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カテゴリー: 世の中の謎シリーズ

歴女の「うつけもの」人気の謎

2015 FEB 10 19:19:50 pm by 東 賢太郎

先日の社長にこう書いた紙をいただいた。

ながれもの、はぐれもの、かわりもの、わかもの、ならずもの、よそもの、ばかもの、はみだしもの、はなれもの、かぶきもの、けだもの、くるいもの、くわせもの、しれもの、うつけもの、おうちゃくもの、きれもの

女性はそんな男性に惹かれる

これは面白いと思った。まず思い出したのは例のホトトギスのお三方だ。「うつけもの」と「ひとたらし」と「たぬきおやじ」だ。

ネットで戦国武将の歴女人気ランキングというのがあった。

第1位「織田信長」……15.3%
第2位「徳川家康」……10.9%
第3位「伊達正宗」……10.0%
第4位「上杉謙信」……7.4%
同率4位「黒田官兵衛」……7.4%
第6位「前田利家」……7.0%
第7位「真田幸村」……6.1%
第8位「豊臣秀吉」……4.4%
同率8位「明智光秀」……4.4%
第10位「直江兼続」……3.5%

1位の「うつけもの」は社長のお見立て通りだが、なんと「たぬきおやじ」が2位ではないか。最後に勝って笑って長生きしたうえに女性にまでもてている、それでは不公平というものだが女性には男の都合など関係ない。

うつけものは若者だがたぬきはおっさんキャラだ。それが10%もマーケットシェアを占めては若者はたまったものではない。どんどん人口が減ってしまうから国としてもまずい。

日本はいい国で世界がそれを認めつつあるほどだ。だから引きこもっていても満たされてしまう。ネットとゲームの人工仮想楽園に遊んで「うつけ」とは最も遠い方向に向かっているように思う。うつけるエネルギーが内に向かっているというべきか。

電車でイヤホンがうるさい。ぶつかっても謝らない。そういうのは「うつけ」ではない。「仮想楽園星人」であって、猫カフェで見たどうも反応がおかしい室内飼育の猫みたいだ。ああいう猫が初めて外に出たら何をしでかすか読めない。うつけは異星人ではない。はみだしてはいるが足は地にしっかりとついている。

どうもあの「ゆとり教育」の頃から変になって来たと思う。教育内容で馬鹿になったとは思わない、それよりも「我が国もゆとりを持てる時代になった」などという言語道断の見当違いメッセージを国家が発したことに大きな罪がある。だから「二番ではいけないのですか?」の、ああいうのが国会に出てきてしまう。

そう意図したかどうかはともかく結果としてあれは日本軍を追い出した後に米国がミクロネシアでやった愚民政策と同じだ。優秀な一部の子は世界水準の教育をして米国に取りこんでおいて、残りは「もう戦争はないぞ」「自由に人生楽しもう」と十把ひとからげの「ゆるキャラ教育」で愚昧にお育ちいただく。統治が楽で安くつくからだ。

そういう政府の嘘にだまされてはいけない。ピケティが親の資産が相続されて教育格差が永続することを問題視したのは賛成だ。教育こそ格差社会を生む最大の要因であり、僕が住んだ5か国どこでもエリートは皆そう言った。しかしカネをかけていい学校を出してやることでも円周率を10桁暗記することでなく、だまされない理性を養ってやることこそ本当に子どもを守る方法だ。

二番でいい人はうつけたりしない。革命なんか先導する気はないし、そんなのが起きたら二番すら危なくなるかもしれない。体制順応派なのだ。一番しか嫌な革命児と根本的、決定的に人種が違う。「二番ではいけないのですか」?いけないんです。

「ひとたらし」は、たらす相手がいないと能力が発揮できない。ランキング8位という女性評価は健全に思う。うつけは一番になりたいがなれない、そのエネルギーが噴出したものだ。軌道に乗ったら凄い革命をやるかもしれない。国や科学や芸術や会社を変えるのはこういう人だ。

うつけは変態やバイトテロなんかには向かわない。ならずものだが「精神のならずもの」である。型破り、常識無視、傍若無人、定住なし、安住なし、突飛子なし、屈することなし、僕のイメージはスティーブ・ジョブズだ。女性の眼はごまかせない。うつけの信長は人気1位になってきっとドヤ顔だろう。

 

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戦争の謝罪をすべし、ただし日本史を広めるべし(追記あり)

信長、曹操好き狩猟民のすすめ

 

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戦争の謝罪をすべし、ただし日本史を広めるべし(追記あり)

エルガー「エニグマ変奏曲」の謎

2014 DEC 17 18:18:49 pm by 東 賢太郎

最近、体調がベストというわけではなく体重も増えぎみということで人間ドックにいったら、「数値はこれとこれが高めですね、体重を減らせば落ちますよ」で何ということなく終わり。今年は会社の同期が二人も亡くなりショックだったのですが、両人とも健康オタクでした。ドックも気休めだなと思っています。

こうしてブログで昔のことを書いていると、おぎゃあと生まれてこのかた5回目のひつじ年を迎えるまでに、本当にたくさんの方にお目にかかって生きてきたと実感します。そうして、自分は決して一人歩きしてきたわけではなく、人生というものはその方々との様々な人間模様の中において織りなされてきたということも。

「すべてが出会いから起きていますよね」、という高倉健のことばが重い。

もう何があってもおかしくないトシなのだから、もしそれが、その人のことが何か書けれるならば、残したい。そのぐらいのことがたくさんあった。でも、そうしないほうがいいこともある。そういうものをどうしたらいいんだろう?

先日、エドワード・エルガーの「エニグマ変奏曲」の「ニムロッド」という、心にふしぎと刺さってくる音楽をピアノでならしてみて、ふとそんなことを想いました。

この曲には、エルガー夫妻、つまり彼自身および妻のキャロライン・アリス・エルガーと12人の思い出深い人物が次々と変奏曲として描かれるのです(犬が一匹いますが)。各人の名前のイニシャルやニックネームが変奏ごとについていて、どれが誰かおおよそはわかっているようです。妻は第1変奏でC.A.E、エルガーは最後の第14変奏で、夫人が呼ぶ時の愛称E.D.Uと書かれています。

有名な第9変奏のニムロッドはロンドンの楽譜商ノヴェロに勤める3歳下のドイツ男性イェーガーの愛称で、「イェーガーの気高い人柄を自分が感じたままに描き出そうとしただけでなく、2人で散策しながらベートーベンについて論じ合った一夜の雰囲気をも描き出そうとした」(Wikipedia)だそうです。

nimrodほんとうでしょうか?

エニグマ(Enigma)は「謎」の意味です。エルガー曰く謎は二つあり、イニシャルの人物が誰かがその一つでしたが、それは解かれてしまったとされます。もう一つは、「この変奏曲は、冒頭に奏される10小節の主題とは別の、実際に演奏されないけれども全曲を通して沈黙の伴奏をつとめている別の主題が隠されている」これは多くの推測をよびましたがいまだに解かれていません。

いや、思うに、永遠に解かれることはないのです。

イニシャルの謎は後世に解かれてもいいもの、つまりフェイク(猫だまし)であり、エルガーが「解かれないままどうしても残したかったもの」は隠された主題にちがいない。書きたいし生きた証として書き残さねばならない、しかし誰にも知られてはならない、いわば「お墓に持っていく秘密」を形にしたのです。

なぜ?これを僕はわかるような気がする。そういう年になったから。SMCにブログの形を借りて僕もいくつか書いている。

エルガーのような頭脳の人がそうしたとするなら、わかる人にだけは本当の謎が解ける、解けないけれど真相を推察はできる秘密の鍵をどこかに残しているのでは?とも思っております。

たとえば第13変奏。「ロマンツァ」とだけあり、イニシャルも愛称もないイレギュラーなフェイクであります。通説では、

メンデルスゾーン演奏会用序曲静かな海と楽しい航海』からの引用楽句が含まれることから、当時オーストラリア大陸に向かって旅立ったメアリ・ライゴン夫人(Lady Mary Lygon)のことか、もしくはかつてのエルガーの婚約者で、1884年ニュージーランドに移民したヘレン・ウィーヴァー(Helen Weaver)のいずれではないかと推測されている」(Wikipedia)

とされているようですが、人類の至宝をコンポーズするような頭脳の人があえて「Enigma」と呼んでいるのだからどうでしょう。それならば他の変奏と平仄を合わせてL.M.LかH.Wとイニシャルを書けばいいのであって、ロマンスがあったことを秘匿したいからそうしなかったとしても現にこうして「推測」されている。そこにわざわざ「ロマンツァ」と追い打ちしてしまうのは愚鈍です。

僕は異説があって、第13変奏のクラリネット・ソロが吹くこれはromanza

シューマンのピアノ協奏曲の冒頭の主題、あのオーボエの主題ではないかと思います。クララの名前の音名CHAA(ドシララ)を夫シューマンが愛情をこめて縫い込んだものです。このクラリネットは長調ですがのちにトロンボーンでちゃんと短調になって出てきます(ヘ短調)。

エニグマ(謎)と呼んだぐらいですから、エルガーが音名の暗号を仕掛けていても不思議ではない。クララが出てくるのを唐突と笑う向きもありましょう、ではエルガー自身である第14変奏に現れるこれはどうか?

第1ヴァイオリンのこれは誰が聞いてもブラームス交響曲第1番第3楽章の、冒頭クラリネット主題のすぐ後に出てくるあの幸福感に満ちたフルートのパッセージでしょう。

その証拠はどこにもないが、ブラームスの第1交響曲を諳んじるほど熟知している脳がここを聴いてあっと思わないほうが不思議であって、またシューマンのピアノ協奏曲のほうもまったく同じであって、エルガーはそういう人に向けて真の謎を問いかけている。

エニグマ変奏曲全体が楽想、色調、オーケストレーションともブラームスの響きに満ちており、これもブラームスの音を熟知している者たちだけの了解の世界ですが、この曲は造りからしても「ハイドンの主題による変奏曲」を非常に意識しているのです。そしてそれは前述の符合を気づかせる舞台装置であると僕は思う。

クララはシューマンの妻ですが、エルガーの妻は第1変奏ですでに出ています。では第13変奏のドシララは妻ではないのか?それともシューマンにならって妻への愛をもう一度おしまいのところで語ったのか?ひっそりとした転調で曲想が変わって出てくるこのフレーズ、回想の中で誰かに愛を語りかけているように聞こえます。自分(第14変奏)のすぐ前に出てくるこの匿名の第13変奏「ロマンツァ」に鍵が隠れていると思います。

そして問題の「ニムロッド」です。音で聴いていただきます。

こんどはオルガン版で。

イェーガーの人格がいくら気高ろうがベートーベンについて論じ合おうが、楽譜商でいくらお世話になっていようが、この音楽がとてもそれを正当化しない、むしろ正体を現してしまっている気がするのです。あまりに良すぎて・・・。

いや、男友達に書いてやったにしてはあまりに良すぎることで、わざと真相を語らせているのではないでしょうか。イェーガーはフェイクに過ぎないと。このニムロッド主題の変奏は第14変奏(エルガー自身)にまで堂々と現れるのです。そこに前述のブラームス1番第3楽章主題が金管に現れ、なんとそれらが絡み合うのであります。何を暗示してるんだろう、それとも僕は考え過ぎなのだろうか?

これはほんとうは誰だったんだろう?

もしそれが書ければぜひ書き残したい。そのぐらい大事だけども、そうしていいことと、そうでないことがある・・・

エルガーはこういう形でそれを書いたのではないでしょうか? それこそが作品中に現われない謎の主題であり、永遠に解かれてはいけない謎であり、その人への愛情と感謝をこめて封印したのではないでしょうか?

 

(補遺、2月15日)

ヴァ―ノン・ハンドリー /  ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

MI0001086489英国音楽というとさっぱりだった大学時代。わかったのは赴任してからと言いたいが、実は去ってからだ。6年のロンドン生活。いろんなことがあった。このLPが僕の最初のエルガーだった。涙が出るほどなつかしい。ハンドリーは英国物の職人指揮者のイメージだが、ロイヤルフェスティバルホールでラフマニノフの第3交響曲を聴いた。良かった。これがエニグマのベストとは思わないが08年に亡くなった彼をしのびたい気持ちもある。欠くことのできない自分史だ。

コリン・デイヴィス / ロンドン交響楽団

41MW3E2EQGL英国演奏家の英国音楽のPhilips録音(65年)。それだけエニグマは国際的な曲ということだ(マーラーだってニューヨークフィルで振っている)。デイヴィスが自国の誇りをこめてこれを演奏したことは想像に難くない。素晴らしい演奏。これで感じるが彼は立派な人柄のオトナの英国人と思う。そう。そういう方に何人もお会いした。教えられ、助けてもいただいた。いけない、エニグマを聴くと、いつも何かが胸にこみ上げてきて感傷的になってしまう。なんていい・・・。

デイヴィスがバイエルン放送SOを振った全曲です。

 

 

 

 

 

 

 

(こちらもどうぞ)

エルガー チェロ協奏曲ホ短調 作品85

フレデリック・ディーリアス 「ブリッグの定期市」

 

 

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株式道場ーGPIFの謎ー

2014 JUN 5 1:01:07 am by 東 賢太郎

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)なるものがある。HPによると「厚生労働大臣から寄託された積立金の管理及び運用を行うとともに、その収益を国庫に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資することを目的」とする法人である。

この法人は、年金積立金の管理及び運用に関する具体的な方針を定めた「管理運用方針」を策定し、信託銀行と投資顧問会社へ運用委託を行う。実際の運用を行うものではなく、運用方針を決め、それを運用させてその監督をする。わかりやすくいえば、ゼネコンと工務店の関係だ。

いま株式市場ではGPIFが日本株の運用枠(資産構成比)を1-2%引き上げたのではないか、だから株は高いだろうという憶測で強気が勝っている(だから刹那的にダウが上がっている)。一昨日付の某証券会社レポートにはこうある。

仮に買い手がGPIFであると仮定した場合、3月末の日本株資産構成比は16%程度と推測されます。基本方針は12%±6%なのですが、報道によれば株式に積極的な新たな運用委員長を迎えた経緯もありアロケーションを昨年12月末の17%程度まで引き上げる決定をしたとしても不思議ではありません。17%として1%アップなので約1兆円の買い、上限の18%として約2兆円の買い余地が生まれたと推測されます。信託銀行経由の買いがすべてGPIFであると仮定すると、1~2兆円の買い余地のうち、先々週までで4700億円、おそらく昨日までで累計1兆円弱の買いになっていると予想されます。つまり、17%に向けた買いであるならばそろそろ目的を達成しているということになります。

こういうものを書く人を証券業界では「ストラテジスト」と呼ぶ。シロウト(個人投資家)向けではないからクロウト(機関投資家)しか読めない。B to Bのサービスなのだ。ちなみにこれは僕にメールで送られてくる。ではそれでクロウトが投資に成功するかというと、そういうことはない。むしろこういう情報を軽率に追いかけるとやられる(損する)ことの方が多い。僕は野村證券時代に金融経済研究所投資調査部長(ストラテジスト部隊の長)をやった。自分で書いたわけではなく20数名ほどいた「書くプロ」の監督だ。だから書く人にはうるさい。上記の筆者は(別な会社だが)なかなかバランスを感じていい。

このGPIFというのが日本株資産構成比を引き上げるのどうのといっているのが、いわゆる安倍内閣の株高政策、PKOなるものだと解釈されている。そうであるとすると、自民党が古典的に行ってきた財投という土建屋的バラまき行政、一部学者とか智者を装う評論家みたいな連中が「ケインジアン政策」という雅名でよぶこともあるが、それを株式市場でもやってしまおうという知性のかけらも感じない土俗的行為である。安倍さんは為替介入と区別がついていない気がするが、インサイダー取引という固有の問題をはらむ株式取引は危険と裏腹でもある。「日本株がこれからパフォーマンスが良さそうだから」と合理的に判断するならいいだろう。しかし厚労大臣が学者を連れてきてそれを言わせるという図式は理解ができない。

クニとセンセイはこの国では全能の神だ。センセイが決めれば国民など誰もわかりはしない、という和式の理屈だ。神のお告げなんだからGPIFは20%まで日本株を買っていい。あと4兆円だぞ!高値をどんどん買うぞ!だから株は高いぞ、みんな買わないと損するぞ!ということだ。夏にはまだ早いが、まあ、一種の祭りか盆踊り大会と思うしかない。後の祭りになった者がババをつかむだけだ。政治をまつりごととは実によく言ったものだ。政府は今年の第3四半期(7-9月)のGDPを見てさらなる10%への消費増税を決定することになっている。そこで株が下がって消費が減退し、国民に反対論が盛り上がっては困るのだ。そこで厚労省はせっせと財務省と自民党に恩を売るわけだ。

この「どんどん日本株の高値を買ってダウを押し上げる」→「みんな買うだろう」→「ダウが上がるだろう」は明確に間違いである。為替レートというものは確たる理論的論拠がない。金利差だ資金移動額だと小理屈はあるが、そのどれもが明確に1ドル80円か100円かを説明するわけではない。だから「政府資金が介入」という事実が理屈に勝ってしまう。だから市場参加者は皆ビビる。つまり、そういう厳然たる裏事情があるからこそ、為替レートはある程度は操作可能なのである。ドル・人民元のペグのようなことはそうやって可能になるのだ。しかし株はちがう。どこの誰が一気に大口でたくさん買ったからといって、理屈の方が最後は勝つ。ある程度の理屈で説明づけされる水準から居所を変えて株価がそこに居座ってしまうということはまずないのである。

だから株の世界で威嚇、警鐘、誘導のつもりで「これから買うぞ」と手の内をさらすのは麻雀でテンパりましたと宣言するぐらいバカである。世界中の投資家が先に買っておいて上がったら売り浴びせられ、ごっつぁんでしたとなるのが落ちだ。いや、それでもいいんだ、どんどん買って儲けて下さい、ババは僕がつかんで損しますから。それで9月まで株高がもてば消費税OKなんです、それでいいんですよ、ということか?そうとしか聞こえない。「僕が損しますから」って、僕って誰かって?皆さんである。皆さんの将来の年金給付金になるはずのお金がそれに使われるのである

前回のくり返しになるが、こういうとんでもない人たちにお金をあずけてまともに年金が払われると思う方がおかしい。本来は年金など不要で個人が老後資金を自分で蓄えるのが本筋だ。ただ、個人で小口で運用するよりも国がまとめて規模の利益を得てやったほうが成績がいいだろうという理屈で年金が始まった。ところがわが国ではその「規模」は株価対策に使われる。それなら「自分年金」を作った方がいいと考える人はこれから圧倒的に増えるだろうし、僕はそういう人たちを助けたい。もっと低コストでわかりやすくて、しかも老後に安心できる投資の仕組みを作りたい。

しかし僕のいうのは杞憂かもしれない。そうやってどんどん株を買い上げていくと、あら不思議、そのお金は年利4.2%という超高利回りで100年間も増えるらしいのである。我が国の経済学会にはケインズ先生も驚く物凄い経済理論があるのだ。そのうちSTAP友の会の会長さんとGPIFの学者センセイとどっちが先にノーベル賞を取るか、ロンドンのブックメーカーがオッズを出すのではないかと推察する。優れた人間洞察力から独自の「株式美人投票理論」をあみだしたケインズは株がうまく、母校キングズ・カレッジの基金3万ポンドを運用して38万ポンドに増やした。ただし、残念ながら買い上げではなく、大恐慌で下がった中小型の割安株に集中投資するバリュー株戦略で成功したのである。

 

 

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国民栄誉賞の謎

2013 MAY 6 17:17:31 pm by 東 賢太郎

本賞は、1977年(昭和52年)8月30日に内閣総理大臣決定された国民栄誉賞表彰規程に基づいており、その目的は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉を讃えること」と規定されている。

福田首相(当時)がホームラン世界記録を達成した王貞治に与えるために作った賞らしい。公開されている授与基準の他に、「これまで功績を積み重ねてきた上に、さらに歴史を塗り替える、突き抜けるような功績をあげた」という「暗黙の了解」を満たしていることも必要だそうだ。

よくわからないのは、今回の長嶋、松井のダブル受賞ではない。なぜ長嶋が受賞していなかったか、である。王は世界記録だったから?では美空ひばりや渥美清は何の記録をうちたてたのか?スポーツは別なのだろうか。たしかに柔道の山下、高橋尚子、なでしこ、吉田沙保里は金メダリスト、衣笠は連続試合出場の世界新記録達成者だし、相撲の大鵬は大相撲史上最多となる32回の幕内優勝、千代の富士は通算勝ち星最高記録更新と業界最高記録更新者だ。しかし、だ。仮にそうであるなら、世界はおろか業界でも歴史を塗り替えるほどの記録がない長嶋が今回なぜ受賞したのだろう?

最初っから、政治家がその人気にあやかる目的は見え見えなのでいい。しかしこういうロジックが通らない解釈は法学部卒としては目覚めが悪い。何で長嶋じゃなくて王が・・・と長年やはり寝覚めが悪かった人たちが日・米MVP受賞で歴史を塗り替えた松井との師弟美談をネタに仕組み、安倍首相とナベツネ巨人軍がのっかったのかもしれない。いずれにせよ、この瞬間、ロジックはなくなったということだ。

ところが探してみると意外なことがわかる。長嶋の通算守備率.965は三塁手プロ野球歴代1位である。1000回球が飛んできてエラーは35回しかなかったということだ。これは4200守備機会以上という最もサンプル数の多いデータにおいて名手の誉れ高いヤクルトの宮本慎也より上ということなのだから、史上最高の三塁手は長嶋茂雄であるといって誰も文句はない。これでロジックは守られるのではないか。

いや、ちがう。

長嶋さんは始球式で松井の投げた内角高めのボールを「打ちに行った」。とても ”らしい”。あれを見て思い出したのは、大洋のエース平松の伝家の宝刀カミソリシュートがすっぽぬけて顔のあたりに行き、一瞬球場が凍りついたシーン。ところが彼はのけぞって倒れながらバットを振っていて、ボールを見るとレフトポール際へホームランだったあの仰天シーンだ。強烈な印象だった。あんなことをした、いやできたバッターは後にも先にも彼しかいない。歴史を塗り替えた人だ。

もうひとつ。いつだったか忘れたがTV番組でONが宮里藍ちゃんにゴルフでチャレンジというものだ。目の前の3メートルぐらいの高さの段の上にサンドウエッジでボールを打ち上げて止めるというもの。長嶋さんはまぐれでも一発で決め、藍ちゃんは数回やって失敗。そのあとのONメンコ対決もNの圧勝。TVで見る長嶋さんは本当に強かった。勝負というものは全部強い人。国民は強い英雄を求めている。敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績とはこのことだろう。

ロジックが通用しない人、長嶋茂雄の国民栄誉賞。納得です。

 

 

 

 

 

ゴルフの謎 (Thank you, but not for me.)

2013 JAN 14 18:18:42 pm by 東 賢太郎

趣味は?と聞かれて「広島カープ応援」と「音楽鑑賞」とは答えますが「ゴルフ」をそこに入れたことは一度もありません。ゴルフの魅力は人並みに知っているつもりなのですが・・・・。

まず僕はゴルフというものを誰かに習ったことが今もって一度もありません。完全自己流です。だから技術について語る資格は全くありません。野球打ちだねといつも言われます。ロンドン時代たくさんやって初めて100を切りましたが、若気の至りで300ヤード飛ばすことだけが生きがいでした。

僕がスコアにこだわりだしたのはスイスにいたころです。まだ結果はあまりついてきませんでしたが。右の写真は僕がメンバーだったチューリヒ郊外のシェーネンベルグ・カントリークラブです。カウベルをつけた牛がいるのどかなコースで絵のように美しく、スイスにしてはパスタがいけるので好きでした。当時、社内に好敵手が3人いたのですが各人オランダ、ハンガリー、イタリアと住んでいる国がバラバラで、順番に幹事となって年に5~6回週末にそれぞれの国で「プレジデント・カップ」(みんな現法社長だったので)と称して雌雄を決する戦いをくりひろげました。これで徹底的に鍛えられて「勝負ゴルフ」には強くなりました。ただ負けると悔しくて半分苦痛のときもありましたが。

ゴルフが初めて面白いと思ったのはその次の赴任地だった香港のころで、香港ゴルフクラブ(上)、西麗ゴルフクラブ(下)を根城として毎土日、年間100ラウンドやってましたからハンディは8.3でした。85たたくと寝覚めが悪いというのがこのレベルです。ただシングルといっても、夜布団に入って目をつぶってもゴルフボールのポチポチが見えてくるぐらい入れ込んでいただけで、おそらくどなたでもそれだけ回数をやればそのぐらいは行きます。べスグロはこの西麗GCの75(Out39、In36の3オーバー・パー)で、これを僕の人生べスグロとして子孫の励みのためにここに記しておきます。スコアメークよりは競った時に勝負に強いタイプで、香港MTR(地下鉄公司)主催の在香港金融機関トーナメントで個人優勝するなど我ながら破竹の勢いだったと思います。野村證券の世界中のいろんな社内コンペで僕以上に優勝した人もたぶんおらず、結果的に家にはトロフィーやカップがごろごろあります。

そんなに面白かったゴルフなのですが、どういうわけか去年もおととしも年に3~4回しかやっていません。要は自分から誘うことがなくなり、誘われないとやらず、誘われても行かれないことがある結果です。やってもスコアは100前後です。アベレージ80前後をキープする、つまりぎりぎりでも「シングル」でいるためには趣味も仕事も女房も捨てる必要ありといいますが、たしかに当時は仕事以外は捨てていました。そういう情熱はもう湧きません。トシなのでしょうか。もともと他人のプレーにはまったく興味がなく、ここが少年野球でも何時間でも見てしまう野球とは根本的に違います。だからマスターズなどの中継はほとんど真剣にTVを見たこともありませんし、誰が勝ったかも知りません。会員権が欲しいとも思わず、やはりゴルフは生来僕には  Thank you, but not for me.   の域を超えていないのだと痛感します。野球がないヨーロッパ、香港だったから熱中していたので、今はなくても全然困らないのですから野球への愛情とは決定的にちがうのです。どうも趣味と言うことは一度もないまま終わりそうです。

 

世にはゴルフという魔物が棲む(1)

 

Wikiランキング1位の謎

2013 JAN 3 0:00:13 am by 東 賢太郎

これは2012年に読まれたウイキペディアの、各国語別の検索ランキング第1位だった単語だそうです。

英語           フェースブック                                 中国語         百度                                         フランス語       イヌツゲ(犬黄楊)( モチノキ科の植物の一種)              ドイツ語         クルドサック(住宅地における宅地割りの際の袋小路状の道路)     イタリア語       『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』(アメリカのテレビドラマ)       ロシア語           ロシア                                         オランダ語      華山中国陝西省華陰市にある険しい山)                 スペイン語      フェースブック                                 ヘブライ語      イスラエル                                   ギリシャ語       ギリシャ                                      ポーランド語     ポーランド                                   ポルトガル語      ブラジル                                      フィンランド語     フィンランド                                    チェコ語       今日は何の日(毎日が記念日)                        トルコ語       ムスタファ・ケマル・アタテュルク(トルコ共和国初代大統領)      アラビア語       エジプト                                      ペルシャ語         テヘラン                                       韓国語               ネイバー(韓国最大手のインターネット検索ポータルサイト)     ベトナム語       体位                                        タイ語            東南アジア諸国連合(ASEAN)                       インドネシア語    フェースブック

いや、世界は広いものですね。よく見るとなかなか奥深いものがあります。

さて、わが日本語は何だったかというと、なんと「AV女優一覧」でありました(ちなみに第2位はAKB48でした)。フランス、ドイツ、オランダは単に辞書のように使われているのでしょうか。それにしてもなぜフランス人が全国的にイヌツゲにこだわっていたのはよくわかりません。イタリア人の「恋の解剖学」とドイツ人の「袋小路道路」、これはなんとなくわかる気もしますが・・・。以上、若いユーザーの嗜好の反映ですから国ごとそうだとは思いませんが、この世代が中高年になる時代にわが国は一体どうなっているのか、やはり心配になりますね。

ジャイアン「強杉クン」の謎

2012 OCT 22 23:23:56 pm by 東 賢太郎

ここから巨人が2勝1分(最低)して日本シリーズに出る確率は非常に低いと思います

こう書いた「巨人のイチロー採り」みごとにはずれました。サイコロを8回振って1回しかない3連勝。いや、驚きの強さです。原さんまいりました。

澤村君、まじめにやった時のキミのストレートはすばらしい。特にきのう代打山崎を三振に取った内角高め。あれはメジャーでもたぶん誰も打てません。松本君、センター2番に定着してしまいました。おみそれしました。阿部君、ついにきのう谷繁の呪縛を解いて本領を発揮してしまいましたね。

中日は吉見と中田賢なしでよくやりました。今日も実績のない伊藤というのは、高木さん、よっぽど先発がいなかったんですね。2度あることは3度あっても、1度あることは2度あるかどうかわからないもんです。

金にあかせた他チーム4番コレクション。張本、松原、シピン、落合、広沢、清原、江藤、ペタジーニ、李スンヨプ、ラミレス、小久保、小笠原、谷、サブロー、村田と思いつくだけでこんなにいます。

子供のころ、ビー玉集めて自慢してた金持ちのボンを思い出します。ジャイアンがスネ夫みたいな金持ちだったらドラえもん成り立たないだろうに、どうしてジャイアン・ツだとプロ野球界まだ人気あるんでしょう。謎です。

ここに松井とイチローが加わらないことを来年の初もうでの祈願とします。

フランクフルト空港の謎

2012 OCT 10 17:17:11 pm by 東 賢太郎

フランクフルト空港のパスポートコントロールでのことです。

何だったか聞かれてそれに英語で答えると 「あんたここで働いてるんでしょ?何でドイツ語で答えないのよ?」 と、ガラス越しにきつーいドイツ語が飛んできました。なるほどパスポートの労働ビザでわかるのか。ガラスの向こうを思わず見た僕は、年の頃は、非常にわかりにくいが、とにかく声色を聞く限りにおいては、女性と判断していいのだろう、というとりあえずの結論に達しました。

ドイツ語ができないと入国させないという法律は絶対にない。まずそう考えました。しかし僕は野村ドイツGmbhという、80人の社員を抱える、現地では銀行の社長でした。このポストに就くにはドイツ連邦銀行監督局において30分間のドイツ語の口頭諮問をパスしないといけません(当時は)。そんな所で改めて不合格になるはずないのに、試験官にさんざんいじめられた苦い記憶がふと頭をよぎって、ドイツ語で 「僕はあまりうまくないんだ。正確に答えないとダメなんでしょ?」 と返事しました。そうすると 「ウソつかないでよ、しゃべってるじゃないの!」 と吉田沙保里選手なみの上げ足技で攻め込んできます。その後のやりとりでウソではないということが十分に立証はされましたが、こういう方とはあまりかかわりたくないと思いました。

バイオリニストの堀米ゆず子さんとヤンケさんは、かかわらざるを得なくなったのですからお気の毒でした。しかし、ドイツという国は何事につけ四角四面の形式主義、書類審査万能主義であり、官吏は欧州の人としては職務遂行に熱心ではあるが、上司に言われたこと以外は絶対にやらない最右翼の国だということを忘れてはいけません。ソブリン危機なんだから徴税官吏に檄が飛んでいるぐらい推察しろとまで芸術家に言う気はありませんが、一応の世間一般常識はあったほうが余分な弁護士料はセーブできたでしょう。

皆さんが不幸にしてこういうことになってしまったら、何語をしゃべるおつもりにせよ、「前回までは大丈夫だったのになんで今回だけダメなのよ?」 などと言い返しては絶対にいけません。常習犯として逮捕されるか罰金が重くなるだけです。「音楽家にとって楽器は体の一部なんです」 などと涙目で訴えても効果は期待できません。へたすると体中のレントゲン証明写真を撮られて偽証罪に問われて無用に被曝しかねません。ともあれ、すぐに弁護士を呼ぶことです。

堀米さんのブログを読むと、バッハの3連符にとても心をくだいておられる、日本的な細やかな感性を持ったすぐれた音楽家です。ヤンケさんはドイツ人、しかも、ドイツの宝、世界最古を誇る名門オーケストラであるドレスデン・シュターツカペレのコンサート・ミストレスという 「やんごとなき」 お方です。もしN響のコンサートマスターのバイオリンを成田の税関が差し押さえて1億円払えと言ったらどうでしょう。すわ!暴力団の新手のみかじめ料かと警官隊が出動してしまいかねません。

ところがドイツではそいう次元のことが立て続けに2度も起こるばかりか、政府が楽器返還を認めると、それを不服として税関吏が財務大臣を告発までしてしまうのです。国庫を豊かにしようとこんな大手柄をあげたのに、ということなのでしょうか。それとも、彼らが財務大臣を上司と思っていないのか、民間企業の労使関係に相当するのか。とにかく異国情緒に満ち満ちた事件であり、かようなことは日本の役所では飛鳥時代以来一度として起きていないだろうということは木簡を発掘調査するまでもなく明白と思われます。

ご年配の日本人には、ドイツは元同盟国だ、むこうも同胞意識がある、日本人と似ている、と思っている方が多いようです。大きな勘違いです。今度はイタリア抜きでやろうぜと言われたなんていう話までおお真面目に流布しています。どこかであった話なのかもしれませんが、今やオクートーバーフェストでビールを10リットルぐらい飲んだ隣の席のオヤジぐらいです。そんなこと言うのは。税関吏の行動を一般化してはいけませんが、ドイツに住んだことのある方でそういう話をまだ信じている方はかなり少数派と思います。

僕が敬愛するヨハン・セバスチャン・バッハも実はバイオリン差し押さえ派だったり、あのパスポートのおばはんとビール飲んでヤーヤー言って気が合ったりする人物だったりしたらがっかりですが、そういう国民でないとああいう音楽は書けないかなあという気もします。フーガというものは日本人的発想から最も遠い形式論的な作曲技法でしょう。平均律クラヴィール(現代ピアノのご先祖です)というものが発明されると、初めて作曲が可能になった24個の調性で、とても弾きにくいのにわざわざ24にこだわって曲を書いてみようなんて、とても形式主義ですね。やっぱり差し押さえ派かあ。

ピッチャーの謎

2012 SEP 29 17:17:11 pm by 東 賢太郎

野球のボールは硬式、準硬式、軟式と3種類ある。後者2つは日本だけのものである。このうち硬式球(写真)を用いる野球を硬式野球と呼ぶ。プロ野球、ノンプロ、高校野球はすべて硬式野球に分類される。

硬式球は141.7-148.8gの重さと決まっている。石のように固い。投手(またはピッチャー)と呼ばれる者はこの物体を投げ、18.44メートル離れたところに横たわる幅43.18センチのホームプレートというゴム製白板の真上を通さないといけない。

なおかつ、投げた硬式球を打とうと待ち構える打者(またはバッター)と呼ばれる厄介者の「ヒザから胸のユニフォームのマークまでの高さ」という約1メートルの上下幅に収めることも同時に求められる。

このゾーンに時速100-160キロの初速で投じた球を90%以上の確率で通せる者というのが硬式野球のピッチャーのおおよその定義であろう。ここに変化球、コーナーワークというバリエーション、応用ワザが加わるが、この定義を満たしていない者はまずいない。というかピッチャーに選ばれない。

ちなみに米球界に進出したナックル姫こと吉田えりちゃんは遠投力は堂々の70メートルを誇り、ストレートは最速101キロ。この定義を満たしていると推察される。逆にイチローは150キロ、ヤクルト古田も147キロを計測したがプロではピッチャーではない。

バッティングセンターというものがある。マシンが投げる球は「生きた球」とは言わない。変化球も来ない。それでも100キロは結構速い。これが打てれば草野球ではレギュラーになれる。120キロをちゃんと打てたら経験者レベル。130キロをポンポン打ったら打席に見物の人だかりができる。

しかし人間が投げると球は生き物に変貌する。これは打席で見たことのある者しかわからないかもしれない。まずなによりも球筋が予測できない。だから怖い。頭を直撃すると死ぬかもしれない。そこで硬式野球部員は打撃練習をしない時も球見(タマミ)という練習をする。投球練習所へ行って、投げているピッチャーの球を打席で(時にはバットを持たずに)ひたすら「目撃」して目を慣らすのである。

高1の夏、東京都大会4回戦。神宮第2球場で当たった日大一高のエース保坂さんの球は忘れられない。ベンチから見て球が浮いている!同じ年、春季大会の桐朋戦では21奪三振、この後に優勝して順当に出場した甲子園では都城に対し毎回、全員の17奪三振!ドラフト2位でプロへ行った。そういう球だ。死球を食らって痛がる先輩のお尻を冷やそうとしたら青アザにボールの縫い目の跡がついていた。背筋がゾッとした。

同じ硬式球を同じ人間が投げて、どうしてあんなに変わるんだろう?選手はみんなそう思ってるから「生きた球」と言う。僕はピッチャーの数だけ人相ならぬ「球相」があると思っている。これが面白い。だから野球場には球相を見に行っている。カープファンとは別の野球ファンという自分がいる。多摩川の少年野球でも、球相のいい子が投げてると何時間でも観戦してしまう。

プロ野球には、投げるならいつでもカネを払って見たいというピッチャーが数人いる。例えば巨人の杉内、ロッテの唐川(故障が心配)、全盛期の工藤。あの球相は、130キロ台のど真ん中のストレートでプロで空振りが取れるという信じ難い結果を生む。メジャーに行った和田(故障が心配)、ロッテの成瀬も比較的近いがやや違う相である。

大嫌いなのは巨人の澤村みたいな筋トレなんかをやるパワーピッチャーだ。砲丸投げでもやったらどうだ。目いっぱいに投げて150キロ以上出しても打たれている。実にだらしなく、美しくない。135キロの杉内はちょっといいともう誰も打てない。省エネだから疲れない。早や3回ぐらいから完全試合をされそうないやーな感じがする。高校野球では、こういう奴と当たってしまったら運を嘆くしかない。

本当に不思議です。同じもの投げてるのに。

 

 

 

 

 

ピッチャーは自信過剰か

モーツァルトの謎

2012 SEP 29 2:02:59 am by 東 賢太郎

モーツァルトは体にいいらしい。i-tuneをのぞいてみると、あるわあるわ。子供の知能指数は上がるし、胎教から血液循環系疾患の予防まで効果は満載である。人間だけではない。牛の乳の出はよくなるし、植物の成長は早くなる。味噌までうまくなるらしい。

「猫のためのモーツァルト」

お手でもするようになるのだろうか。ちなみに、わが家の猫たちはおそらく世界でも最もモーツァルトを聴きこんだ猫の一角を占めるだろう。お手はしなかったが猫パンチが強かったのはそのせいにちがいない。

「妊娠のためのモーツァルト」

世の中にはすごい商品が売られているものである。日本語で「モーツァルトはラブリー妊娠のためにクラシック音楽をリラックス」という素敵なキャッチコピーまでついている。あまりにすごすぎてコメントのしようがない。

こういうことがおきるのがモーツァルトだ。

 

「母と子のストラビンスキー」 出たら僕は買う。5枚ぐらいしか売れないだろうが。

「猫がよく寝るバッハ」 これはいい線だ。王様も寝かした効能は実証済みだ。

 

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