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カテゴリー: 食べ物

世界のうまいもの(その9)-スコッチのブローラ21年と竹鶴35年-

2014 JUL 17 12:12:29 pm by 東 賢太郎

僕は酒の味について文章を書く資格がある人間ではありません。アルコールは弱くて、ビール一杯で赤くなります。よく経済的ですねといわれますが、赤くなっても人並み程度の量はいけますから、悲しいかな実はそうでもありません。

ボルドーでワインテースティングを初めてしたとき、どうしていちいち吐き出すのかな汚いなと思いました。酔うと味覚、嗅覚の感度、記憶が薄れるためだそうです。僕の場合、吐き出してるのにもう5種類目ぐらいで気持ち良くなってましたからソムリエは無理であります。テーブルで白が終わって赤にさしかかるころにはだいたいの場合もう終わってます。だから、機会が多かった割には経験値が少ない、要は酒の味はまだよくわかっていないのではないかと思うのです。

そんな程度でも、ロンドンに6年住んでいてシングルモルトを嗜んでいましたなどと書くといかにもわかった風にきこえてしまいますね。そういうことはまったくなく、生ぬるいビールはまずいし当時の安月給ではいいワインなんか高嶺の花だったので、消去法で地元のスコッチになっていただけであります。

broraここからの拙文は何卒お許しいただき、通の方にはそういう前提でご笑納いただきたいのですが、そんな僕のちょっと記憶に残っている酒がブローラ(Brora)なのです。酒精を愛でる語彙は小学生なみでお味はうまく書けませんが、ハイランド独特の枯草風くさみが強めで、鼻につんと広がって、とにかく個性のボルテージが高い・・・さっぱりわかりませんね、みっともないのでやめときましょう。僕は発酵食品好きで納豆から鮒ずしまで全部OKで、スコッチもこういう臭み(というのかどうか?)やアクが強い個性派が好みです。もう一つこれが気に入ったのが、当時吸っていた葉巻と臭いもん同志で合うんです。

この酒は北ハイランドにある醸造所が83年に閉鎖されていてもう市場在庫しかありません。2005年に投資家訪問でエジンバラに行ったおり、どうしても懐かしくて欲しくなって、店にあるだけくれといったら1982年の21年物が3本出てきたので全部買いました。これは証券マンの本能ではなく、思い出の酒を純粋に飲みたかっただけです。

ところが今年、ジョニーウォーカーを有する世界最大のウイスキーメーカー、ディアジオ社が出した「ブローラ40」(40年物)の売値を見たら1本6,995ポンド(約122万円)で仰天してます。最も高いウイスキーだそうです。これは21年ですがそれでも調べると買値の10倍ぐらいになっていて、株よりいい投資でした。もちろん売る気など毛頭なく、飲みます(2本ある)。ただ、いずれ世から消えてなくなる味かと思うと切なくてどうも飲めません(貧乏性です)。一人じゃもったいないので、いずれ何かの機会にSMCメンバーで開けましょう。

nikka
もうひとつ、これは国産。お客様からいただいたニッカ・ウィスキー「竹鶴35年」です。なかなかよろしくて、ちびちびやってました。ところが先日、最後の一献をかたむけようとふとラベルに目をやると、「ボトルナンバー0229」 とあって、なにやらただ者でない風情が・・・。調べると1000本限定リリースで、ウィスキー評論家の土屋守さん曰く 『これぞ僕が「もう一度飲みたい」と切に願うウィスキー』なるものだったという恥ずかしい事実が判明。お値段も仰天もので、最後の一献はやめて安物の方に変更・・・。猫に小判とは猫に失礼であり、下さった方には不明をお詫びするしかありません。これとブローラと、どっちが先になくなるんだろう?

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世界のうまいもの(その8)-アスパラとラインガウのワイン-

 

 

 

 

 

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コダーイ 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」作品15

2014 JUN 22 18:18:27 pm by 東 賢太郎

map01ハンガリーに友人Kが駐在していて、スイス時代に仲間と4,5回は行っただろう。それが毎度ゴルフであり、彼の運転でペーチュという南部の街のあたりまで4時間ほどブダペストからぶっ飛ばして行く。もうクロアチアに近いところだがそこにけっこう難しい36ホールのある立派なゴルフホテルがある。ジャパニーズなんて珍しいからだろうか奴の性格の良さだろうか、Kはそこのオヤジにえらく気に入られていて番犬までなついていた。ホールインワンをやったホールのティーグラウンドわきに石碑を立ててもらっているほどだからこんな奴はそうはいない。気安くゴルフができるわけだ。それに味をしめて何回も行ったのだが金曜にチェックインして土、日で4,5ラウンドやるからまるでプロのトーナメントだ。もう20年も前のことだが、まだホール全部の景色とレイアウトや使用クラブ(番手)をはっきり覚えているところをみるといかに真剣勝負していたことか。

一度夜に4人で街へ出ようと車で向かったとき、ベンツがエンストしてしまった。えらい田舎道で人っ気どころか街灯もなく途方に暮れた。当時まだ携帯電話なんてなかったのだ。1時間ぐらいしてやっと通った車に2人が乗せてもらいガソリンスタンドまで行って何とかしてもらおうとなった。釣り帰りの気のいい若者たちであり、車内は釣果のナマズで臭かったそうだ。ホールドアップのない国で良かった。僕は残留組だった。またひたすら車内で待った。暗闇と静寂の中で凍えるほど寒かった。「こんなとこで死ぬのはかなわんね」と笑っても冗談にきこえない。1-2時間だったろうか永遠みたいに長いこと待った。後方からごうごうと地響きがしてきた。煌々とライトを放った大型トレーラーだった。遠征組の大手柄だ。スタンドで絵を描いてやっと緊急事態が通じたみたいだが、夜中によく出してくれたもんだ。ハンガリーの人はいい人なのだ。車ごと高々とした荷台に乗せられて我々は大いに快適だった。ホテルに凱旋帰還したのは朝の4時だ。Kになついている番犬が突如出現した巨大トレーラーに仰天して気弱に吠えた。

一度は上司とウイーンからブダペストまで車で行ったこともある。90年のことだ。バラトン湖で食事してなんだったか忘れたが屋台で果物を袋いっぱい買って食べながら行ったが食べきれなかった。仕事後にバルトークとコダーイのお墓詣りをさせてもらった。ハンガリーというとグーラッシュだ。パプリカのきいたビーフシチューみたいな料理でご飯があればもっといいのにといつも思う。フォアグラは地元の名産で、それとトカイワインがあれば言うことない。ハンガリーにはモンゴル由来のアジアの血が入っているそうだがどの程度だろうか。ハンガリーのHunはフン族のフンというがそうではないという説もある。ただ姓名の順番は東洋式だからアジアが残っているのかもしれない。ヤマダ・タロウと同じくリスト・フランツでありバルトーク・べラである。

コダーイ・ゾルタンの名作「ハーリ・ヤーノシュ」は同名のほら吹きオヤジが、”七つの頭の竜を退治した”、”ナポレオンに勝って捕虜とした”、”オーストリア皇帝の娘から求婚されたなどの冒険譚をたれる物語だ。ほらでも捏造でもここまで豪快だと憎めない。原曲はプロローグとエピローグを持つ4幕の劇音楽「五つの冒険」であり、そこからコダーイが6曲を選んで以下の演奏会用組曲とした。

1. 前奏曲 おとぎ話は始まる                                 2. ウィーンの音楽時計                                     3. 歌                                                4. 戦いとナポレオンの敗北                                  5. インテルメッツォ                                       6. 皇帝と廷臣たちの入場

第3曲、第5曲で活躍する「ツィンバロン」という打弦楽器にご注目いただきたい。グランドピアノの弦をバチでたたく原理で、そういう音がする。スイスはジュネーヴのレストランでこの楽器の名手のソロを聴いたことがあるが音も大きく感銘を受けた。

第1曲はいきなり「くしゃみ」の音まねで始まる。「聞いている者がくしゃみをすればその話は本当」というハンガリーの言い伝えだそうだ。ほら話がくしゃみで始まるのは逆説のジョークだ。第6曲の最後はバスドラムの一発で閉じる。そんな曲はこれしか知らない。ティンパニ・ソロの一発で閉じるのにドビッシー「海」があるがそれはリズムの拍節どおりに鳴る。ここでは微妙に記譜された拍節からずれて、遅らせて鳴らしている指揮者がいる。例えばセル・ジョルジ(米国名ジョージ・セル)だ。この絶妙の間、文字通りの「間ぬけ」がぜ~んぶホラでしたと聞こえるから不思議だ。これでこそ「くしゃみ」の入りと対称形になって全曲の意味がくっきりと浮き出る。

僕はこの曲がエスニック料理みたいに大好きだ。ハンガリー風味が満載。ときどき無性に食いたくなる。クラシックファンには当たり前の曲だが入門者は知らない人も多いだろう。とにかく病みつきになるほどのおいしい曲なのでぜひ6曲とも聴き込んで覚えていただきたい。ハンガリー民謡のメロディーが不思議と我々日本人の「口に合う」音楽なのだ。

僕の場合、病が嵩じて第3曲「歌」と第5曲「インテルメッツォ」をシンセで弾いてMIDI録音した。前者はヴィオラソロで始まり、練習番号1で Dの和音の上にクラリネットが第3音(f)と第7音(c)が半音下がったジャズでいうドリアンスケールの旋律を奏でる。この長調短調のぶつかりはビートルズの後期の音を連想させる。和音だけがB♭7→Gと東洋情緒あふれる変化をするがこの部分はジプシー(ロマ)音楽風であり、ブラームスのクラリネット五重奏曲を思い出す。 ロマと黒人、ジプシー音楽とジャズ。西洋音楽の周辺、エスニックなところのエッセンスがビートルズにあるというのが彼らの音楽のパワーの源泉だろう。

練習番号2。Poco piu mossoからD、C、F、G、Asus4と続く和音は、特にFが出てくるところが非常にビートルズのStg.Peppers的である。この次にホルンにフルートのトリルが絡まる部分の素晴らしい和音(Dmaj7/b→ E6・7・9→Em7)!なんていいんだろう。作りながら興奮した。この6曲にはこういう興奮箇所が満載だ。いちいち書いていたらブログ10回分になってしまう。そういうマニアがおられればいつかじっくりと喜びを分かち合いたいと思う。ともあれ、ハーリ・ヤーノシュ、旋律は平易に聞こえるが和声進行の個性は絶妙であり他の誰とも似ていない。コダーイオリジナルの天才的作品なのである。

 

フェレンツ・フリッチャイ / ベルリン放送交響楽団

haryi-tuneの自作自演盤は(僕のメモリーにないものだが本物とすると)かなり味付けが濃い。劇音楽そのものだ。コダーイの愛弟子であったフリッチャイの演奏がこれに近い。例えば第4曲のトロンボーンのグリッサンドからの表情づけ、サックスのトリル。曲尾のバスドラムも見事に「間抜け」で鳴る。僕はこれをLPで大学時代に聴き込み、CD(写真)をドイツで買った。僕にとって特別な思いのある演奏であるが、これがスタンダード名曲化する前の原型の香りをたたえた名演として皆さまにも広くお薦めできる。

ユージン・オーマンディ / フィラデルフィア管弦楽団(1961年12月28日録音、CBS)

unnamed (22)こちらは17歳の時にバルトークを買ったらいわゆる「B面」も良かったというもの。指揮者のハンガリ―名はオルマーンディ・イェネーである。現代オケのスマートな快演として評価されているがとんでもない。欧州的な音がしており随所に懐かしい香りがある名盤である。前述「歌」の練習番号2Poco piu mossoのフルートをこんなに見事に「わかって」入念に入れている指揮者は皆無である。この曲の要である管楽器のうまさはいうに及ばずだが「インテルメッツォ」のシンフォニックな弦も格別に颯爽としている(実にかっこいいのだ)。万人のスタンダードとしてお薦めしたい。

(こちらもどうぞ)

バルトーク「管弦楽のための協奏曲」Sz116

Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band

 

 

 

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世界のうまいもの(その8)-アスパラとラインガウのワイン-

2014 MAY 20 10:10:25 am by 東 賢太郎

斉藤さんがドイツへ行かれるというのでコンサートの日程等をお調べしていたら、無性に懐かしくなりました。

この時期はシュパーゲル(白アスパラ)がありますからたいへんよろしいですね。世界でいろいろおいしいものをいただく機会に恵まれましたが、あれはその中でも確実に上位にきます。スイスでもあるのですがちょっとやせてます。アスパラばっかりはどうしてもドイツでないとダメですね。旬は5~6月しかないですから今行かれるのは非常にラッキーです。僕はもうグリーンアスパラなど食べる気もしません。

代表的な盛りつけ

白アスパラは生ハムやカルトッフェルン(じゃがいも)などが添えられ、ホランデーズ・ソースなるバターソースをかけるのが一般的でしょう。この時期だけは肉類でなく白アスパラが主食の座にあるといって過言ではないようです。旬のものだから大きく太くて、初めての時はこれはどうやって食べるんだろう?と考えました。ナイフで切ると水分が出てしまうのです。周囲を見ると皆さんのどの奥まで届くほど長いのを切らずに丸のみです(女性も)。あつあつなので適度に冷めたのをいかないと火傷します。それをそこいらじゅうではふはふいって食べる。知らん人とも目と目が合ってにっこり。お行儀は今一つですが、これはドイツ人と一体感が持てる瞬間でしたね。非常にジューシーで風味も濃く、これを10本も食べればけっこう満腹感があります。僕はこれと上等の白ワインがあれば幸せで毎日のように食べていました。

ワインはラインガウ(Rheingau)のシュロス・フォルラート(Schloss Vollrad)、クロスター・エバーバッハ(Kloster Eberbach)が有名で、ライン川沿いにリースリンク種のブドウ畑が続いている丘の上にあります。ドイツは赤はおいしくなくて白になりますが、グレードに注意しなくてはなりません。僕は上位のアウスレーゼ(Auslese)しか飲みません。とりわけ、ちょっと高いですが辛口のアウスレーゼ(Trocken Auslese)は絶品でありおすすめです。高いといってもフランスの上等な銘柄に比べればずっと安く、お値打ちです。アイスヴァインというのがあり、あれもおいしいですがとても甘い食後酒です。

この2大産地では修道院で食事ができ、特にランチは雰囲気も景色も楽しめて最高です。ワインの利き酒をして買えるので、お客様をお連れするとたいがい気に入ったのをダース単位で注文されていましたね。6月末からはここでラインガウ音楽祭が開催されそこそこいいアーティストが出てきます。僕はここでゲルハルト・オピッツのピアノでベートーベンのソナタをずいぶん聴きましたが、そういう堅めの音楽がここでの食事とワインに不思議と合うというのは風土と文化というものを考えさせられました。ベートーベンがお堅いと考える方がおかしんじゃないかという風にです。それほどここではみなさん普段着のくつろぎであります。

フェーダーヴァイザーという白ワインのどぶろくみたいなのがあって、道端でおばちゃんが売ってたりします。ブドウジュースと思って飲みすぎると一気に酔っ払います。この時期しかないので探して飲んでみてください。アップフェルヴォイ(リンゴ酒)というのがありますが、まずいです。一般ツアーの観光客はだいたいこれが名物ですと飲まされてシュバインハクセという豚のすね肉なんかを食べさせられ、ドイツは飯がまずいと思い込んで帰ってくるんです。とんでもない。

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ゴルフとビールと五十肩に教わる

 

 

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世界のうまい物 -出雲編-

2014 MAR 9 17:17:32 pm by 東 賢太郎

奥出雲でいただいた食べ物シリーズです。

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まずは仁多米でしょう。米食味分析鑑定コンクールで4年連続5回目の金賞受賞というブランド米で西日本の横綱とされているそうです。寡聞にして知らなかったのですが、どこでいただいてもその食感はなかなかのものでした。砂鉄を取ると土を流してしまうので土地が削れていきます。その跡地を昔から棚田(段々畑)にして米作にも充てているので、ここはコメの名産地なのです。とにかく水がいいのとミネラル分が豊富なようでおいしいです。

 

c0afad8ef2d244a931ddf4b8f93d4b68その仁多米で炊いた香茸(こうだけ)炊き込みご飯は絶品。黒っぽいのが香茸ですが食感も香りもよろしく、ポルチーニという感じです。パスタにしてもかなりいけるでしょう。栽培ではなく自然のものを採集するので貴重品だそうで、地元で食べてしまって他県には出回らないそうです。奥出雲町長が「ゴルフをしていて林に入ってしまった時、ボールを探したら香茸を見つけました。そっちのほうがうれしかったですね。」と冗談を言われるほど。よくわかります。

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そこでいただいたお酒もとてもよろしいものでした。やはりお米と水の良さがきいていて「深山の香」なる奥出雲は簸上(ひかみ)の清酒はすっきりした口あたりで飲みやすい。このボトルもなかなかセンスがいいですね。

 

どぶろく

 

 

これはボトルからはなかなか中身が想像しにくいですね。D-269が何かと思ったら「どぶろく」でした。デザインセンスはこちらも垢抜けて格好いいと思いませんか。お味はお米の自然な風味が濃厚にあって野趣にあふれ、それでいて適度な甘みと舌触りは上品でもあります。我々が口々においしいおいしいと騒いだものですから、町長がお気遣い下さっておみやげにいただきました。恐縮です。

 

 

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次に稲田姫神社にある姫のそば ゆかり庵の蕎麦御前です。出雲そばはやや太めでコシが強く、かなりアルデンテであります。それが3段重ねのわんこになっていて食べ応え十分。蕎麦の風味が大変よろしく、それと薬味との相性が絶妙でした。もう一つ堪能したのは野菜です。どれも「土の香りがする」ようで東京で食べているのは何なのだろうと考えるほどおいしかったです。おにぎりがちょっと冷えてしまったのですが、かえって仁多米のもちもち感が出て美味でした。

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「皆美」ではランチをいただきました。小泉八雲をはじめ、里見弴、田山花袋、芥川龍之介、大町桂月、島崎藤村、与謝野寛・晶子夫妻、高濱虚子、志賀直哉、武者小路実篤、佐藤春夫、内田百間、尾崎士郎、川端康成などが来館とあります。部屋からの宍道湖のすばらしい景観はドイツ時代によく行ったライン川沿いのレストランを思い出してしまいました。庭園のある老舗でいただいた「鯛めし」は鯛と卵の白身黄身が団子のようになっていて独特のもので、東京で食べる鯛めしとはまったくちがいます。

ヨーロッパもそうですが、主食でないデザートにその国の食文化の奥深さが見て取れます。文化はお金持ちがいないと育ちませんが、食も舌の肥えたお客が長年かけて磨き上げるものでしょう。だから京都の和菓子、パリ、ミラノ、ウィーンのデザートはどれも洗練されておいしいのです。そういう基準に照らしても、出雲のスイーツは「そばぜんざい」「おはぎ」などどれも甘みを抑えた上品なもので、ここの文化度の高さが一流であることを確信させます。

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おみやげはよくわからないのでA先生の言われるままにこれを買いました。來間屋生姜糖本舗の生姜糖です。砂糖と生姜の煮汁だけのシンプルな味ですが、どこかなつかしい。これが創業300年のワザでしょうか。この見てくれも江戸時代っぽくて好きですね。今回、出雲の産品の味だけではなくデザインセンスの良さもとても印象に残りました。東京どころか世界で通用するレベルと思います。

 

 

(こちらへどうぞ)

「リーダーズ」に見た日本人の誇り

「もののけ姫」を予習する

 

 

 

 

 

 

 

横浜にて

2014 MAR 4 1:01:01 am by 東 賢太郎

まったく自分の馬鹿さ加減をうらむしかないのですが、横浜まで行きました。去年12月6日の高校クラス会の日になくしたi-phone5を加賀町警察署まで引き取りに行ったわけで今日が保管期限ぎりぎりだったのです。東横線横浜中華街駅に届いていたそうで、もう新しいのを買っていたし要らないのですがデータが心配だから仕方ないですね。使われた形跡もなし。完全に小生の過失であります。

せっかくなので先祖が両替、生糸、茶の商売をした「糸屋」があったとされる横浜南仲通二丁目を探してみることに。日銀から開港記念会館の所でなんとなく左折。困ったことに横浜というのは通りの名前のプレートがないようですね。そのあたりをしばらくふらついたのですが結局どこかわからず、寒いので中華街へ自然と足が向きました。謝甜記のお粥をかきこみ聘珍樓 本店にて肉まんとあんまんの大を購入という長年恒例のコースをたどって帰宅。

後で地図を見ると左折したところが南仲通だったことが判明。先祖に会えていました。彼は開港でやってくるイギリス人やアメリカ人相手に貿易商を営み、初期の横浜の水道やガス灯は私財で作ったそうです。八芳園には彼の茶室があります。渋沢栄一と東京証券取引所を設立し、初代の東証株主になりました。母はそれを就職するまで僕に言いませんでした。先入観を嫌ったようですが、偶然とはいえ証券会社に入ってしまうわけですから血は争えません。今日はそんな不思議な一日でした。

 

自分の血について

 

 

 

世界のうまいもの(7) ― ドイツのビットブルガー ―

2012 NOV 23 14:14:03 pm by 東 賢太郎

「フランスには246種類もチーズがあるんですよ、キミたち。そんな国が簡単にまとまるはずないでしょう。」 (シャルル・ド・ゴール大統領、野党への反論)

ドイツにはビールが5000種類あるそうである。どうしてそんな国がまとまっているのだろう。

いや、ドイツ人も本当はまとまりにくい。ビールがあるからうまくまとまっているいんじゃないかとさえ思う。そのぐらいドイツのビールはうまい。

「とりあえず、ビール!」という注文はドイツには存在しない。主役に失礼だ。缶ビール。あんなまずいものは誰も飲まない。缶ワインって、ないでしょう。コーラみたいに冷やして飲む?そりゃあまずいものを大量に売り込もうとすればそれだ。冷やせば味が分からなくなるからね。ドイツビールとアメリカや日本のビールは、完全に、別な種類の飲み物である。

このビットブルガーという銘柄。5000の1つ、もっと正確には1300ぐらいある醸造所
のうちビットブルグという町にあるブランドである。ナショナルブランドなので大都市はどこでも樽だしで飲める。僕がこれを好きになったのは、アルテオーパー(コンサートホール)裏にあるので毎週飲んでいたからだ。

ピルスナーという北ドイツに多い種類で、日本人には飲みやすいスキッとした味だ。まず、何よりクリームのような泡の口触りがいい。ひとくち目に感じる香りは上質のパンのようで、まさに麦からできているんだと実感する。舌にころがるやわらかいまろみ、コク、これを知ってしまうと日本のビールは清涼飲料水なんだ、水なんだと自分に言い聞かせて飲むしかなくなってしまうのだ。そして、飲み込むとホップの苦みがほのかに残る。そして、この後味とヴルスト(ソーセージ)、ザウワークラウト(キャベツの酢漬け)が絶妙に調和するのである。残念ながら、これは写真にある窯で自家醸造したナマ状態でないと味わえない至福の味。ビンでも全然ダメ。すみません、行って飲んでください。

「ドイツ料理はまずい」、これは 「ドイツ人は日本人に似ている」 と同様に日本人が抱いている強固なドイツ2大偏見であり、どちらも同じぐらい間違っている。ツアーで行って駅前の観光客用レストランで安物の豚のすね肉なんかを食べさせられて帰国すればそういう感想が定着するのは不可避であり、僕もフランクフルトに赴任する前はそう思っていた。しかし住んでいるうちにスーパーのお酢売り場で酢が何十種類も並んでいるのを見た。味がわからん人がこんなにお酢にこだわるだろうか?

フランクフルトでは毎週末のように家から歩いて行けるヴァルドハウス(森の家亭)に家族でぶらっと行った。ビール、ニュルンベルガ―・ヴルスト、ザウワークラウト、そしてカルトッフェルン・ザラート(ポテトサラダ)が僕の定番。この ”カルテット”  を一度で 「まいうー」 という芸人は絶対にいないだろう。どれ一品でもダメ、どれが抜けてもダメ。まさに四重奏なのだ。この絶妙のコンビネーションのうまさがわかるようになるまで僕は1年かかった。そしてドイツ人の気持ちが少し理解できるようになった。

彼らは正装に近い服装で森の中を歩く。アンケートで趣味の1位はこれ、ヴァンデルンである。散歩でも山歩きでもトレッキングでもジョギングでもない。ヴァンデルン。スポーツではない。上品な老夫婦がスーツに蝶ネクタイ、ロングスカートのようないでたちでゆっくりゆっくり自然に溶け込んで歩く。何時間もそれを楽しんで腹が減ったら”カルテット”で休憩。コーヒーを楽しんでそして腹ごなしにまたヴァンデルン。右はヴァンデルンお楽しみ中のグスタフ・マーラーである。フルトヴェングラーやシューリヒトにもそういう写真があったっけ。これがドイツ人である。

見上げると森の間から木漏れ日が差し込み、そよ風が吹くとそれがふっと途切れて雲がさしかかり森の暗さが増す。まさにそんな雰囲気に満ちているのがブラームスやブルックナーの音楽だ。まさにヴァンデルンの心象風景。これはフランス人にはわからんだろう、無理だなーと思う。

隣のドイツには5000種類のビールだけじゃない。ソーセージだって800種類もあるんだ。246種類のチーズでビビってるド・ゴール君。やっぱりキミはダメだね。

フランスの野党がこう切り返したという話は聞かない。

 

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世界のうまいもの(6)-イギリスのブルー・スティルトン-

2012 OCT 23 13:13:32 pm by 東 賢太郎

ブルーチーズがお好きでない方は無視してください。

ロンドンに6年いて最もうまいと思ったもののひとつです。以来、今でもこれなしには生きていけません。イタリアのゴルゴンゾーラ、フランスのロックフォールと並び世界3大ブルーチーズと言われます。ロックフォールだけは羊乳です。写真はウィキペディア(Dominik Hundhammer氏)よりお借りしました。

好きずきですが、僕にとって他の2つと同じジャンルでくくるのもどうかと思われるほど、別なものです。重くてクリーミーで濃厚。複雑にブレンドされたえも言えぬ熟成味があって、チーズ界の納豆といえましょう(納豆がダメな方、無視してください)。

青カビの分量とチーズそのものの風味、塩分、熟成期間で味が大きく違います。青カビが少ないのはだいたい安物ですが、多すぎるとややツーンという刺激が強く、バランスが大変微妙です。ロンドンのハロッズで売っているものが安心でしょう。僕は行くと1kg位買ってきます。

正統派の食べ方はポートワインとということになっています。たしかに英国人はそうすすめますが、甘いのでどうも僕はダメで、

(さらに…)

世界のうまいもの(5)-香港 天香楼-

2012 OCT 11 11:11:33 am by 東 賢太郎

天香楼(てんこうろう)
電話 2368-9660 / 2366-2414
18C Austin Avenue., TST, Kowloon

知っている人は知っている。写真は検索すればいくらものっているのでそちらをご覧いただきたい。老舗の杭州料理店で香港島ではなくカウルーン側にある。見かけはB級中華料理店とかわらない。しかし中国元首相である李鵬氏のお気に入りの店でもある。

棒々鶏は予約がいる。高い。一種のショーである。こんなものはどこで食べてもそう変わらないので、予算2万円以下で済ませたい方はやめたほうがいい。また、一般にここはカニみそ麺が有名になっていて、日本人のブログなどにもたくさん紹介されている。しかし高い。しかもうまいのは上海蟹であって麺ではない。

上海蟹は11月の大きい雌(産卵前のみ)がうまい。雄はだめである。ここの蟹は金持ち用に特上のが入っている。足は食べないで捨て、大きい(重い)のを5-6匹、味噌だけ食べる。これが最高の贅沢であり、これで充分。しかし上海蟹も最近は日本でいいものが食べられる。わざわざここで食べなくても、という気もする。

トンポーロー(絶品!)

 

ここで食べるべきは東坡肉(トンポーロー、豚の角煮)である。滞在した2年半に各所で食べたが、これはここがベストである。杭州料理店であるので豆苗や田うなぎなど日本で本物が食べられないものを食べたほうがいいと僕は思う。僕がいた当時(1997-2000)は接待だったので「ショーもの」をいれて1人3万円はいった。杭州料理に徹すれば1万円いかないのではないか。

 

世界のうまいもの(その4)-マルセイユのブイヤベース-

2012 OCT 1 17:17:37 pm by 東 賢太郎

 このレストラン、名前は Le Petit Nice (ル・プチ・ニース)ですがニースではなくマルセイユにあります。ヨーロッパに11年半いましたから南欧は何度も行きました。南欧と言っても広いのですが、僕はイタリアでもフランスでもギリシャでもスペインでもなく、地中海好きです。

マルセイユでブイヤベースは単なる庶民の魚介スープですが、うまいです。あれはこういうレストランでは頼めないでしょう。もう20年ぐらい前ですがこのレストランで食べたのは羊の脳みそ料理です。こんないい所でそんな妙なものをと今だったら思うのですが、若かったので万事好奇心先行でした。うまかったので今でも覚えています。

ここはホテルでもあり、海が眼下にバーンと見える部屋で1泊しました。一生忘れない光景です。南欧にご旅行されるならニース、カンヌもいいですが、ここか城壁の町サン・ポール・ド・ヴァンス(St-Paul de Vence) に1泊されることを強くお勧めします。ちなみにプチ・ニースは当時ミシュラン1つ星でしたが、最近3つ星をとったそうです。あまり有名になってほしくないなと複雑な気持ちです。

 

 

 

 

世界のうまいもの(その3)-フィラデルフィアのホーギー-

2012 SEP 30 16:16:11 pm by 東 賢太郎

フィラデルフィアといえばこれ。

名はホーギー(Hoagie)という。

50センチはあるイタリアンロールに、ハム、サラミ、チーズ、レタス、タマネギなどをはさみドレッシングをかける。写真のように切ってもらって食べる。

似たものをニューヨークではサブマリンと言っているが、食べてみると味は違う。ぜんぜん別な食べ物だ。

ペンシルバニア大学ウォートン・スクールに社費留学生として学んだのは1982-84のこと。いわゆるMBA (経営学修士号)をとった。行った当時26歳で月給は手取り20万円ちょっと。為替が240円だったからひと月1000ドルもなかった。今なら8万円だ!これで妻と暮らしていたのだから、まさに赤貧の学生生活だった。

部屋でスパゲッティにラグーソースが定番。源氏という日本食レストランがあったが定食が10ドルぐらいと論外の高さ。日本の食材も高い。だから部屋でライスを炊いてもらって簡単なおかずで食べる以外、まともな日本料理などというものはほぼ味を忘れかけていた。

たまの外食はマックだ。サラダが食べ放題だから栄養補給と言う意味でも大事だった。ただしビッグマックは4ドルぐらいして高嶺の花。週に1度でがまんした。今でも日本で「ビッグマック」と注文するときは、手に汗を握ってしまう自分を発見する。

そんなとき、お世話になったのがこのホーギーだった。授業の合間、夜、夜食。何回食べたか想像もつかない。2ドルぐらいと安い。味は見かけよりずっとうまい。パン、肉、野菜、ドレッシング、チーズのハーモニーの妙だ。腹持ちもいい。

ウォートンの勉強は大変だった。地獄にちかい。人生あんなに勉強したことないし、もう1回やれと言われてもいやだ。でもキャンパスライフは楽しかった。アメリカっていいなあと思った。クラスにいいやつもいっぱいいて、夜中までホーギーを片手にバーで議論したりした。彼らが語った人生の夢はその後の僕の人生観に大きく影響している。

 

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