僕が聴いた名演奏家たち(ニコライ・ゲッダ)
2017 FEB 11 0:00:13 am by 東 賢太郎
ついこの前にジョルジュ・プレートルが亡くなって、歴史的名盤であるカラスとのカルメンのことを書いたばかりでした。そうしたらドン・ホセのニコライ・ゲッダも亡くなってしまったそうです。伸びのある高音の美しい正統派ベルカント唱法のテノールとして理想のホセ、ロドルフォ、タミーノ、フェルランドでありました。
このカルメン、聞きようによってカラスは年増の姐御(あねご)風情であってやや特別でもある。ゲッダの純情な好青年ぶりでそういうユニークなカップルという引き立ちかたがあるようでもあります。この素晴らしいミカエラ(アンドレア・ギオー)との二重唱「母の便りは」! 何度これを聴いたことだろう。
もうひとつ忘れられないレコードが、若鮎のようにみずみずしいトーマス・シッパース/ローマ歌劇場管弦楽団とのラ・ボエームです。ゲッダの声の若々しいこと。しかも20世紀を代表するミミであるミレラ・フレー二がこれまた若いときている。この青春オペラにこれ以上なにを望みますか?僕の長年の愛聴盤の一つであり永遠に価値のある名盤であります。
次に、ここに書きましたが(クラシック徒然草-クレンペラーとモーツァルトのオペラ-)これまた歴史的名盤であるクレンペラーの「魔笛」のタミーノがゲッダなのであります。この役でもスイトナー盤のペーター・シュライヤーと双璧の美声を聞かせますが、ホセと同じく純情気味なのがなんともいいですね。夜の女王にころっとだまされる感じが出ています。
20世紀を代表する叙情派テノールであったゲッダが総督を歌ったのがレナード・バーンスタインがロンドン交響楽団を指揮したヴォルテールの原作による自作の「キャンディード」であります。1989年12月12日、ロンドンのシティに近いバービカン・センターでのライブ録音です。ゲッダとクリスタ・ルートヴィッヒとは凄いキャスティングでありました。
公表されてませんがこのコンサートは野村ロンドンが主催で、ビデオに写っている聴衆はお客様そして我々だったのです。34才の僕もきっと右の方に映ってるでしょう。この17日後、12月29日 に日経平均株価は史上最高値 38,957.44円を記録し、時価総額で日本株が米国株をぬくという驚愕の、2度とないだろう歴史的事件がおきます。
この翌年、野村ロンドンはモニュメントからセント・マーティンズ・ル・グラン(旧郵便局)という歴史的建造物に本社を移転しますが、その祝賀スピーチを首相のマーガレット・サッチャーさんに依頼したのです。すると首相からは前日に丁重な詫び状があり、明日は代理として腹心のジョン・メージャー財務大臣を送るとありました。そして翌日、祝賀会の時間にはすでにメージャー氏の首相就任が発表されていたのです。そのころ東京に帰任していた僕は社内テレビに出て女子アナとそれを実況中継で全店に解説したという懐かしい思い出もあります。
史上最高値は何兆円という巨額の「外人買い」によって達成されたのはご記憶の方もおられると思います。その「外人」のほとんどはビデオの客席にご夫妻で座っておられる紳士たちであり、彼らを担当し日々運用のアドバイスをしていたのが僕が所属したロンドン株式営業部でした。SMCメンバーの安岡氏、吉田氏もその主力メンバーとして大活躍された戦友です。
バブルといわれようが何だろうが「株式時価総額」という数値は問答無用、有無を言わさぬ経済の実力指標であって、日本経済が米国を凌駕した衝撃の証拠を米国人に突きつけてホワイトハウス、ウォールストリートを震撼させたのは真実です。だから米国は90年代にゴールドマン・サックス会長のロバート・ルービンを1993年にクリントンがホワイトハウス入りさせ、1995年には第70代財務長官に就任させて徹底的な「日本の金融界潰し作戦」を仕掛けてきたのです。僕はその戦争の当事者として内情をみな知っている。
当然政府を通じて大蔵省(当時)にも圧力はあったと思われ、我が国は実に情けない損失補てん事件の発覚という経緯を経て野村を筆頭とする証券界を証券局もろとも葬ってしまうのです。ルービンはエール大学法学部の秀才ではあるがアービトレージ(鞘抜き)王としてウォール街で四半世紀生きたいわば株屋であって、同じ株屋のドンがかたや財務長官、かたや失脚。政治家、役人のインテリジェンスの差である。あれは「バブル崩壊」などというお気楽なものでなく日本の致命的な敗戦であったのですが、その引き金となったのがこのコンサートにいた投資家の方々の日本経済への厚い信認であった。ビデオを見て感無量としか申し上げられません。
終演後に野村ホストのパーティーがあり、最後の方にひと仕事終えて悠然と現れたバーンスタインと話をしたのはこの時でした。彼ばかりでゲッダ、ルートヴィッヒと話す時間がなくなったのはなんとも痛恨でした。
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常識人はカモ
2017 JAN 27 18:18:12 pm by 東 賢太郎
ショーペンハウエルの「本を読むと馬鹿になる」というのは自分の頭で考えなくなるという意味です。まったくその通りであって、現代はさらに「テレビを見ると馬鹿になる」と付け加えるべきでしょう。
トランプ関連のTV報道だけは面白いので見てますが、まず就任演説の直後にこう思いました。
そして自動車発言はこう思った。
このおっさんに100億円ぐらい株買わせてみたいなとわくわくしますね。彼は民営化した国営企業の手練れの雇われ社長で国営時代のやり方、お行儀良さや品格や儀式典礼なんてくそ喰らえなんです。それに欠けるという路線の品評は「猫がお手しない、大丈夫か」と言うぐらいばかばかしい。キミ、世の中カネだけパワーだけってもんじゃないだろう?でも一兆円稼いで世界の操縦桿にぎった男にそれ言っても虚しいですね。
メキシコに壁?選挙用のホラだろ?ブラフはホラでもいいんです。唯一の違いは怒らせたら本当にやることです。できないし怒りもしないのはホラです。日本の民主党政権マニフェストは歴史に残る恥ずかしいホラでした。ホラがバレたら二度とブラフが効きません。ビジネスなんてカッコいいもんじゃなくって、これ、ケンカの常識ですね。
壁作るぜ、払えよ、さもなくば関税20%だ。首脳会談、いらねえよそんなの。来た来た。海外ビジネスでケンカしてきた人ならおわかりです。TVのコメンテーターは体張った勝負の経験ゼロのインテリなんで、銀行員が株屋のコメント品評するみたいなのばっかり、僕などデジャブというか懐かしくてほっこりしますね。ビジネスの掟は成功した者が問答無用で勝ち、口だけの評論家は無価値、それだけ。ああいう番組見てたら本当に馬鹿になるだけです。
この、体を張ってない人、ケンカしたことない人の解説が僕らの感覚でどう聞こえるかをご説明しましょう。
ショーペンハウエルほどの頭脳があれば別ですが彼らにあるわけないし、我々だってそうもいかないんで「普通の頭の人が本を読んで勉強しすぎると常識人になってしまう」ぐらいに言い換えたらいいですね。「常識」というのは本や教科書に書いてあるし、家や学校で教わるし、ないといじめられるし、あれば世渡りに支障ない便利なものです。しかも自分の頭で考えてあみだす苦労なんか皆無です。しかし、資産運用の世界でいうなら、常識だけで生きている人、つまり常識人はカモの代名詞なんです。
なぜかお分かりですか?常識人は「常に多数派」なんです。教科書通りの方々だから当然ですね。しかし投資で多数派が勝ち続けることは絶対にありません。常識人はいつもほぼ同じメンツで、10人のゼロサムゲームでいつも8人が勝って非常識派の2人が負け金をはらい続けるなら反対側にベットする負け組不在になります。相場というのは反対側にベットする人、つまり売りなら買いがないと値がつきませんが、値が必ずついているということはその仮定がおかしい。即ち、常識人が勝ち続けることはありません。
非常識派、少数派についても同じことは言えますが、多数派の裏をかけば1回のベットに対するリターンがめちゃくちゃでかいわけですね、だからそれを狙い撃ちすることに命をかける天才ハンターは知恵を絞って集結します。ロボット運用などとわけのわかってない人にいわれるAIによるアルゴリズム取引はその典型です。常識人は何に対しても命なんてかけない普通の人だからこそ常識人なんであって、ワザやら情報力やら以前の問題ですね、そもそもモチベーションでかないません。長くやればほぼ撃たれて負けます。
では自分は素人だから投資信託やファンドラップを買おうとなりますね、常識的には。成長株ファンド、高配当株ファンド、バリュー株ファンド等々いくらでもあります。一応「プロが運用します」「だから儲かります」という表看板になってる。しかしそんなにプロならそのファンドマネージャーは自分で独立して運用するんです。仮に他人の資金を集めても、自分も自分の運用するファンドを買いますよ、だって自信あるんだから。もちろん僕も自分の作ったファンドに自分で投資してます。あまりに当たり前ですが。
日本で「資金運用者求む。ファンドが損しても貴方は一銭も損しませんが、ファンドが儲かっても貴方の給料は変わりません、自分が投資する必要はありません」という求人に応募してくる人に海外で運用者として通用するプロは一人もいません。それは「サラリーマン契約」ですからね、そこから資産1500億円のマイケル・ジョーダンや年収70億円のロジャー・フェデラーなんか出るはずないんです。
面白いですよ、そういう求人をしますとね、安定志向でプレゼン上手の公務員・大学教授タイプが7割、博打打ちが2割、詐欺師が1割というところが相場になります。日本の運用業界のファンドマネージャーはほぼサラリーマン契約ばかりだから、必然的にその7割のタイプばっかりになるのです。その人たちはTVで専門家、学識経験者といってる人たちと同じ人種ですね、このタイプこそ高学歴の常識人なのです。
前述のとおり常識人はカモなのだから、サラリーマンが運用してる投信はほとんどがクズです。だからラックだけでしか儲からない。そこでやめればいいのに業者の口車で分散投資ですよとあれもこれも買ってしまう個人投資家はカモのカモなんです。色んな投信を買えば買うほど個性が薄まってそれはインデックスに近づいていき、全部買えばほとんどTOPIXや日経225と同じものになります。それならETFを買えば手数料はほぼタダなのに、高い運用管理報酬をふんだくられてなんのこっちゃになるのです。
高い本代や授業料を払って多大な時間を犠牲にして立派な常識人に育つ。投資信託をたくさん買いそろえてインデックス投資してる人とおんなじですね。TVは政治にせよ経済にせよ非常識な発言は排除するからきわめて没個性的で、それを装ってオピニオンを誘導もする。そんなのを毎日見ていれば確実に立派な馬鹿になります。
若者のTV離れは「面白くない」、「興味ない」が多いそうですが、「大人は嘘をいう」もけっこうあるそうです。子供は鋭いのですね、まだ常識に染まってないからでしょうね。彼らに大人気の動画、「はじめしゃちょー」はホンネで小学生にも受けているらしく、現にこれを僕に教えてくれたのは社員の小学生の娘さんです。読者の年代は誰もご存じないでしょうが試しにご覧ください。
くだらないと思われますよね、でもこれはTVではできないでしょう。この人はyoutube閲覧数第1位で、この動画1本の閲覧数が370万なんです。僕が4年書いたブログが全部で66万です、大谷の打撃を見た中田みたいなもんで書くのがあほらしくなります。この人はユーチューバーとして食っていて広告料で年収1億円以上ときいてます。どうして?別に驚きません、フォロワーの子供たちは10年後に自社製品の消費者になるからです。
ちなみに、テニスのフェデラーの年収70億円はスポーツ界の世界4位ですが、そのうち賞金は8億円だけで残りは広告料収入なんです。プロを称する高学歴インテリサラリーマンの評論家やファンドマネージャーと、はじめしゃちょーと、どっちがフェデラーに近いですか?
常識人はカモ、ご記憶ください。
(ご参考、本稿の実例です。これは大統領選挙の直後に書いたブログですが、今でもほとんど修正は不要です。当時、常識人、マスコミがこんなことを言っていましたか?)
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トランプと習近平が証明したこと
2017 JAN 18 23:23:21 pm by 東 賢太郎
いよいよ習近平がダボス会議に現れて「保護主義は利益にならない」と主張しました。その昔黒船を送って開国を迫ったアメリカが「国を閉じます」と言って、嫌がっていた中国が「開け」と言っている。天地逆転であり、いかに歴史的大転換の時代に我々は生きているかお気づきでしょうか。
僕の香港駐在による経験的持論である「中国ビッグバン仮説」が、実は仮説ではなかったことをトランプと習近平が証明しています。オバマはTPPでグローバリズムの延長線上に安直な勝機を見ていたが、トランプはもはやビッグバンを引き起こしたそのゲームのルールのままでは勝ち目はない、そんな悠長な事態ではないと言っている。彼はおそらく正しいのです。
正しいというのは「社会の変化によって追認されてあとからそういう流れが底流にあったのかと気づくような根拠のある」、という意味で言っています。それは白人のヘゲモニーの終焉かもしれず、自分が決めたのにルールが悪いと批判してみたり、中国が非道だと責任転嫁をしてみたり、はたまたインテリになればもう資本主義は役目が終わったんだという議論まで出てくる。
しかし、トランプが僅差ではあれ選ばれたという「社会の変化による追認」は、それがどんなに気に食わないことであっても事実であって、そこに至る底流は中国が「グローバル大貧民ゲーム」で独り勝ちした以外に整合的な根拠を見出すことは困難である。だからトランプは「閉じる」であり、習近平は「開け」なのです。失業はしない学者は気づかないが白人キリスト教徒の労働者階級は気づき、移民排斥という別な形でも不満は噴出しています。
トランプは中国も批判するが、メキシコという身近なシンボルを攻撃して同じことを労働者にわかりやすく訴え、当選した。かたや「資本主義は終わりです」、「みんなで貧乏になれば平等でしょ」と主張する政党がリベラルであり、ユートピア国家を目指しましょうという左翼学者が大学で教えている我が国。自分だけは大貧民になりたくない人の方がずっと多かった米国はわかりやすい資本主義国です。しかし仮に今世紀中にヘゲモニーが中国に移転したとしても、中国ほど資本主義が好きな国はないからそれが終わることなどないのです。
「中国ビッグバン仮説」は机上の空論ではありません。大貧民ゲームは麻雀と同じく「点棒(=お金)を争うゲーム」と認識しているからです。この現象は政治学、経済学、歴史学という分断された視点からの分析ではわからない、例えれば、現代医学が臓器ごとに専門分化しているため胃を全摘して治ったはずの癌が他臓器に転移するリスクを排除できないのと似ています。癌の根源を断つのが合理的で、「お金」を横軸として観察するヘゲモニー分析はそれに相当し、その結論が我が説なのです。
米国だけでなく欧州の反EUの様々なムーヴメントも同じです。2001年の中国のWTO加盟の瞬間(=ビッグバン)からこの日に至るのは宇宙の膨張のごとき「不可避的結末」だったのであって、米国といえど原理には逆らっても無駄なのです。白人が有色人種国を「辺境」として搾取し、贅沢でプライドある生活にあぐらをかくというインバランスはこれから音をたてて崩壊します。僕は中国共産党を支持する者ではまったくないですが、そのインバランスをアジアで独り壊そうと試みた結果あの戦争に突入してしまった我が国として、「アジア人」がヘゲモニーの一翼でも担えるようになることは別に悪いことではないでしょう。
我々が米国と同盟国であり続ける形で世界平和に貢献することが今後も重要であることは変わらないでしょう。しかし米中の軍事バランスもいずれは拮抗するだろう。そこで我が国の未来のためにどんな均衡点があるのかはまだ誰もわかりません。朝鮮半島が一つになればそれは核保有国だ。とすれば核保有がその唯一の解になることも視野に入るでしょう。エスニックで人を見る白人社会が終焉したわけでない以上、それに対峙してアジア人のプレゼンスが増すことは大いに歓迎したいというのが海外で16年を送った僕の持論ですが、今度はインバランスが転移してアジアに癌を作らないことが重要です。
(ご参考)
中国ビッグバン仮説 (追記あり)
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トランプは何をするか
2016 NOV 12 0:00:36 am by 東 賢太郎
まずは我が事から。急に出てきたディールがあって、険しかった山をやっと一つ越えて帰国しました。この数日が大詰めで悪いことに大統領選による株の暴落が重なって血の気が引きましたが、株価もさることながら一番苦労したのはセトルメント(決済)。証券会社が長くてもセトルは自分でやったことない。法律も実務的なことはよく知らない。銀行、弁護士に助けてもらいましたがアドミ部門は生命線ということがよくわかりました。今年はもうこれで終わりでいいかな、心身ともに疲れてしまいました。メールをたくさんいただいていて一つも返事を書けなくてすみませんでした。
トランプ勝利確定のニュースは某国にて移動中の車中で聞きました。べつにこれを予測していたわけではありません、あれだけヒラリー有利の報道がありましたからね、そう思ってました。これはやっちまったなという感じかな。彼はウォートンスクールだから先輩なんですが、ビジネスマンとしてあそこまで財を成す(米国で成功はそういうこと)のは大変にしたたかなはずです。放言癖のバカなわけない。マスコミ、政官界のインテリはビジネスの修羅場知らないからわかんないだろうね、そういう種族を馬鹿にしてるしね。だから彼らお得意の常識論でヒラリー有利という直前の予測が出たんだろうと思う。
ウォールストリートのワルから見れば株式市場なんて何も知らなくてカネには目がない弁護士あがりのヒラリーのほうがチョロいんです。ゴールドマン・サックスなんてプライドくすぐって公演させて何千万円やって利用しまくってましたからね。中国の江沢民マネーもそこにつけこんだね。甘いということです、だからFBIに急所を突かれた。トランプはそうはいかないですね、彼はくだらんカネで使われる不利益を知ってるし手金ありますしね、彼と交渉したらとてつもなくタフな感じがします。
当たったとかはずれたとか、勝利の背景は何かとかどうしてヒラリーは負けたとか、そんなのは災害の後講釈であってどうでもいいんですね、それを知ったって生きてく知恵にはなりません。台風や地震が予知できなきゃニュースや解説者や専門家の後講釈なんて意味ないでしょう。僕の関心事は「どうしてインテリを納得させる常識論の予測がこんなに外れるようになったんだろう」ということに尽きます。天気予報だって毎回外れれば何か天変地異が起きてるかもしれない。世界の政治シーンでそういうことが起きてるに違いない。
それは何度も書きましたが、WTOに加盟した中国のビッグバンで何億人の貧民が一気に富豪になって世界中で爆買いしてる。そういうことです。欧米の白人が貧民にならないと、ゼロサムゲームですからね、そういうことは起きないんです。あまりに当たり前のことでしょう。そういう白人がトランプの隠れ支持者になったし、移民は出てけ!でBrexitしちゃった英国の田舎の白人もそう。ギリシャ危機はいうまでもなし。全部おんなじ現象であります。インテリはそこの感度が低い、だから外れるんでしょう。
20世紀の先進国が大貧民ゲームで負けて、しわ寄せは各国の下層に行きますからどこの国でもどんどん二極化が進んで「一揆」が起きてる。トランプは世界最大の一揆をうまく扇動したんです。しかし富豪の彼は下層よりの政策、どっかの国の子供手当みたいなことはメキシコの壁作りぐらいやらないだろう。ビジネス感覚でなんの意味もないですからね。だからEU、ロシア、中国、日本と「ディール」に入るだろう。国を富ませてやがて下層まで潤うという方法で。強いアメリカを作る、そういってるのは本当でしょう。
口だけの政治家はいらん!と言ってるのは「やる」ということ。やらんビジネスマンは無能ですからね。オバマはほんとうに口だけだったしやったことはろくでもない、ダメな方向のチェンジだけでした。8年もやってるうちに大貧民ゲームで負け組に入りだした。ではここからトランプが何をやるのか?誰もまだ知らないわけですが、勝ち組に回る策を練るでしょう。彼が吹いていた荒唐無稽な策は、その眼で見れば一貫してます。どういうゲームなのか、彼がわかっているとすれば面白い。確実に何も変えなかったはずのヒラリーよりよっぽどいいですね。最大のリスクはそれが凶と出ることでしょう。でも彼はリスクのあるディールはやらないような気がする。それをやる者はあそこまで経済的成功者になれないからです。それは法則です。もう少し先が見えてきたらまた書きます。
(ソナー・アドバイザイーズのブログ)
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長い一日でした(Brexitでおきること)
2016 JUN 25 1:01:36 am by 東 賢太郎
英国の国民投票は世界の金融市場を丁半博打の鉄火場と化しましたが、「丁と出るか半と出るか?」で大方が大外れ。ちょっと待ってよ!という声が世界中から轟いたという意味ではリーマンショックというよりも1987年のブラックマンデーに近い印象です。
ということで午後は全日程キャンセル。読響の定期演奏会もディナーで見送り。
ブックメーカーのオッズが前日で残留が1.2倍、離脱が4.3倍とだいぶ開いていて騙された向きも多いようです。この数字は残留が圧倒的有利に見えますが、これは金額であり頭数でない。BBCはじめマスコミの予想も結果的に残留に楽観すぎでした。国民投票は読めないという教訓が残りました。政治家は頭で考えるが、国民は腹で考えるということです。
いろんな方と話した当面の結論は、
- 国家の問題<ディバイドの問題(移民、テロが引き金)
- グローバルより自国利益の保護(内向き社会)
- 自国利益より我が身の生活(家向き社会)
- ヒトが動かない=モノ、カネも動かなくなる(非流動化)
- 経済のモビリティ停滞による成長率鈍化(新たな不安)
- 税収減で傾く国家が(国家破たん、戦争の危機)
- 金融政策の無力化(世界デフレの序奏、これ生き地獄!)
です。この兆候はすでにありましたが、決定打になったのは、英語圏の大国でそのダメ押しが確認されてしまったことです。アラブの春は英語圏でなく、英語メディアがオブラートに包んで発信できた。しかし英語の本丸では情報は世界に筒抜けなのです。それが各国でどう解釈され、どう使われてしまうか、誰もコントロールできないし予測すらつかない。離脱に2年あるという話ではない。
EUやブリティッシュ・コモンウエルスの存立は経済ではなく政治であり、リーマンショックは経済が経済を振り回したものでしたが、今回は政治が経済を振り回す。すると第2ラウンドで経済が経済を振り回すという2次災害の可能性がある、それが怖いのです。
(こちらへどうぞ)
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株の乱高下こそウエルカム
2015 DEC 19 14:14:32 pm by 東 賢太郎
株と為替が乱高下しています。
①ここ10年世界経済の新興需要の総本山であった中国経済の先行きに疑問符がつきだしたこと
②その結果、世界の牽引車は米国しかないという認識が蔓延したこと
③注目される米国がデフレを恐れFRBがQEという劇薬を注射し、そこで生じる副作用(バブル)を潰し、健康体に戻った証を示す必要に迫られて利上げを確約したこと
が背景にあります。イエレンの発表に対するここ数日の市場の反応には、ここまでの株高の真因を示唆する重要な情報が含まれていると見ています。それは昨日の黒田発言に対するわが国市場の混乱で、より確かに裏打ちされました。
その仮説には自信がありますが、そうであっても我々はそうしたマクロビューに基づいて相場の上げ下げをサーフィンすることに何の関心もありません(そういう投資をトレーディングという)。なぜ?儲からないからです。そんなことをして勝つ者は少数しかなく、それもフロックであることが多いのです。儲かるのは売買手数料が増える証券会社だけであることは、証券会社に30年もいた僕が言うのだから間違いありません。
我々は決算期にとらわれず長期に元本を増加させる絶対リターンを目ざしており、実体価値を株価が下回る場合に集中投資する「バーゲンセール狙い」というポリシー(ヴァリュー投資戦略と呼ぶ)なので、相場が振れて一時的な不測の安値でターゲット銘柄が買えれば有難いのです。買った株式は宝物だからよほど上がらないと売却はしません。逆にインデックスが下がっても、買ったバーゲンプライスを下回って大きく下落することはあまりありません。
ではどうやって割安かどうか判断するか?
会社の純資産を株数で割って一株あたり純資産額を求めるのが普通のヴァリュー投資ですが、我々は純資産額を最もコンサバな基準で求めます。あらゆる角度から見ての最小値を求め、株価がそれ以下であれば「ありえない安値」ですからいくらでも買います。問題は最小値を算出する基礎データです。これの信頼性こそ命であることは論ずるまでもありません。普通はこれが甘く、僕の基準ではまったくいい加減です。だからここに勝てる要素があり、徹底的にこだわっているのです。
具体的にはアナリストが年間約700社を訪問し、データを足で集めるのです。格好良さとは無縁の泥臭いやりかたです。米国の映画に出てくるようななハイテクのトレーディングルームでスクリーンを並べて電話一本でスマートに売買なんてイメージがあるかもしれませんが、そんなことで利益が継続的に出せるほどこの世界は甘いものではありません。真のインテリジェンスに基づいた調査力以外に勝つ秘訣はございません。
対象は証券会社が調査レポートを書かない小型株です。情報が市場に広く出回っていない場合が多く、「ありえない安値」がつくことが多いのです。大証券会社がリサーチを書いている大型株でそういうことはまず起きません。実際に会社訪問をすれば情報精度は高く、そこにこだわってコストをかける見返りはあるという考え方です。ただし流動性が少ないので、買ったはいいが思った値段で売れない危険があります。ここは経験値が必要です。
以上、大口をたたいたわけでも机上の空論でもないことをお示ししますと、日経平均株価の昨年大納会(12月30日)引け値は17450.77で、昨日(18986.80)時点でそこから8.8%の値上がりです。それに対して当社のアドバイスするファンドは同じ期間で20.86%値上がりしております。20対8のラグビースコアであり、これだけ大差で勝てば「バーゲンセール狙い」戦略が奏功していることは明白であると自負しております。相場が下げれば僕らは有難い。バーゲンセールの始まりで、乱に利ありです。
(追記・2016年1月16日)
2015年通年の成績(12月30日引け値にて)は日経平均株価指数が9.07%の値上がり、それに対して我がファンドは20.34%の値上がりでした。2014年通年も日経平均7.1%に対して我がファンドは17.4%で、これで3年連続の圧勝となりました( 2015年の抱負)。
世の中は原油の下げで弱気に振れています。この原油価格が恒常化すれば世界の工業生産インフラ構造に大きな影響があるのは事実であり、産油国の財政事情も一時の混乱要因になるでしょう。それが中国経済の停滞に端を発している。これがどうなるかは大元の発端であったここから読み解けばいいのです。
現行の秩序がこわれる。新秩序が見えない。こういうとき、プレスや識者は決まって否定的な見解を述べるのです。何故か。そうしないといかにも馬鹿に見えるからです。つまりそういう連中の生き残り戦略から予定調和的に必ず拡散する弱気におびえて騒ぐ必要などまったくない。原油が安いのは日本には良い話であって、それで商社が損したなどマクロ的にまったくどうでもいいことだ。オイルマネーが減ってマネーの構造変化が起こってもいずれ別の均衡に収れんするだけであって、そんなことで株が上がる下がるというのは需給の話である。株式というのはこういうときに買い場がやってくるのです。
(こちらもどうぞ)
これがわかって いれば読み解けます。一連の僕の過去の中国関連ブログをお読みください。今なにが起きているか?何をすべきか?原理的によく理解できると思います。
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そういえばピケティって誰だっけ
2015 DEC 12 11:11:47 am by 東 賢太郎
資産は持たずに借りた方がいいという時代だ。たとえば家など、固定資産税と建物の減価とローンの金利を考えれば借りた方が得かもしれずマイホームをもって一国一城の主だと喜ぶのは地価が永続的に上がるというあり得ない幻想に支えられた満足感にすぎないかもしれない。
不動産は占有すればいいのであって所有はいらないという考え方だ。買ったって固定資産税を取られるでしょ、それ、家賃と一緒じゃないの。要はキミは国から借りてるんだよ。登記簿に名前があったって所詮は小作人なの。一国一城の主なんて踊らされてるだけでバカだねえ。地価上昇がなければたしかにこういう理屈が勝ってしまうだろう。
上がらない土地は自分で使って満足するか、他人に貸しておカネを取るしかない。自分で使うと税金が丸々コストになるから、土地持ちでも自分は税金負担が少ない都心のマンションに住んで、土地は貸して収益を得ようという人が増える。合理的なことだ。そこで「収益物件」なるものがたくさん登場してくる。
それは土地を持てる者が持たざる者から家賃をピンハネしようというもの以外の何ものでもない。それを猫も杓子もやろうという時代になった。不動産所有権の証券化、流動化という背景が後押しして土地持ちが税金を払って値上がりを待つのでなく、税金は少なく払ってピンハネ所得に依存する国民的構造が形成されてきたのだ。
僕が毎日歩く駅前商店街がある。5~600メートルあるこの道でのお店の興亡ぶりは目まぐるしい。6年前に越してきたときの店や飲食店の7、8割はもうない。出ては潰れをくり返し同じ場所に3代目の店なんてのがざらだ。肉屋がケーキ屋になり洋品店が靴の修理屋になり弁当屋になったと思ったら不動産屋ができていたという塩梅だ。
これは持たざる者がピンハネに耐えられず、ひどいのは半年で撤退なんて気の毒な事態を引き起こしてるということだ。これを見て思い出すことがある。今年の初めに猫も杓子も読んだ(とされ)、全マスコミが天照大神みたいに崇め奉ったトマ・ピケティの新・資本論である。これを日本で真っ先にボロカスに貶したのは僕であり、1年後はみんな忘れてるだろうと予言したら、そっちはハズれて半年で忘れられてしまった。
このセンセイは世界の左寄り経済学者の常例として金融証券市場にほぼ無知でありブログに書いたことに尽きるのだが、ご説にはひとつだけ美点があって、r(資本収益率)を不動産収益率に置き換えるなら、他国は知らないが我が国においてはかなりr-g>0は正しいということが僕の目撃してきた「某駅商店街」の6年間の興亡によって証明されているかもしれないということだ。
江戸時代以降の日本人はもともと親方日の丸の権力たかり体質があり、アントレプレナー(起業)体質はきわめて貧困である。成功している新興企業に在日韓国系や中国系が多いのは彼らにはそれが旺盛にあるからであって、角界がモンゴル力士依存になってしまうのも、LPGA(日本女子ゴルフ)の賞金ランキング上位5人がぜんぶ韓国・台湾人になってしまうのも同じ現象なのである。
それは、日本はピンハネ所得に依存する国民的構造形成に非常に親和性のある国であることに原因がある。海賊が作った英国やゴールドラッシュで一攫千金を夢見る山師が作った米国とは根本的、決定的にちがう。ピケティがいみじくも指摘した階級の二層化が進み、固定化し、元から一攫千金的な上昇志向がない国民に上昇なんかしなくたって楽しい人生があるんだと洗脳が行なわれる。ピンハネされる側をふやすだけだ。
するとそこで不公平議論がでてきて所得再分配だと騒ぐ。あまりに知性も思考力もない。角界からモンゴルを追放しろ、韓国人は出ていけとやるのと変わりない。負けている日本人の方がだらしないのである。たかり体質がだめなのである。政治がそういう方向に持って行かないと、日本人はそのうち全部がピンハネされる側になるだろう。爆買いしてくれる中国人だけはスマイルで迎えましょう、それがおもてなしですなんて人のいいことやってると、土地ごと彼らに爆買いされてしまうに違いない。
不動産は占有すればいいのであって所有はいらない
なんとなく知的でカッコいいのだが、ちがう。ぜんぜんちがう。不動産は所有しなくてはならないのだ。企業は社長なんかにならなくてもいい、サラリーマン社長なんて賃借人にすぎない。議決権を持てば地主だ、つまり株を所有することだ。それとおんなじ。スマートで合理的な小作人?なんだそれは?
(追記)
人の噂も七十五日とはよくいったもので、ウワサはまあ2,3か月で消える。ピケティの本が売れなくなったのは実は本の中身のせいばかりでもなくて、それを読んだとか本棚に飾ってあるというのが自慢にならなくなったからだ。こういうのを賞味期限切れという。だから噂の賞味期限は二か月半が相場という意味なのだ、冒頭の言葉は。
では噂の真っ盛りはなんというか?旬(しゅん)だ。旬という英単語はなく、in seasonとかthe best seasonであって面白くもおかしくもない。つまり旬の語感は極めて日本的なのである。食べ物の旬が二か月半というのは何となく合点がいくだろう。
株式相場を長年みていると旬で動く要素があることを知る。食べられるわけでない株に旬もくそもないはずだが、時としてある。利食いという用語があるように食える時期という感覚がある。金融緩和とは旬感覚を市場に広く蔓延させる麻薬であると言っても過言ではないだろう。
だからやりすぎると定義矛盾になる。旬のタケノコが2年も3年も旬の味のまま出回るなら、それは旬ではなく巧妙なビニール栽培なのだ。それを鋭く見抜いているイエレンは、だから金利を上げると主張したのである。ピケティ現象もそうだったが、そういうのにころっとだまされるようなら株はやめておいたほうがいいだろう。
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株式道場-お値打ち物を買う眼が大事-
2015 DEC 12 1:01:47 am by 東 賢太郎
今年を振り返ると、少なくとも仕事においては良い年だったといえる。これを僕は屋久杉のご利益としている。
これが我が家に来たのは去年の末だった。江戸時代に倒された株なのに朽ちず、生きているわけではないのに今でも時間がたつと油が染み出てくる。永遠の生命力とはこのことだろう。千年も生きていたものには「物体」をこえた命が宿っている。それを毎朝ふれて、いただいて走ってきた一年だった。
値段は書かない。僕の大人買いに免疫のある家族がええっとなる程度だが、千年杉はもう伐採できないのだから高いのは当たり前であって当たり前のことを驚く必要はない。過去にも土地、時計、ステレオ等々、ええっという思いを何度もさせているが、それらのものは僕に心底の満足と喜びを日々与えているのであって、それで馬が走って代金はちゃんと回収されているわけだから問題ないではないか。こういうのを別なことばで投資というのである。資産も人生の満足も増える。貯金などいくらしたって銀行が儲かるだけで永遠にそんな現象は起きない。貯蓄と投資は雲泥の差なのだ。
それら全部と等価かそれ以上に僕を満足させ、走らせてきたのが音楽だ。LPやCD1万枚は、べつに毎朝触るわけではないがあるというだけで大いなる充足感がある。ココロの養分である。でもこれに払った代金は価値に比べれば1割ぐらいのイメージだ。特に作曲家に印税の1銭も払っていないのは大変申し訳なく思う。
僕は守銭奴でもなんでもないが、こうしてお金に換算するのは証券マンの性癖だ。そういう思考回路をデベロップしないと株が高いか安いかなど絶対にわからない。そういう眼でもって、安いお値打ち物があれば買っておこうという、それが証券ビジネスの要諦である。我が社名の「ソナー」とは電波探知機のことであって、世界中でお値打ち物を探してくるプロの気概を示しているが、実はそこまでリキまなくたってこのビジネスの本質はそれ以外にない。その能力もないのにきれいな御託や理屈だけならべる証券業者など、悪いが何の存在価値もないのである。
ところがタダに近いお買い得なのに説明してもわからない人はわからない。「うん、話はわかったけど要はカブでしょ、カブは先がわかんないでしょ危ないんでしょ」という顔をしている。ぜんぜんわかってないじゃないの。これは秀才ほどだめだ。こういうことは教師はまるっきり知らないから学校で教えてくれない。学校で教えないことはいかがわしいことだと頭が固まっているようだ。実に不幸なことだ。
写真の屋久杉をぱっと見て僕はカラダにズシンと響くものがあった。こういうのは直感というか霊感というか、とにかくズシンはズシンだ。そういうものは例外なく株だってなんだって思いっきり買う。理屈はない。確実なのはそのズシンで馬が走ることである(馬は自分なんだから)。走って稼げなかったことはない。だから回収確実なのであり、それは少々高くてもお値打ち物ということになるわけだ。シンプルな話と思うが・・・。
(追記、16年1月16日)
ここに書いておくが、2001年の中国ビッグバン以来世界経済を牽引したのは忽然と現れた新興国需要であり、先進国と新興国の経済格差のアービトレージのプロセスであった。帝国主義的侵略の果実を経済成長というまやかしの用語で讃美する時代は、中国がキャッチアップしてアービトレージが働かなくなった今終焉したのである。侵略する相手がない以上、成長という概念は経済の健康の尺度としてワークしにくい。株式投資の王道は徐々に「お値打ち物」の宝探しに収れんしていくであろう。
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中国発の株暴落について(追記あり)
2015 AUG 25 18:18:12 pm by 東 賢太郎
相場というのは過去の経験則があてはまる場合とそうでない場合があります。現在の下げは後者の感じです。中国という震源地が世界をこれほど揺るがすという経験がないからです。
米国株も日本株も特に安いレベルではなく、理屈で十分に納得できないけど強いから買うという、やや気持のよくない領域にありました。中国株が不安定なのは数か月前からで、特に今になってと言う理由は見当たりません。FRBの金利上げへの不安という米国の要因とシンクロして、売りを仕掛けやすいタイミングだった背景があると思われます。
不景気になると戦争という悪しきパターンがありましたが、今は戦争でなく世界同時株安がそれにとってかわる。しかし中国株は空売り規制が入る管理市場だから外人が売り崩すのは難しく、自由度の高い日米欧がどすんと下がってそれを見て経験の浅い中国人がびっくりして売るというパターン。その環境が熟したということでしょう。びっくりで売っているのが素人だから先が読めないのです。
中国のGDPのうち23%は不動産関連(ムーディーズ)で、無計画な開発を受け、空き室率は15-23%です。それだけでも経済成長率に疑問符がついている上、不透明な金融による貸付の信用リスクは膨大と思われ、この火薬庫に引火するとこわいというのは衆目の一致するところ。空売り筋は他市場のショートポジションが中国人に不安を生み出して大爆発を誘発し、上海総合指数が2000なんてことになると大儲けになる。
資金量さえあればそういう比較的リスクの低い仕掛けができるのだから、やるでしょうね誰かが。ただやった人間も、ことが内部事情や統計値に信用のおけない中国だけにその先に何が起こるのかが読めないだろうし、何か想定外のことで反転が起きて大損する可能性も否定できない。僕はそういう認識です。だからポジションの巻き戻しが早晩に起こりたぶん大惨事にはいたらないでしょう。17400以下は買いと思います。ただそれも経験則だから火薬庫引火だとはずれます。NYが止まるかどうか、つまり金利をどうするかがカギになりそうです。
(追記・8月26日12:43)
中国の金融緩和はプラスです。しかし元安誘導しないといけないとは本当にへたっているということで、中国が世界の牽引車という僕のビッグバンシナリオはもはや歴史にすぎなくなったことが確定しました。ポイントは米国です。経済指標はなんら変調なし。だから戻ります。FRBが何か出せば、それによって一時的な振れはあっても。ボラが上がったというだけのことで(だからvixも上がっていて)、それは上記の「やや気持のよくない領域」の滓を落すためのものです。そこは買いでしょうね。
(2016年1月17日)
中国株は「中国ビッグバン現象がもはや終結し新しいフェイズに入っている」という認識に立脚して考えないと間違える。大貧民ゲームというアーブはほぼ終わったのである。西欧がそれ以外から富を吸い上げてきた過程でその蓄積速度を計測する概念であった「経済成長率」なる数値で中国経済を語っても、もう有意な示唆は得られない。
(次はこうなる)
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中国人の爆買いが教えること
2015 JUL 9 1:01:29 am by 東 賢太郎
西室兄がこのブログでいい指摘をしていて
そこにコメントとして書いたことが重要と思っている。「日本のプレゼンスが上がる気がする」、これは同感だが、待っていればそうなるわけではない。
先日、鳥取県の境港に4700人乗りの客船が突然やってきて停泊した。「クォンタム・オブ・ザ・シー」という名のクイーン・エリザベスⅡより大きい豪華客船で、乗ってたのはほとんど中国人観光客である。なぜかというと上海、博多、釜山というルートの予定だったクルーズがMERS騒動のため釜山寄港が取り止めとなり、代わりの港を探したところ境港が受け入れたということだ。乗客の目的は買い物だ。港に近いイオンモールが電化製品、クスリ、化粧品、お菓子などを積み上げ、その村の3400人の人口をゆうに上回る4700人の中国人が大型バス10台で押し寄せて爆買いとなった。ひとり10万程度としても5億円の売上になる。
春秋航空によると上海発関空行きのエアバス320(189人乗り)の平均乗客率は95%で、一人平均40万円の買い物をする。1機飛んでくると7200万円ばらまいてくれることになる。こうした行動の背景には商品のクオリティだけではなく、それを管理、製造、流通、保管、値づけなどする日本のシステムへのトータルな信用がある。輸入すればいいじゃないか?誰でも思うことだ。違う。間に中国人が介在しないことが大事なのだ。
待ってれば来るじゃないか!日本のプレゼンスは上がってるぞ!
そうだろうか?よく考えてほしい。その5億円や7200万円はどこから来たんだろう?中国人は火星から札束をかかえて飛んできたのか?
そんなはずはない。そのお金は誰かが中国人に支払ったものだ。中国からモノやサービスを買った人だ。それは誰?中国人ではない。なぜなら2000年まではこういうことは起きていない。外国人だ。どうして?中国が2001年からWTOに入ってグローバル・ルールで貿易(モノ・サービスと貨幣の交換)を大々的に始めたからだ。鎖国を解いたといえばわかりやすい。
僕の先祖は貿易商で、江戸幕府が日米修好通商条約に調印して横浜を開港すると即座に生糸を外人に大量に売って大儲けした。私財を寄付してそれで横浜市や熱海市が水道やガス灯を作ったほど儲けた。それと同じことがこの10年、中国の沿岸部の都市で起きた。鎖国を解くとそういうことが起きるのだ。ざっくりいうなら沿岸部の4-5億人が、つまり日本国4,5個分のひとが、日本人なみか一部はそれより格段に金持ちになったのである。そうしてより豊かな生活を求め、日本に来て爆買いをしているのである。
もう一度問おう、そのおかねはどこから来たの?
外国だ。おかねは無限ではない。輪転機を回す?おかねは増やせるが価値が落ちるから買えるものは一定だ。それを購買力という。中国人が巨大な購買力を持ったということは、すなわち、誰かが巨大にそれを失ったということだ。
それが誰かは特定できない。中国から何かを買っておかねを渡す国々すべてだ。直接買うかどうかはともかく、素材や部品を入れれば世界にメード・イン・チャイナ製品が入ってない国は皆無であるからアフリカに至るまで全員が買っている。なぜ?安いからだ。なぜ安い?賃金が安いからだ。つまりアフリカで最終製品が売れればアフリカがお金を中国に支払い、中国の工場で月給7千円ではたらく女工さんがアフリカで雇われたのと同じことになる。
つまり、中国人は世界中で「間接的に」雇用され、当地の労働者はその分の職を失ったという厳然たる事実がある。これは日本でも起きたことだが、実は、貨幣経済という目には見えないグローバルのチェーン(鎖)によってつながり、地球の裏側でも同時に起きている。仕事をした者におかねが手渡され、その者が働いた分に見合うモノを買えなければその鎖は切れる。だからそうならないように為替レートというものが変動して、中国の工員さんは10年にわたってお金をもらい、購買力を高めることができたのである(その為替レートを購買力平価という)。
もう明白だろう。中国人の爆買い購買力は先進国から移転してきたのである。
そのツケが回った先進国では、そのしわ寄せが最も弱い国に回る。これも自明だろう。弱い、何が?経済力だ。経済力ってなに?いいものを安く作って高く売る力だ。日本はその力が充分にあったが、購買力平価をかけ離れた円高によって安く作れなかったから負け組だった。こういう経済原理を知らない政党と浮世離れの左派経済学者と日銀総裁が経済力をめちゃくちゃにしかけたが、お鉢がまわった自民党によってからくも一命をとりとめた。日本は去年は世界で一番上がった株式市場になったがあたりまえだ。
安くも作れないし高くも売れないし、そもそもいいものを作る能力もなければ努力もない国は失業が増え、経済力が失墜し、税収が減って国家が破たんする。これもあたりまえだ。だからピンポイントに終点同士を点と線で結べば、ギリシャのような先進国の末端にいた国が大負けして、中国人に爆買い資金を供給しているのである。まさかそんなこととは知らないギリシャの人々は自国政府やEUをこきおろす。そのどっちが好きですか?が先日の国民投票なのであって、どっちが好きになっても実はなんの解決にもならないのだ。
日本は爆買いで漁夫の利をえたぐらいで安心してはいけない。ギリシャがコケるとこれまた貨幣経済というグローバルな鎖をつたって地球の裏側でも何か良くないことが起きる。日本の評価がいろんな方面であがっているのは円安で安いから行ってみよう、買ってみようという力のドライブがあり五輪の期待もある。その反面でエネルギーや食品や武器を日本人は高く買わされるという負の面がでてくる。本来通貨は強い方がトータルに得なのであって、弱いからお得なんていうものの理にかなってない利益が国家の長期繁栄を約束することはない。
日本に追い風は吹いてるから形成は有利だが、敵がレッドカードで10人になったにすぎない。攻め込めば勝てる確率は高まったが、オウンゴールを待っても勝利は永遠にやってこない。
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