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日本人はなんのために生きてるのか?

2018 MAR 12 2:02:15 am by 東 賢太郎

アメリカ西海岸、ウエストコーストっていうのはゴールドラッシュで一攫千金を夢見た人たちが東からなだれをうってやって来た所だ。大学なんてなくって、息子が早逝した富豪が西のハーバードにすると作ったのがスタンフォード大学だ。ハーバードの門には「Enter To Grow in Wisdom」と校訓が彫ってあって、あそこで見た瞬間に電気が走ったように気に入った。ところがスタンフォードの校訓が「Die Luft der Freiheit weht(独:自由の風が吹く)」であって、これまたいいのである。だからここにシリコンバレーができたんだと納得だ。

ゴールドマイナーたちは幌馬車で来たとはいえ東海岸から飛行機で4時間もかかる距離だ。ギャングに襲われるわ砂漠で餓死するわ、女房子供を連れて命がけだった。運よく無事に着いたって金鉱が見つかる保証なんてあるわけない。みんなリスクテーカーなんだ。その一攫千金の精神が、いまやシリコンバレーの世界最先端技術開発にDNAとして受け継がれていると僕は思う。テスラのイーロン・マスクCEOはペンシルバニア大学ウォートンスクール卒だからトランプの後輩だが、テスラ Roadsterを乗せたロケット上段のエンジン点火が正常に成功しバン・アレン帯を抜けるまで5時間ほど飛行したのち、火星に向け最後の軌道修正を行うとツイートした。自動車屋でこんなことを考えるのは彼が通った(中退した)スタンフォードの「Luft der Freiheit」そのものだ。

昨日までそのウエストコーストにいた。自分の身は自分で守らんといかんよね、日本国もそうしないとねなんてディナーでゴールドマイナーの話をしながら「銃持ってる?」ってきいたら、周囲にいた5人に2人がイエスだった。30丁持ってるぜなんて奴もいた。その割に彼はあっけなく道でホールドアップされて新聞に載った。持ってれば安全っていうこともない。「銃なんて18から買えるよ。親が持ってりゃ16から撃てるぜ。」「店行きゃ誰でも実弾射撃オーケー、女子高生が気晴らしにキャーキャー撃ってたりね」「でも民家があると1キロ以内じゃ撃てないし規制はあるよ、犬猫は法律で禁止だよ、撃っちゃいけない、人はいいんだけどね(爆笑)」

「学校で銃乱射?日本じゃあり得ないよ、18を21才にすりゃいいってもんじゃないだろ?」「そうさ、だから先生に銃もたせろってな」「トランプね、あれ正気なの?」「だって全員が所持禁止にならないと危ないだろ、持ってる人は放棄なんかするわけないさ」「そりゃアメリカじゃ無理だぜ」「だからしょうがないよ」「でもアメリカの先生の給料って安いんだよ、5万ドルぐらいだ」「だから学校で持てっていうことだろう」「日本なら警察は何してるって大さわぎだ」「そこが違うね、警察なんか頼れない、何人お巡りさん増やしても気違いは必ず出てくるっていう発想なんだ」

「今朝CNN見てたらリトル・ロケットマンとの会談をトランプが受けたってな、全米でトップニュースになってたね」「核搭載ICBMがアメリカに届くかどうかって、そりゃ議会で大問題だ、選挙あるしな」「あいつは賢いよ、持つ物持てば勝ちって割り切りがね」「平昌で時間稼いでゴールに行った可能性ないか」「余裕の強気?」「かもしれない、頭を越されてしまったとすると日本は極めてやばい。半島にアメリカが認めた大朝鮮国ができるかもしれない。経済力は日本の8割の核保有国だ。」

「国難だな。日本では大騒ぎだろ」「いや、ネット見るとどうも大騒ぎはモリトモだ」「なんだそれは?」「どうもそれで人が亡くなったらしい」「ギャングに撃たれたか?」「銃を持ってなかったのか?」「自殺?」「なんでだ?責任ってなんの責任だ?」「というと彼はザイムショーのトップか?」「違う?なんで下が死ぬんだ?」「スパイだったのか?」「日本もロシアみたいに国が消すのか?」「えっ、違う?ソンタク?」「なんだそれは?」「新種の毒ガスか?」(そんな英語は存在しないので説明に苦慮)「なんだそんなもん」「国難だろ、そんなことやってる場合なのか?」

アメリカで物欲、金銭欲を否定したら変人だ。そうじゃなきゃキミは何のために生きているのか?と問われることになる。いい生活をしていい人生を送りたい。人として生まれて当たり前だろ。それには物もカネもいる。困ったら政府がお金くれるの?あるわけないさ、それが自由主義の世の中だろ。襲われるなら先に撃て。生きるために当然だろ。襲う人のいない世の中にしましょうよ?そんなの町内会で言ってもアホ扱いだ。いつからキミは世界政府の頭領になったんだって。

アメリカへ来ると僕は必ずハンバーガーだ。留学のとき月給が400ドルしかなくって家内とひもじい思いをした。あれが染みついてる。二人で5ドルぐらいかかるマックなんか高根の花で、勇気出して店に入ってもいつも一番安いプレーンの肉だけのハンバーガーだった。隣にビッグマック注文してる奴がいるとくやしくて、いつかあれを毎日食うぞと心に誓った。物欲って、こういうものだ。シンプルに人間の向上心と関わってるから悪いもんじゃない。だから僕はいまも500gのヒレステーキなんか興味なくって、昨日もお昼はショッピングモールの12ドルのハンバーガーだ。相棒が教えてくれた。「京セラの稲森さんもそうだ、昼はそれで吉野家なんだ。さすがに店が恐縮して秘書に金のどんぶりを持たしてくれたらしいけどな」。

アメリカってなんてわかりやすいんだろう。私は物作りだけで満足です、お金はいりませんなんて嘘つかなくっていいし、ソンタクもないし、誰だってプレーンよりビッグマック食いたいわけだ。そういう当たり前のことを隠したりあきらめたりして生きる人生って何だろう。物作りに人生かけて邁進したら会社は台湾人に食われましたって洒落にもならない。そんなに長いものに巻かれたいですか、長いものとともに滅びたいですか?英語に刻苦勉励、臥薪嘗胆、精進、邁進なんて単語はないが、説明したら「悪いけど奴隷を作るためのいいスローガンだね」と言われた。冒頭からの稚気あふれる会話の相手は米国人経営者たち、みんなPhD(博士号)、MBA(経営学修士)の皆さんである。日本人の若い皆さん、もうアメリカに学ぶことはないなんてバブル親父の大嘘だよ、どんどんアメリカに行って学びなさい、刺激を受けなさい。

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Categories:______海外出張記, 若者に教えたいこと

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