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野球人類学《キャッチャー》

2017 AUG 19 22:22:13 pm by 東 賢太郎

野球人間オズマなものだからそれ以外のスポーツは基本的に見ない。僕は選手の動きを自分の五感で感じたいタイプで、体育程度でまともにやったことないスポーツはそれが無理だから見てもつまらないのだ。

ゴルフはシングルだったこともあるが野球打ちを改良したインチキで、グリーン上で麻雀をしてただけ。野球選手だった余興でできただけだ。女子プロと回って飛距離さえ別物と知って、男子プロとは同じスポーツをしているという感覚がふっとんでしまった。

前回に30年前のゴメンの話を書いたが、見ているほうには大したこともないことが当人には一生の記憶、場合には心の傷にもなってしまうのはどんなスポーツでもあるだろう。高校生活というとほぼ野球しか覚えてない僕にとって、甘酸っぱい思い出など皆無であって「苦味」ばっかりみたいに感じる。

当時の我々は東京都3、4回戦ボーイで相手を選んでやる練習試合も5分5分ぐらいだ。負けが多い。ホームラン、サヨナラ打を打たれた球はコースも覚えてるし夢に出る。首にぶつけてしまって騒ぎになった死球は指先にひやっとする感覚が残ってる。

さて、捕手だ。投手は山の上で試合時間のほとんどを彼のサインとミットを凝視して過ごす。200回近く彼の返球を受けるが、そこに無言の「ナイスピッチ」や「このボケ!」がこもってる。例えば練習で200球投げて、最後の10球は連続ストライクでないと10球やり直しになる。サインを出してだ。これができなくて辛かった。終了のOK出すのは捕手であり、女房というより主人であった。

投手が試合を握るというが、投手を気持ちよく乗せるのも流れやムードを作るのも捕手だ。だからいい捕手がいると打席で磁力を感じて嫌だった。しかもその捕手に打たれるとチームを乗せてしまってだいたい負けたと思う。きのう巨人の宇佐美という2年目の左打ちの捕手がサヨナラホームランを打ったのを見た。嫌だなあ、なんか育つと阿部2世になりそうだ、雰囲気も弾道も。セリーグでは捕手ではないが阪神の大山と2人、要注意マークである。

捕手は重労働でそんなに打たなくてもいい。ところが今日の甲子園、広陵の捕手、中村くんには驚いた。4-4の9回に聖光学院の背番号1番が投じたウエストボール、できれば振って三振してくれという速球をレフトスタンドに突き刺した。渾身の高めストレート、あれを打たれると投手は身も心も打ち砕かれてしまう。彼は既に直後から顔に出ていた。6-4で負けると泣き崩れて監督に支えられて引き上げた。男は人前で泣いちゃいかんが、これは完璧に許される。

中村は肩もコントロールも抜群で、バントを拾ってゲッツーにした二塁送球は記憶に残る。投手でも行けるだろうが広陵は先輩の巨人・小林誠司が入部は投手だったが広島・野村祐輔にゆずって捕手になってる。広陵というと広島は古くは投手の佐伯、野手で金本、現役で捕手の白濱、投手で中田、野手で上本、土生がいる。中村はドラ1は間違いない。取れたらいいなあ。

 

野球人類学

 

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