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中国発の株暴落について(追記あり)

2015 AUG 25 18:18:12 pm by 東 賢太郎

相場というのは過去の経験則があてはまる場合とそうでない場合があります。現在の下げは後者の感じです。中国という震源地が世界をこれほど揺るがすという経験がないからです。

米国株も日本株も特に安いレベルではなく、理屈で十分に納得できないけど強いから買うという、やや気持のよくない領域にありました。中国株が不安定なのは数か月前からで、特に今になってと言う理由は見当たりません。FRBの金利上げへの不安という米国の要因とシンクロして、売りを仕掛けやすいタイミングだった背景があると思われます。

不景気になると戦争という悪しきパターンがありましたが、今は戦争でなく世界同時株安がそれにとってかわる。しかし中国株は空売り規制が入る管理市場だから外人が売り崩すのは難しく、自由度の高い日米欧がどすんと下がってそれを見て経験の浅い中国人がびっくりして売るというパターン。その環境が熟したということでしょう。びっくりで売っているのが素人だから先が読めないのです。

中国のGDPのうち23%は不動産関連(ムーディーズ)で、無計画な開発を受け、空き室率は15-23%です。それだけでも経済成長率に疑問符がついている上、不透明な金融による貸付の信用リスクは膨大と思われ、この火薬庫に引火するとこわいというのは衆目の一致するところ。空売り筋は他市場のショートポジションが中国人に不安を生み出して大爆発を誘発し、上海総合指数が2000なんてことになると大儲けになる。

資金量さえあればそういう比較的リスクの低い仕掛けができるのだから、やるでしょうね誰かが。ただやった人間も、ことが内部事情や統計値に信用のおけない中国だけにその先に何が起こるのかが読めないだろうし、何か想定外のことで反転が起きて大損する可能性も否定できない。僕はそういう認識です。だからポジションの巻き戻しが早晩に起こりたぶん大惨事にはいたらないでしょう。17400以下は買いと思います。ただそれも経験則だから火薬庫引火だとはずれます。NYが止まるかどうか、つまり金利をどうするかがカギになりそうです。

(追記・8月26日12:43)

中国の金融緩和はプラスです。しかし元安誘導しないといけないとは本当にへたっているということで、中国が世界の牽引車という僕のビッグバンシナリオはもはや歴史にすぎなくなったことが確定しました。ポイントは米国です。経済指標はなんら変調なし。だから戻ります。FRBが何か出せば、それによって一時的な振れはあっても。ボラが上がったというだけのことで(だからvixも上がっていて)、それは上記の「やや気持のよくない領域」の滓を落すためのものです。そこは買いでしょうね。

(2016年1月17日)

中国株は「中国ビッグバン現象がもはや終結し新しいフェイズに入っている」という認識に立脚して考えないと間違える。大貧民ゲームというアーブはほぼ終わったのである。西欧がそれ以外から富を吸い上げてきた過程でその蓄積速度を計測する概念であった「経済成長率」なる数値で中国経済を語っても、もう有意な示唆は得られない。

(次はこうなる)

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