジョンソンが新たに加わったのに!この盛り下げパワーの威力には絶句するしかありません。

僕は山田の伸びかたにほれこんでいます。血の出るような努力する奴はどんな世界であれ、僕は大好きなんです。ドラ1のはずれのはずれですからね、意地もあると思う。彼のスイングは凄いです。黒田を打って当たり前という自信に満ちたスイングをしています。足も凄いです。黒田-石原を歯牙にもかけず2度も初球から走っています。匹敵するのは柳田のみ。ふたりともそれだけで5千円払う価値ありますね。29日は試合はどうでもよくて、前田健太を見られるかな、これが最後かなと思ったから。でもローテがずれて戸田あたりになっちゃいそうでがっくりですね。

 
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