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読響定期・ブルックナー6番

2018 JAN 14 9:09:29 am by 東 賢太郎

指揮=シルヴァン・カンブルラン
クラリネット=イェルク・ヴィトマン

ブリテン:歌劇「ピーター・グライムズ」から”4つの海の間奏曲”
ヴィトマン:クラリネット協奏曲「エコー=フラグメンテ」*日本初演
ブルックナー:交響曲 第6番 イ長調 作品106

ヴィトマンが良かった。クラリネット奏法の極致を見る。443Hz、430Hzとピッチの異なる弦楽器群の対照がありすべての楽器のソノリティに微細なピッチへの神経が通う。ギター、バンジョー、アコーデオン、リコーダー、ナチュラルホルンが入り、シンバルを弦の弓で弾くなど特殊奏法の嵐でもあり、微視的な音彩をちりばめているが静けさを感じる部分が印象的だった。ヘンツェの影響も感じる。素晴らしいものを聴いた。

ブリテンもピッチが良く透明、この曲はそれが命だ。これはバーンスタインが得意としていた曲だったのを思い出す。第1曲の「夜明け」はラヴェルのダフニスとまた違った印象派風の雰囲気で完全な和声音楽だが調性は浮遊した感がある。嵐のティンパニは好演。管弦楽法はカラフルだがカンブルランの色の出し方は節度がありターナーの絵の如く淡い。気品あり。

ブルックナーの6番。これは散漫になりがちな曲であまり名演と思うものに接していない。録音ではヨッフム/バイエルン放送響とカイルベルト/ベルリン・フィルを聴いているがスコアの響きが地味なだけに味を出すのが難しいと思う。今日は弦がいつもより木質感があり管とのブレンドも良く、筋肉質でシンフォニックな造りにふくらみを与えた名演だった。カンブルランにブルックナーのイメージはなかったが、ドイツ保守本流とは違う硬派路線で聴かせるものがある。1-3番あたり面白そうだ。

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Categories:______ブルックナー, ______演奏会の感想

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