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ハンヌ・リントゥのシベリウス交響曲第1・6番を聴く

2015 OCT 13 0:00:12 am by 東 賢太郎

中島さんのステージが終了したのが4時すぎで、そこから錦糸町のすみだトリフォニーホールに駆けつけました。昨日は京都で一泊して夜遅く帰宅しかなり疲れておりました。最近は疲れると平気で寝てしまうので油断なりません。薬屋でカフェインを買ってのぞみました。

ハンヌ・リントゥ指揮新日本フィルの演奏会で、交響詩「大洋の女神」、交響曲第6番、同第1番という魅力的なプログラムでした。これはシベリウス交響曲全曲シリーズの2回目で、全部買っていたのですが1回目の2番、3番、4番は先日にウィーン・フィルと重なって無念にも行けなかったのです。

このホールは2、3度きいたのですがあんまり印象はなく、今回は席が良かったせいか東京のホールにしては異例なほど音響そのものも楽しめました。何度も書いてますがこれは重要なことで、いくらウィーン・フィルでもサントリーホールのあそこじゃどうもということがあります。

交響詩「大洋の女神」が鳴り始めて、デリケートな音の良さに耳がそばだちます。この曲、実演は初めて聴きますが冒頭の管弦の軽い羽毛のような質感の響きがいいですね。フルートも美しい。これを聴いただけで、ああ来てよかったなと思うのです。健康を取り戻した第5交響曲のころの作品であり第2交響曲の響きもあり、ラヴェルのダフニスを思わせる光彩もある。好きな曲です。

オーマンディーは1番を振っているがカラヤンは振っていない。それはわかるが第6交響曲はカラヤンが振ってオーマンディーは振っていない。3,6番は彼はよく理解できなかったとのことで不思議であります。さてリントゥの6番ですが、やはり弦が入念に磨かれて美しく清澄で(この曲はそれが命だ)、広がりも凝集感もある上質の演奏でした。こういう精妙な演奏の細部まで良いバランスで聴こえ、このホールはなかなかのもの。先日2,4番の練習を見ていて、リントゥの引き締まった指揮は6番にはどうかなと思いましたが、詩的なものへの感性も高くむしろ向いてました。アレグロの律動は筋肉質で、こういうリズムへの綿密な配慮がないとシベリウスはふやけて聞こえます。総じて発音が良い。楽しめました。

さて休憩後の第1交響曲ですが、何度も聴いてますが、チャイコフスキー、メンデルスゾーン、ブルックナー、ワーグナーをごちゃ混ぜにしたようなロマン派風音楽であり、僕がシベリウスに求めるものは殆ど希薄です。それゆえ7曲の中では最も聴かないもの。ところがこれが今日は大変に素晴らしく、人生で初めて、とうとう思いもしなかった第1番に感動したのでした。この年にしてこれは記念碑的なことです。リントゥの曲へのグリップが強く、オケがその振幅の大きくてメリハリの明確なコンセプトに心服して全力で弾いたという印象でした。何でも初めてというのはいいもんです。有難うございます。

シリアスな音楽にシリアスに真摯に立ち向かったのに大変好感を覚えました。新日本フィルはもっと聴いてみたいですね。非常に上質でグレードの高い演奏会でありました。

 

 

最後にリハーサルの時のハンヌ・リントゥ氏の写真です。11月2日に第3回として、今度は手兵のフィンランド放送響で5番、7番、タピオラがあります。サントリーホールではありますが、非常に楽しみになりました。
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Categories:______シベリウス, ______演奏会の感想, クラシック音楽

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