『黒猫フクの人生観』 (第十七話)
2026 AUG 3 22:22:47 pm by 東 賢太郎
人間の政治はまだ勉強中だよ。けどさ、半年前に高市さんが330議席も取って歴史的な勝利した時の公約の目玉が食料品の消費税ゼロだったぐらいは知ってるよ。ところがそのおかげで当選した自民党の奴らが手のひら返して減税反対って騒いでるっていうじゃない。野党だってチーム未来以外はみんな消費税ゼロに賛成だったよね。なんなのこいつら?反対した全員の名前を三条河原に張り出ししてくれよ、次の選挙で打ち首の準備にね。特に稲田朋美ってハイヒールで潜水艦乗った馬鹿女がさ、「総理が言ったから減税ではダメ」なんてえらそうに言っちゃってるわけよ。何様なんだこいつ?「消費税ゼロ。約束します!」って福井で思いっきり選挙カーから演説してる姿ネットで出てるよ、それで当選したのおめえだろ。福井県民の皆さん、愚弄されてるのは皆さんですよ。こいつの頭のなかじゃ約束とウソは同じ意味です、こんな女が政治家なんておぞましすぎてニャーも出ない。こいつに票を入れるなら福井県だけ消費税10%にしてくれ。「議論なくば自民らしくない」?知るかそんなもん、高市じゃなきゃ自民なんか投票しないって人いっぱいいるよ、主人は石破の時は自民なんかいれてないよ。議論すれば約束破っていいの?こんなウソつき女を放置したら青少年にオレオレ詐欺を奨励するようなもんだ。それが自民党らしい?ならいっそ解党しろよ、こういう頭おかしい奴らは追放して神社でお清めしてさ、まじめに国家と国民を守ってくれる議員だけの党にしてくれよ。
こっちも驚いたね、野心満々でこいつとおんなじようなニオイのオバサンばっか4、5人集まって女子会?あのねえ、残念だけど高市さんは女性だから総理になれたわけじゃ全然ないんだよね、それも分かってねえバカが集まって何の話するのかね。そのひとり、小渕優子って凄まじくアタマ弱くて有名なのが宣言した。「インナーやめます」。隣のガキどもが笑ってたよ。「パンツぬぎますってよ」「食料品消費減税、”あれは公約だったのか?” も言ってるぜ」「こいつが言うと ”あれは幻だったのよ” にしか聞こえねえんだよなあ」「まあまあアタマ弱いんで気の毒だねって声が多いらしいよ、主人のまわりで」「ならしかたないから群馬県だけ消費税10%にしてあげてくれ」。
高市さんみたいな政治家はいまだかつて日本にいない。勉強家で頭が実に良く、法律を書けるほど言葉の重みを知っており、普通はそういう人は実行力がないんだけど、彼女は言ったことに使命感があって万策尽くして必ずやる。それを国民は待望してたし心から信頼してるんだ。悪いんだけどさ、そもそもこの女子会オバサンたちのオツムと学力じゃのっけから無理。人品骨柄からしても無理。猫の僕でさえ腹わたが煮えくり返ってるさ。ネットなめちゃいけねえよ、国民はあんたらの本性をぜ~んぶ見抜いて共有知にしちまってるよ。本性っていうのはね、月日が経ったら変わりました、反省したら良くなりましたなんてことは絶対ないんだ。裏切る奴は千年たっても裏切る。天国来てる仏様たちには常識さ。公約裏切った奴らの名前はデジタルタトゥーで誰でも閲覧できる。賭けてもいいさ、次の選挙でこいつら全員が国民の怒涛の鉄槌食らって掃滅される。高市さん、 2年後の参院選は衆参同時選挙だよ、こいつらの公認剥奪して刺客たててブチ切って爆勝ちだ。国民の支持は微動だにしてないからね、民主主義国家の主権は政治家でも官僚でもない、国民にある。それで長期政権は間違いないよ。
こいつらそれ分かってる。次の選挙の怖さをね。だから焦った馬鹿どもがにわかに馬脚をあらわしたってことさ。食料品消費税の2年間ゼロの阻止が真の目的じゃないんだよ。円安の震源や財源問題なんてわかってるはずないんだよこいつらのアタマじゃ。「高市が公約を達成できなかった事実を作る」、目的はそれ。それだけなわけ。できなっかたできなかったってキャンキャン騒ぎ立てて支持率を下げ、退陣に追い込む!これが目的なんだ。これなら馬鹿でもできる。私も女だし次のメがでてくるわ、難しい理屈は財務省の秀才クンたちがこっそり教えてくれるしね。「減税は総理が言えば決まるってもんじゃない!!」。おめえも言ってたんだよこのバカ。
国民の玉木ってのも主人の後輩だからだまってたけどさ、間違えたねこいつ。要するに誰も腰いれて減税反対してるわけじゃない。あまりに小物で自分で決める腹もない。スポンサーご所望である高市おろしのグランドシナリオ。尻馬に乗って劇を演じて、ちょい役でいいから映画のエンドロールに名前のせときたいって浅ましい連中さ。こんな奴らが政治家でいいの?公費の無駄だよ。野党の議席なんか2年後の参院選でゴミみたいなもんになるの確実だ。両議院ですべてが多数決で吹っ飛んじゃう。自民の党内野党だって最後は党則で高市総裁に一任さ。要するに反旗ひるがえしても何のパワーもないんだよ。それでもやる。目的はひとつしかない。くりかえすよ、「印象操作で高市のイメージを悪くして支持率を下げる」。これ以外に打てる手はないんだ。こいつら、いま、断崖絶壁に追い詰められ、最後の命綱、印象操作に死力を尽くしてる。
まあ雑魚のアタマの中なんかどうでもいいんだけどね、僕はやりかたにびっくりしたんだ。だってこれ、天国の動物界じゃ『ウンチ作戦』って下劣で有名な手法なんだよ。まさかこんなの人間がやるなんて思わないよね、恥ずかしくてさ。天国で始めたのは節操のない鳥たちさ。白鳥とツルの激烈な選挙バトルがあってね、劣勢のツルが有権者の庭にウンチしまくって「白鳥がやってるのを見た!」ってウソ言いふらしたの。庭が臭くなっちゃって有権者の怒りを買った白鳥は落選さ。そこで白鳥は次の選挙でそれやって、「ツルがやってるのを見た!」ってウソをたれ流したら今度はツルが落選さ。ところが、ウンチまいてた犯人をつかまえると、そいつはサギだったんだ。「どういうことだ?」「なんで選挙に出てないサギが?」。実は姿が似てるこいつが実行役、シベリアに帰っちゃってる白鳥が指示役って今風のトクリュウだったんだ。白鳥はうまく逃げて、小物のサギが詐欺じゃなくて公職選挙法違反で捕まったってオチさ。
人間はもうちょっとは知恵があるからそれをうまくやる。法律にひっからないよう選挙じゃない時にね。言論のふりして寄ってたかって高市さんの周りでわーわー大騒ぎすんの。ネタはガセのメールでもウソでも何でもいいの。それをテレビが「ほんとだ、臭い臭い」って囃したてるの、ここが『ウンチ作戦』そっくりなんだよね。これで有権者には「高市さんヤバいことあるのかな」って疑問が既成事実化しちゃうんだね。そこで満を持した新聞(消費税8%に優遇してもらってる)が「高市政権に批判の声も出ているようですが・・」と前置きして爺ちゃん婆ちゃんにアンケートお願いすると、けっこう「高市は支持できない」になるらしい。そこで鬼の首取ったみたいに、あたかもフェアにその数字が出たみたいに装いながら「支持率暴落!」ってやる。それが今おきてることの真相さ。
つまり、こいつらのやることなすこと全部が印象操作なんだ。ウンチに当たるネタなんかなんでもいいわけ。とにかく「大騒ぎになったってイメージ」だけ国民に与えれば成功。官邸が「週刊誌のガセネタだ」なんて正論を返してもね、もともと臭いニオイを残すことだけが目的だから屁の河童さ。あほらしいから忙しい高市さんは相手にしないよね、すると今度は「審議拒否だ」「国会を軽視してる」「これが民主主義か」ってまた別なウンチがびしびし飛んでくる。こいつら政権担当能力なんてまるでない、それ民主党政権で実証されてるからね、だから単なるウンチ芸がオハコの劇団なんだ。スポンサーの意を受けて総理の人気を下げて体力を消耗させる、それだけのために国会にいるみたいなもんなんだ。それで国民の税金から年収3000万円も貰ってるとんでもない奴らなんだよ。だから維新の会と頑張って早く定数削減しないといけないね、比例はおろか参議院もいらねえって主人は言ってるよ。
でもウンチ劇団には弱点があってね、知性も品もないお馬鹿さんじゃないと似合わないってことさ。リアルに言うなら、馬鹿と引き換えに3000万円もらってるお笑い政治芸人ってとこだね。さすがに政党交付金もらわない共産党はそこはできたもんだ、「こんな奴らと一緒にされたらかなわん」って危機感いだいたんだろう、「誹謗中傷動画のネタ元の男は詐欺師だ」って真相バラして劇からさっさと降りちまった。これが危機管理ってもんさ。こっからはもうお笑い劇場だよ、舞台に残されてポーズが固まったまんまの奴らの恥ずかしい姿がくっきりと国民の記憶に焼き付いたからね、次の選挙は大変なことになるね。それの提灯持ちのマスコミも一緒さ。まあ猛暑も厳しいし、我々は次の「高市下げ」のお笑いネタは何かなって楽しむのも一興だよね。
役人でも論戦したらかなわない高市総理に勝てる議員なんて野党にいるわけないでしょ、頭悪いし勉強してねんだからウンチ芸が生きる道さ。ところが衆院選であまりにボロ負けしたもんだから団員が激減しちまってね、 自民の議席をおすそ分けしてもらったうえに2つ合併させても場末で潰れかけのなんたら一座みたいになっちゃった。 15分も鹿の話すると思えば減税の財源はどこにあるんだ、子孫に禍根を残したくないなんて、てめえの議席守ることしか考えてませんって顔に書いてあるオヤジが言っちゃったりしてさ、そんな漫才がネットで国民の津々浦々に知れ渡っちまった。お前らチンドン屋かって怒ったのはスポンサーさ。こうなるとがぜん元気出ちゃっうのが石破前総理だ。今こそ俺の出番だって腕がなるんだろうね、おい見ろ見ろ、こいつもう一度総理できるんじゃないかなんて勘違いしてるぜって天国寄席のネタになってるよ。この御仁、盟友の野田よしひことスクラム組んだらまさしくお似合いなんだね、中道に移籍すれば水を得た魚だ、強くお勧めしたいね。こいつの内閣でつるんでた奴らも次の選挙じゃ野党とおんなじ運命が待ってるからさ、一緒に中道に行けば幸せな余生送れると思うよ。ちなみに僕は本物のチンドン屋って見たことないんだけど主人は子供のとき大ファンでね、こんな糞みたいな奴らに例えたなんて聞いたら怒られるから言えないけどさ。だって来るといつもチョコチョコ後をついてまわって、ボクいい子だねなんて紙芝居のおじさんに飴もらったって熱く語ってね。だから大きくなったらあそこで太鼓たたくのが夢だったんだってさ。それでストラヴィンスキーの「春の祭典」が病みつきになったんだね。
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『黒猫フクの人生観』 (第十六話)
2026 JUL 26 0:00:21 am by 東 賢太郎
僕はじっと見てるんだ。主人はいま、証券関係じゃないビジネスを進めてるよ。これはね、僕が毎晩主人といっしょに居間でビデオのミステリーを見ていた去年の3月ごろにふってわいたような話でね、業務知識もなければ得意なジャンルの仕事でもないんだ、だからその頃はあんまり真面目に取り合ってない感じもあったんだ。
確かに投資のビジネスは神経使うしものすごいエネルギーがいるんだ。心構えがポジティブじゃなきゃいけないし、うまくいかない時の心のメンテナンスも難しいし、若かったからできたってところがあるんだね。もう子供も面倒見ないしこんな難儀なビジネスやってる必要あるんだっけっていう気持ちになるのもわかるよ。「フク、俺もいい歳だ、あと何年できるかな」なんて柄にもなく弱気を吐いたくらいだから、ちょっとは別な系統の事もやろうっていうふうになって不思議じゃないね。多摩川の崖から落ちたのと、ついには神保町の何でもない歩道でケッつまずいて転んでケガしたのは元高校球児を心の支えに生きてきた主人にはこたえたみたいだね。
天国にはその人の一生のビデオがあるんだ。だから僕は主人のを見てぜんぶ知ってるんだ。その大もとは宇宙のどっかに字で書いてあるらしい、何語か知らないけどね、宇宙は3次元に見えてるけど2次元の字のホログラフィーだって先週にホーキング博士が教えてくれたんだよ。天国に来てよかった、思ってた通りだったって喜んでたよ。主人がブログで書いてたけど、小学校に通ってた駅前の道路を歩いてたらその頃の半ズボンで帽子かぶったちっちゃい自分が見えたような気がしたって、それって気がしただけじゃなくて本当のことなんだけどなあ。時間ってものはなくて過去も現在も未来もみんなその場所に一緒にあるんだ。レコードをかけると音楽が流れて時間がある気がするけど、あるのは2次元の溝で音はそこから3次元世界に立ちのぼってるだけでね、いつだって昔だって未来だってそこにあるでしょ。そういうことだよ。
そんなこんなでね、新しいビジネスには従妹の旦那にひと肌脱いでもらおうって魂胆もあって食事奮発したんだ。「神山先生の日でそっちへ行くんだ、和洋中なんでもおまかせだよ」ってメールしたら、近場の鰻屋とってくれて大喜びさ。「ケンちゃん、だって日曜が土用のウナギでしょ、人気店だし大変だったのよ予約。10時開店だけどお年寄りの店だから早いかなと思って10時40分に電話したのがラッキーだったの。ドンピシャで一席だけ空いてたのよ」。主人も土用のウナギぐらいは知ってるけど、なん日かなんておよそ知らない。そういうのは疎くて正月とクリスマスぐらいしか知らない。よくそれでサラリーマンがつとまったもんだよね。「ありがたい、俺ちょうど食いたかったんだ」。飢えてたみたい。食い物ごときであんなに喜ぶのも珍しいね。
そこは江戸一って雑司ヶ谷の老舗だったよ。従妹はちょっと多すぎって主人にご飯をあげてさ、今どき上うな重にキモ焼きとヒレ焼きと酒でイチナナはお値打ちじゃないかな。「今日ね、神山先生にくぎ刺されちゃったんだよ、オナカ引っ込めないと膵臓が腫れてくるよって」「そりゃまずいな、糖尿コースだ」。医療器具メーカーで親戚も友達も医者だらけの旦那がうなづいた。「うん、この腹なのに体重変わってないから筋肉が落ちてる。努力はしたいんだけどさ、参ったよ、だって明日から朝と晩にキュウリ一本ずつで二日過ごせっていうんだからさ」「絶食ってこと?」「絶食はダメらしい」。従妹は意味が分からない。「じゃマヨネーズたっぷりかけないとね」「それもダメなんだ。塩ふってもダメって。キュウリの皮に成分があってそれが消えちゃうらしい」。僕も良くわからないけど、焼酎片手にこんな話してるんだから平和なもんだ。
「最近俺ね、なんだか歩幅が狭くなってきて速く歩けなくってさ、ズボンはく時ふらついたりもするし」「そりゃ片足立ちはみんな問題だって」。同期の旦那はこともなげにおばちゃんにビールお代わりしてる。そこで主人が新しいビジネスの展開の話題を切り出すと二人とも身を乗り出した。といっても旦那は理系の技術者だからノリはそこそこで、同じ血を引いてる従妹のほうが興味しんしんだ。要件は簡単に伝わった。「ということで頼んだよ」。さすがに猫界でこういうことはないなあ、ウナギ屋で酔っぱらって社長が任命されちゃうなんてさ。
「寄ってってよ」ってことでお宅にお邪魔すると毎度のワンちゃんの熱烈なお出迎えだ。プードル×チワワのメスだ。「知らない人にこんなに行かないのよ、モテすぎじゃない」ってぐらい、飛びつかれるわ顔はナメられるわ大騒ぎだ。コーヒーを入れてもらったのにだんだん話についていけなくなって寝ちまってる。いくら弱いったって中ジョッキと焼酎1杯なのに、こりゃ相当疲れてるぞ。株が上がってるのは結構だけど7月はいろいろ難所もあったからストレスがやばい。それで従妹たちとご飯食べたかったんだね。もろにお金が絡む仕事ってのはね、そういう意味で普通の堅気の仕事じゃない。滑った転んだでものすごく切実な部類のやつは人生に何回かはあって家になんかとても持ち帰れないんだ。心配させるだけだからね。そこでなじみの飲み屋で聞いてもらうんだよ。業界の人しかわかんないだろうけど周りの管理職みんなそうだよ。女性たちはそんな事は見事にどうでもいいからお安い御用でね、口は固くてふんふん大変ねって阿吽の呼吸で聞いてくれるだけで深入りしない。だからいいんだ。そんなのでちょっとは気が軽くなるってもんさ。主人の先祖の田中平八さんにはお倉さんがいた。それでもってたからああいう大それたことができたんだね。
酔いが覚めてなかったけど主人は大丈夫だと強がって10時ぐらいに地下鉄で帰宅したんだ。けれどヘロヘロだ。さすがに途中で降りてタクシー乗り場に行ったらなんと20人ぐらい並んでてね、仕方ねぇってんで歩いたんだけど、ほんと、亀みたいにのろのろなんだ。最後の力を振りしぼって手すりにつかまって家の階段を上るのがやっとだよ。もうそのまんま布団に入ってバタンキュー。若い頃はしょっちゅうだったけど、この歳でそれはやばいよね。
心配なんで翌朝も見てたんだ。そしたら何のことはない、しゃきっと起き上がって顔を洗うと冷蔵庫からやおらキュウリを取り出してペロッと食っちまった。パンやらご飯には見向きもしないでね。人の言うことはとってもきかない困った人だけど、神山先生だけは絶対なんだってよくわかったよ。だってシノホノいわず言われた通りやってたら本当に20年も病気しなかったって事実は絶対だ。その前では理屈もヘチマもないさ。そうやって信用したらとことんする、なくしたらとことんしないって主人は分かりやすくってね、相手がどこの誰だろうとどんなに地位の高い人だろうと例外なしってのは痛快なぐらいさ。僕は最初のうちはシャーシャーしちゃったんでしっくりいってなかったけど、毎日ビデオ見てるうちに男同士ってのもあって気心が知れてきたんだ。そこからはもうベタベタさ。
何のことない、階段昇るのもひょいひょいって、昨日の亀歩きは何だったんだってくらいめちゃくちゃ元気になってる。そうかあれは栄養失調気味でガス欠だったんだ、ウナギが効いて一気に戻ったんだ、めでたしめでたし。
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『黒猫フクの人生観』 (第十五話)
2026 JUN 29 20:20:15 pm by 東 賢太郎
主人みたいに我(が)の強い人間にとって「推し活」の彼みたいなヤンチャで物を言ってくれる若者は大事なんだ。あの子はさ、子ったってもう四十すぎだけどね、出会ったのは外資系証券で揉まれたころでさ、二十三、四からかわいがってたんだ。主人が自分の勝手で移籍して面倒見れなくなってまずいと思ったんだね、香港まで連れてって懇意だった富豪のお客さんを紹介してさ、ここからはおまえやれよって。苦労はしたけどなんとかやったの大したもんだって認めたんだね。ライオンは可愛い子を谷に落とすっていうじゃない、這い上がってきた子は育てる、こなかったら捨てるって。彼もダメだったらそれで終わってたと思うよ、だから無条件に優しい人ってわけじゃないんだ。なんたって勝負師だからね、根性ない奴は助けても1人になったらどうせダメだからやめといた方がいいよってそれだけの話だよ。もちろん猫はしないよそんな野蛮なことは、でも主人はライオン派だから仕方ないんだ。
面白いもんで、いま、今度はその彼の方がでかいことを仕掛けていて主人を引っ張り込もうとしてる。これを主人は喜んでる。そうこうしていたら、今度はアメリカから別なのが来た。この男のことは、主人が飯食いながら6時間英語は疲れたってブログに書いてたから熱心な読者はわかるんじゃないかな。その相手方になる日本の著名企業の方で十二、三年前からブログに登場してるひと回り年下の別な彼がこれまたビッグな企画を偶然にやってたなんてなんだかドラマみたいだよね。そして、これまた別件だけどその彼が持ってきた健康器具の案件は1年たって初ディールがあった。これは伸びると思うよ。でもそうしたものは主人にとって本業じゃないし、もともと主人は得意でないし自分で思いつくようなことでもない。アガスティアの葉っぱのお告げ通り、ここから2年は運が乗ってるから自然と来ちゃうってことなんだ。そしてもう1つ、これはもう発表されたからいいと思うけど、千葉ロッテマリーンズが本拠地のスタジアムを新しくする話ってのがあって、こっちはファイナンスだし得意の野球にまつわる話だから本業だ。こんなサイズのが5つあるのは珍しい。まだまだ体も頭も健康だけどさ、ビジネスってのは生ものだから毎日毎日情報が変わるんだ。ボケて記憶力が落ちて来たら危険だからさっさとやめた方がいいけどね。
そんな中でテラドローンの次に投資したのがアメリカの電池のスタートアップ企業だ。データセンターで需要は爆発。ガスタンク並みに巨大にしてもリチウムみたいに爆発しない。発見して特許取った帯電物質が石油由来だからレアアースより激安。タンクを持ってる会社に売れば貯蔵コストも不要。こりゃ滅多にない猫でもわかるいい株なんだ。IPOは3年後だけど最初の正式な資金調達が来年だからそこで2倍で売ってもいいさ。読者の皆さん全員にお分けしたいけどこういうのはコネでしか入ってこないからそんな金額はないんだ。投資に百発百中はないってのもあるしね。主人はイーロン・マスクにはコネないからスペースXはそうやって買ってた株主からIPO前に30億円ぐらい買おうとしてたんだ、懇意の外資系証券に頼みこんでね、でもアンソロピックとオープンAIが今年になるって聞いて急遽取りやめたんだよ。びっくりしたけど主人の頭の中のことだからよくわからない。結果は大正解だったよ、スペースXは日本の証券会社でも人気で抽選で買えたけど当たった人は喜びもつかの間だね。それで株は怖いねって話になるよ。でも基本的にどうでもいい需給関係の話でね、そんなのばっかり見てる人ほど損するってだけの話だよ。主人は宇宙産業に強気なんだ。だってよく知ってるからさ。
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『黒猫フクの人生観』 (第十四話)
2026 MAY 23 20:20:44 pm by 東 賢太郎
プライバシーに関わるので「主人の知人」としておくことにするよ。その方のご子息であるX君、高校を出て外国の難関大学にめでたく合格したんだ。小学生の頃、主人がプロ野球選手と会食したおり、大ファンだと料亭までサインをもらいにきて目を輝かせていた子だから主人もよく覚えてたよ。帰国子女でないのに英語、大したもんだね。でも昨今の世界情勢なもんだから、父君から「現地に知り合いがいない、独りじゃ心配だ」と主人に相談の電話が入り、「大丈夫だ、しっかりした男がいるよ」とお答えしていたというわけだ。その男がたまたま仕事で来日することになったので、主人が両人をオフィスで引き合わせようというはこびになったんだ。
ご子息をひと目見た主人、感銘を受けた。11歳と18歳。見違えるようだ。7年でこんなに立派な青年になる。ここからの7年、楽しみしかないじゃないかとピンときたんだね。選んだ学部は情報コミュニケーション。将来は何やりたいのときくと金融という。自分の業界なもんだから「X君、それは素晴らしい志だね」といつになく上機嫌である。でもね、主人は彼の年で志したわけじゃない、サラリーマンになるしかなくてしょうがないから野村證券に入っただけなんだ。なんたって、本当の動機は人事部にかわいい女の子がいたっていう恥ずかしい話だ。みっともなくて言えないわけだね。
ここでちょっと遅れてHがオフィスに到着した。X君、少々緊張気味だがしっかりと英語で自己紹介ができた。「大丈夫、半年でペラペラになるよ」とHが太鼓判を押す。「とてもいい。上手い下手なんてどうでもいいからとにかく喋れ。アピールしたいものがある奴の話は聞いてくれるよ。彼女10人作るぐらいの勢いでやりなさい(笑)」。いい感じだ。今どき初対面の子にいきなりこんなアドバイスする人は日本にはいないよね。あそこは危険、あれ食うな、こういう奴に気をつけろみたいなネガティブのご指導から入るんじゃないかな。といって単純に性格が明るいとか陽気とかじゃない、Hはなんたって4大会計事務所(Big4)の1つKPMG出身だからね、能天気じゃなくてSunny Side of the Streetの人種というものだ。まさに主人もそうだからね、初対面の時から気が合ったのもわかる気がするよ。
主人もそう思ったらしく、いつだったか「そう思わんか」と尋ねたことがある。するとHはNoという。なんでも彼は運命を委ねるMonkがいるらしく、主人の写真を見せたら「この人は前世でアンタの先生だった人だ」とびっくりすることを言われたらしいんだ。主人がそんなバカなと笑い飛ばし、「だって前世というならアガスティア曰く俺はパキスタンの王女だったんだぞ」と否定すると「そんな昔じゃない。我々のひとつ前の人生だ」と言いはる。本気なんだ。「だからお前とパートナー契約したんだ」「わかったわかった、じゃあこれからビジネスは先生の言うことに従うんだな」なんてことになったものだ。
天国で物事を眺めてるとこの話はあながち嘘じゃないことがわかるよ。地球で縁があった2人がここに来て別々な赤ちゃんで生まれ変わる。普通はまた出会ったりしないけどね、もしそういうことがあると男と女なら運命の人だなんてことになっちゃうんだ。ある方の結婚式で、主賓の安倍晋三元総理が愛妻家だったチャーチル首相の逸話のスピーチをしたんだ。「生まれ変わっても、地の果てまで行ってきみを探し出す」というくだりで主人はいたく感動したらしい。でもHに言われてもなって思ってるだろう。とはいえ妙に信心深いところもあるからね、ビジネスパートナーとしてHを信用してることは間違いないさ。僕も天国から株式市場見てるしね、キツネと狸の馬鹿しあいで誰も信用できないあの世界でそういう人はあんまりいないんだ。X君、いい人と知り合ったね。
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『黒猫フクの人生観』 (第十三話)
2026 APR 23 11:11:14 am by 東 賢太郎
天国にありとあらゆる動物がいることは説明したよね。人間だってそうさ。みんなスクリーンで地球を見てるんだ、だってあの人どうなってるかなってみんな気になってるんだよ。どこでも好きな所を見れるし、みんな魂さんだからどんな言葉でもわかっちゃうし、僕だって何語でもいけるよ。でも、主人のブログをハイジャックしてるからここは日本語だ、じゃないとすぐバレちゃうからね。
この前、主人の会社に来たお客さんがたまたまいいタイミングで言ったもんだ、「東さん、東大っぽくないですね」。これいちばんの褒め言葉でね、これさえ言っとけば機嫌いいってやつなんだ。「だって俺は成城学園初等科育ちだからさ、黒澤明、 三船敏郎、芥川龍之介の子供や孫と一緒だったし岩崎宏美もいたしね」。なんせこれが自慢なんだ。母上のおうちは落ちぶれ貴族みたいなもんでこういうサークルが好きだったから幼稚園から成城に入れたんだ、いとこたちも劇団四季や集英社にいたり芸能っぽい。するとお客さん、エンタメ業界で知られた人で「僕ね、アビイロード録音したスタジオ丸ごと買ったんですよ、楽器ごとね」と聞き捨てならない事をのたまう。「何?ビートルズの?」「もちろん」。
ここから話は大変なことになって、お客さん「映画のスコア書いてロンドンフィルハーモニー指揮して録音しました」なんてクラシックに飛んだからいけない。お客さんのアシスタントの女性もオケのバイオリンで「チャイコの4番サイコーです」なんていうもんだから「あなたね、あの第1楽章、難しかったでしょ」「そうなんです、パートで何回も合わせました」「あれ書いた時ね、ホモのチャイコフスキーは無理やり女性と結婚させられて自殺未遂してる。狂ってたの。1拍目が欠けてるリズムがだんだん夢遊病みたいになってね、2拍目がそう聞こえてくるように書いて最後に現実に戻してビックリさせて、ミステリー作家がトリック仕掛けてるみたいなもんだよ」。するとお客さん、いきなり「東さん分解ずきでしょ」ときた。これがまた図星で「きみよくわかるね、そうなんだよ、子供の時から何でも分解しちゃう」なんてところにいく。
でもお客さん、ヨタ話に来たわけじゃないんだ、ひょっとして大きいビジネスになるかもしれないネタ探ってるんだ。主人はクリエイターじゃない。なりたかったけど才能ないって分かってる。「俺ね、仕事じゃ人にも厳しいかもしんないけど自分にはもっと厳しいんだ。作曲したり人前でピアノ弾いたりなんてことはしない、だってお前みっともないからそれだけはするなよって声がきこえるんだ」。うーん、そう自分に厳しいように見えんけど本人その気なんだよね。映画やエンタメのプロデューサーやクリエイターしてるお客さんがうらやましい。それができなくてこうなっちまったって悔しいんだ。それは二つあって野球もそう。いまロッテの監督してるサブローさんが来た時もおんなじだ。どっちものっけから無理って思うけどね。
「金融ビジネスなんて誰でもできます。才能なんか全くいらない。こんなのでエリートヅラこいてる業界でね、真面目しか取り柄ないから人間として面白くも何ともない」。よく言うよね、そういう自分は変な奴だと思われてたんだ。お客さん、ついて行けなくなったとみえ、一応のお世辞で逃げたもんだ。「いえいえ、そんなことない、難しいお仕事です」。主人はお世辞はわかってないけど本気でそう思ってるから引かない。「いやいやあなたも確実にできます、俺なんかね、音楽のついでに仕事してたみたいなもんですよ」。「まさかそれはないでしょう、だからそういうポストにつかれたんで」。主人はそれが不服とみえる。たしかに留学中に「東においては音楽がすべてに優先する」と格言になってたのはほんとうなんだ。勉強ほっぱらかしてチェロ習ってたなんてあそこの学生にゃびっくりだったからね。
「いいですか?クリエイティブな人間はみんな面白いんです。みんな変な奴です。真面目が取り柄の人の作品が面白いわけないでしょ?チャイコの4番、大いに結構。ジョン・レノンがクスリでさらにぶっ飛んでストロベリーフィールズフォーエバー。ベルリオーズも間違いなくやってましたね、でも、学者や評論家ってそんな事は口が裂けても言えないんです。僕はモーツァルトは女房を孕まされた裁判所の役人が怒って棒で頭を殴ったのが原因で死んだっていうイタリア人の説を信じてますよ。でも世界のモーツァルティアンなる敬虔な信者さんたちはそんな説は汚らわしいって抹殺しちゃう。だから人間臭さがきれいさっぱり洗い流されてね、ピュアが売り物のミネラルウォーターみたいなモーツァルトが世界中で流れてる。こうやって文化は破壊されていくんです」。まあこの人が文化の心配までしなくっていいんじゃないのと僕は思っちゃうんだけどね。
「うちの映画、観てください、ネトフリにあるんで」「なんてやつ?あぁそう知らないな」「ド派手じゃなくちょっと人間模様が深めなんで」「ああいいね、好みですよそういうの」「パラサイト観ましたか?」「韓国の?もちろんもちろん、面白かったね」「ああいう感じで」。お客さんのハリウッド人脈、半端じゃない、ビジネスが一緒にできそうかって、わからないけど「今日はお互いに素のままでどういう人間かわかったからよかった、うれしいですよありがとう。けっこう似たもの同士な気もしてます」。これはめったに言わない、お世辞ない人間だから。「そうですね」「今度アビイロードの楽器なんか見せてね、俺、あれとサージャントペッパーズは耳コピなんで。でもアビイロードのほうがちょっとだけ好きかなってとこで」。ここからビジネスをどうやって創るか、これが主人にとってのクリエイティブなんだろうね、僕はついてけないけどね。
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『黒猫フクの人生観』 (第十二話)
2026 MAR 23 22:22:04 pm by 東 賢太郎
僕が天国に来てから5ヶ月近くなったよ。ずいぶん慣れたし勉強もたくさんしちゃったよ。だってここには世界的に有名だった人がたくさんいるんだ。アインシュタインさんもホーキングさんもしばらくいたし、この前はポリーニさんとブレンデルさんのピアノリサイタルがあったんだ、すごいでしょ、主人が悔しがるだろうね。みんな昼間は大きなホールにきてお喋りしたり外に出たりしてくつろげるんだ。エレベーターで上にあがると100階まであってそこが魂さんたちの住居になってるんだよ。僕もそこにいるんだ。衣食住が足りて居心地いいから皆さんなかなか生まれかわらないらしくて、最近ちょっと天国の幹部の神様の間で問題になってる。でも、前世はすごく偉かった人たちが仕事しなくていいし、暇だからいつでも勉強や仕事のことを教えてくれるんで僕にとっては最高なんだ。なんかずっといたくなっちゃうね。
魂になると地球はいつでもどこでも自由に見れるんだ。ドラえもんより便利だよ、だってあそこが見たいって頭の中で考えるだけでその場面が出てくるから「どこでもドア」も要らないんだ。毎日主人を見てるんだけど高市さんがトランプに会ったのも見てたよ。うまくやったよね、女性からハグされて嬉しくないオスなんて猫界だっていないからね。主人はトランプ支持者ってことになってるけど人としてあまり好きなタイプじゃない。なぜ支持かというと、分かりやすい人間のタイプなので相場を張ってる主人には有利だからなんだ。悪党だったベネズエラの大統領には同情しないけど国民にはしててね、だからWBC世界一は感激してたよ。イランもね、大学の夏休みに1ヶ月アメリカに短期留学した時にイラン人の女の子がいたんだ。まだ片言だった英語で話したりして楽しかったんだね、だからイランは好きなんで彼女どこでどうしてるかなってちょっと悲しい思いしてたんじゃないかな。中国、韓国だって大好きだよ。どっちも仕事で行ってるし知り合いもたくさんいるし、嫌な思いした事は一度もないって言ってる。持ってる名刺のせいもあったと思うけどそういう日本人もあまりいないかもしれないね。逆にアメリカは2年いてお世話になったけど不愉快なことも山ほどあって、いい人もクソみたいのもいたって言ってたよ。
でもね政治は別なんだ。オバマが世界の警察やめますって言ってからNATOのヘタレがバレてロシアが動き出してね。トランプ支持のキリスト教福音派は終末論を信じる人たちでユダヤ人の国イスラエルのシンパだから中露がくっつくとトランプは都合悪いんだ。だって中は露の油買って元で払って油のドル決済システムを崩そうとしてる。露は元をドバイでドル転してるしイランは中露派だからね、だからペルシャ湾はキモイっていう背景もあるんだ。ベネちゃんを襲った口実はギャングと麻薬だけど本音は油を元で売ってたからさ。ドル覇権の保全だよ、だって金本位制やめてから油はゴールドの代わりなんだ、それが崩れればドルなんてただの紙っぺらでアメリカ合衆国もおしまいさ。イスラム教シーア派のイランとは宗教戦争だからイスラエルは全員殺すまでやる気満々でとてもややこしいけど、アメリカにとっては覇権戦争でもあるからもっと根深いよ。でもそれで長引くとアメリカ経済はインフレで破綻してトランプ人気はボロボロになるから本音じゃ早くやめたい。でもネタニエフに逆らえない、エプスタインで脅されてる、まあ色々あるけど怖いのは福音派さ。選挙落ちたら終わりだからね。普通の人なら気が狂うね、さすがのトランプだって死に物狂いだよ。
まあね、日本人としていい悪いはあるけど高市さんの登場はトランプにとって一服の清涼剤にはなってる。それをわざわざ悪い方にとって媚び外交とか批判してる連中の顔見ると、そんな芸当できっこない幸の薄い嫉妬女やもの悲しい無能男の「あぶり出し」大会だ。日本人の美徳である「恥」って感性ないのかね。外交は誇り高くやっても結果が出なきゃ何の意味もないんだよ。トランプは荒っぽい男だけどしっかり石破の無能につけこんで80兆円も金せしめたよね。アメリカ人がそれ下品だって批判してるか?逆にそれをちらつかせてコチョコチョくすぐってトランプうまくころがしてる高市姉さんが一枚上手っていう賞賛の声が韓国ですらあがってるし、天国じゃ姉さん大人気さ、だって老齢まで生きて人生の酸いも甘いも知り尽くしてるツワモノの魂さんがわんさかいるんだからねここには。
ところが、僕も仰天だ、ホワイトハウスでそれをぶちこわしてトランプに馬鹿丸出しの質問したあのアホ、あれはさすがに猫でも最下層のアホだ。主人はネットで見てそりゃあトランプもムッとするわなって激怒したんだ。テレ朝の記者だかなんだか知らねえけどよそんなもん、誰なんだあいつはってさ、凄い剣幕だ。
『なぜ事前に教えてくれなかったのか、私たち日本人は非常に困惑している』?ぜんぜんしてねえよ、おめえだけだよそんなのは。日本中が困惑したのはおめえのオツムのほうだよ。「ちょっとあの人最悪ね、みえみえで高市さんの足ひっぱってるじゃない」。怒ってる。女性は鋭い。でも主人の奥さんふだんは温厚なんだ。ほんとだね。主人があいずちをうった。戦争に死に物狂いのトランプが日本人の困惑なんて気にしてるわけねーだろ、そんなの世界どころか宇宙の常識なんだよ。そもそもスパイ防止法もない情報ダダ漏れの日本に「明日爆撃だ」なんて言うわけねーじゃんかアメリカの議会にすら言ってねえのに。ここまで壮大な馬鹿みたの50年ぶりだよ。歴史的だよ。総理大臣が横にいるのにアメリカ大統領の前で「私たち日本人」?記者の分際で何様なんだお前、いつから俺たち日本人の代表になったんだ言ってみろよ。そもそもこういう地頭の弱いやつをよりによって国運をかけた場に出すなよ。日本の転覆を図ってんのかよ。出したやつ誰だよ、テレビにツラさらせや覚えとくから。へたしたら日本の若者の命がかかってくるんだよ、責任取れや。お前ら同罪だオールドメディア。
おもいだしたよ、普段はやさしい主人はね、そういえば東映の任侠映画ファンだったんだ。かつてない激怒だこれ、くわばらくわばら。まあ僕は日本人じゃないけど日本猫だからさ、わかる気はしちゃうんだよね。
アレは不意打ちが成功したことにすべてがあるんだ。それで一気に乗りこんでディスコムボビュレーターぶっぱなすと護衛兵が目と鼻から血をふいてバタバタ死んだ。映画MATRIXの世界だね。それで世界の悪党の親玉がビビって次は俺かとおとなしくなって、核抑止力にもなってるんだ。だから日本にはありがたい。こんなの世界のインテリの常識だよ。だからロシアも中国も大っぴらにイランを助けないんだよ。じゃあトランプが世界の大王でいいかって、それは分からないさ、アメリカに特効薬打っただけだからね。でも福音派は真剣に救世主を待ち望んでるからね。トランプがそれってのはありだし、そのためにはトランプは実績で目にものを見せなくちゃいけないんだ。高市さんは核保有は許さねえってイランをぶっ叩いたトランプに「あなたしかできない」って言っちゃったからね、とすると日本にそれ許しちゃう理屈が立たないねしばらくは。何兆円かけてもいいから原潜2隻ぐらい欲しかったけど、それよりも訪中の前にうたなきゃいけない手はうったってことだね。ならばこれで十分。大成功だよ。クソくだらない参議院の質問で睡眠時間削られちゃったのかな、主人は参議院なんか丸ごといらないって言ってるけどね、僕もそう思ったよ。とにかくお体にはくれぐれも気をつけてご活躍ください、猫ながら健康を祈念しております。
高市首相とトランプ大統領の首脳会談を全体として「評価する」は69%で、「評価しない」の19%を大きく上回った。高市内閣の支持率は71%(前回2月18〜19日調査73%)で高い水準を維持した。不支持率は20%(同17%)。これをストレートに報じた読売新聞は、まあ、朝日よりまともだね。
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『黒猫フクの人生観』 (第十一話)
2026 FEB 20 23:23:27 pm by 東 賢太郎
地球じゃあ第2次高市内閣が始まったね。支持率6ポイントも上がって73%って、政治の金メダルもんだ。そうそう、ミラノじゃ日本のメダルが過去最高の24個になったってね。国会とオリンピックで “ニッポン” がアゲアゲだって天国の猫界じゃ評判だよ。そういえば日の丸に✖するのも人権だみたいな大分のおっちゃん、誰だっけ名前も忘れちゃったけど残念でした、今ごろきっと悔しがってるだろうね。「私が新党を立ち上げるなんて言われてますが、そんなことはありません!」ってさ、誰も知らねえってのそんなもん。
主人といえばこのまえ仲間で食事してね、「高市推しなんですね」「うん、自民推しじゃないけどね」ってあっさりしたもんさ。だってブログであんなに自民ボロカスだったんだからちょっと意外感はあったみたいだね。でも僕は知ってるんだ。こっそり教えちゃうけどね、高市さんが普通の家の子だから応援してるのさ。主人は自分も奥さんもそうだし球界の盟主巨人みたいなのはへどが出るくらい嫌いでクソくらえだし、家の猫までぜんぶノラ出身っていう徹底ぶりなんだ。だから世襲の安倍も麻生も岸田も石破もぜんぶのっけからボロカスでね、高市さんは自民党っていうドブ臭い泥沼に咲いた蓮の花みたいに見えてるんだ。まあ気持ちわからんでもないけどさ、猫より単細胞だよね。
でもビジネスマンだからね、それだけじゃないよ。株さ。「別に野党が政権取ったって構わないけど、あいつら誰ひとり株のカの字もわかってねえ」ってね、野田が総理なんかなったら大暴落、 一気に2万円も下がるから俺は株は全部売るってあちこちで言ってたんだ。民主党政権だったとき日経平均は歴史的低空飛行の8000円だからね。そうそう中道の小川新代表さんね、驚いちゃうね、日本国の理想はスウェーデンだってよ。移民入れたら強姦が世界第2位になっちゃって、 500万円あげますからクニにお帰りくださいってお願いしてる程度の国だよ。何が悲しくて日本がそんな国にならなきゃいけないの?頭大丈夫かね。わかるでしょこの世界常識との天文学的なズレ。だから解散来てビビって公明に頭から食われちゃってさ、準備不足どころか真面目に政権取ろうなんて思ってないからね、「大義がないぞ作戦」でオールドメディアに大騒ぎさせてるうちに自滅して「SNSにデマが」って負け犬の遠吠えだ。じゃあ君たちもSNSにお家芸のデマ流せばよかったじゃないか。なぜできないかって?ほんとにデマだからさ。オールドメディアはいまだに高市内閣のピンボケ映像を流して下げ下げ運動やってるけどさ、やればやるほど支持率上がるって帽子から鳩が出るマジックショーより楽しめるよね。まあそのうち「トーストを落とすとバターを塗った面が下になる」ってマーフィーの法則の事例集に採用されて末永くバカにされるだろうね。
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『黒猫フクの人生観』 (第九話)
2026 FEB 6 2:02:43 am by 東 賢太郎
犬猿の仲とはいうけれど、犬と熊もダメだったよ。犬熊改革連合なんてノダイコが与作の計略にはめられてできたインチキだからね、後援してた「野鳥の会」まで「野合の会だ!」って罵倒する始末さ。かわいそうに犬党の議員は落選しまくって非難ごうごうなんだ。でも猫党にも問題はあってね、サツキ、ハルコ、キミ、タカコはいいけどね、サナエ人気の恩恵で腹黒猫も議員に残っちゃう。こいつら下手すると裏かいて与作になびきかねないから油断ならないんだ。
与作に対抗できるのはシロクマのトラゾーだけさ。こいつは天国議会や天国法なんてなめきって完全無視だから選挙なんか出ない。でもこれにケンカで勝てる奴はいないんだ。ついこの前も気に食わないアナグマをいきなり襲ってぼこぼこにしてね、天国中に激震が走ったばかりなんだよ。猫党だってもしもトラゾーに見捨てられたら危ないさ、ヒグマが虎視眈々だからね。でもサナエはトラゾーをうまくあしらってるから大丈夫だよ。ここが大事でね、前任のネバゲルはのっけから馬鹿にされてまるっきし相手にされなかったんだ。だからノダイコが選挙に勝っちゃたりしたら猫には地獄だって心配したんだ。ところがノダイコ君、ボロ負けが見えてくると「ぼく産まれたての赤ちゃんなんです、育ててくださいバブバブ」なんて突然に言いだしてね、「何なんコイツ?」ってこれまた天国中に激震が走ったんだよ。
皆さんわかると思うけど、財政拡大派のサナエなら天国の株は上がるんだよ。僕は主人の仕事を見てたからさ、投資はちょっとうるさいんだ。ノダイコは食品の消費税ゼロにします、その分は天国ファンドで稼いで埋め合わせますなんていい加減なこと言ってるんだ。犬熊改革連合の連中に株式市場がわかる奴なんてひとりもいない。わからないならわからないでやめときゃいいのに、国民はもっとわかってないからダマせると馬鹿にしてるんだろうね。もう壮絶にあたま悪いとしか言いようがないね。キミが勝ったら間違いなく株は大暴落なんだよ。2万円も下がるよ。だから天国ファンドも大損でキミは責任取らされてクビなんだよ。はじめっから詰んでたんだ、どっちにしろドボンだったってわけさ。
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『黒猫フクの人生観』 (第八話)
2026 FEB 1 23:23:39 pm by 東 賢太郎
天国の選挙は大変なことになってるよ。犬党とヒグマ党が合併して犬熊改革連合になったまではよかったんだ。どうせこの急場の選挙を乗り切るだけの箱だしさ、代表も幹事長も選対委員長も全部2人ずつだからね、終わったらすぐ別れられるようにってのが見え見えだ。ヒグマ党は全員が比例代表の1位2位を独占してね、やる前からこっそり祝杯あげてたんだ。ところが始まってみると犬党が計算外のボロボロでね、「くそ、ヒグマにだまされた」「俺たち犬は踏み台だったんだ」「相談もなく勝手に合併しやがって」「そうだそうだ、上だけがいい思いしてふざけんな!」「いやいやその上も落選しそうだってウワサだぞ」と若手党員の怒号が飛び交ったんだ。
こうなると比例も安泰じゃないからヒグマの尻に火がついてきたんだよ。そこで焦った代表の与作が探したスキャンダルのネタがあの「大宇宙統一平和大教会」さ。皆さんこの名前覚えてるよね、 4年前の某重大事件に関わっていてつい最近その判決も出たしね、長らく猫党とズブズブの関係にあったのは事実だから党首サナエのイメージを悪くするには格好のネタと思ったんだろうね。ところがサナエは勉強熱心で飲み会も行かないクリーンな猫なんだ。ヒグマ党お得意のマネトラもハニトラもきかないからこれしかなかったんだね、「サナエは大宇宙統一平和大教会からワイロもらってるぞ!」って大騒ぎしたんだけど出てきたのはパー券4万円だけさ。なんのこっちゃで終わっちまったんだ。
すると今度は、犬党の党首ノダイコに強烈なブーメランが見舞われた。おんなじ大宇宙統一平和大教会に後援会やってもらってる写真が出てきちまったんだ。ノダイコは得意技のおとぼけで「覚えてない」作戦を展開したんだけどね、教会が「巨人の星」の替え歌で気合入れて作ってくれた「応援歌」まで見つかってズブズブがバレちゃったんだ。「おい、歌まで歌って覚えてないはずねえだろ、このウソつき野郎!」っていま天国中がブーイングの嵐さ。まあ僕は応援してもらったぐらいなら問題ないと思うんだよ。でもね、自分が道の真ん中にウンチしといてさ、誰だ!って犯人捜しになると「俺じゃない」どころか「お前だろ、お前がしてたのを俺は見たぞ」っておおウソついて他人に責任をなすりつける奴って、なんなのこいつ?どう考えても何やっても信用されないと思うんだよね、人どころか猫でも犬でもね。与作が党員に大号令を発して「犬党様の議員に票を回せ」って命じたらしいけど、犬党はトップがこんなやつじゃね、下っ端はもっとウソつきだろうってなっちゃうよね。真面目でまっすぐで信心深いので有名なヒグマ党員が真剣にやればやるほど自分もウソつきの仲間だってことになるからね、良心の問題になると思うけどね。
そうそう、ついこの前のことだけど、野球大会が終わったら阿弥陀様に呼ばれてね、天国動物小学校の先生もやってくれって言われたんだよ。前世が猫だった僕がすぐに人間の言葉を覚えて読み書きできるようになっちゃったんで、自分も勉強して人間になりたいっていう希望者が増えてるらしいんだ。でも人間は昔から人気だからすごく競争率が高いんだ。そこで入学試験をやってみたんだよね、僕が問題作ってさ。それがこれだよ。
①水素と酸素を混ぜると何ができますか? (答)水です
②ダメ政党とダメ政党を混ぜると何ができますか?(答)ダメ政党です
これが皆さん分からないんだよね、なんで①と②の答えが違うんですかって。そこでこれを解いてもらったんだ。
③ウンチとウンチを混ぜると何ができますか? (答)ウンチです
よかった、全員が納得してくれたよ。
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『黒猫フクの人生観』 (第七話)
2026 JAN 24 15:15:46 pm by 東 賢太郎
このところヒグマの横暴が目に余るようになってきたんだ、困ったもんだよ。僕ら猫族の餌場の山を狙ってることは前に書いたけど、もう完全に傍若無人で真っ昼間から平気で侵入してきてるよ。あいつら体がでっかいし数もどんどん増えちゃったから反撃できなくてさ、悔しいけどボスのゴンベエが「遺憾である」をオウムみたいに繰り返すだけなんだ。みっともないね。もう一大勢力だ、あんまり猛獣がいるってイメージのない日本にこんな奴がいたのかって他の動物たちも驚いてるよ。だから神様の号令で動物が全員集合する時にざわざわするんだ。今まで真ん中に座ってたのはシロクマなんだけど、だんだんヒグマが真ん中あたりに陣取るようになってきたんだ。天国じゃまだ新参者だしね、いつもドーンと真ん中にすわって周囲を睨みまわし「どっからでもかかってこい」とマウントを取りたがってるんだろってウワサだよ。
「与作が悪巧みしてるから気をつけろ」ってシロクマのトラゾーにうそぶいて戦争させるのが僕の作戦だったことは覚えてるかな。「そうなったら後方からちゃんとシロクマ軍を支援するからね」って言いながら大事な猫の山を守るのさ。チャンスじゃないか。与作の傍若無人に磨きをかけてやろう、そうすればもっとトラゾーに圧がかかって何かが起きるさ。なんだってかまわないよ、「フクが警告したのはこれだったのか」と思わせてヒグマに逆襲させれば作戦成功なんだからね。そこでまず、与作にこう言っておだて上げることにした。「こんど天国野球トーナメントがあるよね。君がセンターを守って真ん中で睨みをきかしてくれたら勝てると思うんだけどなあ」「おう、あったりめえよ。俺様はいつだってどこだって居場所はど真ん中って決まってるんだ。それがボス熊だったオヤジに骨の髄まで叩き込まれた家訓でな、『真ん中道』っていうんだ、お前も覚えとけよ。だから野球だったら守るところはセンター以外にあるはずねえだろ」「そう思ってたよ。じゃあ監督の阿弥陀様にそう伝えておくよ」。しめしめ単純なやつだ。センターってポジションはトラゾーが不動のレギュラーなのをまだ知らないんだな。見ててごらん、メンバー表を見た瞬間に男のプライドをかけた血みどろの戦いが始まるよ。そうそう、なんで僕が監督にそんな影響力があるかって言ってなかったね。僕だって来たのは去年の11月で新参者だし体も小さいんだけど、猫パンチで鍛えたスナップが強かったんだね、いきなりピッチャーに抜擢されちゃってチームではちょっとした発言力があるってわけなんだよ。
ところが先日のことだ、予想もしない事件が勃発しちまったんだ。試合の当日、先発メンバー表を見てひっくり返ったよ。与作のポジションが「レフト」だったんだ。それもカタカナじゃなくて漢字で「左翼」ってでっかく書いてある。「おい、フク、てめー、なんのザマだこれは!」、与作がガオーって大爆発してダッグアウトで暴れまくり、冷蔵庫をぶっ倒したあげくベンチを叩き割ったからあたりが凍りついたんだ。びっくりして監督室にとんで行くとトラゾーが座って笑ってるじゃないか。「トラゾーさん大変だ!与作がなんでセンターじゃないんだって怒りまくってるよ、僕ね、監督にお願いするって約束しちゃったんだ、どうしよう」「フク、あわてることはねえ。与作の野郎が俺たちを襲撃する秘密作戦を練ってるぞってお前が教えてくれたんでな、俺はすぐに手を打ったんだ。子分のマル子とノビ夫をスパイに仕立ててヒグマ村に送り込んでね、バレねえように墨を塗ったくって毛を真っ黒にしてな、わっはっは。そうしたらな、とんでもない情報が飛び込んできたんだ」。ここで監督の阿弥陀様が静かに口を開いた。神様だからいつでもどこでもいたって冷静だ。「そうだ。 スパイの2人が怪しいって言うんでね、公安委員会に調べさせた。そうしたら奴らが悪だくみをして政権を転覆する革命を起こそうとしてる証拠が出てきたんだよ」。うひゃあ、なんだか007みたいになってきちゃったぞ。トラゾーがドスのきいた低い声でつぶやいた。「わかったかフク?与作が騒いだのはセンターはずされたからなんかじゃない、『左翼』って書いてあったからなんだ。わかるか?あの野郎、それ見て、何で計画がバレたんだ!って勘違いして正体あらわしちまったんだよ」。
まいったよ、僕はそんなつもりじゃなかったんだ。これから試合が始まるっていうのに与作はまだ怒りが収まらず、ぶるぶる体をふるわしてロッカーで吠えまくってる。「俺が左翼でトラゾーが中堅?ふざけんじゃねえ、俺はいっつも世界の真ん中だ、俺以外の奴がそこにいるなんて許せねえ。大王だからな、天がそう決めてるんだ、ここの神様なんかより上なんだぞ。センターは俺しかいねえ。だから俺の左っ側を守るトラゾーはライトだろ。ライトってのは日本語で右翼じゃねえか右翼。あいつの下品なつらにぴったりだぜ。ちがうかフク?」。やばい。とにかく何でもいいから相槌を打って急場しのぎしないと噛みつかれそうだ。「そうだよね、左翼は革命思想で危ないけど右翼だって戦争しちゃうから危ないよね」。「おお、フク、お前いいこと言うな、ちゃんとわかってるじゃねえか」。これではっきりした。ヒグマどもはやっぱり動物界の政権転覆を狙ってたんだ。
阿弥陀様の話には驚いたよ。公安の調査力ってすごいんだね。スパイ防止法ってのが大事だってことがよく分かったよ。天国の動物国会は猫党と犬党の二大政党制なんだけど、与作はヒグマ党を作って次の選挙に全員当選させようとハッキング、盗聴、なりすまし、裏金、賄賂、マネトラ、ハニトラ、恐喝、もう何でもアリで地下工作していたっていうんだ。猫と犬はペットで頭数が圧倒的だから仏様の数も多いよね。ここ数年、地球は猫ブームになってその影響がもろに出てきてね、天国でも犬は頭数で差をつけられて焦ってるんだ。しかも僕ら猫族は議会にケンカの強いライオン、トラ、ヒョウ、チーターなんかを送り込んでる。なぜかって言うと議論が紛糾して決まらないときは議長席の周りで乱闘になって相手を噛み殺しちゃったりするのもありなんだ。だから犬族も張り合ってオオカミ、キツネ、タヌキ、ハイエナを送ってるけどさ、まあ誰が見ても力の差は歴然なんだよね。だから最近は予算審議も法案成立も猫族が連戦連勝でさ、追い込まれた犬族にとって次の総選挙は存続をかけた天下分け目の戦いになるんだ。そこで与作は犬党の幹部にそっと近寄ってね、なんと合併を持ちかけたんだよ。アホづらしてるけど実は抜け目ない奴だったんだね。それにしても犬族の幹部が腑抜けでね、あいつらには恥って言葉というか概念そのものがないんだろうね、ヒグマと組めばライオンとも戦えるぞとコロッとその気になっちまったわけだ。
合併の条件を見た犬党の若手の怒りも凄まじいよ、だって圧倒的に数が少ないヒグマはなんと比例代表枠だけの立候補なんだ。しかも全員が名簿の1位2位でね、犬たちは今までどおり小選挙区で泥臭くドブ板ふんで戦えっていうんだ。これはひどいね、だってヒグマは全員が投票前から当選確実だよ、入試ならひとり残らず推薦入学もらったみたいなもんだ。つまりこの合併って大量の「犬死に」が前提なんだ。でもヒグマなしじゃもっと負ける、それどころか自分の身も危ないって幹部は誘惑に負けちまったんだ。犬党の公約は全部変えます、育ててもらった主人の家が神道だろうが浄土真宗大谷派だろうがクリスチャンだろうが、ぜーんぶ今日からヒグマ教に変えます、お経でも何でも唱えます。すごいでしょ?地球では犬と熊は相性が悪いし、訓練した猟犬でもないと犬は食われちまうから敵だよね。でもここは天国だ。地球上では絶対にありえないことが起きちまうんだ。僕たち猫族だって明日は我が身かもしれないし若い犬たちにはけっこう同情してるんだ。こんな状態に追い込まれたのは無能な幹部どもの責任だからね、もし負けたら全員が公開処刑だろうって、天国じゃもっぱらの噂だよ。
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