「信用資本主義」を宣言する!
2014 MAY 6 0:00:30 am by 東 賢太郎
今日、プラネットダイナソーなる恐竜の番組を見ていて思いました。恐竜がなぜ滅んだか?です。
大きいことがいいことだ、ではない。これは生物進化の常識です。捕食者として大きく強く進化するより環境適応した方が生きのびる確率は高い。だから哺乳類が強くなった。これは知っていました。しかし番組によると恐竜は、恐竜という種の中でちゃんとそれをやっています。歯の形を変えたり、肉食を草食に変えたり、小型種になって木に登ったり空を飛んだり。ちゃんと適応種が出ています。それなのに絶滅したわけです。
ということは、生物進化の常識があてはまらない事件がおこってそうなったのではないか?それは一応科学的に証明されたと言われていて、メキシコのユカタン半島に巨大な隕石が落ち、気候が急変したことがその「事件」となっています。それを見た者はないわけだから証拠を得て証明しなくてはなりません。犯罪捜査に似ていますね。殺人事件現場をしらみつぶしに調べて、煙草の吸殻や髪の毛から犯人を指摘するシャーロック・ホームズみたいな努力が必要です。
あいつがくさいぞ、あいつが犯人にちがいないという予見で捜査しておいて、理屈に合わない証拠が出てくるとストーリーに合うように加工ねつ造してしまうというのは、犯罪捜査においてはそれも犯罪、科学調査においては科学者資格はく奪に値する神の冒涜行為と僕は思います。ホームズのような推理小説の世界においては、証拠がそこまで科学的意味で自明に犯人を指し示すのは「オランダ靴の謎」など少数しかありません。だから犯人の自白や自殺で帳尻を合わせるなどがっかりのケースが多いのですが、事実を証明する現場が小説より奇ではいけませんね。
恐竜を殺した犯人は自白はしてくれません。だから証拠が自明に、ロジックの完璧さをもって語らないといけません。隕石説はそうでないとエセ科学にも聞こえてしまう。いろいろ調べていたら松井 孝典博士のサイトにあたりました。これを見て下さい。
「6550年前に直径10-20kmの隕石が秒速20-30kmでユカタン半島に衝突して瞬時に直径100km、深さ30kmのクレーターを作り、高さ300mの津波がおこり硫黄酸化物が作る雲が太陽光を遮った」という隕石という犯人と犯行方法が指摘されていますね。地球生成時にあったイリジウムという重い元素はあるメカニズムによって全部地殻に沈んでいるのにこの6550万年前の地層にだけ見つかる、その総量から隕石の大きさが逆算できて衝突インパクトが計算できるなど、犯人指摘のプロセスはエラリー・クイーンのミステリーなみにわくわくします。
ところでいま、世界経済は物質的経済成長の持続が期待できなくなる時代、何度も書きますが「200年続いた産業革命期の終焉」にさしかかっています。氷河期が襲って成長という地球上の食物が少なくなるようなものです。その環境変化の大きさは恐竜を絶滅させた気候変化に匹敵します。だから大きい動物が生態系の頂点にある時代は終わります。大型草食獣の代表だった中国がだんだん食えなくなって肉食化し、肉食獣の王者だった米国はだんだん衰弱しています。そして両国ともいずれ大きさという壁に当たります。恐竜の後に恐竜はもう出なかったのです。小型獣ながら適応力抜群である日本は、6550万年前の哺乳類の位置にいます。地球を制覇したのは、小さかった我々哺乳類だったのです。
その日本。東北大震災では若者たちが避難警報を無視して命がけで流されたお年寄りを救う画像が流れました。それを見た韓国では信じられないという書き込みがあふれました。韓国船の船長をあげつらう気も擁護する気もありません。むしろああいう若者がそこかしこにいる日本のほうが世界では希少なのです。落した大金が手つかずで戻ってくる世界唯一の国です。あるおばあちゃんが日立の株を買ってくれたことがあります。「来年はあんまり業績は良くないですよ」と申し上げると、「いいえ、下がってもいいんですよ。孫が日立にはいったもんですからね。」 胸にじーんときました。こういう投資家がいることを経済学の教科書は想定していません。
韓国人や米国人が驚くような日本文化。それは風呂敷に象徴されるように江戸時代までもっと適応力がありました。ところが薩長の明治政府が天皇の権威を支配して富国強兵という大目標をたて、それにむけて突っ走ることで環境適応力を自らどんどん失いました。風呂敷文化がカバン文化になってしまったのです。敵の戦力の値踏みすらできなくなったその挙句が第2次大戦敗戦です。そして敗戦国の屈辱のなか、廃仏毀釈どころか自虐にすら走るという信じ難い国ができあがりました。こういう国も、世界史の教科書にはのっていません。
国家の仕事、国家しかやりえないことは外交と防衛です。これを安倍政権が懸命にするのは本来の仕事として当然のことでしょう。それ以外の仕事を国は減らして地方政府に任せればいい。財政収支を自活させるには江戸時代まであった「藩札」を復活させればいいのです。ギリシャが財政破たんしたのは、国力が落ちれば為替レートがちゃんと下がって観光客が増え、税収を増やしてくれるドラクマという自国通貨を放棄してユーロに参加するという安易な道を選んだからです。日本の県も円という統一通貨で財政を行うから同じことになっているという見方をしてみたらどうでしょう。
国民の側も、なんでもかんでも国にやってもらおうというのはまちがい。地方は地方でやり方次第でいくらでも国際化の道は開けます。日本ほど観光、歴史、温泉、グルメなど外人が興味を持つ資源を地方がどこでも潤沢に持っている国はそうはありません。東京にそれを宣伝してもらうのでなく、東京よりもグローバルな方法を自分であみだせばいい。僕はいくらでもそういうプランを描けます。というのは、第3の矢の経済成長は本来国家にはできないことなのです。たとえば少子化担当大臣というのがいます。この人はいったい何をするんでしょう?お見合いや合コンや強精ドリンクの手配でもするんだろうか。問題意識を持っているのはいいことだが、そんなことを国が目標に掲げて成果が出ると本気で思っているんでしょうか。
大なり小なり、第3の矢はこれと同じく滑稽のにおいがするのです。それは若者の結婚や子づくりと同じことで、企業がビジネスとして自分でその気にならないのならいくら日銀が金利を下げても誰も借りないのと一緒です。役所が机の上で考えたビジネスプランに命の次に大事なお金を出資しようなどという企業家はあまりいないでしょう。一番効果があるのは、法人税率を下げ、政府が民間に道を開いて規制緩和をすることなのです。そうして企業が収益を自力であげる機会を増やし、そこで働く夫婦がもうひとり子供がいてもいいと思うようにしてあげれば一石二鳥なのです。それが政府にとっても良い結果になる。なぜなら、日本が持ち前の環境適応力を最大に発揮し、新しい世界環境で生き残る道が開けることにもなるからです。
そこで企業が採る道として僕は「信用資本主義」ということばを提唱します。これが東北大震災という試練をのりこえ、人の「絆」というものの大切さを世界の誰よりも知った日本の財産です。犠牲になられた多くの尊い命のまえで、それを国のため、次の世代のために大事に生かしていくことを誓うことこそ我々のすべきことです。「信用」とは人と人が信頼でつながることで、もっと良いものを生み出す力を何よりも秘めています。信用ができないから契約するのです。契約したから義務としてするのではなく、信用され、信用したから真心をもってする。絆とは心と心のつながりです。だから契約より強いのです。これは古来日本人の持つ社会観、道徳観であり、これを自然にできるのは世界で日本人だけです。オンリーワンの国が負けるはずがありません。信用を根っこにして積み上げていく資本主義を僕は自分のビジネスとして、言うだけではなく有言実行したいと思います。
オバマ外交に思う
2014 MAY 1 20:20:47 pm by 東 賢太郎
このたび拝命することになった顧問職と同時に新会社の経営にも関わらせていただくことになりました。ブログは週末の書き貯めを順次上梓してきましたが、この1~2週間はそのことで多忙で種切れになりました。
いま注視しているのはオバマのアジア歴訪で見えたアメリカのスタンスです。ニュース等からの感触ですが、彼もバイデンも尖閣など眼中にはなく靖国へ行ってTPPで言うことを聴かない安倍内閣も見切っていて次は石破ぐらいに考えているのでは。11月の中間選挙でヒラリー相手に苦戦は確実ですが、中東和平交渉期限切れ、ウクライナで対プーチン弱腰など外交下手を批判されても軍にばらまく金はないでしょう。中国と裏で握って米国債を買わせる(売らせない)というドル防衛がプライオリティーと見ました。
FRBイエレンは明確にテーパリングですから日銀が野放図に金融緩和継続をするとは思えません。黒田総裁の発表は消費増税の重しがあるためで、7-9月のGDPでさらに10%への増税が決まりますからそれまでに経済が減速していることを示唆する統計が出たり株価が下げることはまずいわけです。10年国債利回りが0.615%(本日)なのにメガのプライム貸出金利は0.5%以下です。一般企業の方が日本国よりも安い金利でお金が借りられるという信じがたい事態になっています。
メガはおそらく日銀から0.1%ぐらいで引いてますから国債を買えば0.5%で運用できてしまう。しかしそれではマネタリーベースが増えませんから金融緩和の効果はでず、バカヤローということになっている。確定的に(かなりの高確率でという意味ですが)円で1%以上で回せる運用商品はあまりありませんが、もしあるならばこの黒田政策があるうちに企業は円キャリーをやるべきです。千載一遇の好機と思います。
米中が通貨ペグ合意をした可能性は高いのですが、相当景気減速感のある中国の人民元が大きく上がる要因は考えられないので大きくドル高(円安)に振れる感じもありません。むしろ90円台半ばに戻るかもしれません。そうなると株価にはマイナスであり黒田政策は継続です。以前に指摘しましたが2%インフレターゲットを設定しておいて安倍さんのご機嫌を取り、円安と株高で2%達成となって日銀は大嫌いな緩和策から逃げるというシナリオは少々無理が出ているかもしれません。バランスシートの劣化による国債価値の毀損に神経をとがらせる日銀として米中ペグは鬼門になるかもしれません。
とりあえずの走り書きでした。
私見 次世代の勝ち組産業
2014 APR 23 16:16:28 pm by 東 賢太郎
アガサ・クリスティが「考古学者の夫を持つといいことがあります。齢をとるほど奥さんを大事にしてくれますから」といったとか。
クラシックを考古学者ばかりが聞いているわけではありませんが、録音が古い昔の演奏だから価値がなくなるわけではないというのは一緒です。古いというのは作曲家の時代に近いということですからオーセンティック(authentic)である、つまり由緒正しいという付加価値がある気がするからです。もちろんそれは気だけかもしれず、ベートーベン本人の録音があるわけではないのですから186年前に死んだ彼の曲を80年前に演奏したのがauthenticかどうかは甚だ疑問があります。それでも彼のソナタを二十歳のピアニストが弾いたものよりバックハウスが残したモノーラル録音の方が由緒あるように聞こえてしまうというのは古典芸能であるクラシック音楽好きの性(さが)ではないでしょうか。
最近はyoutubeで昔の大指揮者やソリストの演奏がただで聴けます。著作権切れという法律的な事情で実は一番価値がありそうなものが無料で提供されるというのはおかしな世界です。それを享受する側には朗報なのですが、そういう名人たちのまったく同じ録音を何万円も出して買っていた僕らの世代からすると、どうも世の中の価値観の方が変になっているぞという気がします。クラシック音楽に限らずあらゆる古典というもの、能・狂言、歌舞伎、論語、万葉集、シェークスピアなどを味わうことは「温故知新」というプロセスそのものなのだと思います。だから論語はおろか温故知新の意味が分からない人が増えてそういう現象が起きていると解していいのかもしれません。
ところがその僕も最近はi-tuneで電子的に音源を購入することが増えました。CDという物体を買わずに済ますのはどこか物足りないのですが、いいこともあります。収納スペースが不要ということです。僕のように7千枚もCDがあると収納庫も半端ではありません。それがパソコン1台で足りるというのは、そういうものだと覚悟さえしてしまえば楽な時代といえるかもしれません。断捨離という言葉があるそうですが、「温故」をほどほどにして「知新」に徹してしまえば自分の生活のバランスシートががらりと変わるということを意味しているのかもしれません。
明治時代にそういうことがありました。徳川時代の否定です。それはちょんまげを切ることから廃仏毀釈にまで至りました。そのように、その時代や分野において当然のことと考え られていた認識や思想、社会全体の価値観などが大きく変化することをパラダイムシフトといいますが、僕の温故知新への考え方の変化は何か目に見えないパラダイムシフトが引き起こしているのではないか、最近そういう思いが強くなっています。それはおそらくインターネットの普及が社会にもたらした変化のうちでも、海洋深層水のように最も「根っこ」の部分で静かに起きているものあり、したがって最も根強い変化ではないかと感じます。
たとえばSMCを一日に1万7千人もの人が読む時が到来するなど、開始した1年半前には想像どころかSF的空想すらしていませんでした。インターネットのレバレッジ効果に驚くと同時に、その手ごたえは自分の感覚の最も根っこの部分にじわりと残って考え方の変換を迫るほどのパンチ力があったように思います。いま僕の頭には「アセットを持たない時代」というテーマが強く浮かんできています。これはビジネスにも投資にも重要なパラダイムシフトを要求するテーマであります。CD7千枚を捨てろということですから。どういうことか簡略にご説明しましょう。
産業革命以来の人類に生活革命をもたらす技術や製品が枯渇したいま、巨大な生産力を持つことの優位性は減少しています。価値観は多様化して均一の商品を大量消費する消費者も減っています。ということは資本の大きさが利潤を保証する時代ではないということです。資本を積んでバランスシートを大きくすれば良いという勝利の方程式がくずれ、かえって資本コスト、在庫リスクがかさんで損をする可能性すら出てきました。ある意味で最大の資本家でもある政府セクターが大赤字の時代なのです。資本家が損をするかもしれない世界で資本家と労働者という対立概念から派生した経済学を語ってもあまり将来の予見性は期待できないと思われます。
産業革命の波動の中で生まれた体制は、新技術、新製品がなければ利潤が得られずアンシャンレジームとなって必ず崩壊します。資本主義がなくなるわけではありませんが、変質します。それは新興国の台頭とインターネットの普及が旧体制のアービトレージを引き起こすという形で進行し、その最大の被害者は最大の受益者であった米国になります。だからいま米国は新興国いじめに走り前者の芽を摘もうとしています。しかし後者を止められる者は米国自身を含めもはや世界のどこにも存在しません。新興SNSのアクセス数が数年で大手新聞の発行部数を抜いてしまい、大統領選を左右するような現象が近未来的に起きることでしょう。
新しい資本主義の「資本」は金銭だけではなくなります。それは「信用」でつながった個人の鎖(チェーン)になります。これを信用連鎖と呼びましょう。いまフェースブックが ”おぼろげに” 作っているものがそれです。なぜおぼろげか?お金をやり取りしあうほどの信用ではないからです。お金が移動しないレベルの信用は精神的価値ではあっても、経済学的に捕捉できる価値ではありません。信用連鎖がそのレベルまでアップグレードすると初めて経済的価値を伴った資本主義の変質がおこります。
例えばオンライン・ショッピングは皆がショップを信用してこそ大規模に成り立ちます。アマゾンは信用連鎖のハブという価値をインターネット上に創造して、対面でない方法でお金を移動させ、その対価として利益を得ているのです。なぜハブに価値があるか?個々の業者の信用(a)、業者の数(b)、アマゾンの信用(c)としてa×b<cだからです。このc-(a×b)こそ信用連鎖のハブの価値であり、当初は商品展示場としての便利さや価格競争力がその源泉と思われていましたが現在では決済の安全が価値の大半を占めていると思われます。ということはインターネット決済の方法、個人の信用確認の方法がさらに進化すればいずれa×b=cに近づくことが予想され、アマゾンや楽天の利益は消滅します。
かように、ネット時代の勝ち組企業と信じられているものでもインターネットという原理の強大な浸食力に一時的に乗っかっているだけであり、原理の導く最終到達点に位置しなければ過渡期的業態として消える可能性があるということを指摘しておきたいと思います。いかなる国家権力も規制ができないインターネットは、海の波が静かに岩に穴を穿つように、原理的、不可逆的に確実に到達点に達するでしょう。この到達点がいつどこにどう存在するのか?それは波の強さと岩の性質が決めることで誰もわかりません。しかしこれは科学に似た真理探究であり、観察力と頭脳の勝負であり、僕は非常に関心を持って見ています。
1.過去の評判、歴史、しがらみとは関係なく「質の高いもの」が「数」を得る
2.資本ではなくインターネットのレバレッジが勝敗を決する
3.旧体制の最も非効率なところでそれが起こる
この3つを満たすところでまったく新しいインターネットビジネスが出現し、その成功者はアセットも社員もあまり持たずに、車や飛行機の発明に匹敵する次世代パラダイムのディファクト・スタンダードを創るだろうというのが現在における僕の所見です。その有力候補はすでに出現し世間をにぎわしているので、皆さんも新聞、TV等で名前は知っています。何だと思いますか?それについては近々に書きます。
小保方発表で暴騰したセルシード株(7月25日、追記あり)
2014 MAR 18 3:03:52 am by 東 賢太郎
「いやしくも彼女もその科学者である。コピペ、使いまわしがレッドカードなことも探知するソフトが出回っていることも知ってるはずだ。研究に対する一定の良識もあるだろうし僕はそう信じたい」
にそう書いたら、「コピペがいけないとは知りませんでした」とあっぱれなご発言があり、もう彼女を擁護できなくなってしまった。科学者はおろか理系であること自体ナンセンスな人である。その発言内容自体も凄いが、そう言えばそう結論されることを感知せずにあっけらかんと言ってしまう判断力も恐るべしだ。なにをもって早稲田と理研が彼女を評価したのか摩訶不思議である。
彼女は実験の執行者としては重宝であり、見つければ勝ちという領域では価値があったかもしれない。そして、女性が何かやると「美人**」に格上げになる世界唯一の国である我が国のマスコミがその得意技を駆使して存分にもちあげてしまった。ピンクの壁紙も割烹着も見せるための「やらせ」であったという噂だ。こうなると佐村河内と寸分たがわぬ詐欺事件であったと世間に見なされても仕方ない。週刊誌ネタに乗る気はないが、報道されているように目をつけた実力者をお得意の「女子力」で籠絡していたのだとしたら、その上司が理性を超えたことをしでかしていても不思議ではない。
証券市場ではあらぬ噂が回っている。もし本当だったら大事になる可能性がある。「セルシード」という会社が昨年8月に新株予約権を発行してUBSが何故かロンドンで第三者割当を受けているそうで、調べてみたらその会社は連結純資産がなんと1億円しかなかった。そんな会社に銀行は100%融資せず、証券会社が株や債券の公募発行を引受けることも99.99%ないのである。あるとすれば投機的利ザヤ狙いの外資かファンドしかないが、常識的にはそれすら説得しなくては無理という状況だったと思われる。経営者は追い詰められていたはずだ。その結果だろう、8月13日に、
第三者割当による第10回新株予約権及び第11回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行並びに第三者割当て契約締結に関するお知らせ
が公表されている。これを昨日読んだがどうも僕の経験上不自然で腑に落ちない。これは発行会社名になっているが実態は割当を受ける証券会社が書くもので、UBSがこう書かせたはずだ。専門的になるので詳細は書かないが、しかし、僕が担当者ならこの案件は99%蹴っている。その時点の情報では、同社株の株価が近未来的に上がり、予約権を行使して買った新株を利益を出して売却できる(そうでなければ損をする)と信ずるに足る根拠は特に見当たらないからだ。
つまり「何かうまい話」がセルシードの経営者から伝えられなければ「継続性に疑義の生じた会社」(会計監査でつぶれる可能性を指摘された会社)のファイナンスに応じることは通常はない。それも半端でない総発行株数の30%近い大量の株式が新たに発行されるわけだから、「何か」がなければ株価は大幅に下がるのである。
ところが同社株は1月30日に小保方発表で40%も暴騰し、UBSは新株予約権を1月30日と31日の2日間で全部行使して市場で即座に売却し、数億円のサヤぬきに見事に成功している。以上記述したことは全部公表事実で誰でもネットで確認できる。もちろん偶然という可能性は否定できないが、自分の本業務の経験から憶測するとUBSの引受担当者かトレーダーに千里眼の持ち主が存在していたか、さもなくば、クビを覚悟の肝だめしでもやっていたかしか言葉が見当たらない。
危ない噂のほうは社名から検索すれば無数の書き込みをご覧になれる。小保方氏と同社経営者がそういう関係があったかどうかは僕は知らないし知る方法もない。僕がわかるのは、事の核心であるこのファイナンスの意思決定プロセスが、書面を読む限り、例えば野村やみずほがやったなら、ほぼ確実に証券取引等監視委員会など当局の関心をそそるレベルのものだろうということだけだ。これから何が起きるか注視したい。
(追記)
ハーバード大学のバカンティという指導教官だった教授は、彼が審査したことになっていた彼女の早稲田の博士論文を読んでないし読めと早稲田に依頼されてもいないと主張しているという信じがたい報道があった。この教授は問題のネイチャー論文の共著者で、最後まで撤回の必要なしと頑張っていた人だ。申しわけないがこれが本当ならもう彼女の学歴はメチャクチャである。しかも「ハーバードへ留学」と言っているがもともと4か月ステイだったのが伸びただけだそうで、そういうのは留学とはいわない。学歴詐称に近い。
誰かがこの女性に箔をつけようとハーバードのブランドを利用したとしか思えない。ここまでくると小保方氏一人でできるはずもない大がかりな嘘だ。ということは彼女は単なるパペット(操り人形)であって、彼女が不思議ちゃんであったかどうかなどどうでもいい話だったという、まったく性質の異なる展開になってくる。佐村河内は芝居の主役であり脚本家でもあったが、彼女はそうでは「ありえない」のである。
(追記、4月13日)
このブログの本文は3月18日に上梓した。それから約1か月の時間と小保方会見というイベントを経たが、一言たりとも訂正する文言が見当たらない。
(追記、4月28日)
セルシード株は小保方発表時(1月31日)高値2400円から今日までで約58%下落した。1000円で買い支えが行われているように見えるが、割ると底が抜ける感じすらある。ネイチャー論文の内容が仮に100%事実だったとしても、それが将来この会社の利益にどう落とし込まれるのか、漠たる夢とストーリーはわかるが、さっぱりロジックが理解できない。それでも株を買う人がいる。不思議なことだ。株式市場をカジノと勘違いしている人が大勢いて、そういう人を食い物にするファイナンスが行われる。そういう人たちも市場の一部を形成しているのは事実であり、だから、そういう行為は証券市場を食い物にしているのと同義である。長く証券市場に関わってきた人間として、そのような行為は看過できない。本稿の趣旨はそこにある。
(追記、6月12日)
ネイチャーにこういうeditorial(社説)を見つけた。Agency for change
これが載った契機はSTAP論文であることは文脈から明白だが、ネイチャーは4月30日掲載時点ではまだそれをscientific misconduct(科学における不正行為)と認識しており、一応はthe more bizarre cases of scientific fraud (もっとたちの悪い科学詐欺)の脈絡に位置づけてはいるように見えるが、「もっと」だから詐欺ではないというスタンスである。巧妙に逃げている。そして日本に米国型の研究監視機関がないことが問題だと主張しているがハーバード大学が共著者である本件にその指摘は的外れであろう。また、安倍首相の「日本の科学の研究基盤が浸食される恐れがある」というコメントを引用しつつ、「昨今の研究者はかつてないほど多くのデータを取り扱う必要があって、(そういう世の中になると)不正行為の評価というものもプレゼンデータのごまかしからくるぞんざいさを詮索したりするきらいが出てくる。よって、日本の研究機関は研究者のデータ管理教育のための予算をもらうべきである」というさらに的外れな結論で堂々と結んでいる。「最近の研究者は大変なんです。データの見ばえを良くした程度の些末な事でお行儀が悪いのどうのと騒ぐんじゃないのよ。お作法の教育ぐらいは自分でちゃんとなさい!」という一見もっともらしい議論に論点をすり替えているが、本件はお行儀の問題どころでは済まないのは6月12日時点ではほぼ明確になっている(4月30日掲載だからそこは大目に見よう)。しかしここまでならば、研究詐欺(かもしれない)論文を掲載したのは日本政府の管理が甘いせいだというよくある責任回避だ。ところがここからが凄い。挙句の果てにもっと理研にカネを出せと言っているのである。この主張を導く接続句の”よって(For this reason)”の唐突さと説得力のなさは芸術的と評するしか言葉がない。日本人は監督者も研究者も未熟者なんだからカネで解決するしかないでしょということだ。やはり未熟者であって糾弾されるべき立場にあるネイチャーは家庭教師でもしてあげますよモードである。この社説のロジックのsloppy(ぞんざい)さも問題の論文のsloppiness(ぞんざいさ)といい勝負だろう。こういう詭弁にトップが騙され加担するからえせ研究者を跋扈させ、日本の誇るべきまじめな研究者たちが埋もれてしまい、「日本の科学の研究基盤が浸食される恐れがある」と首相が心配することになるのである。この社説からは米国、日本政府、理研、予算(カネ)なる大きな構図があって、ネイチャーはそれを守ることに利益があるらしいというニュアンスが漏れ出ている。お行儀が悪い子ちゃんも守る(米国の教授と同じく)ほうが都合が良かったらしいというニュアンスも感じる。社説のいうthe high level of attention は日本政府にだけではなく、世界の目となってこれからネイチャーがSTAP論文を自らどう処理するかにも大いに注がれているということだ。
(追記、6月18日)
安倍内閣第3の矢と予算。先端科学と女性登用。下村大臣と文科省。先進医療と医工連携。早稲田と東京女子医大。ハーバードと Brigham and Women’s Hospital。特許50-50。 理研と独立行政法人。GPIFと独立行政法人中小企業基盤整備機構。ゴッドハンドと入試なし。YとS。プロが書いた(佐村河内事件と同じ)。ハーバードの人がこんなにいい加減と思わなかった。切りたいが切れない。解体したいが解体できない。
(追記、6月26日)
「小保方氏実験なら厳格監視」(理化学研究所発生・再生科学総合研究センター竹市雅俊センター長)
「週刊回春」 特別インタビュー
「なぜ監視しないといけないのですか?」「はい、論文を捏造した前科が確定した人なので危険だからです。」「その人はなぜ捏造する必要があったんでしょうか?」 「はい、細胞ができていなかったからでしょう。」「今回はできるのでしょうか?」「はい、200回成功したというのは全盛期のイチローの年間ヒット数です。できない確率はイチローが1年間ノーヒットなのと同じぐらいでほぼゼロです。できなければ嘘だったと判断するに足る確率と思います。嘘として本人を葬れればそれで私どもはいいんです。」「なぜそこまでして確実にばれる捏造論文を世界に発表する必要があったんでしょうか?」「はい、そこに根本的な深い謎があるわけなのですが誰もまだお気づきでないですね。株も高いし。私どもの間では世間の目がワールドカップに向く期待がありました。あっけない敗退で盛り上がらず困っています。そこで実験に持ち込んで1年先延ばしすればその頃には謎は忘れられているだろうという期待がにわかに高まっているのです。」「なるほど。そうすればセンター解体も忘れられます。」「だから私どもも大臣も実験ショーがしたいのです。そしてそれにはSTAP細胞かくにーん♡ という主演女優が必要なのです。」「なるほど、女優というよりマジシャンですね。」「おぬしもワルよのう。まっ、今度はネタバレがないよう厳重に監視する所存であります。」
閑話休題
その実験よりSTAP論文不正犯人捜査と使途不明経費解明捜査が先に必要である。前者は小保方研究室の細胞の徹底的な第三者立入調査が絶対に必要である。若山発表以来これが未だなされていないのは非常に不可解である。「論文不正問題とSTAP細胞有無解明とは全く別の問題だという事の本質を曲げることはありえない。STAP細胞はES細胞(胚性幹細胞)ではないかという指摘が客観的事実に基づいてなされている、つまり公金を使った不正という重大な疑義が公に指摘されているにもかかわらず、なぜ事件発生現場の長が調査を行わないのか。調査権がないのか。ないなら不正抑止力なしで解体は必然である。そうではない、調査委員会の解体勧告は行き過ぎなのだと主張して組織を守りたいなら、犯人を特定しないでどうやって正しい人たちを守るのか。組織の長の言行に論理的一貫性がない。だから調査委員会に解体せよと言われるのである。
(追記、6月30日)
以下、私見である。
ネイチャーがSTAP論文撤回を決めたという報道があった。ネイチャーの査読もいい加減であったという不名誉を認めたということである。撤回理由は未だ明らかでない。
理研調査委員会による「アーティクルの二つの画像に捏造(ねつぞう)や改ざんの不正があった」という発表にネイチャーは「もっと教育しろ」と反論することはできた(追記、6月12日参照)が、第三者機関による分析結果を示した「レター」に関わる若山氏の論証に反論することはもっと不名誉な結果をもたらすと判断したと思われる。
このネイチャー誌の判断は本件関係者がクロである可能性を高めたというわけではない。それを証明する証拠がどこにあるかを示唆したという点に意義がある。
「捏造(ねつぞう)や改ざん」は故意によってのみ成立する行為である。問題は「アーティクル」(STAP細胞の作製方法などを示した主論文)の捏造と同じ故意が、「レター」(STAP細胞から作った幹細胞の性質を分析した論文)にあるか否かであり、それをネイチャーが認めたかも知れないという点こそ重要なのである。
「理研改革委員会はレターの徹底調査を求める提言をまとめているが、理研側は調査する意向は示していない」(毎日新聞)。
そこに真相を解くカギがあるからではないか。chemistoryと綴る程度の学力である小保方氏が捏造イラストレーターだったとはいえ、真の執筆者が「いや、こんなにいい加減とは・・・」で逃げ切れない何か(それは科学知識のない筆者にはわからない)がレターにあると思う。小保方氏の故意を共有せずに書けたはずがないという何かが。若山氏はその部分に関与がなかったか、あるいはあったものの自白による減刑を図ったかもしれない(後者であれば本件は「囚人のジレンマ」の実証研究の素材としても第一級の資料であろう)。
故意の立証がなぜ重要かというと、公金の詐取(使途不明経費の不正との認定)という別の事実がもしあったと仮定すればそれが詐欺罪の構成要件だからである。犯罪捜査であれば理研の調査意向は関係がない。専門家による第三者機関を伴った小保方研究室の捜査が急務である。部屋の鍵は誰が管理しているのだろう?理研を早く正常に機能する状態に戻すことは、世界の科学の発展と我が国の信用の担保という点においてもはや避けることはできない。汚点となっている本件のクロシロの決着は、理研を存続させるために不可欠と思う。
(追記、7月4日)
を読んでいたらこのコメントを見つけた(3月31日付、内容の真偽は不明である)。
Obokata and Vacanti are likely funded by GLG indirectly, and thus the show must go on. Obokata and Vacanti will not allow a retraction to happen (their employers/investors will not allow it).
GLGとはこういう存在である。
Gerson Lehrman Group – Wikipedia, the free encyclopedia
以下私見である。この短いが意味深いコメントをもって、筆者は論文捏造事件と証券市場との接点を整合的に説明するある仮説にたどりついた。GLGのコンサルタントに証券会社のアナリストが入っていることの意味など、証券業界に精通した者でなくては理解できないかもしれない。本件をある者が創作したオペラとするなら、その中でさらに別の劇が展開する「入れ子構造」になっているためオペラ自体のプロットが見えにくい。日本においては、誰が嘘つきなのか?誰を守ろうとしているのか?小保方氏は真犯人なのか?という悪徳代官ものの時代劇捕り物帳が進行しているが、それらは劇中劇の中の犯人捜しにすぎない。STAP細胞はほんとうにあるの?それは劇中劇のタイトルにすぎない。よって、それらはオペラの犯人捜しとは何の関係もない。
現在の所、筆者がひとつだけ確信があるのは、小保方氏にオペラが書けたはずがないということである。小保方氏はオペラ作家によって巧妙に設定された日本人向け劇中劇におけるリケジョ役ヒロインの初演女優である。台本作家たちの読み違えは、女優に論文論旨をでっちあげる重要な剽窃画像を作成させたが、彼女の剽窃は想定外に杜撰で、誤りが発覚してもケアレスミスと主張するには未熟な水準にあったことだ。そのため故意を見抜かれる結果となり「再現性に乏しい論文としてやがてフェードアウト」というオペラ台本が台無しになってしまった。4月の小保方記者会見での謝罪「「私の不勉強、不注意、未熟さ ゆえに論文に多くの疑念を生み・・・」は国民ではなく台本作家、主剽窃者への謝意ととるとわかりやすい。論文剽窃故意の共有発覚によるオペラ台本関与発覚を恐れた若山氏の内部告発がさらに剽窃蓋然性の推定値を高める結果となり、全員が(ネイチャーを含め)降りた。これがネイチャー論文撤回決定の背景と思われる。
仮に筆者の仮説が正しいとすると、米国SECと共同捜査が必要であるという意味で、また、日本の科学界の弱点、証券取引等監視委員会の弱点を知り尽くしたという意味で、また、どの「パーツ」だけ単独捜査しても全貌は把握し難いという意味で、最高度に洗練された複数の専門的知性による非常にインテリジェントな国際的詐欺、インサイダー取引事件である可能性がある
(注: 一般にわかりやすいという意味でインサイダー事件と書いたが、法律を眺めると本件をインサイダーで立件するのは難しいと思う。犯意自体は内部者取引と寸分違わないが、法の盲点をついている。米SEC、FBIが外国証券市場で起きた不正を取り締まるかどうかも不明であるが、GLGに誰が誰にどうアドヴァイスしたか記録はあるはずである。米国は知財剽窃証券詐欺には目をつけていて、すでに何人も逮捕している事実がある。)
(追記、7月5日)
V氏は素晴らしい。「絶対に存在し」「生物学の常識を覆し」「ノーベル賞に値する」ほどの画期的な仮説を異国の弟子に懇切丁寧に教え導き、「賞も特許もどうぞ」「自分は末席で結構ですよ」というマザー・テレサのようなお方だ。かような慈善行動はまさに生物学界の常識を覆すものであり、ノーベル生理学・医学賞よりも平和賞こそふさわしいと評する声も出始めているようだ。
H子、できると信じなさい。「ある」んです。失敗はいいんだよ。だって誰も「ない」って証明できないだろ?だからなんでもOKだ。早くやるんだ。もし何か言われたら寝ても覚めても「ある」と言い張りなさい。心配ない、私もあると言い張ってVサイン送るからね。片手じゃない、両手で送ってあげよう。もちろんお金もだよ、Have a nice stay in Kobe!
なんて勘ぐる下衆がいると聞いているがとんでもない不届き者だ。下村文科大臣は小中学校教育に「修身」を復活させ、V氏の我が国への献身的な貢献をたたえるべく、太宰の「走れメロス」と並ぶ「サインはV・V」を徳育教材として教科書に採用すべきではないだろうか。ネイチャーの編集者のご関心を買って採用させるよりは簡単ではないかと思われる。
(追記、7月9日)
我々はプレスの公表事実から推論するしかないが以下のものが注目される。
^“「小保方さんに協力した人がいるのでは?」 STAP細胞論文不正問題で理学博士・竹内薫氏が新たな食い違いを指摘”.
論文で「STAP細胞」と呼ばれている細胞は,どれも同じ細胞ではない。少なくとも3種類あり,実験ごとに異なる細胞が使われている。論文に掲載された「STAP幹細胞」10株は,すべて途中ですり替わっている(上掲)。そうとすれば、
①ネイチャー論文偽造が「過失」ではなく「故意」によることが確実であり②小保方氏にES細胞とTS細胞を混ぜ合わせる経験はなく③誰かがそれを渡したか、あるいは両者を混ぜた④その人物も故意を共有していた
が論点と思われる。故意の認定により両人の行為は韓国の黄禹錫教授事件と同じ法的構成要件を満たしてくる。筆者が再度指摘した理研のLetter論文調査と小保方研究室にある細胞の調査への回避姿勢は、それ(詐欺罪立件)から逃げるためとすれば整合的である。②③④については若山解析こそが決定的証拠となりえる。
“撤回理由書、共著者の合意なく書き換え 細胞の由来説明を大幅変更、水掛け論に”.
この昨日の報道は、この書き換えの行為者のせっかくの努力にもかかわらず、かえって「②③④について若山解析が決定的証拠となる」ことを示している。それを否定しないとまずいという意図が見えてしまった。この撤回理由書書き換えの行為者こそが真犯人であるか、または、真犯人をかくまう共犯者であるとするとこの行為は整合的である。ただちにそれを捜査すべきである。
(追記、7月25日)
研究自体が虚構であったのではないかという疑念を禁じ得ない段階に達しています(日本学術会議幹事会声明「STAP 細胞事案に関する理化学研究所への要望と日本学術会議の見解について」、2014 年7 月25 日)。
何度も書いたことだが、非常に高い確率で、赤字部分の通りという推論を覆すのは困難である。僕の推論はあくまでネットで得た情報に基づく推論であるが、帰納法でも演繹法でもなく、数学的帰納法的推論である(ドミノの大きさが違う)。
すなわち、「7月9日までに得た情報が正しい」(=①)とは言っていない(言う必要もない)。「研究自体が虚構である」(=②)とも言っていない(言う必要もない)。①と仮定すれば②であると言っているのである。
②でないと主張するなら方法は2つしかない。数学は数学的に否定していただきたい。
(1)①が誤りと証明する。
それは小保方研究室の冷蔵庫の細胞を第三者機関が調査し、「STAP細胞を得たマウス」=「若山氏が小保方氏に渡したマウス」(「若山研にいたことのある種類のマウス」ではだめである)を証明すれば済む(完全ではないが)。だから理研センター長様は理研のために早く調査すべしと強く主張してきた(追記、6月26日、同6月30日参照)。
(2)僕の「ドミノ倒し」のロジック(連鎖)を否定する
是非おやりいただきたい。
「ねこだまし」が何万回行われようと、以上がなされないなら、株式市場にも関与する一大疑獄事件という疑念が払拭されることはなく、米国当局を交えて何年かけても調査が行われるべき案件と思料する。
(PS 学位取り消し問題はロジックに含まれない。早稲田大学の名誉の問題であって本件の結論に何の関係もない。STAP検証実験の有無も結果も何の関係もない。まして監視の有無など完璧に関係がない。どんな魔術を使おうが他の研究者が再現できないものは「無」である。従って、実験そのものが「ねこだまし」であるが、「監視」は実験実行を正当化する「ねこだまし」の「ねこだまし」である。実行させている者にとって実験結果などどうでもいい、しかし、「どうしてもやる必要がある」という強い動機を示唆する。その動機にこそ本件の背後にある真実があると思料する)
研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて 研究活動の不正行為に関する特別委員会報告書
第2部 競争的資金に係る研究活動における不正行為対応ガイドライン
6 不正行為と認定された者に対する資金配分機関の措置
(3)不正行為に係る競争的資金の返還
研究費全額の返還
研究の当初から不正行為を行うことを意図していた場合など極めて悪質な場合は、3の1及び2に掲げる者に対し、これらの者に係る当該研究に対して配分された研究費の全額の返還を求める。なお、不正行為があったと認定された研究が研究計画の一部である場合、当該研究計画に対して配分された研究費の全額の返還を求めるか否かは、事案ごとに委員会が判断するものとする。
調査委の結論(1)
いずれも2本ある論文のうち主論文に記載されている。一つは細胞増殖率に関するグラフで実験を手がけた記録がなく、小保方氏が細胞の数を計測していなかった。もう一つはSTAP細胞の遺伝子データを示した図で、実験データとされる結果と一致せず作図したと判断した。
← どうして作図したのですか?(作図=故意である) ←(未だ不明)
②について
「ES細胞のコンタミ(混入)ということが起こりえない状況を確保しておりました」(小保方氏、2014年4月9日の会見)
← この発言は嘘だったのですか?
嘘でない
「知らない所で混入が起きていた」「渡したのはstap細胞だと信じていた」ということになる
← それならどうして作図したのですか? ←(未だ不明)
それとも
嘘だった
← どうして嘘をついたのですか?←(未だ不明)
調査委の結論(2)
過失か故意なのかは決定的な判断をすることは困難
(←何をもってそう結論するのか未だ不明)
税金の使途につきこれだけの不明点を残している。この調査委員会の判断で返還額が算定されるのだろうか。
お知らせ
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ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/
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某社会議でのプレゼン
2014 JAN 24 1:01:02 am by 東 賢太郎
昨日は某東証1部上場企業の「2014 年頭会議」が九段にて行われ、弊社もプレゼンテーションの枠を賜わりました。全役員と全国4000人の社員から選ばれた300人の職員がご出席という大会議でしたが、最後まで全部聞かせていただきディナーも参加させていただきました。
この会議の議題で「アメリカは日本の消費税を許さない」(岩本沙弓著・文春新書)が参考図書に上がっていたので読みましたがなかなか面白い本です。アメリカは消費税(付加価値税)がありません(小売売上税である)。消費税は輸入国で100%徴収されますが、輸出国の生産段階で徴収された消費税は還付できるというのがWTOの原則です。だから日本の消費税が上がるとアメリカ製品は高くなり、日本の輸出企業への還付金は増えるのでアメリカ企業は競争力を失います。TPPは米国が日本の関税を下げさせる目的ですが4月からの消費税3%上昇(来年さらに2%)がそれを相殺し非関税障壁となるというのが論点です。アメリカは当然それを知って交渉してくるのでTPPのハードルは高く、どこを攻めてくるかが焦点です。
スイス人の大手金加工会社CEOもプレゼンされましたが、日本では純金(インゴット)を買うと消費税がかかりますが、欧州でそんな国はないそうです。スイスでは1981年に消費税をかけたら3日後に取引がゼロになってしまった(あのスイスで!)ためすぐ廃止になったそうです。日本は貯蓄用にゴールドを売買すると消費税が乗ります。今なら5%、4月以降は8%だから3%高い。売れば回収(相殺)はできるとはいえ宝飾品、加工品はともかく利息の付かない貯蓄用の金保有に関してグローバルに見ると元本の投資効率は劣ります。これは日本人の貯蓄のハンディです。僕は一度円高のリスクがあると考えるのでドルと逆相関の金はそこが買い場ですが8%になってからというのはひっかかります。
会議からはいろいろ学ばせていただきました。消費税アップは日本の財政事情から不可避とは思いますが、それは大きな副作用ももたらすかもしれないということは要注意と思料いたします。
来年の日本株を予想する (My thoughts on Equity Market in 2014)
2013 DEC 25 1:01:55 am by 東 賢太郎
安倍政権の発足から1年たちます。誕生した12月26日の日経平均引け値は10,230.36円だったので、昨日(同15,889.33円)までで55.3%の上昇です。10万円で株を買った人は5万5300円の利益を得たということですね。
これは凄いことです。
どう凄いか? 現在の金利水準ですと円ベースで年間5%で回せばプロとして合格でしょう。55.3%の運用益はその年5%を9年連続したものに相当します。例えれば、「年5%で運用します!」と宣言しながら8年連続収益ゼロで「ドアホ!」とド突かれていたファンド・マネージャーが、9年目に一気に公約を果たしたという満塁ホームラン利回りです。道行く人の誰もがそんなことができてしまった。ちょっと品格を欠く例えで恐縮ですがパチンコのチューリップが開きっぱなしだった(古いか)、とにかく奇跡のような年でしたね。
今年の5月17日にブログにこう書きました。
これから日本株はどうなるか?
結果はこうでした。
ごらんのとおり、直後の3か月(6-8月)は経済環境の様子見で横ばいでした。最後の3か月(9-12月)にはまた18.7%上昇しました。
以下、上記ブログの文章をベースに解説します。
「コイツら本気みたいだぜという凄味があるからたまたま経済学どおりに事が運んでいるのです。円安がどこまで行くか、日本株がどこまで上がるかは、このドスがどこまで効き続けるかということを最大の決定要因としています。」
⇒ この前言はまったく覆す必要はありません。
「これはアベノミクスを受けて個人消費が意外に早めに好転している兆候と考えられなくもありません。ということは物価も意外に早めに上がってしまい・・・」
⇒ これは米国経済が予想より堅調なことと消費増税効果で相殺です。ですから円安は続きます。120円まで行ってもおかしくありません。
「経済成長が鈍い、お金の需要が低いほうが株が上がるという「妙な上げ方」をしているのがこれまでの株式市場だと言って大きくははずれていません」
⇒ この前言も当面の所まったく覆す必要はありませんが、4月以降にその転換点が来ると予想します。素人がどの株を買っても儲かるのはそこまでです。
「私見では参院選を契機として7-8月ごろに前述のドスの効用がチェックされ、4-6のGDP次第で本当の勝ち組企業にマネーがシフトするはずです。とすると9-12でまた株価は上がります。」
⇒ たまたまですがそうなりました。まだ上がります。
株式市場ド素人の経済評論家、政治評論家と称する人たちがテレビや新聞で「日経ダウ1万6千円だ」と騒いでいます。口をそろえて、
アベノミクスの「第3の矢」が今後の相場のカギだ
などと言っていますね。こういう連中に騙されないことです。彼らはべつに騙す気はないでしょうが「もっともらしいことをテレビでしゃべる」ことだけの専門家であって、要は毒にも薬にもなりません。「もうかなり上がったのでこういう点は要注意ですね」などとリスクへの配慮を見せた方がどこか知的な人に見えるのでほとんどがそのトーンを装います。実はそういう人こそまったく知的でないのです。株式市場の原理など誰一人として知らないし興味もない。株を売買した経験すらほとんどの者がないでしょう。そういうのを日本語では耳年増と呼びます。
第3の矢である成長戦略などそもそも政府が考えるものではありません。名前からして「おためごかし」です。できるのは規制緩和だけですが、既得権益をつぶすようなやり方で自民党がやることはありません。なぜならその最大の所有者が官僚であり、アベノミクスは官僚、日銀の暗黙の支持を前提としています。既得権益者に睨まれてデフレに戻ったら自爆テロです。そんなことやるわけないでしょう。
第3の矢がなかったと騒いで安倍政権の足を引っ張りたい左派の連中と、原理的なことを考える能力の欠落している野党がそう言っているのです。それほど引っ張るところがありません。でも来年は国政選挙はありませんし、野党は「みんな」がコケてすべて瓦解しました。2大政党制であるなら強力な与党が出現すると国民に必要とされて形成されるのが強い野党です。それが瓦解ですから野党形成力すらない。そんなのが与党になれるはずもないのです。
安倍さんは歯牙にもかけていないでしょう。ドスのきいた眼はしばらくは曇らないのではないでしょうか。
つまり日本株はまだまだ上がるでしょう。私見では東京オリンピックまで続きます。日本国そのものが経済金融の20年の中期転換点を昨年に超えたことこそがその真の原因だからです。アベノミクスが成功したからではなく、それはその結果にすぎません。彼は成功すべくして成功したにすぎません。つまり、安倍さんを首相にした空気もその結果であり、まして第3の矢など何の関係もありません。来年に中国などの不測のファクターで世界株安のような場面があれば、買い場になると思料いたします。
プーチンと習近平の戦い
2013 NOV 18 23:23:27 pm by 東 賢太郎
先週ロシアのプーチン大統領はソウルに行っている。そこで大統領と会食した人の話を今日聞いたが、中国の習近平主席がCISに接近したことにプーチンは非常に不快感と危機感を持ったそうだ。だから中国にとられるぐらいならその前にロシア側で海外投資を誘致して自律的な経済発展を促進する策をとる可能性が高い。
そこで蜜月になりつつある日露両国の企業レベルの関係構築が進むのではないかとのことだ。10年前に堰を切ったように中国に進出した日本企業は尖閣問題に端を発した「いじめ」に業を煮やしており、条件次第でCISに工場を鞍替えすることもあり得る。来年2月のソチ五輪はそのデモンストレーションになる。オリンピックが開催できるほど安全でインフラ整備もできているというイメージを海外企業に発信できるわけだ。
もうひとつ重要な要因がある。CISにはガス田がある。米国のシェールガスはトン当たり2-3ドルと日本の価格の10分の1程度であり、ここから10年でエネルギー革命が起きることは必至の状況だ。しかし彼によるとCISのガスはその米国の半分程度で買える。輸送費が乗るため今は競争力がないが、日本の製造業が当地に進出してくれば輸送は不要だからコストメリットが出る。それは隣のロシアにも大きな経済効果を及ぼすということだ。
今僕はCISの株式市場に注目している。
アベノミクスは成功するか
2013 JUL 10 17:17:54 pm by 東 賢太郎
いよいよ参院選です。アベノミクスが大きな争点ですね。SMCは政治プロパンガンダ禁止ですのでそれをわきまえつつ私見を述べさせていただきます。
アベノミクスの真価は第3の矢にかかっていると言われています。第2までは概ね成功(それでも第1段階ではありますが・・・)というのが世論と考えてよろしいかと思います。この辺の事情は経済の鏡である株式市場に反映されています(僕の5月17日付ブログこれから日本株はどうなるか?をご参照ください)。そこに書きましたが、金融現象としての株高と実際の経済成長に根ざした株高は別物です。デフレ解消は手段であり、やがて経済成長に結びつくのでなければ意味のないインフレをもたらすのみという野党の主張は正しいといえます。
ただ忘れてはいけないのはデフレ経済で政府が何をやっても経済は成長しないことです。他人の資本を借りた「梃(てこ)の原理」で成長する企業というものがなくして資本主義は成り立ちませんし、それをミクロ現象としてトータルにいわばマクロ的に見たものが経済成長と世の中が言っているもののほぼ実体です。もちろん企業が絶対に必要というわけではないですが、それを否定して国家計画経済だけで生き残った国家が世界に幾つあるかご覧になれば、結果論的にではありますが、企業がレバレッジをかけて成長することが国家経済を繁栄させる近道だという間接的な証明はされていると考えていいのではないでしょうか。実質金利が高くて企業がお金を調達しない、借金をした者が苦労するという世の中では資本主義はワークしないのです。
ですからデフレ根絶という大目標を掲げたアベノミクスは合理的理由があります。参議院の存在意義や国家体制や憲法改正の是非を論じる以前に、まずデフレはいけないのです。その手段として金融緩和という策が日銀から提唱されました。これが貨幣の増量を暗示して円安、株高を誘発したのですが、これが政策目標ではないのですから「庶民は恩恵がない」と政策批判する根拠がありません。企業の労働分配率問題にすり替える根拠もありません。デフレ経済では貯蓄こそ王道です。企業はセオリー通り内部留保しているだけであり、分配させるにはデフレを退治するしかないからです。
第3の矢は難しいですね。規制緩和は効くでしょうがTPP、原発再稼働の舵取りをしながらですし。日本国は成長原資(非効率)をたくさん持っている国です。医療、教育、農業など。規制緩和はそれを活かす唯一の道ですがそれをするには既得権益集団との対立が不可避です。官僚はその代表ですが議員定数問題を見るまでもなく政治家も集団の一部です。だから彼らに本格的な規制緩和は期待できないでしょう。現在の規制環境の下で成長することはもちろん可能ですが、それを推進する主体である企業セクターにおいても社内既得権益闘争があり、株主利益など一顧だにせぬ社長解任劇が演じられたりしています。株主総会でなら健全なのですが。
今回の選挙はそういう考慮とは関係なく、大方の予想通りの結果になるのではないでしょうか。ねじれ国会がそんなにいけないなら憲法改正と一緒に参議院は潰した方がいいのですが、そういう本質的な議論は一切なく。アベノミクスの最大の価値はデフレ対策である以上、少なくともそれだけは完遂してもらいたい。そこから先は企業経営者に頑張っていただきたい。今申し上げられるのはそこまでです。
人民元フロートと金価格
2013 JUN 30 17:17:57 pm by 東 賢太郎
お父さんの小遣いが毎年下落して今年は月平均3万8千円になったらしい。1882年の3万4千円から上昇し始め、バブル最盛期の1990年が7万7千円がピークだったという。この89~90年が日本の株価のピークでもあった。この日経平均株価のチャートをご覧いただきたい。
ちなみに1982年の日経平均株価の大引け(1年の最後の値段)は8016円だった。去年2012年の日経平均は9月まで8870円(9月終値)だったから1982年の水準まで戻っていたということだ。こういうのを証券界では「行って来い」と呼ぶ。お父さんのお小遣いも行って来いだったようだ。
株価の方は昨年12月からアベノミクス効果で5割も上がったが、お小遣いは横ばい。そう見える。左翼が言うように実体経済にプラス効果は出ていないのか、若干出てはいてもデフレ払拭に自信が持てず出費を控えたままなのか。日本人のお父さんが最も景気の良かった90年。銀座で宴会を終えてタクシーをつかまえるのが至難の業だった。2次会で終電がなくなると最悪で、出はらった第1便が戻るのを待つので結局その間に飲み直しの3次会となる。バブル経済は夜中にも静かに成長していたのである。
その銀座で松坂屋が今日閉店となるらしい。世の中には「行って来い」でない部分もあるのだ。この「帰って来なかった部分」はどこへ行ったんだろう?もちろん中国だ。お父さんの財布が軽くなった分もそうだ。それはこれをご再読いただきたい。
野村證券金融経済研究所という場をお借りしてではあるが、この現象を日本で最も早く言い出したのは僕だという自負がある。僕はエコノミストでも中国研究者でもない。そうなる気もないし、そうである必要もない。こういうことの予測は数字や制度に兆候が現れたらもう遅い。センサーがないとわからない。グローバルな感度の高いセンサーは5か国ぐらいに住んでみないと絶対にできない。アジアでも南洋でもアフリカでも平気で闊歩するアングロサクソン人とユダヤ人がこのセンサーを持っている。だから世界経済を、情報を、金融を、ヘゲモニーを牛耳れるのだ。
中国のシャドウバンキング問題は根深い。日本人のお父さんが最も景気の良かった90年を(一部とはいえ)中国人が謳歌しているとすると、申しわけないが実体的国力とはかけ離れた勘違いというしかない。ベルリンの壁が崩壊して東ドイツ人が殺到したのは八百屋だ。西側のTVで憧れていたバナナを買うためだった。92年に赴任したフランクフルトで何度もその事実をひねったジョークを聞いた。欧州の東側経済というのは、西に組み込まれ、西が巨大なコスト負担をして同化していったのだ。それでも10年かかった。中国にはその「西」に当たるものがない。WTO加盟して西欧化した(つもりの)自分が旧中国という自分を飲み込んで同化しようしている。
習近平が引き継いだ船はそういうものだ。仮に船員は優秀であっても日本が100年かけて辿った造船過程を財力とコピーと規模の力だけで5年や10年ではしょるというのは無理であり、一見できたように見えるとしてもタイタニック号のように見栄えのためだけの煙突が1本ついたものだろう。さらに乗っている乗客(一般大衆)が船に習熟するには30年はかかるだろう。シャドウバンキングの残高は日本のGDPなみの500兆円もある、はじけたら日本の90年バブルの比ではないと世界中が騒いでいるが、問題の本質はそういう点ではない。
それはバナナを知ってしまった人はこれからもずっと食べるということだ。人間の欲望というものは後退を知らない。今までこれは中国の膨大な潜在成長力を物語るポジティブな話だった。しかしミクロネシアと違って中国に野生のバナナはない。お金で買わなくてはいけない。バナナは家にありすぎても困るがお金は困らない。そこで欲望は無限に膨張してgreed(グリード)という化物になる。東ドイツ人のグリードは西ドイツの政治、金融、経済システムという「近代的制約」の中でコントロールされたが、擬制の近代的制約、ひょっとすると専制君主の時代と変わらないそれしかない中国でグリードのコントロールこそ船腹の穴になるかもしれない。
中国の統計の信憑性はいまだ不明だが、GDPに占める外国の直接投資は1.5~2%はあると思われる。波及効果を入れればもっと大きい。要は外国企業が中国企業として物を作り、物を売り、サービスし、人を雇い、税金を払ってグリードを満たしている。しかしグリードはGDPよりずっと速く成長する。バナナを食べた瞬間に2倍にも3倍にもなるかもしれない。だから賃金は不可避的に上昇していずれ先進国並みにまでなる。すると先進国による製造拠点型の進出は意味がなくなって後退する。つまり直接投資は減ることはあっても今までのような成長ドライバーにはならない。
成長の果実を永遠に食えるという幻想だけで一等国なみに膨らもうとするグリードを自国だけで押さえようとすれば、 ①覇権主義によるガス抜き ②官需拡大(そんな内需は中国にはない) しかない。①は領土問題を指摘するまでもなく活発だ。②はどうか。直接投資減少をトップダウンで埋め合わせる成長はゴーストタウン(中国語で「鬼城」というらしい)を生むことはあっても、投資資金には元本回収機会すら生まない可能性がある。証券市場は未成熟であり銀行はそんな案件に融資できないから公認の闇金融ができる。これがシャドーバンキングの背景だ。それは米国にもあるしそれそのものが悪いわけではない。問題は船そのもの、そして船長も船員も、そのクレジットリスクという高波や氷山衝突のリスクを見抜いたり制御できたりするまでには製造や訓練がされていないことにある。そんな程度で日本国のGDP並みというタイタニックを操縦していることが問題なのだ。
①②は現政権が短命化プロセスを邁進していることの明確なシグナルかもしれないという声もある。政治、金融、経済システムという本格的な「近代的制約」を所有する前に巨大なグリードが暴れ出した中国は明治時代の日本とは明確にちがう。いや昭和になっても「欲しがりません勝つまでは」が成立した、いわばグリードの制約が民衆の心に内在していた日本と中国とは根本的に問題の性質がちがう。
共和制国家が誕生する以前の欧州が例えば「ナポレオン王国」というひとつの国になっていたとしたら、それが今まで無傷で残っていただろうか?今の中国は有史以来おそらく初めて「外患」を心配しなくてもよい国家となっただろう。しかし「内憂」は重い。56民族からなる中国がひとつになっているエネルギーはそれだけでも大変なものだ。そのエネルギーの源はもはやいかなる宗教でも毛沢東宣言でも愛国心でもない。グリードを満たす成長、つまりお金だ。それをどうファイナンスするか?新しい中国の課題はそれだ。WTOのもと胡錦濤がやったことはその布石にすぎない。
最後に、僕の次への「予感」をご披露しておく。それをどうファイナンスするか?焦点となるのは言うまでもなく通貨だ。人民元と米ドルの交換レートだ。香港ドルは米ドルをリザーブとして発行量が決まる通貨である。香港がこれからも中国の金融、貿易の窓口であるという前提だが、そうである以上香港ドルと人民元のレートの大きなかい離はあり得ない。従ってそれが米ドルにペグされていることは人民元が実質的にペグされているわけであり、この固定レートを通じて安い労働力が商品という物品に乗って「輸出」されてきたのである。
これを米国が認容してきたのは米国企業がその受益者だったからだ。しかし前述の理由からその利益はやがて消える。香港ドルにはじまって人民元がフロートする日が必ず来る。①の覇権主義は通貨覇権があってこそ可能になる。ユーロが脱落した現在、それが可能なのは人民元だけだ。悔しいが金融ヘゲモニーの戦略思考能力ゼロである日本の政治家と違い、中国トップがそのことを考えていない確率はほぼゼロと思う。
そこで中国が頼むのは金(ゴールド)しかない。金兌換通貨によるファイナンスである。米国はさらに金を買い集めるか不換紙幣化だ。シェールガスが原油を代替するのは米国経済にはプラスだがドルの基軸通貨性は原油の決済通貨だから担保されているのであり、米国のアキレス腱になってくる。現在、急激に下がって4000円を切った金価格がいい値段かどうか。円ドルレートの問題があるのでここでは詳論は避ける。しかし資産として金を買っておいた方が良いということだけは僕は確信を持っている。
これから日本株はどうなるか?
2013 MAY 17 1:01:45 am by 東 賢太郎
日経平均株価が1万5千円を突破しました。アベノミクスが効いたことは間違いありません。どうしてこうなったのか?これからどうなるのか?少し書いてみましょう。
頭が良くて馬鹿 (ラ・ロシュフコー) とは? (2012年11月20日投稿)
なぜ自民党が勝つと円安、株高なの?(reprise) (2012年12月20日投稿)
に僕が書いた通りのシナリオ、つまり「日銀白川総裁を切った」ことこそ安倍さんの勝因です。そして彼の意を受けた黒田新総裁が2%のインフレターゲット(幸せの魔法の合言葉:2012年11月22日投稿を参照)を宣言したこと。これに尽きます。
間違わないでください。2%を目標値としたからではありません。「やる」とコミットしたこと、それをグローバル金融界が信じたこと、これが大事なのです。「頑張ります」じゃない。日銀総裁の首を吹っ飛ばしてまでやるんだ、逆らってみろお前ら大損するぞという凄味を世界のトレーダー、運用者が感じたからです。安倍総裁の眼(2012年12月17日 投稿)に僕が感じて書いたことを、世界の肉食系の金融界や投資家は見抜いているのです。しかも、「円安のためじゃないぞ、諸悪の根源、グローバル資本主義経済の敵であるデフレを潰すためだ、文句あるか!」です。これは米国も欧州もNOと言いにくく、TPP参加と引き換えにまあいいだろうという円安容認姿勢を引き出すことに成功しました。この筋書きさえ確定すれば日本のいにしえのブルーチップは主に輸出企業で円安になればもうかる、しかも株価はボロボロでしたから「株を買うしかないよね」という明白な結論に至るのです。正確に言えば、買うことのリスクは低くアップサイドは大きく、他人が株を持って自分が持っていないリスクは高いという状況になるのです。なぜ円安かというとデフレを発射台とした2%インフレターゲットというのはかなりハードルが高い。だから相当の流動性供給を日銀がしないと届かない。国債や株式まで買ってもお金(お札)をばらまくわけですからお金(円)の相対的価値はかなり下がるだろうと皆が予測します。だから円安になるのです。しかしそういう経済学が大事なんじゃありません。繰り返しますが、コイツら本気みたいだぜという凄味があるからたまたま経済学どおりに事が運んでいるのです。円安がどこまで行くか、日本株がどこまで上がるかは、このドスがどこまで効き続けるかということを最大の決定要因としています。目先の3月期業績発表なんかではありません。1-3月の実質GDPは年率換算で3.5%の成長でしたが、これはアベノミクスを受けて個人消費が意外に早めに好転している兆候と考えられなくもありません。ということは物価も意外に早めに上がってしまい、2%インフレは日銀がお札をばらまくまでもなく達成というシナリオも見えてくるのです。とすれば円安も減速ですからそれを理由とした株高も減速です。経済成長が鈍い、お金の需要が低いほうが株が上がるという「妙な上げ方」をしているのがこれまでの株式市場だと言って大きくははずれていません。だからロングショートストラテジーのヘッジファンドは苦戦しており、知名度の高い株を何も知らずに買っている一般個人投資家が大もうけという、これも妙なことになっているのです。つまりマネタリーストラテジーによる上げ相場は限界が来るということ、これは間違いありません。私見では参院選を契機として7-8月ごろに前述のドスの効用がチェックされ、4-6のGDP次第で本当の勝ち組企業にマネーがシフトするはずです。とすると9-12でまた株価は上がります。自民党が大敗することがリスクですが、現状を見る限りその可能性は低いでしょう。




