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右脳型と左脳型

2014 JAN 12 10:10:32 am by 東 賢太郎

音楽を聴くのは右脳、言葉をきくのは左脳だそうだ。西洋人は虫の声は左、日本人は右という説もある。本当だろうか?僕はTVニュースを見ていて後ろで雑音がすると言葉が理解できなくなる。それが虫でもたぶん同じだ。音楽を聴いていて話しかけられると曲がわからなくなる。通説と矛盾している。しかしパターン、イメージ、空間把握が右というのは本当のようだ。

現在、僕は5つのプロジェクトの卵をもっている。どれが孵化するかしないかすらまだ不明である。孵化するとして、どれをいつどのぐらいどういう風にやっていくか、毎日頭の中で無意識にシミュレーションを繰り返している。確定的なことはないから考えても結論はないのだが、AとBを組み合わせたらどうかなどのアイデアが不意に浮かぶことがあって、過去にそうやって思いもよらぬ発展を見たことが何度もある。

そういうアイデアというのは、朝起きる前に布団の中で出ることが多い。まだ起きていないのだから右脳からだろう。僕は自分は生まれつきかなり「右脳型人間」だと思っている。母親がそうだからだ。左脳は受験勉強や留学でトレーニングしただけであって、右脳の支配下にある。数学は左脳といわれるが、右脳が速く行ける解法をパッと見つけて左脳に解かせていたのが僕のパターンだ。

今日は「創発人材をさがせ」(日経新聞出版社)という本を読んだ。著者は元キャノン材料技術研究所長の村井啓一氏である。創発人材とはイノベーターのことであり、管理型社会では出世しないはぐれ者になっていることも多い。80年の全日本製造業では100万円の研究開発費を投じると500万円の営業利益が生まれたが04年にはそれが100万円に減っていて、日本企業のイノベーションを作り出す能力が落ちているという。

それはソニー神話の崩壊に象徴されている。米国式効率経営が主流になり管理者型、サラリーマン型の経営者が増えると、彼らには理解も制御もできないタイプの人間であるが神話を作ってきた中核である創発人材を殺してしまう。イノベーター型社員がいなければ会社のイノベーション能力が落ちるのは自明のことだ。管理者型経営者は学校秀才型、つまり左脳支配型の人である。

東大という大学はオールラウンドの左脳型秀才の集まりであり、スペシャリスト的右脳型天才は入れないからほとんどいない。しかし創発人材、すなわちイノベーター型は後者の人たちである。だから左脳型東大卒が管理者として牛耳る会社はイノベーターがはぐれ者になってしまうのだ。重厚長大企業だけの現象ならまだよかったが、最近は欧米型マネジメントかぶれが増えて普通の会社までその傾向にある。その結果が上記の数字だろう。

つまり東大卒と米国かぶれのMBA取得者のようなタイプが日本の成長力のガンなのだ。著者によると、創発人材は「直感的に実現できる可能性のあることに対してはホラまで吹いてしまうこともある」「管理的な考え方やルーティーンを好まない」という特徴があるそうだ。ホラというのは左脳型が右脳型を見た場合の印象で、右脳型はそれなりの確信がある。ただ未だ確定的なことはないから左脳にはホラにしか見えないということだと思う。

パターン、イメージ、空間把握が不得手な左脳はそれをまず得意な右脳に任せるべきなのであり、右脳が解法を見つけて指示したら左脳がそれに添って効率的に解いていくのがベストのチームプレーなのである。僕の左は長年のトラックレコードから、右を信頼しているのでその声をホラとは思っていない。僕は5つのプロジェクトの進行方法を躊躇なくそうやって意思決定するつもりである。

 

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Categories:______経済書, 徒然に, 読書録

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