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カテゴリー: ______プロ野球

東北楽天イーグルスがなぜ強いのか

2013 AUG 14 18:18:39 pm by 東 賢太郎

東北楽天ゴールデンイーグルスが強い。今現在5.5ゲーム差でパリーグ首位を独走している。戦力はというと去年より大幅にアップした印象はない。外人(ジョーンズ、マギー)ぐらいだが彼らの長打が勝因かというと、ホームラン数69はパで下から3番目だし広島の75より少ないのだからそうともいえない。やっぱり勝ち続けのマー君を筆頭に投手陣が圧倒的にレベルアップしたのだろう。

楽天は2005年に球界再編の中で誕生したが、球団創設後の2試合目はロッテの渡辺俊介に1安打完封で26対0という壮絶な負けだった。東大や京大だってリーグ戦でこんなに激しくは負けないし、こんな負け方をしたら選手は一生のトラウマになる。勝負の怖さに背筋がぞっとしたのを覚えている。東北のかたは思い出したくない試合と思うので書くのは申しわけないが、男が真剣勝負に負けるというのはきわめて残酷なものだ。

今年の楽天で凄いなと思ったのは、星野監督がファンに怒ったことだ。日ハムの二刀流大谷にホームランを打たれてKOされた永井に拍手を贈った楽天ファンに、星野さんは「理解できない」とかみついた。東北のファンはやさしいのだろうし賛否両論あると思うが、僕はやはり理解できない。プロの試合はショーじゃない。頑張ったんだからいいじゃないかでは、真剣勝負には勝てない。

小学生のころ、ケンカしたりイタズラしたりで僕の母は学校へ何度も呼び出されたらしい。らしいというのは、そのことは後から知ったので当時は知らない。なぜなら母は息子をかばって父に言わなかったからカミナリが落ちなかった。だから学校をなめていた僕はまたやってしまう。やがてとうとう父が知ることとなって、カミナリどころかスパルタの公立中学へぶちこまれてしまった。

母性原理と父性原理というものがある。母は守ってくれ、甘えさせてくれ、癒してくれ、許してくれた。父はその逆で理のかたまりであり、かたときも甘える相手ではなかった。中学では更生して少しは勉強もしたが高校受験に失敗して、どうもこれではいかんと思いだした。唯一優越感のあった野球も高校では鼻をへし折られてしまった。このへんが、自分の母性原理からの離陸だったように思う。こてんこてんに負け続けて、みじめに残酷に踏みつけられて、甘えとったら勝てんという原理が自分の中に芽生えてきた。

今の世の中は、ちょっと語弊があるかもしれないが、父性が影をひそめて母性が勝る、ひどいときにはそれが押し売りされるような気がする。浪人時代の星野さんのスピーチを聞いたことがあるが、唯我独尊の自信家というイメージではなく、彼はひとえに負けることが嫌いなのだと思った。負けたくないから父性が勝った人になる。だから負けたやつをかばうファンに怒る。これは真正のカミナリ親父だ。

マー君は神の子なんておだてられてもうれしくない。たぶん。ところが星野監督には「何やってるんだ。お前は30勝できる投手だぞ」と怒られたらしい。最高に見事な叱り方と思う。母性の監督や投手出身じゃない監督にこれを言われても彼はおそらく馬耳東風だ。うれしかったにちがいない。死に物狂いでマウンドに行くだろう。若手の投手にもそれがテレパシーのように伝染しているだろう。

2005年の残酷な負け。東北の人と一緒に優勝を願ってイーグルスを応援したくなる。

 

 

 

 

若者は空気なんか読むな(2)

2013 JUL 25 1:01:40 am by 東 賢太郎

ミルウォーキー・ブルワーズ青木 宣親(あおきのりちか)。元ヤクルト・スワローズ。メジャーリーグ2年目前半戦で2割9分4厘(これは立派)

しかし、

「しっくりきていません。結果だけそこそこ出てしまった感じです。」(謙虚である)

去年と比べて良くなったことは?

「左方向に狙って打てるようになったことです」(現実を見て努力している)

日本では3割5分当たり前の青木が3割いかないのは、メジャーの投手はすごいから?

「パワーとスピードはかなわない。相手の土俵に入ると負ける。でも日本人しかできないこともあります。だから自分の野球を変える必要はない。」(メジャーの空気は無視)

じゃあ3割5分打つ?

「打ちます」(自分を信じている)

強いやつです。空気なんかぜんぜん読んでません。そんなものを読んだ瞬間にメジャーに飲まれます。堂々と謙虚です。若者は勝ちたければ空気は読むな。

 

野球人類学(改訂版)

2013 JUL 10 1:01:23 am by 東 賢太郎

昨年10月16日に何げなく書いたブログ「野球人類学」ですが、おかげさまで僕の全ブログのうちで第9位の訪問者数とご愛顧をいただいております。そこで、内容をより分かりやすくするためにプロ野球選手の実例を盛りこむなど、多少のアップデートを試みてみました。

 

ショート

たぶん一番むずかしい。全校で運動能力はトップレベルの人。瞬発力も判断力も全体観も必要。セカンドに滑り込んでくるランナーとのクロスプレーは大怪我する危険(西岡)。肩はピッチャーなみ(高校野球ではピッチャーかけもちも結構ある。阪神の鳥谷、巨人の坂本、楽天の松井稼頭央、横浜の石井琢朗など元ピッチャー)。三遊間の深いゴロは逆シングルからの遠投という離れ業(ロッテの小坂は右にも左にも超絶的にうまかった、阪神の久慈も)。ピッチャーが本心から信頼している(時として唯一の)内野手であることも多い。相棒のセカンドと一緒に内野陣をまとめているチームは強い(中日の荒木と井端)。ホームランも打てる場合が多い。スター性がありワンマン性格だが他人にあわせられる。女性にもてる。左利き不可。

 

センター

足が速い。肩がいい(阪神の新庄)。守備範囲が広い(阪急の福本)。後ろに強い(これは守備では最も難しい、広島の赤松の忍者キャッチ)。全ポジションのうちやることが最もシンプルでわかりやすい。カンの良さ、瞬発力、勇気がある。全校で運動能力はトップレベルの人(西武の秋山監督、ヤクルトの飯田、日ハムの陽、ロッテの岡田の運動能力はすごい)。ワンマン、天才肌、ナイスガイ。難しいことや他人のことはあまり気にしない(巨人の長野、おそらく)。打者としてはクリーンアップもいるが1、2番タイプも多い。センターが下位を打つようなチームはだいたい弱い。

 

キャッチャー

女房のフリをしながらピッチャーを支配。ピッチャーに今日は調子がいいと思い込ませる手管をふんだんに持つ。最もボス的、監督的性格だが勝負師も多い。人間をよく見ている。肩はピッチャーなみ(阪神の久保田、楽天のマー君は元キャッチャーだ)。でかいほうがピッチャーは投げやすくブロックで走者も怖い。細身の人の場合は運動能力と肩でカバー(楽天の嶋)。ナイスガイは絶対に不適格。バッターボックスにいる相手打者に対して「嫌な奴」というオーラを発する人がベスト(野村克也さん、中日の谷繁、広島の達川など)。足は遅くても許される(ドカベン香川、元阪神の田淵)。運動量は一番で持久力が肝要。打順は下位が多いが4番を打つような人がいるチームは強い(巨人の阿部)。痔になりやすい。苦労の割に女性にはもてない。左利き不可。

 

セカンド

ショートはできないがショートと同じタイプ。別な意味でとてもむずかしい。小柄でホームランはない人が多い。性格は他人につくすタイプが適役。俊足が多く打順は1、2番か下位。ファーストが動きが鈍くしかも何も考えていない場合が多く守備範囲の広さは最も肝要。インサイドワークは緻密でキャッチャーのサインによって1球ごとに守備位置を変えるなどは当然。意外にやりたがる人が多いマニアックなポジションだがプロでも本当にうまい人はあまり見ない(中日の高木監督、西武の辻発彦は凄かった)。センター前にぬけそうなゴロをギリギリで追いついてジャンピングスローでファーストでアウトにする瞬間は野球で最も美しいシーンかもしれない。中日のアライバ(荒木と井端)はショートとどっちもできるハイレベルなセカンド(だから投手の防御率が良かった)、ロッテでショートを張った西岡がセカンドの阪神も強い(それだけ鳥谷がうまいということ)。左利き不可。

 

サード

右打者(数が多い)が引っ張った強烈な打球に反応できる反射神経と、何より逃げない勇気こそ肝要。顔面で受けると骨折か前歯を折って入院(広島の栗原など)になる最も危険なポジション。バント処理以外では緻密な判断力はあまりいらない。くよくよしない。男らしい。瞬間芸でぬかれたら終わりというアバウトな人が適性があるかもしれない(何と言ってもミスターの長嶋茂雄さん、DeNA中村ノリ、おかわり君、ソフトの松田など)。肩はいい(巨人の村田の送球はすばらしい)。はなやかで目立ちたがり。強打者が多い(中西、落合、掛布、原、衣笠、小久保など枚挙にいとまなし)。他人のことはおおむね気にしない。グラウンドでスターは自分だけだと思っている。最もブロックサインを見落とすタイプ。ただし沈着冷静型もいる(日ハムの小谷野、ヤクルト宮本)。ちなみにロッテ今江が本塁打走者のベース踏み忘れを見抜いたシーンを見たが、これはプロだ(というよりPL学園の基本動作教育の凄さだろうか)。左利き不可。

 

レフト

打撃の人、強打者、クリーンアップが多い。主に求められるのは右打者の速いラインドライブを処理して二塁打にしないこと。判断力、瞬発力。タッチアップで3塁走者は後方のレフトが見にくいのでスタートは切りにくく、バックホームは角度的にレーザービームはできにくいので肩が特にいい必要はない。前方のフライはうまいショートがいるので安心。ということで、DeNAのラミちゃん、肩がだめになってからのアニキ金本に象徴されるようにプロではファーストとともに打つだけの人の定位置。ちなみにパリーグはそういう人はDHに置けるのでセリーグとは外野事情が異なる(日ハムの中田)。高校野球レベルではレフトにセンターなみの人材がいるようなチームは強いというイメージ(V9巨人の高田はどこでもできた)。

 

ライト

草野球だと一番下手な人の定位置だがレベルの高い野球では逆。センターが回ることも多い。レーザービームでホーム、サードで刺殺というカッコいい守備機会が最も多発する外野ポジション。ライトゴロも可能。だから強肩が多くイチローがここだったのはそういう意味がある。150km投手だった糸井もここ。広島の広瀬の肩とコントロールも一級品。巨人の亀井はリトルで世界制覇し上宮太子高校では甲子園で投げた投手。高橋由伸も桐蔭学園時代に甲子園で登板している。後方やライト線をぬかれると三塁打のリスクがあるので右打者のスライスする打球を追って怪我する人が多い。その分レフトよりリスクも高い。打順はいろいろ。

 

ファースト

サードとほぼ同じだがサードに必要な強肩という条件はなく左利きもOK。だから唯一、誰でもできる。バント処理ではむしろ左のほうがいい。ただし身長、手足の長さはあったほうが他の内野手からは喜ばれる。一塁走者がいる場合は牽制球を受けるためベースについており、1,2塁間をぬかれてもセカンドの責任にできる特権階級である。試合中にピッチャーやキャッチャーを一時的に待避させる場所として重宝(巨人の阿部)。専業の場合ホームランバッター、4番打者が多いのはレフトに似る。野手で唯一ミットを使い、攻撃中はミットにボールを入れたままベンチに置いて形を崩さないようにするなど、意外に繊細な面も持ち合わせる。こういうポジションに王貞治(甲子園優勝投手)を置けたV9巨人が強かったのは納得だ(昔、後楽園球場で見た王のバックホームの球威のすごさは目に焼きついている)。

 

ピッチャー

わがまま、お山の大将的性格(でない人は不向き)。キャッチャーは女房だと信じこまされている唯一の人。打者に最も近く実は最も危険。しかしサードと違って逃げても罵倒はされない。怖さを忘れてしまうほど投げることに「入ってしまえる」性格。協調性は周囲が求めない。プライドが最も高い。目立ちたいというよりほめられたい。繊細な人も多く自分のタマは誰も打てないと自己暗示にかける能力が最も肝要。何かにこだわったりマニアックに変化球を研究したりする性格が向いている(ダルビッシュがそう)。同じ動作を正確にくりかえすだけなので9人のうち1人だけ別な競技をしている(と思っている)。ゴルフに適性がある。4番も打てる運動万能型が多いが、運動神経が鈍くてもできる唯一のポジションでもある。

 

皆様はどのポジションに向いていますか?

これからの野球観戦が少しでも楽しくなれば幸いです。

 

 

プロの投手と対決した思い出

 

大成仏のゴルフ、煩悩の野球

 

ピッチャーは自信過剰か

 

野球のヤジは奥が深い

おめでとう、山井投手

2013 JUN 28 23:23:38 pm by 東 賢太郎

昨日、ノーヒットノーランは大投手でも簡単にはできないと書きました。

中日の山井投手というと、2007年日本シリーズの日ハム戦で8回まで完全試合(24人連続アウト)だったのに、あと3人で岩瀬にに交代させられた悲劇の人でした。あの試合、TVで見ていましたが7回あたりからこれはひょっとしてというムードでした。山井という投手はスライダーとカーブの落差が半端でなく、ストレートは重くて伸びがあり、調子のいい時は手が付けられない、何もさせてもらえない感じの投手です。あの試合、日ハム打線は蛇ににらまれた蛙のようで、あのまま山井が9回を投げてればほぼ間違いなく完全試合で日本一という歴史的快挙となっていたと思います。

あそこで何があったかはわかりません。ただTVで落合監督が主審に何か言っているのを見て、てっきり守備固めの交代指示と思っていました。それがなんと投手交代!!あれは本当に許せません。落合監督は投手、捕手経験がたぶんないのですが、野村克也さんや星野仙一さんが「俺だったら絶対に代えない」と言ったように、いくら1-0の試合だったからといって投手、捕手経験者だったら心情としてあそこで非情の降板命令は出せないと思います。山井の指にマメができたとかの苦しい理由は誰も信じません。仮にマメができても投手心理として、それを隠してでもマウンドに行きたかったはずです。

今日は四球はだしましたが、あの時の溜飲を下げられたと思います。山井のノーヒットノーラン、心から祝福したいです。

 

知らなかったという危険な弁明

2013 JUN 15 23:23:09 pm by 東 賢太郎

「知らなかった」 (コミッショナー)                                 「知らない事はないでしょう。てか知らない方が問題でしょ。名前まで入れて中身知りませんはなぁ」 (ダルビッシュ)

知らなかった、部下がやったことだ、だから不祥事ではない、だから辞めない。こういう論理だ。トカゲのしっぽ切りと呼ぶ。英語も a lizard’s casting off of its tail というから国際的に行われているが、今やこれが国際的に通用しない世の中になってきている。

「私の仕事は世間に迷惑をかけたら部下の首をすげ替えることなんです」 (弁明)           「あっそう、首切り役人ね。それなら誰でもできるでしょ。キミみたいに給料の高い人でなくても。ご苦労さんでした」 (審判)

こうなる。それならば、「世間の喝采はキミだけのものだ」、そう言われてこの仕事を引き受けたんだ。シロウトの俺に反発係数のことなんかわかるわけないだろう。こういう醜聞シナリオは俺の晩節の筋書きにはなかったんだ。だから不祥事ではない。あってはならないんだ。こう説明すれば、よほどわかりやすいし万人が納得して3割ぐらいが同情までしてくれるかもしれない。じゃあ、そんなシロウトを誰が連れてきたんだという問題が次に出てくるだろうけど。

駐米大使までされた方がこういうことになるのは悲しい。彼はメジャーリーグを知る野球好きかもしれないが、いくら詳しくても「観る者」と「やる者」は公家と武士ぐらい違うということぐらいは知るべきだった。ボールはやる者には命だ。武士の刀が戦の朝になって勝手に入れ替わっていたら怒るに決まっているだろう。この憤慨を利用する法曹が出てくると労使問題、金銭闘争という、およそ「観る者」にとってはどっちらけの問題に転化していく。結局、このツケを払うのはファンになるような気がしてならない。

 

 

プロ野球コミッショナーとは何か

2013 JUN 15 0:00:54 am by 東 賢太郎

権力というのはふるうのに骨が折れる、と思う。大きな組織の長に外部からパラシュートに乗って舞い降りたりするとたぶんそうだ。下からトコロテンでもち上がった人と違い、誰も彼を知らない。これはけっこうつらいものだ。知った組織でなら自分がどういう人で、何が好きで、嫌いで、派閥はどうで、日本酒党かワイン派か、好きな女優は誰でカラオケの持ち歌は何か、ぐらいは皆が知っていてくれる。だから自然と居場所が作られ、部下との心地よい距離感ができるのだ。

躾(しつけ)のできていない犬を教育するドッグトレーナーは、まず飼い主より「自分が偉い」と勘違いしている犬を預かると、何十匹も知らない犬ばかり入っている檻に何日間か閉じ込めるそうだ。だれも自分を知らないし相手にもされないので、勘違い犬はすっかり自信をなくしてしまう。こうするとそれからの教育がうまくいくらしい。犬も人間もそれなりの社会性がある。そういう動物には、組織の中の孤独は一人だけの孤独よりもこたえたりするのだろう。

天下った人は孤独だ。少なくとも初めのうちは。それが耐えられないし、そもそも天下れるような人は権力欲が強かったりするので、示威行動を起こして組織が自分に振り向くようなことをやろうとする。最もポピュラーなのは人事だ。人事で自分色を出そうとする。これほど現場に迷惑なものはない。そもそも現場などわかっていないし、自分色とは要は好き嫌いだから、決まって茶坊主を引き上げる。現場をあっと言わせれば言わせるほど権力の誇示になるから、現場のセオリーからすると珍妙な人事であればあるほどいい。こういう局面で出された人事異動の珍妙さは、その上司が勘違い犬として檻の中でどのぐらい自信をなくしているかのバロメータだと思えばいい。

人事権がない天下りは何をするのだろう?その結論を探し出せば、それは実に深みのある命題かもしれない。そういうポストはあまりないし、あったとしても名誉職で、権力欲の強い人はあまり着任しないかもしれない。例がないから想像するしかなく、まったくの空想か勘違いである可能性のあることをお断りしなくてはいけないが、今回のプロ野球「飛ぶボール問題」はその一つの研究材料かもしれないと思って注意深く観察させていただいている。

プロ野球を一つの業界と見た場合、コミッショナーの権限はアメリカではほぼ全権であり、CEOに他ならない。日本は、業務規程を読んだことはないがほぼ名誉職であろうから、非常勤の「お飾り名誉会長」みたいなものだ。そういう名誉職には、秘書、部屋、車の3種の神器はあっても人事権はない。こういうポストに権力欲、少なくとも自己顕示欲の強い人が天下った場合何をやるのだろうか。どんな示威行動を起こして組織が自分に振り向くようなことをやろうとするのだろうか。

ボールを統一してM社一社に作らせる。反発係数は下限値にする。つまり「飛ばなく」する。そうするとボールは均一化し、メジャーのボールに近づいて国際大会であわてなくなり、日本の野球は世界トップレベルに到達する。なるほど。しかしやってみたら違うものができ、WBCで選手は2重に苦労した。昨年はあまりに飛ばないと苦情が出て、検査すると下限値を大きく下回るボールが散見された。そこで今年は下限値を順守させたら去年よりホームランが47%も増えた。これが下限値の飛び具合だというなら、去年のボールの不良品率は凄いものだ。そんなにひどい製品をたくさん納入したM社は即刻、出入り禁止にすべきだろう。

ところが出入り禁止どころか、スペックの変更を隠したのはM社の在庫処分を助けるためだったそうだ。選手に変更を知らせるとオープン戦で誰も去年の在庫を使ってくれなくなるので隠ぺいしたらしい。だとするとコミッショナーはM社の工場長も兼任していたのだろうか。振り向いてヨイショしてくれたのはM社だけだったのだろうか。そもそもスペックが変わってもプロである選手が気づかないとでも思っていたのだろうか。いずれ気づくが、選手の適応力だと褒めてやれば片付くと思っていたのだろうか。いや、そんなことはないはずだ。

現場を知らない天下りボスが、あまりに現場が馬鹿にして振り向いてくれないので秘書に毛が生えた程度の女の子を執行役員にしてしまったケースを知っている。示威行動の狙いどおり、やがて周りは絵にかいた様な茶坊主畑になった。優秀な社員ほどやる気がなくなって見事に業績も株価も奈落の底に落ちたから、結局は彼自身が首になった。これは仮説だが、ボール事件は人事権の代わりにやった示威行動だとすると、スペック変更の強大な影響力を彼は知っていたことになる。そうでなければ示威にならないからだ。

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米国の統一球にもコミッショナーのサインが印刷されているが、これはCEOの目が光っているぞという、まさに正しい示威に思える。日本のそれは何なんだろう。

 

僕はスナイパーしか使わない

2013 JUN 5 18:18:59 pm by 東 賢太郎

昨日のオーストラリア戦、本田圭佑は英雄になった。あのど真ん中を割ったPKが技術的にどうだとかは全然わからない。しかしあれが、窮地に落ちた日本を救った。

ああいう場面で決める人は本当にすごい。男の中の男だ。サッカーがうまいかどうかという次元の話ではない。うまくても決まらない人はいくらでもいるだろう。ゴルフでも、ここぞという時にロングパットを沈める人。敵に回すと実に手ごわい。僕はそういう人たちをスナイパーと呼んでいる。一発必中の狙撃手という意味だが、やれと命じれば地の果てまで追って確実に相手を倒す、まあちょっと古いが007やゴルゴ13のイメージだ。ジェームズ・ボンドが「すいません、ダメでした」と頭を掻いてるシーンはないのだ。

そして僕のイメージする野球の4番打者とは、まさにそのスナイパーだ。1回の攻撃で1~3番が1人でも出塁すれば4番に回る。そこで相手投手を確実に仕留めて先取点を取る。これが4番だ。投手から見ると、そこで4番を三振にでも取ればものすごく気分が楽になる。今日は行ける!と思って調子にのってしまう。だから4番は絶対にスナイパーでなくてはいけない、と僕は思う。3,5番だとそれができても4番に座ると重圧を感じてダメという人がプロにもたくさんいる。そういう人は何本ホームランを打っても強打者でも、生まれつきスナイパーではない。

僕は人生で4番を打たせてもらったことがない。これが悔しい。4番というよりスナイパーが憧れだから。高校時代は1年の秋からどういうわけかずっと6番だった。投手は野手と別メニューの練習になる。だから野手の連中が毎日何をやっていたか知らないが、投手は打撃練習はしても時間はずっと少ない。それでも打率はチームで1、2位だった。これスナイパーじゃないの?3安打完封を食らった試合でも1本は俺の3塁打だ、ちくしょーなどと思っていた。4番だったN君は左ででっかい。日大三高からホームランも打った。あれは非力な僕には無理だ。でも4番はホームランだけなんだろうか?

でっかい人が4番というのは、僕なりに理屈がある。ホームランが打てるからではない。スイングスピードだ。これが速いと速球に振り負けない。これが高校野球レベルの分かりやすい理由。プロはたぶん違う。ボールになる変化球を引きつけられるのが理由じゃないか。フォークをストンと落とされてもバットが止まる。たとえば広島の打者は実にボールになるスライダーの選球眼が悪い。非力な打者は引きつける余裕がないから早めに振り出す必要があり、腕の振りに騙される度合が大きい。メジャーは全員がでかい。だから速球に振り負けしないので投手はきれいな速球(4シーム)はあまり投げない。手元で曲げて芯をはずすのが主流だ。それを打つには引きつけるしかない。だからスイングスピードが必要であり、チャンスで打たなくてはいけない4番はでかい奴になるのだ。

しかし最近日本のプロではつなぎの4番というのが出てきた。ロッテは以前のサブロー、彼は冷徹なスナイパーだ。阪神だと鳥谷。彼もスナイパー能力がある(WBC台湾戦の起死回生の2盗がそれだ)。カープの広瀬、これは人材がいないからだが14打席連続出塁はスナイパー能力を垣間見せる。もちろん松井や阿部やおかわりクンの4番に文句はないが、投手目線ではスナイパーの4番もいやだと思う。今のプロで最もスナイパー能力があると僕が思うのは巨人の坂本だ。いいとこで打たれる。しかも大きいのを。坂本4番、阿部5番の方が荷の重いキャッチャーをやる阿部が楽なのにと思う。

最後に、ビジネスにおいてもスナイパーは存在する。やれ、はいと言ったら必ずやる。言った以上、雨が降ろうが槍が降ろうが四の五の言わない。出来ないことは出来ないと言う。必ずやることにこそ、その人間の価値観がある。こういう人。若い人は是非これを目指すといい。必ず組織で頼られる人材になり、たぶん、いや余程ほかがひどくなければ出世する。なぜなら上司は成果が欲しい。だから成果を出す部下がのどから手が出るほど欲しい。やれば必ず信頼される。だからいい仕事を任される。すると部下ができる。部下は上からの信頼が厚くていい仕事を自分にくれる上司が好きなのだ。すべて好循環になるから出世しないはずがない。

しかしこういう人はあまりいない、いやほとんどいない。なぜ「走れメロス」が教科書に載っているか考えればいい。あんな人はいないからだ。ダメな人。簡単だ。やりますと言っておいて中途半端に済ます人、それでやったと思っている人、できない人。できなかった理由を四の五の言うのがうまい人。問い詰められると逃げる人。若い人たち、偉くなりたくなかったら是非そうしたらいい。ビジネスでは絶対に上司からも部下からも顧客からも信用されない。やり遂げることに価値観のない人は、要は何をやってもダメだ。忠誠心や協調性も大事とされるが、それは安定成長のバランス型組織においての日本的、20世紀的価値観だ。21世紀の日本経済にそんな和やかな予定調和はないと覚悟した方がいい。ビジネスにおいても、本田圭佑と4番打者は永遠にスターなのだ。

 

(こちらへどうぞ)

競争に負けない秘策3か条

結果責任とストックオプション

評価をダウンできる5つの法則

 

 

パリーグを見よう

2013 JUN 2 1:01:32 am by 東 賢太郎

プロ野球交流戦ですが、今日ついにパリーグが1-6位を占める事態となりました。パの最下位よりセの首位は弱いという、一時のこととはいえ異例なことです。セの首位はなんと広島でこれも異例なことですが、その広島も昨日今日と福岡ドームでソフトバンクに2試合連続10点取られて大敗。今年は中日がおかしいし巨人も交流戦に入ってパタッと快音が止まりました。

先日、神宮でヤクルト・オリックス戦を見ましたが、試合前の守備練習でオリックスの外野手の前進バックホームなど送球がけっこうブレていてあれっと思いました。セのチームでああいうのはまずありません。ところが試合では送球は正確、逆にヤクルトは名手宮本のお手玉エラーという珍しいものまで出ました。結局バルディリスとイ・デホのホームランでオリックスの勝ち。特に体重130kgのイ・デホはド迫力。クローザー平野は高めのボール球を振らせて2三振。豪快でした。なにか野球のポリシーの差を感じた試合で、僕の好みでいえばオリックスの試合は全部見たくなりました。

セの球団は巨人戦のTV放映料が1試合1億円でドル箱だったのですが、地上波放送が激減したのと交流戦で巨人戦が減ったことで経営がひっ迫しています。ただでさえカネのない広島と横浜は選手層が薄くなり巨人の格好の「お客さん」と化すという、読売にとっては都合の良い結果になっています。だから、お客さんと対戦できない交流戦では巨人も沈むのです。広島など高い選手を取って勝っても入場料や放映料はたいして増えないので、安くとった選手を育ててFAで高く売ることに専念しています。それで黒字なのですからオーナー家はハッピーでしょうがファンは馬鹿にされたもんです。高額のスター軍団に平民チームが勝つ、めざしの土光さんではないがこれは日本人の心情をくすぐるところがあるのでカープファンは広島以外でも増えているそうです。うまい経営です。それにだまされている僕自身、あほらしいのでカープファンは辞めようかという気にもなります。

お門違いの人材派遣業を営む球団があるセリーグが弱くなるのは道理でしょう。

 

 

 

 

 

ザック・ジャパンのブルガリア戦

2013 MAY 31 17:17:24 pm by 東 賢太郎

サッカーです。昨日のブルガリア戦に負けていろいろ物議をかもしている様子ですね。ちょっと元気がないのか作戦の問題なのか。ザック監督が珍しくゲーム中に激高したとも聞いています。僕はプレー経験がないので3-4-3と4-2-3-1と何がそんなに違うのかぜんぜんわかりませんが、サッカーにおける監督の作戦の重みだけは何となくわかりました。

野球というのは監督の作戦自体の勝敗への影響度はもっと小さいように思います。投手交代の時期などは勝敗を決することもある重い判断ですが、投手の役割が重いからそれも重いのではないでしょうか。これは自分の経験として今日は朝からどうも体が重いなんていう日はもうほぼ確実に負けるのです。監督が打順をどうしようがヒットエンドランのサインをいつ出そうが、そういう投手を先発させた瞬間に負けです。投手の方は、そうはいっても競争がありますから、チームの勝利のために今日はライバルを先発させた方が得策ですよなどとは絶対に言いません。

野球はそもそも投手が相手27人を三振させれば監督はおろか野手ですらボールに触ることもなくゲームは終わってしまいます。サッカーでこんなワンマンショーの場面はPKしかないでしょう。野球は投手がPKを蹴り続けて、野手がこぼれ球をひろうゲームみたいなイメージです。逆に、投手が不調でホームランを4,5発も打たれれば、監督も野手もなすすべなくあっさりと敗戦を認めるしかありません。

きのうは試合後に長友がチームのふがいないプレーに怒っていたそうですね。負けた後、三塁手がチームメートに激怒なんていうシーンはあまり想像できません。負けの原因がはっきりしているからです。フォーメーションがワークしなかったなどという複雑なことはおこりません。投手と打者の対決。ここに大きな比重があるので投手が勝敗の8割を握ると言われます。監督も2割以下ということです。だから160kmを150球投げられる投手がいたらほぼ勝てるでしょう。ある意味とても単純でアメリカらしいゲームです。サッカーは面で趨勢を支配しながらゲームを動かすという点、囲碁にも似た深みのあるゲームと思いました。

 

 

 

大谷はピッチャー一本でいくべきである

2013 MAY 28 23:23:14 pm by 東 賢太郎

日本ハムの大物ルーキー大谷の二刀流についてです。TVでしか見たことがありませんが、投打とも図抜けているように思います。特に打の方は、あの清原が「高卒ルーキーで自分が抜かれるかもしれないと思ったのは彼だけだ」と言っているぐらい。素人目にもスイングが速い上に柔軟性があり、ホームランだけでなく打率も稼げそうなイメージです。オリックスの糸井も大学時代はピッチャーで150kmを出していたのを、プロ入りしてきっぱりと打者転向して成功しています(彼は体形がピッチャーではないですね)。

しかし、シロウトの独断と偏見で申しますが、大谷はピッチャー一本でやるべきです。理由は簡単。球が速いからです。先日の阪神戦でも何球かですが物凄いストレートがありました。今157km出せる人は1億2千万人いる日本人のうち、たぶん彼だけではないでしょうか。稀有の天賦の才なのです。だったらピッチャーやるしかないでしょう。いつやるの?今でしょ、です。ピッチャーの命はコントロールです。速いだけではダメ。打者の練習もしながらプロレベルのコントロールを習得するのは無理でしょう。だったら二刀流はありえません。

糸井に限らず投手から打者に転向というのはいくらも例がありますが、「バッターでダメだったからピッチャーでもやってみろや」というケースは草野球ですら皆無でしょう。ピッチャーは誰でも練習すればできるというポジションではないのです。日本一の球速をもっているのにあきらめさせたら宝物を潰すようなもんです。唯一の心配は性格です。ピッチャー向きかどうか。インタビューを聞くと、どうもやさしいいい子みたいです。あんまり唯我独尊の感じはしない。監督の栗山もいい人だし、ああいう人はピッチャーはできません。オレが投げなきゃ試合が始まんないだろ?ぐらいの人。中田あたりがインストラクターになったらいいかもしれませんね。

 

 

 

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