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ラザレフのショスタコーヴィチ交響曲第11番を聴く

2015 MAR 21 13:13:51 pm by 東 賢太郎

ショスタコーヴィチ

ピアノ協奏曲第2番ヘ長調作品102                               交響曲第11番ト短調作品103

ピアノ イワン・ルージン                                      指揮  アレクサンドル・ラザレフ指揮                              日本フィルハーモニー交響楽団

2015年3月20日 サントリーホール

交響曲第11番が僕の最も好きなショスタコーヴィチのひとつであることはブログに書いた。

ショスタコーヴィチ 交響曲第11番ト短調「1905年」作品103

そこに「第1楽章がハープと弦でそっと始まった刹那、冬のペテルブルク王宮前が忽然と眼前に現れる」と書いた。ライブだとそこの冷たい大気まで感じるリアルさで、やがて始まる皇帝軍の一斉射撃の凄まじさはこれが虐殺シーン以外の何ものでもないことを思い知らされる。

ラザレフはだいぶ前にチャイコフスキー5番などを読響で聴いただけだったが、もう長いこといろんなものを聴いたが演奏の良し悪しは初めの1音でほぼわかる。この日は日フィルの弦楽器群から素晴らしい音を引出しておりヴィオラ、コントラバスが好演、ヴァイオリンもこのホールでの最高の質感を保ったことは称賛に値する。

ソロ・トランペットも好演。管楽器は総じてレベルが高かったがイングリッシュホルンの高い方がほんのちょっと上がりきらなかったかな。打楽器も好演だったが特にバスドラの効かせ方が良かった。この音とコンバスが重層的な基調低音を作ることでオケ全体に見事な立体感が出ていた。こういうことは指揮者のセンスの賜物だ。

協奏曲は息子の19歳の誕生日に書いたこの曲は第2楽章などショスタコーヴィチと思えぬ優しい曲想だが聴きごたえがあった。軽め薄めに彩られた管弦楽法が楽しく、イワン・ルージンのピアノも軽め強めのタッチの弾き分けとグラデーションがみごとで、アンコールのプロコフィエフの第7ソナタ第3楽章も聴きごたえがあった。

大変に素晴らしいショスタコーヴィチを聴かせていただき大満足である。どちらもベルリンやロンドンにそのまま持っていって何の遜色もない名演だ。日フィルはほとんど聴いていなかったが、実力を認識した。

 

(こちらへどうぞ)

読響定期を聴く(モーツァルトとショスタコーヴィチ)

 

 

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Categories:______演奏会の感想, クラシック音楽

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