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勝つまでやれば負けない(その2)

2022 NOV 28 23:23:27 pm by 東 賢太郎

前回の稿に勝つまでやれば負けないと書いた。これはよく考えるまでもなく当たり前であり、そこで勝っているんだからもう負けてないのだ。しかし事はそう簡単ではない。僕が何万回チャレンジしても100メートルを10秒で走れる人に勝てるはずがない。つまりそれは頑張ればなんとかなる範囲内の話だ。でも悲観することはない。普通に人生を楽しく生きていくにはそんな高望みは必要ない。頑張ればなんとかなる世界は広大で肥沃な荒野のように皆さんの眼前に広がっている。ではどうすればいいか。結論から書こう。それを見つけること。頑張ることをやめないこと、つまり、信じてしつこくやることに尽きる。

頑張れば何とかなるかどうかは生まれつき持ったもので決まっている。そう聞くと「どうせ私なんか」と委縮してしまう人が多い。それじゃだめだ。そんなことはない、親からもらった能力がない人などいるはずがないし、もしなければ生物として生きられないからあなたはこの世に生まれてない。前々回の稿に書いたが、親というのは(動物もそうだが)子に才能や能力を伝え、運用を預けて自分は死んでいく。それをうまく使って良い人生を送ってねと。だからそれをフルに活かして生きていくことこそ親孝行であり、僕はそれをきちっとやれば良い人生を生きたことになると考えている。

よく、人生は才能で決まらないという人がいる。才能は発揮されないと「なかったことに」になるからうまくいけば「あった」、いかなければ「なかった」となる。でもやる前に結果はわからないから、才能は後付けのモノであってやる前から論じても意味はなく、「人生は才能で決まらないよ」と言うことの実利は何事も自信の持てない人を励ましてあげるぐらいのものだ。しかしそうして甘やかして自信ないまま何かをやってその人が成功するとは思えないから、僕はそれを親身のアドバイスとは考えない。

では、それをやるにはどうしたら良いのだろうか。簡単である。自分に何の能力があるのか、あるいはないのか、それを冷静に客観的に第三者的な目でじっくり見極めることなのである。「ありのままの私」を見つめればいいのだが、実は「ありのまま」と思っている私が本当のワタシかどうかはわからない。自分の思いこみやカン違いで枠にはめて見ている場合が非常に多いのである。僕が住んだ海外5か国と比べてみて、日本の若者はちょっと自己評価が低い気がする。それは自分が親からもらった能力が何なのか、よく見きわめてないからではないか、だから親ガチャなどという言葉が出てくるのではないかと思うのだ。そんな親不孝な言葉を吐いているようでは何をしても成功しないだろう。

私事になるが、僕は早生まれで体が小さかった。だから、中学3年になるまで身長はクラスで前から1番目か2番目。喧嘩をしても弱いし、何をやってもクラスの男子にやられていた。もしもあのまま大人になっていたら卑屈な人間になったろう。しかし高校に入ると身長は伸び、周りを見渡して弱いとは思わなくなった。でもトラウマは残っているのだ。これを潰すのにはとても苦労した。ひとつだけ能力があった。野球で球が速い。これはいじめられっ子のチビ時代からそうで、それにすがって自信をつけ、ひとつぐらいあるもんだと気楽になった。

こんな風に、皆さん、自分発見をすればいい。必ずなにか知らないご先祖様からの授かりものがあると固く信じることだ。どんな小さなことでもいい、ご先祖様はそれがあるから世の荒波の中を無事生きてこられたのであり、だから、あなたが無事に生まれているのである。それを見つけたら、ひたすらそれを磨く(これも信じることだ)。それが親孝行であり、元より、能力がないことよりあることにチャレンジした方が楽だし成功率も高いのだからやらない理由などあるはずがないだろう。信じるというのは心の中だけではだめだ。やってナンボだ。それも、思いっきりしつこくやる。能力が多少でもあるものは、やってるうちにだんだんうまくなって、好きになれることが多い。そうなればもう間違いない。

僕自身、やることをすべてやってみて、後付けの客観的な事実として「才能」らしいものが多少あったのは球が速いことだけだった(笑)。習ったり特訓したりは全くなく、生まれつき速かった。これは明治時代に慶応で野球をやってた爺ちゃん由来のものだと信じている。何をやっても負け犬だった僕がマウンドに立つと無双の気分になる。打たれても一日寝るとまた無双になってる。その自信と記憶でぜんぜん関係ない分野でも負けるはずないと不思議な思いこみができ、トラウマなどぶっ飛んで「なかったことに」になり、強く生きてこられたのだから値千金。ご先祖様はこうやって子孫を守ってくれる。しつこく信じることだ。

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Categories:若者に教えたいこと

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