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緒方の負け犬采配

2015 MAY 25 12:12:54 pm by 東 賢太郎

いよいよ交流戦である。これが僕の順位予想だ。

①ソフトバンク②広島③日ハム④巨人⑤DeNA⑥中日⑦西武⑧ヤクルト⑨ロッテ⑩オリックス⑪楽天⑫阪神

大体順当なところではないか。えっ、2位がセリーグ最下位の広島って、いくら君がカープびいきだからってそこだけはおかしくないか?それって開幕前の黒田フィーバーの頃の勘違いひきずってない?

いやそんなことはない、実はこれは昨日現在の12球団の得失点差(総得点-総失点)の順位だからだ。

パリーグの方は①日ハム(+24)②ソフト(+32)③西武(+2)④ロッテ(-8)⑤楽天(-34)⑥オリックス(-16)と理にかなっている。ところがセリーグは①DeNA(+10)②巨人(+15)③中日(+10)④ヤクルト(-1)⑤阪神(-59)⑥広島(+25)と理の通らないことが起きている。

+25の広島が仮に4,5位であっても不思議だが、12球団ダントツでビリの-59である阪神のそのまた下に12球団2位の球団がいるというのは不可解を通りこして奇怪である。

1点差ゲームに弱く、大勝ゲームでよく打つ、これを野村克也氏は「弱いチームの特色」とする。たくさんある僅差試合はことごとく落としておいて、たまにある大差試合は敗戦処理投手を打ちまくって大勝。だから得失点差は貯金となるが、勝ち星は少ない。野村理論がそれで順位は決まらないよといっているのは一理ある。

それでもパリーグは順位がほぼ数字どおりというのは、オリックスを含めて「弱いチーム」がないということだ。そして、12球団で唯一、広島だけが数字通りでない妙な位置にいるのは、野村理論に合致してダントツに弱いということなのである。

投手が1点に抑えると完封負け。そしてシアホルツが打ち、お待ちかねのエルドレッドが2ホーマーの昨日は得意の1点差負けゲームに9-8という新パターンが加わった。つまり、打てないのでも守れないのでもなく「勝負弱い」のである。そして勝負弱さを統計値(いわゆるデータ)だけ見て分析するのは困難である。

野球の統計値というのは確率で示されることになっている。打率3割とは100回打ったら30回安打だったということだ。しかしここで頼んだぞという次の打席でその30回がやってくるかどうかはわからない。防御率1.0とは9イニング投げると1点とられたということだ。しかし一打サヨナラのピンチで打たれないかどうかはわからない。

つまり、勝負の世界においては確率は「過去はそうだったね」という記念写真のアルバムみたいなものにすぎない。次を保証などしない。「丁か半か?よし、半に賭けよう。確率は50%もあるぞ。イチローの打率より上だ。」その通り。だが賭け金は50%の確率で消えるからそれを丁半博打(ちょうはんばくち)という。

確率が意味を持つのはサンプル数が多い時だけだ。1試合に打者が100回打てるなら打率は勝敗にもっと意味があるだろう(これを確率論で「大数の法則」という)。確率には誤差(ゆがみ)があるが試行回数が多ければそれが出にくくなる。しかし次に安打が出るかどうかはたった1回のサンプリングだ。誤差は消しようがない。

つまり、そこで半が出るかどうか。1%の確率でも、それが出れば勝ち。勝負事というのはすべてそうである。「いつ出るの?今でしょ!」なのであって、「ここ一発」に弱い人は必ず負ける。過去の成功率の記念アルバムは何も生まないという法則がどんな確率論より有意に当てはまるのがプロの勝負の世界だと定義してもいいほどだ。

広島の統計値(確率)を見てみよう。

チーム打率.258、防御率2.83は、セリーグ首位DeNAの.260、3.18、パリーグ首位の日ハムの.251、3.35と遜色ないどころかむしろ上である。結果を知らない人が.226、3.87の確率だけを見て阪神が5位なのを推定するのは困難とは思えないが、広島の最下位を見抜ける人はほぼ皆無だろう。

阪神球団につける薬は簡単だ。「もっと打ちなさい、もっと守りなさい」しかない。では広島は?わからない。人間ドックでどの数値も異常なし、「むしろ普通より健康ですよ」なんていわれてしまう。ところが症状は病気だ。これを例えるなら自律神経失調症を疑うべきではないかお医者さんの意見をうかがってみたい。そうであるなら脳と神経系統の問題ということになる。

「今でしょ!」の弱さ。これを選手のせいとするなら、野球はすべてが選手のせいだ。それなら試合に出ないベンチは不要だ。勝てない時こそチームの脳と神経系統である監督とコーチ陣のやるべき仕事が存在する。まして確率どおりに事が行っていない今はそうだ。そして、その唯一の仕事ができないとなれば、ベンチは無能でリストラすべきというのが合理的な結論になろう。

9回のレフトのエルドレッドの守備固め。「前進守備を敷いていたし、代えた選手が捕れていたかどうかは結果論になってしまう」(緒方監督)。野間や中東に代えても捕れないほど前進守備を敷くなら何故山田を敬遠して逆転の走者を出したのか意味不明だ。そんなリスクを取っておいて、逆転という最悪の事態が発生して、そのリスクをヘッジすべく残したエルドレッドに打席は回らなかった。

1点勝っているのにこういうことをするのは世の中では逃げ腰、負け犬根性と呼ぶのであってリスクヘッジとは呼ばないことを彼は学ぶべきだ。勝てる相場でビビってヘッジをかけ、結果としてヘッジコスト分だけ負けましたというのはプロ投資家の世界では最も馬鹿とされるのだよ。

マネジメントとしても最低だ。一か八かの劣勢ならともかく、優勢の戦況なのに指揮官が「やられるかもしれないぞ」と兵に意思表示してしまう。そんな軍隊で誰が力を出すだろう?守備は万全にしたぞ、あとはお前に任せたぞと中崎に言ってやるのがリーダーだろう。そこで打たれたって中崎が育つ。勝負に負けたことを言うつもりはない。負け犬のみじめさだけ残す負けがいかん、その無意識下に刻まれる残像の蓄積こそが1点差ゲームに競り負ける原因と思っているからだ。

結果論?勝負事に結果論以外の何があるんだ?どこの世界でも指揮官は結果のみに責任があるのだよキミ。「頑張った結果が最下位だったというのは結果論です」というのだけはやめてくれというのが全てのカープファンの切なる思いだろう。いや、結果論と呼んでいただいて構わないから、頼むから交流戦は確率論どおりに2位になってほしい。監督業がうまくいくことを祈念してやまない。

 

 
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Categories:______広島カープ, 野球

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