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佐村河内氏の記者会見について

2014 MAR 10 22:22:33 pm by 東 賢太郎

佐村河内氏(長いので以下S氏)のお詫び記者会見はなかなか見ものだった。お詫びというのは通常は負の行為をした者が頭を下げて許してもらい「原点復帰」を図る場である。ところがS氏は新垣氏への反撃宣言をして原点以上に押し戻そうという策に出た。

ごまんといた記者はS氏の悪行を暴いて原点復帰のお裁き役、正義の味方役に立つつもりで出てきた輩が多いと思われ、どうでもいいくだらない質問と「本当は聞こえてるでしょ」場面をとらえようという稚拙なトリックに終始。どうして今日はサングラスがないんですか等々もう笑ってしまうばかりのもの。そして反撃宣言には想定外だったのだろう、会場絶句であった。

S氏は初めて見たが、少なくとも質問したどの人物よりも格上。仮に彼のやったことが報道されている通りであれば大物詐欺師の資格充分である。本当に大物であれば、 選挙公約やマニフェストで大嘘をついても詐欺師にならない例は枚挙にいとまがない。10年部屋にこもっても交響曲が書ける人とは思えないが唯一彼が嘘をついていないと確信できた言葉が「調性音楽への想い」の部分。少なくとも質問した人間に関する限りその意味を理解したと思われる者は一人としておらず、茶番劇は進行してS氏の判定勝ちで終わった印象である。

彼はおそらく対人関係において回転が速く、人たらしであり、風呂敷を広げるのが上手であろう。それを悪党というのは自由だが、そのどれもがプロデューサー、実業家、政治家として成功する資格要件ともいえる。不幸なことにその才能が誤った方向に使われてしまった。かたや新垣氏はそのどれもが絶無であり、彼はどう逆立ちしても専門職か事務職しか無理な人である。つまり2人は完全に補完的な「いいコンビ」だった。

いいコンビは売れる。あまりに売れすぎて片方がビビった。名プロデューサーのもう片方は悪党だから平気の平左だった。マスコミは持ち上げて、落とす。一粒で二度おいしい手口が常套手段である。落そう。これが今回の会見の合言葉だったのではないか。聞こえないふり、障害者手帳、障害者少女の利用、みんなその悪党作りの小道具だ。世を欺いた2人も悪党だが、持ち上げたりこきおろしたりで瓦版のネタ作りに励む方も程度は同じようなものだろう。「お騒がせしてすみません」S氏は謝ったが、一番騒いでいるのは神輿をかついでいたはずのマスコミなのだ。

聴力について嘘があるかどうかは検査結果以上はわからないからその資料を堂々と提出したのだろう。だから手話より答えが早かったことをあげつらっても、もう実質的には意味がないのではないか。やればやるほどマスコミが悪党イメージ作りに必死になっている構図が浮き彫りになってくる。そういえばこれは現代のベートーベン騒動だったっけ。このマスコミ記者連中でベートーベンを聴いたことあるのは何人いるんだろう。

S氏は「絶対音感は」ときかれ、あっさりと「ありません」と答えた。彼はそのうち「すみません。聞こえてました。全部ウソでした。マスコミに乗せられたやらせです。私は悪党の詐欺師でした。お金は全額返却か被災者に寄付します。マスコミではなく法と世間のお裁きを受けます。」と暴露するのではないか。すると悪党の詐欺師をかついだ日本を代表する交響楽団を有する某国営TV局らはどうするんだろうという大問題が発生するはずだ。これは彼がこのゲームの切り札を握ったということかもしれない。

 

 

Categories:______世相に思う

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