某企業グループ総帥との会談
2014 MAY 24 20:20:44 pm by 東 賢太郎
昨日はもう一つ、某企業グループ総帥である会長と1時間ほど話しました。書ける話だけ書きます。
まずは1兆円ぐらい資産のある会社買収の話。まだわからないが有力候補であり成立すればバフェットみたいなことができるとのこと。これはすごい、是非やって欲しい。いやはや、いつもながらスケールが大きい方です。それから先日のオバマ大統領歴訪のおりに1対5で食事をされ、「米国でシェールガス田開発に投資する」といったら大変喜んで「オープニングセレモニーに出よう」とまで言われたそうです。さらに「どこに売るのか?」と聞かれ「中国です」と答えると「それがベストだ!」とますます喜んだそうです。会長にどうしてシェールガスにそこまで自信を持ったかうかがいました。
「あるテキサスの候補地を視察したら、人工の湖だったんだ。対岸まで何キロもある海みたいな。何だと思ったらその湖底に塩の層があって、そこに地下何キロという天然の巨大な空洞ができている。掘ったシェールガスはその空洞に入れておいて必要な分量だけ水を注入すればボコボコと出てくる。だからタンクが不要で貯蔵コストはゼロで事故の心配もない。あれを見て、こりゃあ絶対にかなわないと覚悟を決めたんだよ。」
エネルギーを制する者が世界を制します。オバマ曰くシェールガスは7ドルまでならぎりぎりペイするそうで、中国は埋蔵量はあるが深すぎてコストが高く7ドルは無理だ、だから巨大な市場になるのでどんどん売りつけたい。欧州はポーランドで掘るようにしてロシアのガスが売れなくしたい(ウクライナ報復したい)。これはアメリカの国家機密だったのかな?まあ知る人ぞ知るだろうしいいでしょう。
ところが、その話をどの日本の大企業トップにしても「すごいですなあ」で終わりだそうです。世界一高い電気代を払わされているのにお気楽なもんです。ありゃあだめだねとのこと。会長によると石油の時代はもう完全に終わっていてアメリカが数年後にはガスで世界のエネルギー大国になるのは確実、もはやネックはロッキー山脈をどう越すかだけだそうです。そこまで肌で分かっている経営者が何人いるか・・・。
危機感があるのは日本の化学会社、プラント会社。単独では生き残りすらかかる話なので経営の舵を大きく切ってグローバルコンソーシアムという方向があり得ると強調されました。会長の会社は本業は業界こそ違いますが東芝より売り上げが少し大きい規模で、これまでの実績からリーダー格になるでしょう。グループの建設会社の社名に engineering を加えたそうです。
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金(ゴールド)の価値について
2014 MAY 15 19:19:48 pm by 東 賢太郎
現在、地上にある金の総量は165,600トンである。50メートルのオリンピックプールにして約3.5杯分に相当する量であり、これを全部買うとすると1gあたり4600円として762兆円が必要になる。馬鹿なことを考えるなと言われそうだが、その62.5%は宝飾品、工芸品だから476兆円は現に誰かに「愛でるために買われている」のである。政府保有は17.5%、民間投資用は17.9%しかない。いかに「民間の実需」が大きいかがわかる。
日本国の今年3月末の国債残高は854兆円である。金は765トンしか持っていない。たったの3.5兆円、国債残高の0.4%でしかない。金価格は2000年から約5倍になっている。金という資産はおカネ(紙幣)が危ない時、つまりインフレや通貨危機の時の古典的な駆け込み寺である。だから個人は当然持っていたほうがいいが、おカネが危ない時は国家財政も危ないのだから、国家だって金を保有する理が通るのだ。ところが日本国は危機意識がないのか金融音痴なのか、やっていない。ドイツは日本の4.5倍、破たんの瀬戸際だったイタリアだって3.2倍もっているのである。
前回の「ビットコインの未来は?」において、
制度や仕組みというものが社会に定着するかどうか?それを判定する3つの尺度は ①有用性(utility)②耐久性(durability)③永続性(sustainability)
と書いた。この法則は、モノの価値にも当てはまる。
①有用性
金は美しい。まず色がきれいだ。太陽光のイメージがある壮麗なきらめきは王の権威の象徴にぴったりだ。女性には高貴さと輝きを与えるだろう。だから王族は金の装飾品を身にまとい黄金の宮殿に住まい、あらゆる信仰の対象に金箔をほどこそうとする。だから太古の昔より世界中で絶大なディマンド(需要)がある。
②耐久性
化学変化せず安定 展延性、耐酸性、伝導性に優れ、錆びない。だから物質として朽ち果てることはなく美しさも永遠に色あせない。
③永続性
人間の手では作れない。採掘は毎年ほぼ2500トン程度で総量の1.5%しかない。だから①のディマンドが減らない限り価値が大幅に希薄化することがなく、②の性質ゆえに財産の保存という別なディマンドも発生し、それも永続する可能性がある。
つまり、金は社会に定着して価値があり続けるための「3種の神器」を所有している地球上ではきわめて稀な物質である。①が大きいことは総額の762兆円の62.5%が民間の実需であることでほぼ保障されていると考えてもよく、その大きさと永続性を考慮すればウルトラレアメタルに相違ない。地球上の金融資産総額はデリバティブを入れると兆を超えて京の単位になっている。そんなものはただの紙になるかもしれないし、その紙のお値段というものは、これも紙になるかもしれない米ドルや円でついているのである。
そのような砂上の楼閣の類で自分の金融資産を保全しようと真面目に考えている資産家は世界のどこにもいない。紙幣も紙なら同じく国家の借金証文である国債も紙である。そういう感覚がないのはガラパゴス日本の資産家、投資家だけである。そうでなければ854兆円の90%以上もが国内だけで売れる国などあるはずがない。いや自分は銀行預金してるから大丈夫?とんでもない。銀行は預金で集めたお金の70-80%は国債を買っているのだ。国債が売れなくなって外人に空売りでもされれば破たんする銀行が確実に出る。そうなれば預金はよくても1千万円しか返ってこないだろう。いや、その時はその1千万円だって牛丼が何杯食べられるか程度の価値になっているかもしれないが。
2000年から金価格が5倍というのは、金の価値(①のディマンド)はほとんど変わっていないのだから、おカネのほうが5分の1になった、つまり紙きれに近づいたということを確実に意味しているのである。世の中は金投資と呼ぶ。アジアで最も早く資本主義を実践したにもかかわらず、日本人は大学教授クラスのインテリに至るまで投資と投機がほぼ同義と思っている人が非常に多い点で、それがずっと遅れた中国の一般大衆となんら変わらない。しかし中国人はその違いはまだ知らないが、それと保全の違いは知っているから日本人より進んでいる。政府を信用していないからである。4600円で買ったのが上がるか下がるか。そういう考えで金を見るのはまったくお門違いである。日本人および日本国、日本の地公体は金保有を真剣に検討すべきである。
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ビットコインの未来は?
2014 MAY 14 15:15:53 pm by 東 賢太郎
に次回書きますと予告した答え、それは「ネット上の仮想通貨」です。数ある中で最も有名なのがビットコイン(BC)でしょう。通貨は貨幣と違って政府が受け取りを強制したものをいいます。だからBCは正確には仮想貨幣というべきですが、強制されなくても使われるのは理由があります。
制度や仕組みというものが社会に定着するかどうか?それを判定する3つの尺度があります。①有用性(utility)②耐久性(durability)③永続性(sustainability)です。Mt.Gox社が破たんしてどうもいかがわしいというのが一般の理解と思いますが、そうではないと思われます。①は二重丸、②も一重丸はつけられるからです。
①の有用性、つまり「役に立つ」ということですが、これは大きなものです。なぜか?海外送金に銀行が不要になるからです。実際やったことがある方はわかるでしょう。僕も持っていた土地を外人に売ったことがあって、送金してもらう手間、コスト、所要時間、情報のなさに参った経験があります。遅い、高い、不透明なのです。BCはこれが10分でできて為替手数料もゼロです。電話の世界でむかし1分5千円もした海外通話がスカイプ等にシェアを食われたのと同じことがこれから起こります。
マイクロ・ペイメントという有用性もあります。ネットのコンテンツ課金は100円の振込手数料以下の金額では意味がありません。だからコンテンツ無料で広告料課金というワンパターンのビジネスモデルしか成り立たないのが現状です。i-tuneも1曲150-250円取らないとペイしません。しかし銀行を通さなければワンクリック1円の課金でもできますからネットビジネスのすそ野を広げるだけでなく、コンテンツの質を向上させるという効果も現れるでしょう。
アングラマネーを呼び込むという負の側面ばかり報道されますが、以上の2点という正の側面からの潜在需要は概算ですが5-10兆円存在する可能性があります。経済の効率化による副次効果がそれに上乗せされます。政府、中央銀行がBCを禁止したり規制するのはインターネットを禁じない限り技術的に困難と言われており、そうしようと試みるような国家からは資金が逃避するでしょうが皮肉なことにその逃避(キャピタル・フライト)にこそBCがうってつけなのです。
預金封鎖する前にBCを取り締まることが可能かどうかというゲームに負けるとその国家は資本が流出して通貨は売られて危機的状況になるリスクを負います。現にキプロスでそれがおきました。だから世界中の国でBCを潰すのではなくディファクトを創ろうという方向にかじを切る可能性が高く、現在我が国(自民党)もその方向と聞いています。10兆円の需要をBCだけで吸収すればコインの価格は上がってしまいますから、そこには新規参入者が増える余地があります。①は疑いなく巨大なのです。
②が一重丸というのはMt.Gox社破たんのように耐久性にやや疑問あり(脆弱性があるといいます)ということです。しかしこの事件は両替所が潰れたというだけで制度そのものの根幹を棄損したわけではありません。むしろ問題は③にあり、BCは永続性がないかもしれないという点こそ重要です。BCとは「コイン」ではなくネット上のデータです。データの授受(=送金、決済)がブロックチェーン(公開帳簿)に開示され、データが改ざんされていないことを第3者が競って証明(承認)することで取引が正しく成立します。
この証明とは多くの人が「ハッシュ関数」という数学パズルを解き、一番早かった人に報酬が与えられるという仕組みで、それによってセキュリティが守られています。これを「採掘」(マイニング)と呼びます。しかしBCの発行量は2100万で打ち止めであり、採掘は多くの高性能コンピューターと電気代を要し、一部のプロやファンドが独占しつつあります。採掘コストは上がり、当たり率は低下するので採掘者のインセンティブが次第に落ち、攻撃者が結託すればセキュリティを脅かす可能性もあります。だから③「永続性」はクエスチョンマークがつくのです。
BCは証明に10分かかるというのも有用性のネックですね。スーパーのレジで次の人を10分待たせるのは無理でしょう。だから僕はハッシュ関数方式のBCはスタンダードにならないという考えを現在は持っています。しかしネット仮想通貨はBCだけではありません。もっと有望なのがいくつかあります。現在調査中ですが、そのどれかが貿易に限らず世界の決済システムを根底から変える可能性は非常に高いでしょう。
日本は取り組みが遅れ気味です。2008年ごろサイバーキャッシュという概念による決済代行サービスが現れましたが失敗しました。クレジットカード決済が進んでいない中小eーコマース向けの付け焼刃のビジネスだったからです。ところがブロードバンド化が進んで決済の電子化がやりやすくなり、スマホの登場でインターネット・ユビキタスの状態が日常化しつつあります。
クレジットカードというのはインターネット出現以前の仕組みです。だから昭和のにおいのする決済端末が出てくるのです。Edyやsuicaのようなプリペイド型電子マネーにクレジット機能があれば足りるしそのマネーが仮想通貨であってもいいわけです。ここは今後5年で急速に進化するビジネス領域でしょう。個人的に大変興味があり目下研究中であります。
「信用資本主義」を宣言する!
2014 MAY 6 0:00:30 am by 東 賢太郎
今日、プラネットダイナソーなる恐竜の番組を見ていて思いました。恐竜がなぜ滅んだか?です。
大きいことがいいことだ、ではない。これは生物進化の常識です。捕食者として大きく強く進化するより環境適応した方が生きのびる確率は高い。だから哺乳類が強くなった。これは知っていました。しかし番組によると恐竜は、恐竜という種の中でちゃんとそれをやっています。歯の形を変えたり、肉食を草食に変えたり、小型種になって木に登ったり空を飛んだり。ちゃんと適応種が出ています。それなのに絶滅したわけです。
ということは、生物進化の常識があてはまらない事件がおこってそうなったのではないか?それは一応科学的に証明されたと言われていて、メキシコのユカタン半島に巨大な隕石が落ち、気候が急変したことがその「事件」となっています。それを見た者はないわけだから証拠を得て証明しなくてはなりません。犯罪捜査に似ていますね。殺人事件現場をしらみつぶしに調べて、煙草の吸殻や髪の毛から犯人を指摘するシャーロック・ホームズみたいな努力が必要です。
あいつがくさいぞ、あいつが犯人にちがいないという予見で捜査しておいて、理屈に合わない証拠が出てくるとストーリーに合うように加工ねつ造してしまうというのは、犯罪捜査においてはそれも犯罪、科学調査においては科学者資格はく奪に値する神の冒涜行為と僕は思います。ホームズのような推理小説の世界においては、証拠がそこまで科学的意味で自明に犯人を指し示すのは「オランダ靴の謎」など少数しかありません。だから犯人の自白や自殺で帳尻を合わせるなどがっかりのケースが多いのですが、事実を証明する現場が小説より奇ではいけませんね。
恐竜を殺した犯人は自白はしてくれません。だから証拠が自明に、ロジックの完璧さをもって語らないといけません。隕石説はそうでないとエセ科学にも聞こえてしまう。いろいろ調べていたら松井 孝典博士のサイトにあたりました。これを見て下さい。
「6550年前に直径10-20kmの隕石が秒速20-30kmでユカタン半島に衝突して瞬時に直径100km、深さ30kmのクレーターを作り、高さ300mの津波がおこり硫黄酸化物が作る雲が太陽光を遮った」という隕石という犯人と犯行方法が指摘されていますね。地球生成時にあったイリジウムという重い元素はあるメカニズムによって全部地殻に沈んでいるのにこの6550万年前の地層にだけ見つかる、その総量から隕石の大きさが逆算できて衝突インパクトが計算できるなど、犯人指摘のプロセスはエラリー・クイーンのミステリーなみにわくわくします。
ところでいま、世界経済は物質的経済成長の持続が期待できなくなる時代、何度も書きますが「200年続いた産業革命期の終焉」にさしかかっています。氷河期が襲って成長という地球上の食物が少なくなるようなものです。その環境変化の大きさは恐竜を絶滅させた気候変化に匹敵します。だから大きい動物が生態系の頂点にある時代は終わります。大型草食獣の代表だった中国がだんだん食えなくなって肉食化し、肉食獣の王者だった米国はだんだん衰弱しています。そして両国ともいずれ大きさという壁に当たります。恐竜の後に恐竜はもう出なかったのです。小型獣ながら適応力抜群である日本は、6550万年前の哺乳類の位置にいます。地球を制覇したのは、小さかった我々哺乳類だったのです。
その日本。東北大震災では若者たちが避難警報を無視して命がけで流されたお年寄りを救う画像が流れました。それを見た韓国では信じられないという書き込みがあふれました。韓国船の船長をあげつらう気も擁護する気もありません。むしろああいう若者がそこかしこにいる日本のほうが世界では希少なのです。落した大金が手つかずで戻ってくる世界唯一の国です。あるおばあちゃんが日立の株を買ってくれたことがあります。「来年はあんまり業績は良くないですよ」と申し上げると、「いいえ、下がってもいいんですよ。孫が日立にはいったもんですからね。」 胸にじーんときました。こういう投資家がいることを経済学の教科書は想定していません。
韓国人や米国人が驚くような日本文化。それは風呂敷に象徴されるように江戸時代までもっと適応力がありました。ところが薩長の明治政府が天皇の権威を支配して富国強兵という大目標をたて、それにむけて突っ走ることで環境適応力を自らどんどん失いました。風呂敷文化がカバン文化になってしまったのです。敵の戦力の値踏みすらできなくなったその挙句が第2次大戦敗戦です。そして敗戦国の屈辱のなか、廃仏毀釈どころか自虐にすら走るという信じ難い国ができあがりました。こういう国も、世界史の教科書にはのっていません。
国家の仕事、国家しかやりえないことは外交と防衛です。これを安倍政権が懸命にするのは本来の仕事として当然のことでしょう。それ以外の仕事を国は減らして地方政府に任せればいい。財政収支を自活させるには江戸時代まであった「藩札」を復活させればいいのです。ギリシャが財政破たんしたのは、国力が落ちれば為替レートがちゃんと下がって観光客が増え、税収を増やしてくれるドラクマという自国通貨を放棄してユーロに参加するという安易な道を選んだからです。日本の県も円という統一通貨で財政を行うから同じことになっているという見方をしてみたらどうでしょう。
国民の側も、なんでもかんでも国にやってもらおうというのはまちがい。地方は地方でやり方次第でいくらでも国際化の道は開けます。日本ほど観光、歴史、温泉、グルメなど外人が興味を持つ資源を地方がどこでも潤沢に持っている国はそうはありません。東京にそれを宣伝してもらうのでなく、東京よりもグローバルな方法を自分であみだせばいい。僕はいくらでもそういうプランを描けます。というのは、第3の矢の経済成長は本来国家にはできないことなのです。たとえば少子化担当大臣というのがいます。この人はいったい何をするんでしょう?お見合いや合コンや強精ドリンクの手配でもするんだろうか。問題意識を持っているのはいいことだが、そんなことを国が目標に掲げて成果が出ると本気で思っているんでしょうか。
大なり小なり、第3の矢はこれと同じく滑稽のにおいがするのです。それは若者の結婚や子づくりと同じことで、企業がビジネスとして自分でその気にならないのならいくら日銀が金利を下げても誰も借りないのと一緒です。役所が机の上で考えたビジネスプランに命の次に大事なお金を出資しようなどという企業家はあまりいないでしょう。一番効果があるのは、法人税率を下げ、政府が民間に道を開いて規制緩和をすることなのです。そうして企業が収益を自力であげる機会を増やし、そこで働く夫婦がもうひとり子供がいてもいいと思うようにしてあげれば一石二鳥なのです。それが政府にとっても良い結果になる。なぜなら、日本が持ち前の環境適応力を最大に発揮し、新しい世界環境で生き残る道が開けることにもなるからです。
そこで企業が採る道として僕は「信用資本主義」ということばを提唱します。これが東北大震災という試練をのりこえ、人の「絆」というものの大切さを世界の誰よりも知った日本の財産です。犠牲になられた多くの尊い命のまえで、それを国のため、次の世代のために大事に生かしていくことを誓うことこそ我々のすべきことです。「信用」とは人と人が信頼でつながることで、もっと良いものを生み出す力を何よりも秘めています。信用ができないから契約するのです。契約したから義務としてするのではなく、信用され、信用したから真心をもってする。絆とは心と心のつながりです。だから契約より強いのです。これは古来日本人の持つ社会観、道徳観であり、これを自然にできるのは世界で日本人だけです。オンリーワンの国が負けるはずがありません。信用を根っこにして積み上げていく資本主義を僕は自分のビジネスとして、言うだけではなく有言実行したいと思います。
私見 次世代の勝ち組産業
2014 APR 23 16:16:28 pm by 東 賢太郎
アガサ・クリスティが「考古学者の夫を持つといいことがあります。齢をとるほど奥さんを大事にしてくれますから」といったとか。
クラシックを考古学者ばかりが聞いているわけではありませんが、録音が古い昔の演奏だから価値がなくなるわけではないというのは一緒です。古いというのは作曲家の時代に近いということですからオーセンティック(authentic)である、つまり由緒正しいという付加価値がある気がするからです。もちろんそれは気だけかもしれず、ベートーベン本人の録音があるわけではないのですから186年前に死んだ彼の曲を80年前に演奏したのがauthenticかどうかは甚だ疑問があります。それでも彼のソナタを二十歳のピアニストが弾いたものよりバックハウスが残したモノーラル録音の方が由緒あるように聞こえてしまうというのは古典芸能であるクラシック音楽好きの性(さが)ではないでしょうか。
最近はyoutubeで昔の大指揮者やソリストの演奏がただで聴けます。著作権切れという法律的な事情で実は一番価値がありそうなものが無料で提供されるというのはおかしな世界です。それを享受する側には朗報なのですが、そういう名人たちのまったく同じ録音を何万円も出して買っていた僕らの世代からすると、どうも世の中の価値観の方が変になっているぞという気がします。クラシック音楽に限らずあらゆる古典というもの、能・狂言、歌舞伎、論語、万葉集、シェークスピアなどを味わうことは「温故知新」というプロセスそのものなのだと思います。だから論語はおろか温故知新の意味が分からない人が増えてそういう現象が起きていると解していいのかもしれません。
ところがその僕も最近はi-tuneで電子的に音源を購入することが増えました。CDという物体を買わずに済ますのはどこか物足りないのですが、いいこともあります。収納スペースが不要ということです。僕のように7千枚もCDがあると収納庫も半端ではありません。それがパソコン1台で足りるというのは、そういうものだと覚悟さえしてしまえば楽な時代といえるかもしれません。断捨離という言葉があるそうですが、「温故」をほどほどにして「知新」に徹してしまえば自分の生活のバランスシートががらりと変わるということを意味しているのかもしれません。
明治時代にそういうことがありました。徳川時代の否定です。それはちょんまげを切ることから廃仏毀釈にまで至りました。そのように、その時代や分野において当然のことと考え られていた認識や思想、社会全体の価値観などが大きく変化することをパラダイムシフトといいますが、僕の温故知新への考え方の変化は何か目に見えないパラダイムシフトが引き起こしているのではないか、最近そういう思いが強くなっています。それはおそらくインターネットの普及が社会にもたらした変化のうちでも、海洋深層水のように最も「根っこ」の部分で静かに起きているものあり、したがって最も根強い変化ではないかと感じます。
たとえばSMCを一日に1万7千人もの人が読む時が到来するなど、開始した1年半前には想像どころかSF的空想すらしていませんでした。インターネットのレバレッジ効果に驚くと同時に、その手ごたえは自分の感覚の最も根っこの部分にじわりと残って考え方の変換を迫るほどのパンチ力があったように思います。いま僕の頭には「アセットを持たない時代」というテーマが強く浮かんできています。これはビジネスにも投資にも重要なパラダイムシフトを要求するテーマであります。CD7千枚を捨てろということですから。どういうことか簡略にご説明しましょう。
産業革命以来の人類に生活革命をもたらす技術や製品が枯渇したいま、巨大な生産力を持つことの優位性は減少しています。価値観は多様化して均一の商品を大量消費する消費者も減っています。ということは資本の大きさが利潤を保証する時代ではないということです。資本を積んでバランスシートを大きくすれば良いという勝利の方程式がくずれ、かえって資本コスト、在庫リスクがかさんで損をする可能性すら出てきました。ある意味で最大の資本家でもある政府セクターが大赤字の時代なのです。資本家が損をするかもしれない世界で資本家と労働者という対立概念から派生した経済学を語ってもあまり将来の予見性は期待できないと思われます。
産業革命の波動の中で生まれた体制は、新技術、新製品がなければ利潤が得られずアンシャンレジームとなって必ず崩壊します。資本主義がなくなるわけではありませんが、変質します。それは新興国の台頭とインターネットの普及が旧体制のアービトレージを引き起こすという形で進行し、その最大の被害者は最大の受益者であった米国になります。だからいま米国は新興国いじめに走り前者の芽を摘もうとしています。しかし後者を止められる者は米国自身を含めもはや世界のどこにも存在しません。新興SNSのアクセス数が数年で大手新聞の発行部数を抜いてしまい、大統領選を左右するような現象が近未来的に起きることでしょう。
新しい資本主義の「資本」は金銭だけではなくなります。それは「信用」でつながった個人の鎖(チェーン)になります。これを信用連鎖と呼びましょう。いまフェースブックが ”おぼろげに” 作っているものがそれです。なぜおぼろげか?お金をやり取りしあうほどの信用ではないからです。お金が移動しないレベルの信用は精神的価値ではあっても、経済学的に捕捉できる価値ではありません。信用連鎖がそのレベルまでアップグレードすると初めて経済的価値を伴った資本主義の変質がおこります。
例えばオンライン・ショッピングは皆がショップを信用してこそ大規模に成り立ちます。アマゾンは信用連鎖のハブという価値をインターネット上に創造して、対面でない方法でお金を移動させ、その対価として利益を得ているのです。なぜハブに価値があるか?個々の業者の信用(a)、業者の数(b)、アマゾンの信用(c)としてa×b<cだからです。このc-(a×b)こそ信用連鎖のハブの価値であり、当初は商品展示場としての便利さや価格競争力がその源泉と思われていましたが現在では決済の安全が価値の大半を占めていると思われます。ということはインターネット決済の方法、個人の信用確認の方法がさらに進化すればいずれa×b=cに近づくことが予想され、アマゾンや楽天の利益は消滅します。
かように、ネット時代の勝ち組企業と信じられているものでもインターネットという原理の強大な浸食力に一時的に乗っかっているだけであり、原理の導く最終到達点に位置しなければ過渡期的業態として消える可能性があるということを指摘しておきたいと思います。いかなる国家権力も規制ができないインターネットは、海の波が静かに岩に穴を穿つように、原理的、不可逆的に確実に到達点に達するでしょう。この到達点がいつどこにどう存在するのか?それは波の強さと岩の性質が決めることで誰もわかりません。しかしこれは科学に似た真理探究であり、観察力と頭脳の勝負であり、僕は非常に関心を持って見ています。
1.過去の評判、歴史、しがらみとは関係なく「質の高いもの」が「数」を得る
2.資本ではなくインターネットのレバレッジが勝敗を決する
3.旧体制の最も非効率なところでそれが起こる
この3つを満たすところでまったく新しいインターネットビジネスが出現し、その成功者はアセットも社員もあまり持たずに、車や飛行機の発明に匹敵する次世代パラダイムのディファクト・スタンダードを創るだろうというのが現在における僕の所見です。その有力候補はすでに出現し世間をにぎわしているので、皆さんも新聞、TV等で名前は知っています。何だと思いますか?それについては近々に書きます。
某社会議でのプレゼン
2014 JAN 24 1:01:02 am by 東 賢太郎
昨日は某東証1部上場企業の「2014 年頭会議」が九段にて行われ、弊社もプレゼンテーションの枠を賜わりました。全役員と全国4000人の社員から選ばれた300人の職員がご出席という大会議でしたが、最後まで全部聞かせていただきディナーも参加させていただきました。
この会議の議題で「アメリカは日本の消費税を許さない」(岩本沙弓著・文春新書)が参考図書に上がっていたので読みましたがなかなか面白い本です。アメリカは消費税(付加価値税)がありません(小売売上税である)。消費税は輸入国で100%徴収されますが、輸出国の生産段階で徴収された消費税は還付できるというのがWTOの原則です。だから日本の消費税が上がるとアメリカ製品は高くなり、日本の輸出企業への還付金は増えるのでアメリカ企業は競争力を失います。TPPは米国が日本の関税を下げさせる目的ですが4月からの消費税3%上昇(来年さらに2%)がそれを相殺し非関税障壁となるというのが論点です。アメリカは当然それを知って交渉してくるのでTPPのハードルは高く、どこを攻めてくるかが焦点です。
スイス人の大手金加工会社CEOもプレゼンされましたが、日本では純金(インゴット)を買うと消費税がかかりますが、欧州でそんな国はないそうです。スイスでは1981年に消費税をかけたら3日後に取引がゼロになってしまった(あのスイスで!)ためすぐ廃止になったそうです。日本は貯蓄用にゴールドを売買すると消費税が乗ります。今なら5%、4月以降は8%だから3%高い。売れば回収(相殺)はできるとはいえ宝飾品、加工品はともかく利息の付かない貯蓄用の金保有に関してグローバルに見ると元本の投資効率は劣ります。これは日本人の貯蓄のハンディです。僕は一度円高のリスクがあると考えるのでドルと逆相関の金はそこが買い場ですが8%になってからというのはひっかかります。
会議からはいろいろ学ばせていただきました。消費税アップは日本の財政事情から不可避とは思いますが、それは大きな副作用ももたらすかもしれないということは要注意と思料いたします。
プーチンと習近平の戦い
2013 NOV 18 23:23:27 pm by 東 賢太郎
先週ロシアのプーチン大統領はソウルに行っている。そこで大統領と会食した人の話を今日聞いたが、中国の習近平主席がCISに接近したことにプーチンは非常に不快感と危機感を持ったそうだ。だから中国にとられるぐらいならその前にロシア側で海外投資を誘致して自律的な経済発展を促進する策をとる可能性が高い。
そこで蜜月になりつつある日露両国の企業レベルの関係構築が進むのではないかとのことだ。10年前に堰を切ったように中国に進出した日本企業は尖閣問題に端を発した「いじめ」に業を煮やしており、条件次第でCISに工場を鞍替えすることもあり得る。来年2月のソチ五輪はそのデモンストレーションになる。オリンピックが開催できるほど安全でインフラ整備もできているというイメージを海外企業に発信できるわけだ。
もうひとつ重要な要因がある。CISにはガス田がある。米国のシェールガスはトン当たり2-3ドルと日本の価格の10分の1程度であり、ここから10年でエネルギー革命が起きることは必至の状況だ。しかし彼によるとCISのガスはその米国の半分程度で買える。輸送費が乗るため今は競争力がないが、日本の製造業が当地に進出してくれば輸送は不要だからコストメリットが出る。それは隣のロシアにも大きな経済効果を及ぼすということだ。
今僕はCISの株式市場に注目している。
人民元フロートと金価格
2013 JUN 30 17:17:57 pm by 東 賢太郎
お父さんの小遣いが毎年下落して今年は月平均3万8千円になったらしい。1882年の3万4千円から上昇し始め、バブル最盛期の1990年が7万7千円がピークだったという。この89~90年が日本の株価のピークでもあった。この日経平均株価のチャートをご覧いただきたい。
ちなみに1982年の日経平均株価の大引け(1年の最後の値段)は8016円だった。去年2012年の日経平均は9月まで8870円(9月終値)だったから1982年の水準まで戻っていたということだ。こういうのを証券界では「行って来い」と呼ぶ。お父さんのお小遣いも行って来いだったようだ。
株価の方は昨年12月からアベノミクス効果で5割も上がったが、お小遣いは横ばい。そう見える。左翼が言うように実体経済にプラス効果は出ていないのか、若干出てはいてもデフレ払拭に自信が持てず出費を控えたままなのか。日本人のお父さんが最も景気の良かった90年。銀座で宴会を終えてタクシーをつかまえるのが至難の業だった。2次会で終電がなくなると最悪で、出はらった第1便が戻るのを待つので結局その間に飲み直しの3次会となる。バブル経済は夜中にも静かに成長していたのである。
その銀座で松坂屋が今日閉店となるらしい。世の中には「行って来い」でない部分もあるのだ。この「帰って来なかった部分」はどこへ行ったんだろう?もちろん中国だ。お父さんの財布が軽くなった分もそうだ。それはこれをご再読いただきたい。
野村證券金融経済研究所という場をお借りしてではあるが、この現象を日本で最も早く言い出したのは僕だという自負がある。僕はエコノミストでも中国研究者でもない。そうなる気もないし、そうである必要もない。こういうことの予測は数字や制度に兆候が現れたらもう遅い。センサーがないとわからない。グローバルな感度の高いセンサーは5か国ぐらいに住んでみないと絶対にできない。アジアでも南洋でもアフリカでも平気で闊歩するアングロサクソン人とユダヤ人がこのセンサーを持っている。だから世界経済を、情報を、金融を、ヘゲモニーを牛耳れるのだ。
中国のシャドウバンキング問題は根深い。日本人のお父さんが最も景気の良かった90年を(一部とはいえ)中国人が謳歌しているとすると、申しわけないが実体的国力とはかけ離れた勘違いというしかない。ベルリンの壁が崩壊して東ドイツ人が殺到したのは八百屋だ。西側のTVで憧れていたバナナを買うためだった。92年に赴任したフランクフルトで何度もその事実をひねったジョークを聞いた。欧州の東側経済というのは、西に組み込まれ、西が巨大なコスト負担をして同化していったのだ。それでも10年かかった。中国にはその「西」に当たるものがない。WTO加盟して西欧化した(つもりの)自分が旧中国という自分を飲み込んで同化しようしている。
習近平が引き継いだ船はそういうものだ。仮に船員は優秀であっても日本が100年かけて辿った造船過程を財力とコピーと規模の力だけで5年や10年ではしょるというのは無理であり、一見できたように見えるとしてもタイタニック号のように見栄えのためだけの煙突が1本ついたものだろう。さらに乗っている乗客(一般大衆)が船に習熟するには30年はかかるだろう。シャドウバンキングの残高は日本のGDPなみの500兆円もある、はじけたら日本の90年バブルの比ではないと世界中が騒いでいるが、問題の本質はそういう点ではない。
それはバナナを知ってしまった人はこれからもずっと食べるということだ。人間の欲望というものは後退を知らない。今までこれは中国の膨大な潜在成長力を物語るポジティブな話だった。しかしミクロネシアと違って中国に野生のバナナはない。お金で買わなくてはいけない。バナナは家にありすぎても困るがお金は困らない。そこで欲望は無限に膨張してgreed(グリード)という化物になる。東ドイツ人のグリードは西ドイツの政治、金融、経済システムという「近代的制約」の中でコントロールされたが、擬制の近代的制約、ひょっとすると専制君主の時代と変わらないそれしかない中国でグリードのコントロールこそ船腹の穴になるかもしれない。
中国の統計の信憑性はいまだ不明だが、GDPに占める外国の直接投資は1.5~2%はあると思われる。波及効果を入れればもっと大きい。要は外国企業が中国企業として物を作り、物を売り、サービスし、人を雇い、税金を払ってグリードを満たしている。しかしグリードはGDPよりずっと速く成長する。バナナを食べた瞬間に2倍にも3倍にもなるかもしれない。だから賃金は不可避的に上昇していずれ先進国並みにまでなる。すると先進国による製造拠点型の進出は意味がなくなって後退する。つまり直接投資は減ることはあっても今までのような成長ドライバーにはならない。
成長の果実を永遠に食えるという幻想だけで一等国なみに膨らもうとするグリードを自国だけで押さえようとすれば、 ①覇権主義によるガス抜き ②官需拡大(そんな内需は中国にはない) しかない。①は領土問題を指摘するまでもなく活発だ。②はどうか。直接投資減少をトップダウンで埋め合わせる成長はゴーストタウン(中国語で「鬼城」というらしい)を生むことはあっても、投資資金には元本回収機会すら生まない可能性がある。証券市場は未成熟であり銀行はそんな案件に融資できないから公認の闇金融ができる。これがシャドーバンキングの背景だ。それは米国にもあるしそれそのものが悪いわけではない。問題は船そのもの、そして船長も船員も、そのクレジットリスクという高波や氷山衝突のリスクを見抜いたり制御できたりするまでには製造や訓練がされていないことにある。そんな程度で日本国のGDP並みというタイタニックを操縦していることが問題なのだ。
①②は現政権が短命化プロセスを邁進していることの明確なシグナルかもしれないという声もある。政治、金融、経済システムという本格的な「近代的制約」を所有する前に巨大なグリードが暴れ出した中国は明治時代の日本とは明確にちがう。いや昭和になっても「欲しがりません勝つまでは」が成立した、いわばグリードの制約が民衆の心に内在していた日本と中国とは根本的に問題の性質がちがう。
共和制国家が誕生する以前の欧州が例えば「ナポレオン王国」というひとつの国になっていたとしたら、それが今まで無傷で残っていただろうか?今の中国は有史以来おそらく初めて「外患」を心配しなくてもよい国家となっただろう。しかし「内憂」は重い。56民族からなる中国がひとつになっているエネルギーはそれだけでも大変なものだ。そのエネルギーの源はもはやいかなる宗教でも毛沢東宣言でも愛国心でもない。グリードを満たす成長、つまりお金だ。それをどうファイナンスするか?新しい中国の課題はそれだ。WTOのもと胡錦濤がやったことはその布石にすぎない。
最後に、僕の次への「予感」をご披露しておく。それをどうファイナンスするか?焦点となるのは言うまでもなく通貨だ。人民元と米ドルの交換レートだ。香港ドルは米ドルをリザーブとして発行量が決まる通貨である。香港がこれからも中国の金融、貿易の窓口であるという前提だが、そうである以上香港ドルと人民元のレートの大きなかい離はあり得ない。従ってそれが米ドルにペグされていることは人民元が実質的にペグされているわけであり、この固定レートを通じて安い労働力が商品という物品に乗って「輸出」されてきたのである。
これを米国が認容してきたのは米国企業がその受益者だったからだ。しかし前述の理由からその利益はやがて消える。香港ドルにはじまって人民元がフロートする日が必ず来る。①の覇権主義は通貨覇権があってこそ可能になる。ユーロが脱落した現在、それが可能なのは人民元だけだ。悔しいが金融ヘゲモニーの戦略思考能力ゼロである日本の政治家と違い、中国トップがそのことを考えていない確率はほぼゼロと思う。
そこで中国が頼むのは金(ゴールド)しかない。金兌換通貨によるファイナンスである。米国はさらに金を買い集めるか不換紙幣化だ。シェールガスが原油を代替するのは米国経済にはプラスだがドルの基軸通貨性は原油の決済通貨だから担保されているのであり、米国のアキレス腱になってくる。現在、急激に下がって4000円を切った金価格がいい値段かどうか。円ドルレートの問題があるのでここでは詳論は避ける。しかし資産として金を買っておいた方が良いということだけは僕は確信を持っている。
オリックスのロべコ買収
2013 FEB 16 1:01:06 am by 東 賢太郎
ロンドン時代、駆けだしの僕がまず担当させてもらった大きな顧客はオランダの機関投資家でした。アムステルダムはもちろん、ロッテルダム、ユトレヒト、デンハーグ、アイントホ―ヘンなどにある銀行、年金、運用会社などで、ロンドンから数えきれないぐらい何度も出張して各地を駆け巡りました。ロンドンの投資家も資金量は巨大ですが、オランダも当時数十兆円の投資資金があったのです。
まず何より覚えているのは土地に高低差のないことです。とにかく車で行けども行けども平地。「平地酔い」というのがあるのかどうか、とにかくあるはずのアップダウンがあまりになく、しばしば気分が悪くなりました。そういう時はバート君という飛ばし屋の運転手に道端に止めてもらって「立ち○○」などしますが、そうやって風車が点々と回っているだけで何も目に入らない広大な牧草地の中でぷーんと漂ってくる浮世離れした田舎の香水をしばし嗅いでいると、「俺はどうしてスーツを着てこんな所にいるんだろう?」と我とわが身のわけがわからない不思議な気持ちになったものでした。
僕はオランダの世界的石油企業の年金が顧客だったのですが、ある日、同社幹部からスポンサーをしている名門デルフト工科大学(ノーベル賞学者3人輩出・右)の経営学講座で僕に講師をしてくれと依頼が来ました。言語はもちろん英語です。オランダ人にとって英語はほぼ母国語に近い水準なのです。当時はやりだった「日本型経営モデル」の講義で1コマ2時間でした。理系の学生ばかりだからどうせ何もわからんだろうとナメていて、とにかく日本のすごさだけはわからせてやろうと気合は入っていました。なにせこちとらMBAを取ったばかりでもあり、まずはアメリカンな「経営学」「経済学」っぽいことをしゃべり、そのアメリカ人だって日本型経営を研究してるぞなどとまくしたてました。その演説が一段落した時です。一番前にいた学生が手をあげ、「日本経済の強さはよくわかったから、江戸時代の日蘭関係について話せ」とリクエストが来たのです。そんな話題は想定外で準備もなく、えっ、こいつら意外に手ごわいなと思ったがもう遅く、仕方ないので「よしっ!」と知ってる限りの知識を並べたてました。どうして長崎に出島を作ったか、当初は洋学=蘭学だったこと、ドイツのターヘルアナトミアも蘭語で読まれたこと、幕府の開成所が新政府によって東京大学の法学部や医学部になったこと、だから今でも東大では法・医・工・文の順番に教授が並ぶ等々。そうすると今度はそれに質問殺到となり、議論が大いに湧きおこってびっくりしました。なるほど、東インド会社は彼らの先祖が作ったんだ、この勢いで来たから幕府もオランダを認めたんだと実感させられる迫力でした。うれしかったので講義の締めくくりに
「日本にとってはオランダこそ西洋への窓口だったんだ、アメリカでもイギリスでもドイツでもないぞ!」
と言うや教室は爆発的な拍手とブラヴォーに沸いたのです。経営学なんてくそくらえだ!講義を終えると10人ぐらいの学生たちが校内を案内すると言って校長室から貴賓室から何から僕を引っ張りまわし、学食のディナーではビールで乾杯乾杯の嵐となりました。こっちも30歳ぐらいの若僧でありすっかり無礼講になって、時計を見るともう夜中の3時ぐらい。僕は頭も朦朧となっていて、「ホテルは?」と聞かれても口からその名前が出そうにないと見るや連中、「まかしとけ!」と勢い込んでデルフト市内のホテルというホテルに手分けして片っ端から電話をし始めるではないですか。こうして長い1日が終わりました。後日ロンドンまで来てくれてわが家に泊まってくれた学生もいました。あの中から偉大な学者が出てくれたらうれしいなあ。これは僕の16年の海外生活を通しても最高に痛快な思い出となっています。
お客様として怖かったのがロべコの日本株投資運用責任者ヤン・オームス氏でした。ロッテルダムに本社を構えるロべコは現在も20兆円超を運用する欧州最大級の投資運用会社です。氏はこっちが勉強不足と見るや推奨を歯牙にもかけてくれず「おとといおいで」という冷たい対応になり、電話も出てくれません。後で聞くと他社にはそうでもなかったそうですが業界1位の野村には期待値が高く、徹底的に鍛えられました。だんだん認められてからは、行くとグルメの氏がお気に入りのレストランでいつもランチにワインとなり、後から大きな発注をいただきました。プロとしての自信を養ってもらった忘れられないアカウントのひとつです。
その名門ロべコがオリックスに2500億円で買収されるというニュースは、僕にとって青天の霹靂です。ジャガーがタタグループに買われてインド車になるに等しいインパクトです。それがいい値段かどうか判断する材料を持っていませんが、オリックスに経営力さえあればいい買い物になる可能性はあります。運用業界ではエルメス、グッチ級のブランドですから。不思議なのはどうして証券会社がこういう買い物をしないのかです。自分で海外運用せず、単に目利きとして輸入国内販売するというのは小売りにおけるデパートと同じです。投資家がネットで世界の業者選別できる時代なのですから、いずれデパートと同じ運命をたどるのではないかと危惧します。
お知らせ
Yahoo、Googleからお入りの皆様。
ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/
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某証券会社のコメント
2013 JAN 7 13:13:23 pm by 東 賢太郎
某証券会社のコメントです。
アジアの民間消費規模は2017年までに5.7兆ドル増えて12兆ドルとなる。実に5年間でアメリカ1国分が追加されることになる。因みに2020年には17兆ドルと予測されている。内訳は中国3(2012年)→10(2020年)、インド1.1→3.5、ASEAN1.1→2.1。
100年前はアメリカがこうだったわけです。産業革命を起点としてお金(富)は
イギリス→アメリカ→アジア
と移動しつつあることが、ますます明確になってきています。皆さんはここからどういう未来を想像されますか?



