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株式道場-大塚家具の経営権争奪戦-

2015 MAR 29 15:15:05 pm by 東 賢太郎

大塚家具の経営権争奪戦は株主総会でとりあえず娘さんの勝ちで落ち着いた。日本人の好きなお家騒動としてマスコミの格好のネタになったのだが、この出来事の本質は何だったのか述べてみたい。

この劇のあらすじは何か?マスコミ目線では親子喧嘩劇だが、資本市場目線ではそれは関係ない。株価倍増劇である。40円だった配当が80円になって1000円の株が一時2500円と2.5倍になったことこそこの騒動の帰結である。

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その昔、村上ファンドが東京スタイル株式を大量に買って1000億円近くあった現預金を配当することを株主総会で求めて成功した。増配となれば当然株価も大幅に上がる。彼はその後別な案件のインサイダー容疑で逮捕されてしまうが、この要求は株主として至極真っ当であって、それをハゲタカと忌避するのはする方が間違っている。

株式上場の目的はいくつかあるが最も本質的なのは株式による資金調達が容易になる事だ。業績好調で株価が高ければ高いほど資金調達コストは下がり、さらに成長にドライブをかけることが可能になる。

一方で、創業者利益を手にできる、知名度が増す、社員が採りやすいなどの利点もある。経営者が上場を名誉と信じそれをゴールに置く場合も多い。しかし経営は常に外部の目によって監視されて創業者の意思決定の自由度が制限され、株価が不当に低いと未知の第三者に買収されるリスクも発生する。

日本は古来より株式持ち合い制度によってそれらの「足かせ」や「リスク」を排除する排他的持ち株構造をとってきたが、それは第三者が自由に市場で買える浮動株の割合を減らすということを意味する。ところが浮動株の少ない銘柄は必然的に出来高も少ないために新株発行できる株数も制限されてしまう。つまり、上場の最も本質的な目的であるエクイティ・ファイナンスの可能性まで足かせをつけてしまうわけで、何のための上場かわからないというケースが非常に多いというのが日本の株式市場の特徴だ。

大塚家具は利益剰余金が250億円、現預金も100億円近くあり、PBR(株価純資産倍率)は騒動後でも0.8倍だから以前は0.5倍程度だった。これは株価が純資産(株主資本)の半分しかない割安状態だったということだ。どうしてかというとROE(自己資本利益率)がたったの1.3%しかない、つまりこの株に投資しても投資額の1.3%しか利益が期待できない。それならより安全な国債を買ってもほぼ変わらないのだからそっちを買うだろう。つまり需要が少なく、従って万年1000円前後に放置されていたということだ。

ではどうして1000円だったのか?配当が40円だったからである。つまり投資家はこの株に値上がりはあまり期待せず、買うなら日本株としてはかなり高い4%もの配当利回りを要求していたということを意味している。利益が成長している企業は利益を社外流出(配当)するより社内留保すべきであり、株主もそれを求める。無配でも(むしろ無配の方が)株は上がるのだ。留保金では資金が足りないからエクイティ・ファイナンスするのであって、だから上場の意味があるのは上述のとおりである。

久美子氏が今後の経営の方向として名前を出していたニトリの配当利回りは0.6%しかない。60億円しか配当を払っていないのに時価総額は9600億円もありしかも年々増えている。ニトリのROEは16.8%もあるのだからここから4%払うのは苦もないことだがそんな必要はない。株主は配当をもらうより内部留保して事業に再投資してもらってリターンは株価で返してもらった方がいいのだ。そう考える人がどんどん株を買ってくれるから、年々時価総額が増えて株価が上がっているのである。株価が上がるという原理原則的メカニズムはこれだということを肝に銘じておいていただきたい。

一方で大塚家具は8億円配当して時価総額はずっと200億円のままだった。ROE1%の企業が時価総額の4%の配当を払うというのは内部留保を取り崩すことに他ならない。これは村上ファンドが現預金を配当させて東京スタイルの株価が上がったのと同じことを自らの意志でやっているに過ぎない。いや、株が上がるほどは配当せず、上りも下がりもしない均衡点である配当利回り4%を自ら探し出したと言った方が正確だ。その証拠に自分が社長になれば配当は8%にしますと宣言すればちゃんと株価も2倍になったのである。

不思議なのは、その株価維持策は株主にとって当座は有難いが、企業価値の成長(少なくとも維持)という本来株主が求めるべき目的にとってはマイナスであるのにもかかわらず株主総会でその論点が議論された形跡はないことだ。久美子氏に軍配を上げることがそれだったという理解だったとしか見えないが、氏は配当80円、すなわち今期の会社が予想する当期利益9千万円に対して配当性向1700%という天文学的数字を公約している。

分かりにくいと思うのでそれのイメージを述べれば、09年に民主党がマニフェストと称して公約し、財源不足で腰くだけとなった子供手当を連想する。私が当選すればそれを2倍にします、財源は税収ではまかなえないが埋蔵金でなんとかしますというようなものだ。そうではないならROEが最低8%を上回るビジネスプランが必須であることは自明だ。父親を追い出せは自然にそうなるというほどこの会社のおかれた立場は甘くないが、いまだその納得性のある説明は聞こえてこない。

ブランデスという米国の投資ファンドは総発行株数の10%あった持ち株を今回の株価急騰で売って5%まで減らしている。同社は娘社長に支持票を入れており、それが増配とのディールだったかどうかはわからないから憶測ではあるが、取得価格の2倍で売っていると仮定すれば残した5%のコストはゼロになるから非常においしいディールである。その計算をした上で紳士面で「総会で貴女を支持しますよ」と持ちかけてみる程度の事など、このワルの業界ではあまりに常識だ。

結論を書こう。埋蔵金吐きだしの高配当はやめ自社株買いをすることだ。配当利回りが減れば株価が下がるのはこの会社の場合ほぼ確実であるから下落が止まるまで自分で買う。それも「おためごかし」ではなく、下がり続けるなら全株でも買う覚悟でやる。その自己資金=埋蔵金はあるのだ。そこまでいくとMBO(マネージメント・バイアウト)ということに結果としてなり、上場は廃止する。既述のように、エクイティ・ファイナンスの不要な会社は上場する意味がないからそれはロジカルな帰結である。

同社が80円配当(15億5千万円)を払い続けるならば、世の中の平均的な配当性向である25%になる60億円の当期利益を恒常的にたたき出さねば健全ではない。それは過去5年の平均当期利益の16倍にもなるわけで、野球なら5年間もホームラン1本のバッターに今年から16本打てというようなものだ。社長が交替すればできますなどという簡単な話ではないのである。いや、秘策があるのだというならそれで良いが、それならその話を10%の大株主であったブランデスにはしたはずである。それが実現しそうならブランデスはむしろ15%に持ち株を増やしたであろう。

久美子氏がROE10%越えをコミットした構造改革なしに80円の配当をキープしますというなら、申し訳ないが同社は埋蔵金をたかり屋に吸い取られることを対価にしばらくは1500-2000円の株価を維持するだけで社業に未来はない。ニトリのような路線に転換して高収益企業への構造改革をするというなら数年は赤字も覚悟で買収も含む大なたを振るう必要があるだろう。外部株主に単年ごとの収益、配当を求められて説明責任を果たしつつそれを行うのは至難の業と思う。

親を追い出した娘というのはいかにも現代的で、個人的にはナッツ姫よりもシェークスピア流のドラマとして面白いと思うが、数年も利益低迷すれば儒教社会で足を引っ張られることは目に見えている。つまり上場したままでは、生き残りに必須の「構造改革」に要する「大なたを振るう時間」が確保できない可能性があると考える。選択肢はそうたくさんはないように見える。武運長久をお祈りしたい。

PS

お断り: 弊社ソナー・アドバイザーズ株式会社は(株)大塚家具の株主ではなく、同社株式を現時点では売買の対象としてアドバイスした事実はございません。

 

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ノイの株式道場-今後半年の株式市場の見方-

2015 MAR 13 0:00:17 am by 東 賢太郎

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ノイです。

ワタシ、いつもこうやって、大所高所より世の中を見させてもらってますニャン。

 

 

安倍さん、すごいわね。日経平均、15年ぶりに19,000円を回復しましたわ。ソーリになって2年3か月で9割の上昇よ、運用のオシゴトの人たち、日本株もってなければ大差をつけられちゃって大変ね。

「石橋たたいても橋を渡らない人」は怪我しないというのはウソ。ネコ界じゃそんなノンビリ屋さんは生きられないわ。

マスコミさんは2万円がどうのといってるわね、でも2万5千円ぐらいありでしょ。だって原油安なんですもん。さいきんたくさんの社長さんがそういってるわ。

noi15

ワタシ、3月決算で予想外にいいという感じがでるとおもう。でも社長さんはみんな慎重だし業績予想はそれを圧縮して見るわね。だから来年は伸びないと見られ株価は続伸しにくいのよ。

原油40ドル台から50ドル台への回復でもパーセンテージポイントでは10%以上の上昇でしょ、CPIの2%なんて簡単に行く可能性が出てくるの。えっイエレンさんがQEやめちゃうの、ならボクもやめとこうかなって、クロダさんいい口実になるのよね。クロダさん?いえいえ、あのまりを投げるほうじゃなくってね、キンリを上げ下げする人ね。

 

ワタシ115円ぐらいまでの揺り戻しあるかもなんて覚悟してます。株価はどっちからも下げね。そこで「クジラ買い」かしら。サンマならワタシも捕りたいけどクジラはむりね。マクロとジュキューのせめぎ合いよ。そんな6-9月よね、きっと。7月ギリシャさんアブナイし。

アメリカ株はちょっと高いわね。バフェットさん、適正キャッシュ・ポジションは約2兆円なのに6兆円ももっちゃって。買うものないものね。ドルから日本株にたくさんくるんじゃないかしら。もしも円高ドボンがあればそこは買いたいわね、ワタシ。

noi14隣りの韓国さんは今日政策金利を0.25%下げて1.75%としたみたい。きっと年内に1.5%まで下げるわね。だってデフレ懸念があるんだもの。でも日本と同じ原油安メリットもあるわ、低金利になると景気回復かもしれないって社長がいってたわ。

ロシアはワタシあのイクラ好きなんだけど、もうあがっちゃったわね。原油50ドルで。60ドルまでいかないとだめよね、プーさんいわないけど4800億ドルのお貯金けっこう減っちゃってるかも。も一度ドボンあるのかしらね。

 

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ロシア株について追記

2015 FEB 13 16:16:29 pm by 東 賢太郎

1月23日に緊急事態につき1週間ブログを休んだが、勘の良い方はお気づきだったが本業のほうでロシアの情報収集をしていた。現地に行ったわけではないが相手は主に英国、スイスなど旧知の友人、取引先などである。大変に有益な調査をさせていただいた。証券会社の話は意味がないのできかない。自分でロシアに巨額の投資をしている人こそ、我がこととしての本当の情報を持っているのである。informationは判断の邪魔になるだけで無益、いるのはintelligenceだけなのである。ロシア株インデックス(ETF)は今日一日でさらに4.2%急騰している。

しかしプーチン、ポロシェンコ、メルケル、オランドの16時間ぶっつづけ会談は想定外だった。本当に休憩なしだったらしい。3対1のプーチンは会談中ボールペンをぽきぽき折って威嚇しポロシェンコはびびりまくったらしい。ウクライナの通貨フリブナは昨日一日で3.1%下がり、この1年で67%も暴落している。

ギリシャの逆ギレでユーロ結束に火がついている独仏は対ロ輸出制裁で米国のロシアいじめに加担している場合ではなくなってきている。このままでは困るのである。プーチンはそれを見越して、停戦はしてやるがウクライナを連邦制にしろと脅した。ワンステップ置いて親ロシア州をクリミア式に自立させて乗っ取ろうという戦略見え見えである。

プーチン、メドベージェフと会ったある方いわく、プーチンは性根の座ったワルだ。メド君は女みたいなお小姓であるそうだ。つまりワンマンオーナーだから歯止めなどない。停戦協定といって武器を置いた瞬間に打ち殺す可能性があるからこれで安心というのは早計である。米国はそう思っているからウクライナに前線基地を作るだろう。

ウクライナといえば、あの冬季オリンピック開催地ソチはすぐ近くだ。そこから北海道と九州ぐらいの距離を南下すればあのイスラム国である。そんな所で去年はのんきにフィギュアスケートなんかをやって世界はわいていたのである。

こういうことはNHKのニュースなんか見ていても何もわからない。自分で相場をはっている人間だけが感知するものだろう。

 

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デフレは毒キノコをはやす

2015 JAN 15 13:13:36 pm by 東 賢太郎

日本の新発国債利回りが過去最低の0.255%、5年債は過去初めて一時ゼロ%となった。大変異常なことであり、前から指摘していることだがアベノミクスの成果が乗数効果で増幅されない傾向はさらに顕著になっている。

14日の日経の一面トップ、「金利低下 原油安で拍車」という見出しに釈然としないものを感じた方も多いのではないか。原油安でガソリンや暖房費が安くなればその分消費に回せる。GDPの6割は個人消費だ。むしろ景気にはプラスで金利は上がることはあっても下がることはないのでは、という素朴な疑問だ。

しかし現実には日本だけでなくドイツも10年債が0.4%台(過去最低)、利上げ観測のある米国すら2%を下回っている。そしてこのグラフを見せられると日経のタイトルに反論は難しくなってくる。

gennyuこれの理屈がよくわからない。昨日発表された米地区連銀経済報告でダラス、カンザスシティ、クリーブランド、アトランタ、シカゴなどで原油安による景気への悪影響が報告されたそうで、原油安は景気悪化要因との認知が行われたようだ。現実なのだからそれを合理的に説明する理屈があるはずだ。

このグラフだけで考えてもわからないのではないか?それは大いに考えられる。プロ野球選手がゴルフがうまい、だから野球とゴルフは似たスポーツかどうかと考えてもあまり意味がない。相撲取りもシングルの人がけっこういる。そういう時はもっと大きな原因(共通項)があると推論した方がいい。この場合、「運動神経がいい」というのがそれだ。

それにあたる僕の仮説は「世界経済の需給ギャップが拡大途上にあり、原油価格低下も金利低下もサプライサイドのコスト低下であり、需要と均衡するまで下がる」というものだ。いま僕らが目にしている世界的な消費者物価低下傾向が「日本化」、つまりデフレマインドの長期的醸成を世界中に蔓延させつつあるのではないかということだ。

原油価格は米国のロシアいじめだOPECのシェールガス潰しだと「犯人捜し」をやっているうちはまだかわいい。コップ半分の水が「もう」か「まだ」かのゲームになるからだ。

しかし、米国やOPEC犯人説が事実であろうがなかろうが、この状態が続くと市場はだんだんもっと恐ろしい真犯人の噂をし始める。デフレである。デフレは心理現象である。日経が「拍車」と書いた現象。下がるものは全部ネガティブに見てしまう現象が蔓延中なことを示唆していないか。「飛ぶ鳥の音に驚く」ではないのか。

これは  中国ビッグバン仮説 の延長、現在進行形であると考えると平仄が合ってしまうのは我ながら気味が悪い。これも何度も書いてきたことだが、デフレは人間の心も蝕む。社会を腐蝕させ、その土壌にはインフレしか知らない現代人が想像もできなかったような毒キノコが生える。

米国でイエレン議長が「金利を上げますよ」と警鐘をならすのは毒キノコが生える土にはなってないと見せる高等な逆心理作戦ではないか。ひょっとするとあちこちでテロや過激な民族主義が台頭しているのは毒キノコの一部ではないのか。

これが今年の株式市場を覆っている最大のリスクであることは間違いないと思うが、僕の「飛ぶ鳥の音に驚く」であることを祈りたい気持でもある。

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株式道場 -ロシア株、しましたか?-

2015 JAN 11 0:00:35 am by 東 賢太郎

12月18日のブログ、コップに水がまだ半分?-ロシアをどう見るか- 僕をバカ正直?に信じて下さってロシア株指数のETFを買ったかたはもう1-2割は儲かってるはずです。たった3週間で。

この儲け、少な目に1割としましょう。100万円で10万円の利益ですね。三大メガバンクの1年定期預金(0.025%)に100万円預けて10万円の利子をもらうには400年かかるのご存知ですか?徳川家康が預金してやっとですよ。

これを仮に月1回やれば年120万円。今回うまくいったのでそのペースでした。これは銀行定期の4800年分です。ノアの方舟の頃、日本は縄文時代です。もう思考停止ですね。銀行に全財産を置いておくなんて僕から見たら正気じゃない。

もちろん逆に全財産を株式になんてのも正気じゃない。物事はバランスです。だからこそ「自分年金」を作ることをおすすめしています。まあロシア株は遊びでけっこう。でも年金は早いうちから真面目に作った方が老後が安定します。

「人の行く裏に道あり花の山」という相場の格言があって、僕はその信奉者です。他人と同じことをして儲かるはずがないでしょう?だって当たり前です、多数派が勝ち続けたら地球上は金持ちだらけにならないとおかしい。なってますか?

あの日、世の中の多数派はルーブルの急落にびびって株を売りまくってたんです。そういう時がチャンスです。あれからロシア問題が片付いたわけでもぜんぜんない、原油も戻ったわけじゃない、でも株はちょっと戻るんです。

少数派になるのはなかなか難しいですね。なにせこわい。一人で赤信号わたるんですから。だからお薦めの訓練がありますよ。簡単です。ことごとく多数派に難癖をつけてみてください。「私はそうは思わない」とつぶやく癖をつけることです。

本当に口にしなくていいですよ、嫌われますからね。心の中でだけ。理由は後で考えるけどとにかく反対!そうすると「なんでそう思わないの?」と自問する癖もつきます。これがいいんです。だんだん自分だけのオピニオンができてきます。

クラスはみんな巨人ファンだ。自分だけ広島ファン。これ小学校2年のときの僕の世界です。どうしてオレ広島好きなんだっけ?理由がありますね。それがオピニオンです。誰に押しつけられたわけでもない、自分で考えてるうちに自然にそうなっちゃったでいい。

こういう自分で考えたオピニオンというのはけっこう強いんです。他人に何いわれようと関係ないですし、なにか間違いでも納得ができます。他人に付和雷同してハズレというのが一番いけません。何も学びませんから。

ロシアを世界中が売ってる。みんな巨人ファン状態ですね。だからあえてアンチ巨人をおすすめしました。「相場は実体より必ず行き過ぎる」、これは鉄則。「みんな」が勝ち続けることはない、これも鉄則。「深追い禁止」、これも鉄則。

そういう買い方を英語でbuy on weaknessと呼びます。そういう買い方しかしない人を逆張り屋(contrarian)なんて呼んだりもします。自分年金はcontrarianで作るべきです。買う銘柄はあらかじめ目をつけておく。これが大事。あとは機を待つ。それでOKです。

 

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2015年の抱負

2015 JAN 2 21:21:00 pm by 東 賢太郎

正月から仕事の話もなんですが、今年の抱負をつらつら考えるとどうしてもそこからすべてが始まります。

本業の事を少しだけ書きますと、日経平均株価は昨年1年間で7.1%上昇したのに対して当社ソナー・アドバイザーズの助言するファンドは17.4%上昇と2年連続の圧勝で、おかげさまで海外の保険会社が日本株運用のアドバイザリー契約を結ぶ検討に入って下さっております。

当社のお客様はかように皆様ご自身が機関投資家であったり欧州の投資ファンドの経営者であるなど、正真正銘のプロフェッショナルです。だから僕らはプロに指南させていただくプロということになります。

プロ目線の評価ですからこうして成績さえ良ければ世界に需要はあるし相応の報酬はいただけますが、逆に成績不振ならば1年で解雇です。まさにプロ野球選手と一緒で日々これ戦いであり盆暮れ正月も休日もありません。

大変ですねといわれますが、僕のように株を推理ゲームと考える人間にとってはそうでもありません。ブラームスを聴いたり猫と遊んだりするのと同じで「これを楽しむ者」ですから、朝も昼も晩も仕事をしているという感覚はありません。

投資というのは2タイプあって、日々相場を見て売買を繰り返すトレーダー型と僕のような推理型です。これは天文ファンでいえば流星や月食を観測したいタイプとブラックホールなどを理屈で考えたいタイプに当たり、僕は明らかに後者です。

ただ、理屈だけで良い成績が残せるわけではなく、考える素材は会社として日々アップデートしています。だから毎日3社ほど、年間で約700社を訪問してヒアリングし、投資に値するかどうかの詳細な情報収集をしています。情報端末に頼らずこんなに足で情報を集める人は日本には現在2人しかいませんが、そのひとりです。

今年は運用助言だけでなく、もうすこし企業経営に関わる部分で助言をすることでその会社の企業価値を向上させることに取り組みたいと考えています。簡単にいえば株価が上がるようなご提案、サポートをするということです。これは法的にも配慮が必要ですし、僕の経験の集大成になる仕事になると思います。

SMCですが、去年の元旦に僕のブログアクセスが8万になったのが今年は25万を超えました。他のメンバーへのアクセスも徐々に増えており、おかげさまで順調です。なるべく広い層に楽しんでいただけるように努めてまいります。

僕の記事ですが、日経によるとご自分で株式投資をする人が増えているそうですし、もう少しその関連を増やそうと思います。それを参考に投資の実力を磨いていただければ本望です。グラウンドでプレーしている選手の生の声をお届けしますので、TVの経済評論家の机上の空論とは一味ちがうものになるでしょう。

 

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バンカースで自分年金を作ろう

2014 DEC 16 13:13:54 pm by 東 賢太郎

子供のころお正月になるとこの「バンカース」というゲームでよく遊びました。はなやまという会社が米国製のゲーム「モノポリー」を日本バージョンにしたものです。多忙だった親父が家で遊んでくれるという貴重な機会でした。

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いわば不動産投資スゴロクで、サイコロを振って周回すると給料がもらえ、止まったマスの土地を買って相手がそこに止まると支払いを受けるという単純なものです。しかし実際にお札のやり取りがあったりして子供心に面白かったのです。

購入代金と収益の割合(利回り)が良い物件を多く持てばどんどん金持ちになるという体感はなかなか資本主義社会の実相を鋭く突いていたと今でも思います。このゲームは現実にはバンカー(銀行)のひとり勝ちだった時代から、今は証券市場を通じてリート投資をすることで誰でも参加できます。金融の仕組みの進化です。

あるいは不動産物件の代わりに業績のしっかりした高配当の株式を複数所有しても同じことです。いまだ不動産神話が強い日本ですが人口減少国で値段が上がり続けることはないでしょう。税効果を考えると雑所得の家賃収入でもらうより配当でもらうリートは合理的ですが、その利得は株価が高くなることで調整してしまいます。

だから不動産収入に頼っていない一般の株式で、配当の安定性が賃貸収入並みにあるなら税効果調整もなく、しかも土地と違って株価はパニックセルといって関係ない要因で安くなる瞬間もあります。それをこまめに買って、リスクを低減するためにポートフォリオ(複数保有)にするのはリスク・リターンの観点から有効な方法です。これはバンカースで子供が遊ぶように楽しめる投資方法です。

僕自身そう思っていますが、老後はまとまった資金よりも安定したキャッシュフローの方が大事と思います。今までその役目を担っていた銀行の金利がスズメの涙であり、政府の年金政策はいずれ破たんします。それは皆さんよくわかっています。すると今度はそれに乗じて、人生最後のまとまった収入である大事な退職金の運用方法で金融機関の口車(まったくプロ性の感じられないものばかり)に乗ってしまう人があまりに多いのです。投資教育の欠如で利する金融ビジネスってなんなのでしょう?

つよくおすすめしますが、「老後キャッシュフロー」は自分で作るべきです。しかも誰でも簡単にできるのです。名づけて「バンカース年金」。預金利子よりずっと高い利回りが持続して得られ、株式ですからすぐ現金化できてお金の出し入れも自在で相続ももめません。ネット証券を使えば売買コストは僅少です。数字を扱うと頭の体操になりますからボケません。株を見るということは世情を見るということ、あらゆる話題に豊富になり友達もできれば社会に取り残されません。

僕はこの考え方を学んで実行する人はこれから確実に増えると予想します。なぜなら老後の人生の愉しみと生活の安定を同時に得る方法として合理的だからです。そうなるとその条件に適合する物件の価格(=株価)は上がりますから年金価値も増えます。キャッシュフローを生む装置そのものの値段も上がるので一石二鳥ということです。ただしここだけは少し知識のいる部分で、配当は利息ではないので下がる危険があります。そうすると株価も下がるから逆のことが起きて元も子もありません。

お薦めしてやり方をお教えしないのは不十分ですが、少しの基本的な勉強は必要なのでブログにはなじみません。講習会をやるか本にでもするしかありませんが、いずれ方法は考えようと思っております。

 

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株式道場-未来を原理思考しない日本人-

2014 NOV 20 17:17:27 pm by 東 賢太郎

皆様どのぐらい僕の経済記事をまじめに読んで下さっているか知りませんが、これが去年の12月25日時点にご披露した2014年の日本の株式市場と円ドルレートの予想です。

  来年の日本株を予想する (My thoughts on Equity Market in 2014)

この予測の結果、来年は弊社が運用アドバイスする資産を倍増していただけることになりました。我々は口先だけの評論家ではなく結果の成否でメシを食っているのでそれはビジネスとしてよかったということではありますが、僕の気持としては弊社の「アドバイスという商品」の価値を認めて下さったことが何よりもうれしいです。こういうお客様のために仕事をしたいと思うのです。ちなみに我々の運用の助言契約先に日本人、日本居住者はいません。

日本人は未来をまじめに思考して議論する人が先進国としては驚嘆に値するほど少数派の民族です。欧米人と決定的に違うのはそこだといってまったく過言ではありません。今日のことだけ一生懸命やりなさい、明日のことなんかわかるはずがないでしょという(本人が意識しているかどうかに関わらず)頑強な文化的刷り込みがあって、これが一般庶民ならともかくインテリ層までそうであるというのは何かどうしようもなく抗しがたい屈強な根拠でもあるに違いないと絶望的な気持ちになるばかりです。

確かにそうです。わかるはずがないんです未来のことは。でも多少はわかるかもしれないし、わかれば徹底的に有利でしょ、だから原理というものを解明すればいいじゃないか。そう考えるのが西洋人であり、僕個人も根っからそういう人です。もちろん日本人が未来を考えないというわけじゃありません、正確にいいますと、原理、ロジックというもので未来を見通す可能性というものを信奉していない、かたや西洋人はその信奉者である、だからこれはやはり宗教に起因する違いと思います(僕は仏教徒ですが)。

例えば月にロケットを飛ばす、それはロケットを月に命中させるということであり、2つの物体の位置を正確に「未来予測」することにほかなりません。それは物理と呼ばれている西洋人の考えた「原理」で知るわけです。日本人だって小惑星イトカワに探査機を命中させましたし、それを帰還させた応用技術力に世界は拍手を送りましたが、それは物理学という西洋の原理解明の学問をひも解いてのことです。教科書で習った方程式を解けば出る答えを「未来を予知した」という捉え方はしていないのではないでしょうか。

投資の世界での原理解明はまだ明確な結論がありませんが西洋人は真剣にその予測モデル開発競争をしています。これは科学に近く、僕の株式への関心もひとえにそこにあります。一般に日本では株というものは上がったり下がったりするわけのわからないもので予測はできず、景気とか業績とか屁理屈ぐらいはあるんだろうがしょせん台風の進路予想みたいなものだ、どうせわからないのだから競馬と同じばくちだろうという認識でしょう。したがって、ここが重要なのですが、投資信託を買って利益が出ても、それはラッキーだっただけであって、それを生み出した運用者に原理を介して未来を見通す能力があるかもしれないと思う人はほとんどいないのです。

スイスにいた頃、ある大手運用会社の会長に「どうして日本では成績のいい投資信託ほど残高が減るのですか?」と質問されました。そうなんです。西洋では逆が常識ですからびっくりするわけです。これは証券会社が加担していて、もう上がりましたからまだ上がっていないのに乗り換えましょうなんていう手数料商売が背景にあります。上がってないのは運用者が未来を見通すことに失敗した、つまり無能の証明なのであり、わざわざ手数料まで払って有能な方から乗り換えさせるなどナンセンスの極みです。

良い運用成績を出し続けるのは能力であり、たまたまアベノミクスで今年はもうかりましたというのではない。そう考えるかどうかは一つの主義であり、それを信じない主義もあります。僕らは前者であり、その能力があるかないかは僕ら自身もわからないのですが、もちろんあると信じているから会社をやっています。その結論が僕らの運用アドバイスの内容なのであり、お客さんから見れば(能力というのは結果でしか見えませんから)その方法論が正しいのだろう、だからそれに従ってみよう、というので資金を増やしていただける。だから僕らに求められるのは方法論を絶対に変えないことなのです。

それが他人に運用の判断をしてもらう側の原理であります。投資信託を買うというのは運用者の能力を買って手数料を払うわけですからその原理に則って行うべき行為なのです。成績の良い人から悪い人に乗り換えるのは、能力的にたくさん打てる三割打者に一割打者の代打を送るみたいなものです。だから投資信託を買われるなら「誰がどうやって運用してるの?」という質問をしなくてはいけません。証券会社のセールスマンでまともに答えられるのはあまりいないでしょう。「一流会社の一流ファンドマネージャーです」のような回答が来たら、即刻お断りした方が賢明でしょう。

さらに言うなら、そういうセールストークにのってしまう人に投資勧誘などすべきでないのです。むかし伝説があって、ある証券会社の地方支店の店頭にお客さんが大量の現金を持って現れ、「必ずもうかるわらんこを下さい」と言ったというのです。よくきいてみたらワラントだった。通じないのでウチは「わらんこ」はおいてませんとお引き取り頂いたそうですが、ばくちだと思うのはまだましだという話です。「必ずもうかる」と詐欺まがいのセールスにでもいわれたんでしょうが、そんなものが世の中にあると信じていること自体とても危険であり、我が国の投資教育は発展途上国なみの水準です。

それはおそらく帝国大学の経済学部がマル経だったことに遠因が求められるでしょうが、ではマルクスの資本論という書がどうかというと、少なくとも立派な未来予知の書であり、僕の印象では素晴らしく原理解明にこだわった書であると思います(その予想は当面は当たってませんが)。その原理を学んで信奉している大学の先生が教えると、その帰結として原理思考とはほど遠い国民が生まれる。このメカニズムはどういう原理に基づいているのかぜひ解明してみたいほどです。

ということで我々は当面のところ外国人の顧客しかもたないというポリシーでやっています。わらんこが下がったと文句を言われてもかなわないからです。

 

「未来」と呼ばれているものの正体

 

 

 

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株式道場ー急激な円安で株はどうなるか?ー

2014 NOV 4 23:23:46 pm by 東 賢太郎

10月31日の黒田日銀の追い討ち金融緩和は驚きました。

円は2007年12月以来となる対ドル114.20円まで一気に下げ、日経平均株価は4日に17,127.66まで急騰しました。円ドルと日経平均はこんなにきれいに連動しています。

円ドル

自説に固執する気はありませんが、ここに書きましたことをもう一度お読みいただきたいと思います。 運用という仕事は何をするのか? 海外の投資家やプレスはここに僕が書いたことを指摘して皮肉る向きが多くあります。

これは黒田さんだけの判断ではありません。 良い円安はない に指摘しましたが財務省はやる気なのです。リスクを取ってでも消費税10%にしたい。内閣改造でケチがついた安倍さんは何が何でも株安は避けたい。同床異夢という言葉がありますが、逆です。異床同夢なのです。

前者のブログにこう書きました:

我々は、これは①株価が間違っているか②業績だけでない要因で株が高い、のどちらかなのだと考えます。9月までは消費税10%のベースとなる3QのGDPを政府は意識するでしょう。しかしそれによるPKO期待や、内閣改造などのうわべの取り繕いで株価が維持できるほど相場というのは甘いものではありません。

だから、仮にですが、10月以降に日経平均が1万5500円以上をキープして年末までいった場合、我々は①ではなく②だと考えることになるのです。それは、もちろんのこと、政府が決める話なんかではない。市場が決めるのです。市場が間違っているように見えるが間違っていない、むしろ業績だけ見ていると我々が間違ってしまうようなファクターで株価が維持されているのだと。

PKO期待や、内閣改造などのうわべの取り繕いで株価が維持できるほど相場というのは甘いものではありません」という部分が重要です。日経平均が10月17日に14,529円まで下がったのはそういうことだったのです。そこから2週間でインデックスが18%もぶっ飛ぶというのは尋常でありません。

ところが、それが人為的なものであれ、市場がそれを信じだすと相場というものは変わります。そこで依怙地になる者は相場に関わらない方がいい。負けます。

10月以降に日経平均が1万5500円以上をキープして年末までいった場合」以下の記述をピックアップしておきます。そうなる可能性がますます高くなってきました。

市場が間違っているように見えるが間違っていない、むしろ業績だけ見ていると我々が間違ってしまうようなファクターで株価が維持されているのだ

そのファクターが何か?それはここに書くわけにはいきませんが、いままで書いた記事にヒントはたくさん書きましたので読み返してご賢察ください。ご自身で株式をお持ちの方はそれを加味して戦略をおたてになった方がいいでしょう。

 

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株式道場ー個人投資家への警鐘ー

2014 JUN 11 14:14:01 pm by 東 賢太郎

「日本の投資信託には運用成績が良いのに残高が減るものがあるのはなぜですか?」とイギリス人にきかれたことがある。たしかに調べるとその傾向がある。程度の低い証券会社の営業マンが「もう上がってしまったので次のを買いましょう」と乗り換えをすすめて手数料を稼ぐというのはある。しかしその無意味なおすすめに手数料まで払って乗る投資家のレベルの低さにも原因はある。

前回、為替と株は違って、為替の予測は理論的根拠に基づいてはできないと書いた。つまり株に比べればFXはバクチ性が強い、というより僕の定義では完全にバクチである。だからFXだけで運用する投信はないし、出してもそんなものを信用して売る証券会社も買う投資家もいない。某新聞で円ドルレート当てコンテストをやっていたがなんの意味があるのかさっぱり不明だ。**さん見事的中というとへえすごい能力だねなんて感じると思うが、宝くじと同じで必ず誰か当たるに決まっているだけだ。So what?  (だからどうしたの?)である。**さんが5回連続で当てれば凄いが、そんな超能力者は投票する暇があるなら宝くじを買った方がいい。

ところが株の場合は5回連続はなくとも5回で3回程度は当てる**さんが、稀ではあるがいないことはない。株は理屈で動く、というよりも正確には、理屈で動くと信じている参加者が圧倒的に売買高シェアが高いから理屈に添って動くことが期待できるのだ。投信を買うということは**さんを見つけて、その人のご指南で売買するということである。そしてもし運用成績が良いのならその**さんは能力がある。能力とは継続して当てる力のことをいい「再現性のある能力」という。一発ホームランではなくこつこつヒットを重ねて何年も3割を打つ打者のイメージだ。そういう人は本物だからその投信を売ってはいけない。「自分年金」の一部に組み入れるべきだ。

株式の運用と言うのは理屈だけでもない。周囲の投資家たちの行動を予測して動く、つまり彼らが信じている理屈を見抜いて先回りすることが重要だ。理屈が静的な分析ならこれは動的な分析であり、それを経済学者ケインズは「美人投票だ」と看破し、それを自分で実践して大儲けした。AKBの総選挙の1位当てトトカルチョだと思えばいい。あなたが1位にしたい子ではない、みんなが投票するに違いない子に投票しないと賞金はもらえないのだ。

ただ現実の世界はもう少し複雑であり、僕は麻雀というきわめてよくできた知的なゲームに近いものを感じる。自分の手から上がれる役の大きさと確率を考えることが静的な分析、そして他の3人がどう切ってきそうかテンパっていそうかの動的な分析で判断が刻々変化する。麻雀のうまい人は時々大勝ちする人でなくいくらやっても負けない人だ。それは「再現性のある能力」がモノをいう世界に他ならず、だから株の世界でそういう人を見つければ長期間安定して稼いでくれるだろう。年金とは長期間安定してお金が出ていく仕組みだからそれは貴重なことだ。その人は給料を払ってでも手放してはいけない。

「もう上がってしまったから乗り換えましょう」というのはセールスマンの商売文句だ。一企業の株式ならそれは正しくないことはない。トヨタがいくら収益力があっても無限に株価が上がるわけではない。行き過ぎれば下がる。だから投信にはファンドマネージャー(fund manager)という人がいる。行き過ぎた株はその人があなたの代わりに売って、そうでない株に乗り換えてくれる仕組みになっている。その投信ごとあなたがそれをやる意味があるとすればファンドマネージャーが無能な場合だけである。成績が良かった人を有能かどうかまだわからない人に交替するのは合理的な判断ではない。

株はバクチではない。世界中のインテリが多大なコストをかけて企業調査をしてコンピューター執行など英知の限りをつくして的中コンテストをやっている。その成果が年金や健保などの支払い原資になって国民の生活を支えているから彼らは継続して勝つことを求められている。株の世界に全勝はなく、5打数3安打なら大変に立派な「打率」である。その打率をずっとキープできる人が優秀とされるのであって一発屋はいらない。原理的に一発屋しか現れようのないFXや宝くじで年金運用するということは、だから原理的にありえないのである。

「この株は上がりますか?」という質問は無意味、無益だということがもうお分かりだと思う。打席に向かうイチローに「つぎはヒットですか?」ときくようなもので「そんなこと知りません」または「はい、3割の確率で」が答えだろうし、彼がその質問者の質問に二度と回答しなくなるだろうことまで予測できる。「この株が上がりますよ」などとささやくセールスマンは大嘘つきか、「ホームランのサインが出てますよ」と同じほど滑稽なことを言って平気な人である。万一そうでなければ100%インサイダー取引だから刑務所に入る危険があると判断した方がいい。

投信の運用者(ファンドマネージャー)はセールスマンの勧誘とは無縁の人たちだ。自分の哲学で売買する。結果だけが彼らの評価だから包丁一本の世界でもある。欧米だと**さんを金持ちたちが競って探している。銀行に預けておいても低利だし、銀行がつぶれるリスクも高まっているからだ。自分の資産だからその真剣度合いはヤンキースのオーナーがマー君を採るのと一緒だ。**さんも人間でやる気を出し続けてもらわなくてはならないから大金も払う。だから、「彼はもう10勝したから来年は他のピッチャーに乗り換えましょう」なんてことは絶対ないのである。成績の良い投信を乗り換えるというのはそれほど理不尽なことで、そんなことを勧誘してくる証券会社とはつき合わない方がいい。

ネットで株売買している個人投資家はほとんどがFXと株が違うということを知らないように見える。仮に知っていても個人の企業情報はアクセスはともかく分析力に限界があるから掲示板や他人の書き込みに頼ったり一喜一憂したりで、FXのミセス・ワタナベと大差ないことになるだろう。理屈や情報分析ぬきに売ったり買ったりだけする人を「トレーダー(trader)」と呼ぶ。投信の運用会社ではファンドマネージャーとトレーダーは部署が別で、人間のタイプも評価体系もぜんぜん違う。分業体制なのである。何故かというと、両方うまい人はいないという長年の経験則から各々のプロを置いた方がコストは増えるが勝率は上がるという判断を運用会社の経営者がしているからである。

だからデイトレーダーとはよく言ったもので個人投資家はファンドマネージャーぬきの片肺飛行の投資家だ。赤字で無配で純資産価値も低い紙同然の株を買い上げるなど、FXと勘違いでもしていない限り常人の神経では恐ろしくてとてもできるワザではない。そうやってバクチ打ちとして一発当てる才能ある人はいるだろうが長く勝つのはほぼ無理で、デイトレに**さんが現れる確率とWカップのタコのパウルが現れる確率とで大差があることはないだろう。特にコンピューターのアルゴリズム取引が売買代金の大半を占める大型株ではマンパワーで入力するトレーダーはいい「獲物」である。

僕はリーマンが破たんしてすぐにその東京のアルゴ・チームを丸ごと採用した経験がある。彼ら(全員米国人)から意外な手の内をたくさん知ったが、例えばあるアルゴリズムは人力の売買注文がインプットされた瞬間にマイクロ秒(百万分の一秒)単位の速度でサヤぬきするようプログラムされている。あなたの瞬き(まばたき)は一回約三百ミリ秒(三分の一秒)だから、一回パチリとやる間に千回ぐらい売買できるほどの速さである。「ロボット取引で証券市場が混乱している」等のよくわかっていない人の本やコメントがあるが、混乱どころではない。あなたが獲物になっているのである。証券会社で僕の部下だったプロのトレーダーで「アルゴが出てきてもう勝てなくなった」とデイトレから足を洗ってしまった人を何人も知っている。

中小型株はアルゴがいないからトレーディングで確実に負けということはないが、小さすぎて証券会社が商売にならず、あまり調査情報を流さないから片肺飛行の危険度は大型株よりもずっと高い。妙な情報に騙されて高値づかみしたら売るに売れなくなったりして大損する。だから掲示板や2チャンネルなどで低クオリティのあるいは嘘の情報を流して売り抜けようともがいたりする。日々の売買の利食いなど知れているからそういう人は小さく勝って大きく吐き出すということになり、これまたプロの餌食になることが多い。投信のファンドマネージャーが必ずプロという保証はぜんぜんなく、、僕の経験からの私見では90%は玄人に近い素人と変わらないか、習熟度や知識レベルは高いが性格的に向いていない人である。長いことやれば誰もが麻雀の達人になるわけではない。しかし一つだけ言えるのは、少なくとも情報量だけは個人よりあるということである。

僕は35年もプロの側にいる。そこから眺める日本国の株式投資業界を俯瞰するに、暗澹たる気持ちを抱かざるを得ない。そこで給料をもらってきたという責任の一端は自分にもあるわけであり、お知らせすべきこと、株式投資というものの本質について広く知らしめることは義務と思う。学校は文科省も教師もそういうことは無知だから何も教えることはできず、証券会社が顧客にそれを教える気はなく、役所ですら年金利回りを詐称したりする国なのである。「自分年金」をお作りになるしかない環境の中で、ご自身の老後へ向けた資産防衛に少しでも役立つことを書いていきたい。

 

 

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