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ついにわかった耳鳴りの治し方

2017 NOV 30 11:11:12 am by 東 賢太郎

耳鳴りが始まったのは6年前あたりである。仕事で悩むうちに、ある日突然、両方の耳にシ~ンというセミの鳴き声のようなのがけっこう盛大に聞こえだした。びっくりして何件か医者にかかったが、どこも治りませんねとあっけなく診断され途方に暮れた。仕方なく、処方されたビタミンB12やナリピタンなんて冗談みたいな市販薬も飲んだが効く兆しは皆無である。そのまま現在に至り、いまやもう慣れてしまったことで一種の治癒になっているという悲しい状態だ。

お袋の看病で病院通いになったことし4月15日、「カンブルラン/読響の青髭公の城」のコンサートで異様なことがおきた。オケの大きな音が右耳奥で割れてビリつくようになったのだ。これにはまいった。フォルテが来るのが怖くなってしまい、焦ったがどうしようもない。このコンサートのブログをさっき読んだが、そこではふれていないのがかえって痛々しい。思えばあのころ疲労がピークになっていたんだろう、ビリビリは後になって収まってくれたが、原因はどうもストレスにあるぞということがわかってきた。

先週、またまた別な事件が起こった。気に入っている「綱島源泉 湯けむりの庄」で家内とランチをして、僕だけ置いて行ってもらい、夜の9時頃迎えに来てもらうことにしたのだ。ここは黒湯の温泉、炭酸泉はもちろん、4種の岩盤浴で仮眠したり塩を体中に塗りたくるサウナもいい。8時間もいりびたってボケ~っとしていたわけだが、すると、なんと、あれっ、シ~ンが見事に消えているではないか!6年で初めての快挙である。

どうしてだろう?岩盤浴しながら考えた。まさか温泉の効能じゃないだろう。スマホも見ない、仕事も考えない、それでストレスが飛んで治ってるのか?そうしか考えられないけど、どうしてだろう?だって、仕事を忘れようとあんなに何度もリゾートに行ってるじゃないか。でも、どこへ何日行こうと、「無理に忘れよう」とするとかえってうまくいかなかったのだ。そういう邪念をいだけばいだくほど、「忘れなきゃ」というのが一種の仕事になってしまい、仕事をすればちゃんと耳鳴りは大きくなる。もう因果だと諦めていたのだ。

そのことは本にあった耳鳴りのメカニズムの説明とぴったりである。「加齢で高音が聞こえにくくなる。すると脳が感知して耳のイコライザーの高音の周波数帯域のボリュームつまみをmaxにする。だからいつもシ~ンがきこえる」というのだ。確かに、オーディオだってそうすればサーっという音がスピーカーから鳴りっぱなしになるからわかりやすい説明だ。困ったことに脳が勝手にやってしまうのであって、それは心臓の鼓動と同じで意識して止められないらしい。だから耳鳴りは治らないのだ。

ということは、僕のように疑り深い人間は、他人の言うことは医者であってもあんまり信用しないんだから自分で自分の脳をだますしかない。「高音はきこえてる」と思わせるか、「高音はきこえなくたっていいさ」と安心させるか、どちらかしか解決法はないという結論に至るのである。

ところが僕の場合、人間ドックの検査では高音の聴力は落ちてない。ストレスは人間が猿の時代の「ジャングルの臨戦態勢」らしく、いつ敵に襲われるかという心の環境設定だから平時の高音聴力じゃあ足りないとなってるのか?理由はともあれ僕の脳の勝手判断だから理屈ではない。とすると「高音はきこえてる」の選択肢はないのである。つまり、「きこえなくたっていいさ」と思わせるというのが答えなのだ

今回はあまりに日常の一コマなので耳鳴りなど意識の片隅にもなかった。だから「仕事」にならず、無意識にそれができてしまったにちがいない。なるほど。そこで、そして、また恐怖心がおこってくるのだ。気がついちゃったからもうだませないぞ、次は「仕事」になってだめかもしれないぞ・・・・。

そろそろ約束の午後9時になる。さて料金の清算である。レジで「駐車料金が1時間分足りません」といわれたので「あっそうか」とそれも払った。そうしてロビーで到着の電話も気がつかないほどまるで死体みたいにぐったりしていたら、家内に「駐車料金?なに言ってるの、私がクルマ乗って帰って、いままた来たんでしょ」といわれ「あっそうか」となった。レジの女性はボケ老人だったのねという冷ややかな目で、家内に失礼しましたと謝って400円返していた。

その翌朝、目覚めると、両耳の奥で、真夏の森の中でセミ取りしてるみたいにシ~ンは復活していた。まあいいさ、もう正体はわかったしシミュレーションも完了だ。怖いものはない。ボケてしまえば耳鳴りは治るのだ。

人間ドックはワンダーランドである

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Categories:健康

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