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コップに水がまだ半分?-ロシアをどう見るか-

2014 DEC 18 0:00:36 am by 東 賢太郎

コップに半分の水を「もう半分しかない」と見るか「まだ半分もある」と見るか。人の性格が出ます。

以前書いたVIX指数(恐怖指数)が12月頭に12ぐらいだったのが今日(17日)には23まで急騰です。何に脅えてるか?もちろんロシア情勢です。

ムーディーズのレポートによるとロシアはGDPの4分の1をエネルギー産業に依存しています。原油価格が1バレル=60ドルを割り込んでいるなかで国や企業の負債返済能力に危機感が出ており、ロシア中央銀行は16日に16年で最大規模の利上げを実施して政策金利を10.5%から17%に引き上げましたが通貨安に歯止がかかりません。ルーブルは年初来対ドルで52%下落しています。

1998年にほんの数日で通貨が崩壊し、短期国債のデフォルト(債務不履行)宣言に追い込まれたロシア危機では米国のヘッジファンドLTCMが経営破綻して清算されました。LTCMはオプションの価格モデルでノーベル経済学賞を受賞したマイロン・ショールズが経営陣に加わっており、ロシア国債のデフォルト確率は100万年に3回だと計算していました。コップに「水がまだ半分もある」と見誤ったわけで、この倒産劇は世界の金融マンを震撼させたのです。

「100万年に3回のことだって起きることがある」と見るか、「だったら今回は100万年に2回の確率だ」と見るか。

エネルギー専門の米著名エコノミストは15日、原油の国際価格は来年末までに、1バレル=40ドルに下落する可能性があると指摘しているそうです。もしそうなら今からさらに30%下落する。そうなると100万年に2回目が起きるかもしれない。でも今回は外貨準備高が4000億ドルはあり、そこが違う。

皆さんはどっちだと思いますか?

国債が支払えなくても国が潰れるとは限りません。現に今もロシアはあるのです。ということはルーブルにしても株式にしても、どこかで下げ止まるのです(国が潰れたって会社は存続できます)。だからゼロにはならないしどこかで底を打ちます。それがいくらか、いつなのか?誰もわかりません。だから素人の方が的中する可能性だってあります。僕もそのひとりの「まだ半分」派です。底値で買えば?かなりのリターンは取れるような気がします。

原油価格の下落は日米など消費国の経済にはプラスです。日経にありますが円相場118円、ドバイ原油がバレル65ドルだと名目GDPを1.8%押し上げる効果があり、8%への消費増税によるマイナスを相殺できるそうです。産油国は入るお金が減りますがほとんどが途上国であるそちらに入るより日米に入った方が申しわけないけど世界経済にプラスの増幅効果は大きいでしょう。だいたい相場が下げたり荒れたりするとプレスはそれ見たことかと大騒ぎする傾向があります。上げてもおとなしいのに。そういう習性は冷静に大所からご覧になるのが得策です。

ETFをご存じでしょうか。為替や金や株価指数などに連動する上場投資信託です。ネット証券で100株単位で1万円以下で買えるものもあります。株は金持ちしか買えないというのは真っ赤な嘘、学生がバイトしてでも買えますしその気になるかならないかだけです。投資回収率を考えれば、僕なら年末ジャンボ宝くじを買うお金があるならETFを買います。大外れの最悪シナリオでロシア発世界大恐慌になったってゼロにはなりませんからね。新年の運だめしにいいかもしれません。

 

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